あべこべ幻想郷に落ちた命   作:てへぺろん

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お待たせしました。色々と仕事なりで立て込んでいて投稿できずにいましたが、これからボチボチ投稿再開していきます!


それでは……


本編どうぞ!




大図書館で小さな出来事

 「パチュリー様にお願いがあります」

 

 「……なによ?」

 

 「惚れ薬についてお聞きしたいことが……」

 

 「ダメよ」

 

 

 本、本、本……至る所に本棚があり、本が隙間なく埋められている。締め切られて薄暗い空間が広がり、天井に吊るされたシャンデリアの光が頼りなこの場所は紅魔館内に存在する大図書館で、その中心に位置する場所には机がある。そして椅子に腰かけているのは、長い紫髪の先をリボンでまとめ、紫と薄紫の縦じまが入ったゆったりとした服を着た少女がいた。

 

 

 その少女が私よ。パチュリー・ノーレッジって言うのよろしく……私は誰に話しているのかしらね……ゴホン!そ、そんなことは置いておいて、昨日はレミィ(レミリア)がパーティーを開いていたようだけど外ならば私は参加しない。日光に当たるのは嫌だったから……別に私は吸血鬼じゃなく魔法使いよ。だから日光に当たれば灰になるとかはないから心配しないで。ただ日光に当たると疲れるのよ……体が丈夫な方じゃないし、うるさいのは更に苦手。だから私はここで静かにしていることが性に合っていた。

 人間ならばこんな日光も当たらない場所で暮らしていたら肌が荒れて美しい肉体を手に入れられるはずなのに、私には縁がない話なの。私は魔法使いだけど人間じゃないし、ここ(紅魔館)に居る連中は特別な力を持っている者ばかり……ここだけの話ではないのだけれど、そう言った特別な力を持つ者は全員が不細工である。この長い年月ありとあらゆる知識を身に付けた私ですら解明できない謎なのよ。レミィが言うには運命らしいけど……もう諦めたからいいことだけど。それに時々だけれどわざわざ人里から会いに来てくれる変わり者がいる。

 

 

 上白沢慧吾……昨日も彼が来て挨拶してもらったけどやっぱり慣れないわね男の人って。彼が嫌なわけではない、寧ろこんなカビを貼り付けた顔を持つ私にわざわざ会いに来てくれる彼の存在が眩しすぎる。不細工である女性に対しても唾を吐くことも罵倒することもなく接してくれる天使ではないかと疑ってしまう程の男性……いい人過ぎて初めは遂に幻覚を見ているのだと思ったぐらいよ。そんな彼と接していると次第に心惹かれてしまうのも無理はないし、彼を狙う者が大勢いるのも納得の反応である。私の目の前に居るメイドもその一人……

 

 

 パチュリーがうんざりそうに本から視線を外して見上げるとそこには咲夜が変わらぬ表情で立っていた。しかしその瞳は何かを期待していた。

 

 

 咲夜は以前とは大きくかわったわ。慧吾に好意を抱いて何かと彼の元に出向くようになった。前までの咲夜は完璧過ぎて人間性を失ってしまったのかと思っていたぐらいだしね。でも彼と出会って彼女は変わった……良くも悪くもと言う意味ではね……でも私の場合は悪い意味合いの方が頻繁に多い。

 何故かと言うと姿を現すなりに惚れ薬ときたものよ。本人はただの興味だとか誤魔化そうとするけれどそれを使用する可能性も捨てきれない。それだけは絶対にやってはいけないことなの。男性の心を魔法や薬で動かそうものならば大罪だ。この幻想郷に法律と言うものは存在しないが暗黙の了解で決められたルールであり、私用すれば道を踏み外す行為になる。別に惚れ薬を作る自体は悪い事ではない。研究や知識の為に少なからず古い時代から行っていることなのだから……でも使用するならば話は別……禁忌の領域よ。魔理沙だって人として道を踏み外すようなことを避ける為に惚れ薬を作ろうとしないのはそのためよ。私だってこれだけは絶対に手を触れていない……作ってしまえば欲求に逆らえず使用してしまうかもしれないから。

 

 

