【完結】サイコロステーキ先輩に転生したので全力で生き残る 作:延暦寺
【お詫びと訂正】
今回の話にてノリと勢いで書いた結果、今後の展開に支障をきたすであろう文章がありました。
感想でも指摘されていましたが、確かにと思いましたので該当部分は削除しております。
大変申し訳ありませんでした。
「くそ、何でこんなところに十二鬼月が居るんだ……!」
柄にもなく大声で叫んでしまった後、俺はすぐさま刀を構えながら距離を取る。
ただでさえ累や童磨の件で十二鬼月にはトラウマがあるというのに……。
「くそ、何でこんなところに鬼殺隊が居るのよ……しかも、まったく気配がなかったし……」
俺が警戒をしている中、相手の鬼は何やらぶつぶつと呟いている。
……目の前の鬼には見覚えがあった。
今の体になってから会ったのではなく、漫画で見たことがあったのだ。
サイコロステーキ先輩並の出番の少なさではあったが、その見た目の可愛さやその後の無惨によるパワハラ被害者という不遇さから妙な人気があったのを覚えている。
ちなみに、俺も好みだった。
名前は……なんと言ったか。ファンブックで名前が載ってたはずだったんだが……あ、思い出した。
「お前は確か……下弦の響凱!」
「違うわよ! そんな下位の奴と一緒にしないでくれる⁉」
ぬう、どうやら違ったらしい。
俺の言葉に対し、警戒していた下弦の肆は距離を取りつつ怒鳴ってくる。
「冗談だって、ちゃんと分かってるから。えっとね、シカゴ!」
「零余子よすかたん!」
俺の渾身のボケに対し、零余子たんは体中の血管を破裂させそうにしながら殺気マシマシでツッコミを入れてくる。
うーん、冗談が通じない子だな。
ちなみに、俺は別にマジでぼけたわけでは無い。
こうやってボケを畳みかけることによってシリアスな空気にはせず、有耶無耶の内に頸を斬ってしまおうというわけだ。
頸を斬る……頸を……っ。
「ふぐ、うううううぅっ」
「ちょ、な、何で急に泣き出してるのよ。むしろ、泣きたいのはこっちの方なんだけど……」
血涙を流す俺に対し、零余子ちゃんはドン引きしながら尋ねてくる。
「いや、だって君を今から倒さなきゃいけないと思うと辛くて……めっちゃ可愛いのに……何で鬼なんだよ……っ!」
もし俺が鬼側に転生していたら零余子ちゃんと心置きなくイチャイチャしていたというのに!
だが俺と零余子ちゃんは鬼殺隊と鬼、ロミオとジュリエット!
ああ! なんという悲恋!
彼女が鬼である以上、残念ながら見逃すことはできない。
しかも十二鬼月であるから、今まで食べてきた人間の数も相当なものだろう。
これを放置すれば、被害も増えるだろうしな。
こればっかりは原作が云々で見逃すわけにもいかない。
どっちみち、原作でも禄に出番がないまま死んでいるし、ここで倒してしまっても構わんのだろう?
とはいえ、位は累よりも上の肆。いくら修行したとはいえ、決して油断できる相手ではない。
こうして相手の精神に揺さぶりをかけてはいるが、いざ戦ったら死を覚悟する必要がある。
「か、かわ……はぁ? 私が可愛いとか何馬鹿な事言ってるの」
そんな事を言いつつも、何やらもじもじしてまんざらではない様子の零余子ちゃん。
うーん可愛い。つくづく鬼じゃなかったらなと思う。
……ちなみに、鬼だと母蜘蛛も好きです(真顔)。
「アンタ、人間の癖に中々見る目あるじゃない。どう、鬼にならない? 私が直々に可愛がってあげるわよ」
「魅力的な……ほんっっとうに魅力的な申し出だけど、こう見えて俺は鬼殺隊の柱なんでね。辞退させてもらうよ」
「そう、なら仕方ないわね」
俺の答えに対し、少しだけ残念そうな顔を浮かべる零余子ちゃんだったがすぐさま臨戦態勢へと入る。
それなりに精神に揺さぶりをかけたと思ったが、腐っても十二鬼月。
戦いに関してはかなり場慣れしている。
零余子ちゃんの目を通して、無惨がこちらを見ている可能性もあるしさっさと片を付けよう。
俺の戦い方は相手に知られると厳しくなるからな。
俺は覚悟を決めると影の呼吸を使用する。
『影の呼吸・壱の型 雲隠れ』
『血鬼術・鬼隠し』
俺と零余子ちゃんはほぼ同時に動く。
影の呼吸の壱の型は、極限にまで気配を自然と同化させ自分の存在感を希薄にさせる技だ。
これを使えば、かくれんぼで無敗の帝王になれるだろう。
対し、零余子ちゃんも血鬼術を使い姿がまるで蜃気楼のように揺らめいてそのまま見えなくなってしまう。
――そして辺りに誰も居なくなり、夜の静けさだけが残っていた。
「「……」」
それからしばらくして、まるで示し合わせるかのように俺と零余子ちゃんは姿を現す。
まさかの技被りでこのままでは埒が明かないとお互いに察したのだ。
「……姿を隠す系の技はお互いにやめよう。流石に不毛だし決着がつかない」
「悔しいけど同意だわ」
と、お互いに了承したことで仕切りなおす。
俺は刀を構え、零余子ちゃんも両手を構える。
再び辺りに静寂が訪れる。
静かすぎて、早鐘のように脈打つ自分の心臓がうるさく感じるほどだ。
大丈夫、俺ならできる。
ここを乗り越え、累を乗り越え、俺は生き残るんだ!
