【本編完結】サイコロステーキ先輩に転生したので全力で生き残る 作:延暦寺
なお、ここからはタイトルにもある通り完全蛇足となりますので本編以上のご都合展開やふざけ要素があるかもしれないので、予めご了承ください。
なお、今回の現代編に出てくる人物の名前については私のネーミングセンスがないのでお察しです。
現代編
――現代・東京
「――えー、なので第二次世界大戦中、現在の栖笛製薬は医療班として多大な貢献をし多くの死者を減らしたと伝えられている」
都内の某高校のとある教室。
そこでは、眼鏡をかけた若い男性の教師が黒板に書きだしながら説明をする。
そんな教師の説明を聞きながら、何人かのクラスメイトがこちらをチラチラと見てクスクス笑う。
別にこれは俺がいじめられているとかそういうわけではなく、教師が今説明していることが原因だ。
「そして、その創始者である栖笛賽は、己は上に立つ器ではないと常に周りに喧伝するほどに謙虚で、決して驕らず一般人と同じ視線を持ち誰にでも平等に接していたので大勢の人間から好かれていたらしい。……自慢の先祖を持ったな、栖笛」
教師はそう言うと、俺の方を見る。
そして、それに合わせて周りも笑う。
俺の名前は栖笛
故に、先ほどの話で周りのクラメイトがくすくす笑っていたというわけだ。
身内の話というだけでも恥ずかしいのに、さらにはそれが教科書にも載っているのだから俺の恥ずかしさは留まるところを知らない。
そして……さらに恥ずかしいのは……
そう、俺は何の因果か、栖笛賽としての人生を終えた後、何故か子孫の栖笛比礼として生を受けていた。
いやなんでやねんとツッコみたくもなろう。
ただでさえ前世の記憶を持った状態でサイコロステーキ先輩に転生したのに、さらにまた記憶を保持したままその子孫に生まれ変わるとかどんだけだよ。
前々世、前世と生きてきたので、俺はもう精神年齢だけならジジイも良いところだ。
ある意味で不死と言えなくもない。
栖笛製薬の影の協力者である珠世様とコンタクトを取って話をした時は、めちゃくちゃ驚いていたな。
愈史郎は「化け物か貴様は」とかほざいていたので、軽く小突いておいた。
――先ほど、教師も説明していたが俺は栖笛製薬という会社を立ち上げ、一角の財閥となった。
どうして、そうなったのかと言うと、しのぶと珠世様の協力の元、俺の短命問題をクリアすべく薬の研究をしていたのだが、その過程で出来たもののほとんどが日本でバカ売れ。
第二次世界大戦の徴兵を何とか回避しようと手回しをして医療班に配属されたら、しのぶと珠世様が三面六臂の大活躍で俺達の地位を確立した。
その後、終戦後にも俺達は世界へと手を広げていったのだ。
いやー、我ながらとんとん拍子でビビったよ。
んで、そこで薬の会社を立ち上げたのだがなぜか俺が社長という事になった。
俺は上に立つような器ではないので固辞したのだが、カナエさんやしのぶにごり押しされ仕方なく社長となった。
そしてあの手この手で引退したら、今度は会長に就任と最後まで気楽に暮らすことはできなかった。
しのぶ達のお陰で寿命問題は解決したのは良いが、トップになったおかげでストレスで死ぬかと思った。
まぁ、なんだかんだそこそこに長生きし、子供と孫に囲まれて俺はその生涯を終えた……はずだったのに、何故か現代で高校生やってるんだから分からないものだ。
その後、クラスメイトの奇異の目にさらされながらも授業を終える。
今日は午前中しか学校がないので、このまま帰ることとなる。
俺はクラスメイト達に別れを告げると、昇降口へと向かい靴に履き替えた。
「さて、今日はメガ盛り食堂にでも行こうかな」
その定食屋は夫婦が経営しており、蛇の置物と異様なほどのメガ盛りの定食が豊富で学生に人気だ。
奥さんは美人で明るい性格なので人気なのだが、旦那さんの方は非常に暗くねちっこい性格をしている。
うっかり奥さんをガン見しようものなら、めちゃくちゃ睨まれる。
「おーい、比礼くーん」