 禁忌を犯さないためにもパチュリーは惚れ薬の作り方が記された本を厳重に管理し人目のつかない場所に保管している。あべこべ世界で男性を魔法や薬で自分に好意を向けることは愚の骨頂であり、外道と称されても文句は言えないのである。しかしパチュリーの前にいる咲夜はジッと見つめてただ求めていた。

 

 

 「ダメ、絶対にダメなのよ。例え咲夜でも惚れ薬について教えることはしないわ」

 

 「……どうしてもですか?ただの知識として知っておきたいのですけど……」

 

 「ダメなものはダメ。知ってしまえば欲求に逆らえずに使ってしまうかもしれないのよ?過去の歴史にもそう言った事例はあるぐらいだしね。けれどそれをしてしまった者はみんな歴史の闇へと葬られているわ」

 

 「……そうですか……」

 

 

 表情は変わらない……だが、期待が籠った瞳の輝きは失われ落ち込んでいるのが長年彼女を見守って来たパチュリーにはわかった。

 

 

 ごめんね咲夜、けれどこれはあなたの為なのよ。あなたが道を踏み外せばレミィは勿論のこと私達みんな悲しむのだから……それにそんなもので手に入れた愛なんて偽物なんだから。彼にはライバルが大勢いるけれど、あなた次第で彼は応えてくれるはずよ……それに幸せは苦労しないと手に入らないものよ。だから自身の手で掴み取りなさい。

 

 

 パチュリーは心の中で応援していた。子供の頃から知っているパチュリーにとって咲夜は手間のかかる大切な子供と一緒なのだから。

 

 

 「それではパチュリー様、惚れ薬は結構ですので媚薬の作り方が乗った御本を……」

 

 「さっさと仕事に戻りなさい!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「はぁ……」

 

 

 パチュリーはどっと疲れた様子で机に突っ伏していた。すると背後からゆっくりと近づいてくる小さな羽を生やした娘……パチュリーの秘書的存在であり、使い魔の小悪魔だった。

 

 

 「パチュリー様またですか?」

 

 「そうなのよ……困った子よ。慧吾の前では凛々しいメイドとして振舞っているのに……」

 

 「きっと気に入られようと必死ですもの。既に気に入れられているのにも関わらず嫌われないようにするのに必死なんだから……そう言うところ可愛いですよね♪それに以前よりも私達に対して柔軟に接してくれるようになったってことは気を許したってことですよ」

 

 「……そうね」

 

 

 そう言われてみればそうね。咲夜の素を見られる私は彼女から信頼されている証なのよね……?ちょっとくすぐったい気分になるわね。けれどいつまでも自分を偽ることはできないわ。いつかはボロが出てしまう……彼ならば咲夜を受け入れてくれると思うけど、咲夜は拒絶されることを恐れている。そうなってしまわないように自分のイメージである『完璧』を演じ続けている……私は以前の咲夜よりも今の方が好き。子供の頃の咲夜が戻って来てくれた感じがしたから……

 

 

 しんみりと昔の姿と今の姿が重なって見えた気がしたパチュリーはどこか嬉しそうな表情をしていた。

 

 

 「パチュリー様嬉しそうですね……それでなんですけどパチュリー様にお願いしたいことがありまして♪」

 

 「……なによ?」

 

 

 パチュリーは嫌な予感がした。

 

 

 「男の使い魔……是非とも小さい男の子を召喚してほしいです♪絶対正義のホットパンツに上目づかいで『小悪魔のお姉さん、僕……お姉さんの体を見ているとなんだか体が熱くて仕方ないの。だから……僕を癒して❤』っと言って震えながらも勇気を振り絞り、その小さい体ながら興奮すれば象の鼻のように太い頑丈な肉棒を私に向けてズッコンバッコン激しい喘ぎ声をあげながら図書館や野外にベッドの上では勿論のこと、おねショタプレイができる理想のショタっ子を!!!」

 

 「あなたもさっさと仕事に戻りなさい!!!」

 

 

 手間のかかるのは住人は一人だけではなかったと思い知らされた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「昨日ぶりですねパチュリーさん」

 

 「……そ、そうね」

 

 

 意外だったわ。咲夜と小悪魔(こあ)を仕事に戻らせた後にまた咲夜がここに現れた時は頭が痛くなりそうだったわ。けれど隣には見慣れた顔が一緒だった……慧吾がやってきた。時々彼はここの本を借りに来る。彼は読書が好きだと言っていたし、親の影響もあるのかもしれないわね。同じく私も読書が好きだから嬉しいことね。