そして金をためて自堕落な生活を送るんだ‼
『影の呼吸・弐の型 写身』
かつて、童磨戦でも使用した殺気による一人時間差攻撃。
案の定、零余子ちゃんも俺の殺気に反応し攻撃を仕掛けてくるが、残念ながら空振り。
その後の隙を逃すまいと、彼女の視線から外れるほどに低く、速く動き相手に接近する。
「なっ!」
突然目の前に現れた俺に対し驚く零余子ちゃんだったが、気づくのが遅かった。
俺はそのまま刀を切りあげ、零余子ちゃんの右腕を肩から斬り落とす。
「あがぁ! き、貴様ぁ!」
目が血走り、自身の肩を押さえながらこちらへ噛みつこうとする零余子ちゃんだったが、俺はそれをひらりと避ける。
「蝶のように舞い、ゴキブリのように逃げる!」
零余子ちゃんの攻撃をひらりと避けた俺は、そのままくるりと反転し猛ダッシュでその場から立ち去った。
後ろから零余子ちゃんの怒号が聞こえる。
が、甘い。俺が普通に逃げるわけがない。
「――と見せかけて蜂のように刺す!」
そして零余子ちゃんの背後に回り、そのまま心臓を貫いた。
鬼は頸を落とすか日光に当てない限り死にはしないが、それでも心臓を貫かれたことで明らかに動きが遅くなる。
そして、俺はすぐさま刀を引き抜くと再び2、3mほど距離を取る。
「こ、このビチグソがぁ! 柱の癖にまともに戦えないのか!」
俺の戦法に対し、可愛かった零余子ちゃんの顔は醜悪に歪みまさに鬼と形容するにふさわしい表情を浮かべていた。
結構なダメージなのか息は荒かったが、すぐに回復するだろう。
「俺は生き残る為ならどんな手でも使う! それが俺だ!」
「ふざけるな! くらえ、血鬼――」
俺の言葉に更に逆上した零余子ちゃんはさらなる血鬼術を使おうとしたが、それは叶わなかった。
「あ……ら……?」
気づけば、零余子ちゃんの頸は胴体に別れを告げ宙を舞っていた。
シャララと金属音が辺りに響き、俺が握っている日輪刀の
『影の呼吸・肆の型 這い寄る蛇咬』
蛇腹刀を利用した俺の新しく生み出した技だ。
俺が距離を取ったことで射程外だと安心したのが運の尽き。少しでも油断した時点で迫りくる蛇の餌食である。
なんだかイグッティが使いそうな技だが、あくまで俺の編み出した影の呼吸の技である。
彼もまだ柱になっていないのでセーフ。
「わ、たし……がこんなふざけた奴……に……」
首が地面に落ちると、零余子ちゃんは腑に落ちないといった表情でこちらを睨みながらも塵となっていく。
好きなキャラを自分の手で葬ってしまうことほど心苦しい事はない。
「…………」
塵となって完全に消えてしまった零余子ちゃんを見送り、俺は黙祷をする。
禰豆子ちゃんの様に人を食べていなければ生き残れた道もあっただろう。
せめて……来世では幸せになってくれることを祈るばかりだ。
こうして、俺の初の十二鬼月戦は危なげなく勝利するのだった。
【注意】今回の話ではシリアスさんがほぼ息をしていません。
シリアスを期待していた方には申し訳ありませんが、予めご了承の上お読みください。