俺が今後の予定について考えていると、不意に声をかけられる。
きょろきょろと辺りを見渡せば、道路の端に止まっている黒塗りの高級車から一人の少女が顔を出していた。
黒髪の長髪が印象的でかなりの美少女である、
セキレイ女学園の制服を着ている事から育ちのいい女性と言うのが見て取れる。
「奏姉さん。今帰りですか?」
栖笛
もう1つ、というのは実を言うと我が栖笛家は本家が2つある。
通常ならどちらかが分家となるんだろうが、何せ俺が2人と結婚しているために、例外的にそうなった。
流石にこれは表に出せないので栖笛家のトップシークレットであり、教科書にも載っていない。
本家が2つもあると、金持ち特有の醜い争いなども起こりそうなものなのだが、そもそも戦いが嫌いな俺と胡蝶姉妹の血筋のお陰で、そういったドロドロとしたものはなく仲良しこよしでやってこれている。
むしろ、面倒だからとお互いにトップの座をどーぞどーぞと譲り合うレベルだ。
うーんこれは俺の血筋。
「うん、私と志乃ちゃんも今日は午前中で終わりで送ってもらってる途中だったんだけど、比礼くんが見えたからね」
奏姉さんがそう言うと、肩のあたりで髪を切りそろえ気の強そうな美人という印象の志乃姉さんが顔を出し「やっほ」と小さく声をかけてくる。
ちなみに、奏姉さんが俺の2つ上の17歳。志乃姉さんが1つ上の16歳である。
そして……カナエさんとしのぶによく似ている。
俺の嫁さんそっくりの2人が姉とか複雑な気分極まりないが……まぁ、今のところは仲良くやっている。
そんな俺達の様子を見て、どこかで見たことのあるような顔をした少年がものすごい顔でこちらを見ながら「ケェッ!」と奇声をあげていたが関わりたくないので無視しておく。
「比礼くんはこの後、どこかに行く予定?」
「昼食を食べるためにあのメガ盛りの定食屋に行こうかなって」
「また? 貴方も好きねぇ」
俺と奏姉さんが話していると志乃姉さんが呆れた顔で話に入ってくる。
いいだろ別に……あそこのご飯、美味しいんだよ。
「……まぁ、いいわ。気を付けていきなさいね」
「そうねぇ、誘拐されないようにね?」
「大丈夫大丈夫、赤座道場で鍛えているし……ボディーガードも居るしね」
仮にも財閥の跡取り息子であるから誘拐犯からしたら垂涎ものである。
小さいころにも何度か誘拐されかかっていたが、その度に栖笛家のボディーガード『
今も、姿は見えないが一般人に紛れて俺を警護してくれているだろう。
ちなみに奇察隊というのは、前世の俺が栖笛製薬を立ち上げる際、己の身を守る為に結成した特殊警備隊だ。
鬼殺隊解散後、職にあぶれた元隊士達を高給で雇ったのがきっかけで、それからは現代までそれが続いている。
それとは別に赤座道場と呼ばれる空手道場にも通い、いざという時の為に体を鍛えている。
あそこは赤座
2人はとても仲が良く、稽古中以外は基本的にいちゃついている。
「赤座道場か。確かにあそこならどんなモヤシでも強くなるわね」
「そうね。でも、万が一という事もあるから絶対に無理しないでね」
「分かってるよ。心配してくれてありがとう」
俺は2人の自慢の姉に礼を言い、雑談もそこそこにして定食屋へと向かう。
道中、街には多種多様な人達が騒がしくしているのが目に入る。
傷だらけで強面の警察官が1人の高校生を追いかけていたり、ガラの悪い保育士が子供達に泣かれて困っていたり、それを異様にガタイの良い保育士があやしていたり……。
そんな面白可笑しい光景を眺め、俺は何て平和なんだと実感する。
鬼殺隊が命を賭してやってきたことは意味があったんだと実感する。
俺はこの街が大好きだ。
最愛の人達が住むこの街で、俺は今日も平凡に、平和に生きていく。
ちなみに、比礼は一般的な高校に通っています。
理由は、金持ち高校や進学校は肌に合わないからです。
赤座道場に関しては、狛治が開祖ですが独身を貫いています。
単純に生まれ変わりです。
ガラの悪い保育士は獪岳です。
次回も何か思いついたときにふらっと書いていきます。