 そんな彼に対して昨日会ったばかりであるのに私はぎこちなく返事をする……やっぱり男性相手には慣れないわね。男性とほとんど話をしたことが無い私は彼と話ができることを実は楽しみにしていたりする……だがそんな私に対して隣に居る咲夜の視線が鋭くなるのを感じるわ。大丈夫よ、彼を美鈴みたいに取って食おうなんて真似はしない。確かに彼は魅力的でこんな私に対しても笑顔で接してくれる……初めの頃は私に気があるのかと思ったぐらいだったしね。けれどそれが彼の素であり、咲夜が思いを寄せていることもあって、私もレミィも見守ることにしたんだから。

 

 

 咲夜は紅魔館で唯一の人間であり、レミリアに拾われて以来ずっと紅魔館のメンバーで面倒を見てきたことで彼女に対する母性が生まれたのかもしれない。パチュリーは慧吾の育ての親である慧音の気持ちがわかるようになってから自分達は咲夜の親代わりなのだと理解するようになった。パチュリーは子供を育てる知識に関してはあったが実際にやってみるのとは大いに違い、あたふたしたのは今ではいい思い出となっている。

 

 

 「あっ!慧吾さんまた私の為に来てくれたんですか!嬉しいです~♪」

 

 

 小悪魔が慧吾を発見すると近づいて来て抱きしめようとする……が、咲夜が小悪魔と慧吾の間に割り込んでくる。

 

 

 「小悪魔(こあ)、まだお仕事の途中でしょ?仕事に戻ったらどう?」

 

 「咲夜さんも先ほどパチュリー様から仕事に戻れと言われたばかりじゃないですかぁ~?」

 

 

 悪戯な笑みを浮かべて咲夜を揶揄う姿はまさに小悪魔だ。咲夜が邪魔したのには理由があり、毎度慧吾が紅魔館を訪れると小悪魔が抱きしめようとする。初めて紅魔館を訪れた時にも抱きしめられた。そしてその時に小悪魔が慧吾の耳を舐め、甘い声で誘惑したのを咲夜は忘れてはいない……どんなにうらやま……どんなに怒りが彼女の中で湧き上がったことか。慧音の頭突きと咲夜のナイフの嵐が図書館を覆ったことがあったのだ。そんな出来事があってもこの行為を止めようとしないのは小悪魔なりのコミュニケーションかはたまた咲夜を困らせて楽しみたいのか……どちらにせよ遊んでいることに変わりはないだろう。

 

 

 「そこまでよ小悪魔(こあ)、咲夜あなた達は仕事に戻りなさい」

 

 「ええ~!折角慧吾さんがいらしてくれて夜のお相手をお願いしようかと思ったのに♪」

 

 「……」

 

 

 小悪魔の発言に咲夜は慧吾に見えないようにナイフを持ち、表情は変わらないが殺気が漂っていた。それでも楽しそうにしているのは悪魔としての悪戯の楽しみなのだろうか?それは彼女にしかわからない。

 

 

 「止めておきなさい、慧吾の()()()()()()が紅魔館を襲撃しに来るから」

 

 「あれは冗談じゃありませんでしたね……流石にもうこりごりですよ」

 

 「なら毎度抱き着こうなんて考えないでくれるかしら?図書館の被害が尋常ではなかったのだから」

 

 「そこは悪魔として譲れません。私小悪魔ですから♪それに欲求不満で大人の玩具だけでは満足できないのは本当ですからね。本当ならばホットパンツショタと濃厚絡み汗だくプレイがいいのですけど

 

 「慧吾の前で下の話は止めなさい。それとあなたの趣味は聞いていないわ」

 

 

 パチュリーの言う友人とは言わなくてもわかるだろう……以前一度慧吾が口をうっかり滑らせて小悪魔の悪戯がバレてしまい、例の幼馴染連中に知れ渡ってしまった時の図書館には血の雨が降ったとか……実際に見ていないが小悪魔が身震いするほどに記憶に鮮明に残っているようだ。それでもこの悪戯を止めないのはやはり悪魔としての楽しみのようだ。

 

 

 「ごめんなさい慧吾、毎回小悪魔(こあ)の悪戯に巻き込んでしまって……」

 

 「構いません。慣れましたから」

 

 

 小悪魔(こあ)には困ったものね……こんな茶番に付き合ってくれる慧吾に申し訳なさを感じるわ……

 

 

 慧吾の寛大な心遣いに感謝しつつ咲夜に紅茶を持って来させるのであった。

 

 

 ------------------

 

 

 「……と、この本は中々刺激がありましたね」

 

 「そうなの?私が初めて読んだ時はいまいちだったわ」

 

 

 俺は昨日も今日も紅魔館にお邪魔していた。昨日はパーティーを楽しんで今日は密かに鈴奈庵と同じくらいに頻繁に通っている大図書館で本を読み漁っている。たかが本と思うだろうが侮るなかれ。ここには俺が理解できない本が山ほどあり、ファンタジー小説や歴史的にも重要な本が置かれていたりする。未知なる領域と言ってもいいぐらいに初めて出会う本ばかり……初めてここに訪れた時は言葉を失ったぐらいだからな。

 

 

 そしてこの大図書館に根付いているとも言っていいぐらいにここから外に出ることの方が少ないパチュリーさんは常識人だ。初めて会った時はオドオドしてまともに話すこともままならなかったが、今ではこうしてお互い読んだ本の感想を言い合える仲にまでなった。それにパチュリーさんの知識には俺も驚かされた。見た目は愛らしい少女にしか見えないのに何百年と生きている魔女らしい……その中で得た知識は俺も興味があった。教師である御袋の影響も合ってか知識に対して興味が生まれたのかもしれないな。だから彼女と雑談していると楽しくていつも楽しみにしている。

 

 

 慧吾は出された紅茶を一口飲みながらしみじみと感じていた。咲夜の入れた美味なる紅茶も楽しみながら過ごすゆったりとした時間は慧吾にとって日頃のストレスや疲れを解消してくれていた。

 

 

 「……」

 

 

 傍では咲夜が何も言わずに控えていた。慧吾はずっと傍にいると仕事ができないだろうと思って自分のことはいいと断ったことがあったが、瞳が寂しそうにしていたのを憶えている。不憫に思い好きにしてくれと頼むとパアッと明るくなった気がした……表情は変わらなかったが。主であるレミリアも了承しているらしく、慧吾自身咲夜の仕事の邪魔をしているのでは?と思ったが「気にすることはないわ。咲夜の為にも時々紅魔館に来なさい」と言われてしまったので気にしないことにした。

 レミリア(呼び捨てでいいと言われた)とパチュリーさんは咲夜の親代わりのような存在と御袋から聞いたことがある。美鈴はお姉さん的扱いであったり(それでもナイフは刺さる)小悪魔(こあ)の方はいじりに来る友人的関係で、フランに至っては年上の妹がいるような感じらしい。他にも妖精メイド達も居て仲睦まじい家庭で咲夜は幸せ者だな。

 

 

 慧吾は自分と同じく拾われた咲夜に対して思うところがあった。カッコイイ女性としてだけでなく、同じ境遇の持ち主で親近感が湧いた。自身は転生だったが、それでもこの変わったあべこべ世界で優しい親に拾われて今を生きている……完璧なメイドで高嶺の花ではある(慧吾にとって)しかし親近感が湧いたこともあり、昨日のような悪戯を思いついてしまうなど咲夜との距離は近い。遠慮せずに接することができる存在にまでなっていた。

 

 

 しばらく慧吾達が談笑していると図書館の入り口が開いて小さな吸血鬼が慧吾を見つけるなり走って来た。

 

 

 「あっ!慧吾お兄ちゃん遊びに来たの?」

 

 「今日はパチュリーさんの本を借りに来たんだ」

 

 「ええ~!それじゃフランと遊んでくれないの……」

 

 

 495年もの時間を生きているが今まで日の目を見ることはなかった。そんな日々を過ごしている時に異変を通じて霊夢と魔理沙がきっかけを与えてもらい、外の世界に興味を持ち積極的に遊びに行ったりする。その姿は見た目と変わらぬ子供である。そんな彼女がつまらないと不服を申し立てる……小さい女の子しかも頬を膨らませて愛らしい顔を向けて来る。それだけでなく自分のことを「お兄ちゃん」と呼んでくれる子にそんな顔をされては嫌とは言えなくなってしまった慧吾だ。

 

 

 くっそ可愛いじゃねぇか!!落ち着け俺……Be cool……Be cool……よし落ち着いた。全くフランは仕方ねぇ奴だな。この「慧吾お兄ちゃん」が遊んでやろうじゃないか!!

 

 

 「いいぜ、遊んでやるよ」

 

 「ホント!?やったー!!」

 

 「良かったわねフラン」

 

 「良かったですね妹様」

 

 「うん!」

 

 

 ぴょんぴょんと飛び跳ね宝石のような翼がピコピコと震える姿に慧吾は浄化させそうになった。パチュリーも咲夜もその姿に癒させているようだ。

 

 

 「……はっ!?ゴ、ゴホン……それでフランはどんな遊びをしたいんだ?」

 

 「えっとね……おままごと!」

 

 「おままごととはこれはまた典型的な遊びだな?」

 

 「でもそれがいい!いいでしょう?」

 

 「俺は構わないぞ」

 

 

 おままごとか……俺は縁がないものだと思っていたがここで体験することになるとは予想外だったな。女の子の遊びって認識が強いからな。意外にちょっと楽しみになっている俺だ♪

 

 

 男である慧吾にとっては体験したことのないことだが、それが新鮮さを感じさせて内心ワクワクしていた。

 

 

 「私が子供役をする!慧吾お兄ちゃんはお父さん、咲夜はお母さん役をやって!」

 

 「わ、わたしがですか!!?」

 

 

 いつもキリっとしている咲夜の顔がフランの一言で破顔した。これには慧吾もパチュリーもビックリした様子でそれほど咲夜が動揺したことがわかった。

 

 

 「うん、もしかして嫌だった?」

 

 「そんなことありません!!!寧ろ慧吾様の奥様になれるのならば光栄です!!!」

 

 「そ、そう……?」

 

 

 フランの肩を掴んでグイっと詰め寄る咲夜に戸惑う。咲夜は傍に慧吾がいるのに口走ってしまったが本人すら自覚がなく気づいても居ない。そして彼女の瞳が業火のように燃え上がっていたとかフランは後に語る。

 

 

 「それではパチュリー様、妹様と遊んできますので私と慧吾様はこれにて……」

 

 「はいはい……」

 

 「それでは……慧吾様、妹様もおままごとするならば本格的にしないといけません。ですのでそれ専用の部屋を用意しますのでこちらへ……」

 

 「お、おう……」

 

 「う、うん……」

 

 

 なにやら一番張りきりを見せる咲夜に連れられて困惑しながらついて行く慧吾とフランであった。

 

 

 ……咲夜の意外な一面を見た気がするな。しかしこれはこれで咲夜の隠された一面を見るいい機会になりそうだ。いつか咲夜の固い表情を柔らかくすることができるかもしれないしな。年頃の女の子は笑った方が良く似合うからよ。

 

 

 慧吾はそう思いつつ、前を歩く咲夜の背中を見ると嬉しそうに体を揺らしているように見えたという。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「おや~これは面白いことになっていますね♪」

 

 

 密かに仕事場(図書館)から抜け出し慧吾達のおままごとの様子を陰から覗いていた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「妹様、ここでは『咲夜』ではなく『ママ』とお呼びください。そして慧吾様も『咲夜』ではなく『おまえ』とお呼びください。私は妹様のことを『フラン』慧吾様のことを『あなた♪』とお呼びしますので……わかりましたねお二人共?」

 

 「う、うん……」

 

 「あっはい……」

 

 

 咲夜の本格的指導の下で行われるおままごとは熱の入った演技を要求された。フランと慧吾はあまりにも凝った結婚生活風の「こんな家族でありたい」と欲望丸出しのおままごとであった。故に咲夜の演技指導に熱が入り過ぎて二人共引いていた。小悪魔はそんなおかしな光景を陰から終始見ており楽しんでいたとか。

 

 

 そしておままごとを終えた咲夜……その夜は幸せ過ぎて眠れなかったというオチだった。

 

 

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