永遠亭編のラストです。
それでは……
本編どうぞ!
そわそわ……そわそわ……!
「ねぇ、少しは落ち着いたらどう?」
「で、でも永琳……もし慧吾が妖怪に襲われていたらどうしよう!?」
「大丈夫です。妹紅がついていますし、てゐに探しに行ってもらいましたから中に入りましょう?」
「嫌!慧吾が来るまでここにいる!」
「もう輝夜ったら……」
永琳は永遠亭の前で落ち着きがない輝夜を説得していたが無駄となった。あの運命の出会いから輝夜の私生活は一変した。部屋に引きこもってやる気の起きない一日を過ごしながら暇な時間を潰す毎日から、己の魅力を磨き上げる為に積極的に自ら働き始めた。ここまでの変わりように永琳達は驚いたが、自分達が同じ境遇であれば同じことをするはずだ……どれぐらいこの瞬間を待ち望んでいたのか、輝夜にとって最初で最後の恋かもしれない。その恋が実るように永琳達は協力することを誓った。だからこうして約束の時間になっても現れない慧吾のことが心配で仕方がない輝夜を責めることなどできるわけがない。
「(慧吾君が遅れているのは妹紅の仕業だわ。まったく……長生きしてもそれじゃ子供と変わらないわよ)」
永琳には慧吾と輝夜が引っ付くのを妹紅が邪魔していることがわかっている。あの運命の日の翌日に妹紅が永遠亭に乗り込んできて輝夜に喧嘩を吹っかけたのを憶えている。理由は単純……嫉妬だった。
慧音が母親の位置であり、慧音の子育てを手伝った赤の他人でしかない立ち位置だと妹紅自身は思っていた。慧吾が妹紅をもう一人の母親だと言うまでは……そんなことを言われてしまったら彼女の母性本能が燃え上がらないわけはない。幻想郷中の女性は誰だって子供を授かりたいが、不細工な彼女達には儚い幻に過ぎない……その幻が現実となったのだ。不細工だと決して言わずに寧ろ綺麗だと自分達を見てくれる愛する
しかし妹紅と慧音はそれでも慧吾を縛ったりせずに自由にさせている。溺愛と言う鎖で慧吾の行動を制限して自由を奪いたくないと思っている。我が子には人生を楽しんでもらいたいから……だが妹紅は一人だけどうしても気に入らない相手がいる……輝夜だ。昔から因縁の相手であり、彼女にだけは慧吾を取られたくない。大好きな我が子がこの世で最も醜い怪物の手に落ちてしまうなど妹紅には我慢ならなかった。
永遠亭から日が暮れて人里に帰って来た慧吾は妹紅と慧音に詰め寄られた。人里中どこを探しても見つからずもしかしてどこかのメス豚にでも攫われて監禁させられてしまったのではないかと混乱している程だった。慧音に至っては錯乱状態にまでなりかけていたぐらいだったと案内役のてゐは語っていた。妹紅は怒れる拳を握りしめててゐに詰め寄るまでに至る程……事情を説明すれば慧音は安堵した様子だったが、妹紅は余計に拳に力が籠っていた。案の定、翌日永遠亭に乗り込んで来た妹紅は輝夜と喧嘩をして二人共ボロボロになったのだ。いつも以上に激しい喧嘩で慧吾を取り合う姿はまさに獣そのもので恐怖を覚えたと見届け人役をやらされたてゐは後悔した。そんな出来事もあって輝夜に近づかせないようにしているのだろうと永琳は推測していた。
「(妹紅あなたの気持ちもわかるけど、輝夜がこれ以上待ちきれなくなって人里へと向かうことになったらどうするのよ……まったく困ったものよね)」
静かにため息をついて早く慧吾がやってきてくれることを祈るばかりであった。
「……っで、もこたんは慧吾を姫様に取られたくないからこうやって道を外れて時間稼ぎしているウサ。まったく大人げないね」
「ぐぬっ!?だ、だって……あいつのクッッッソブサイクな面が慧吾に近づくんだぞ!あいつの汚物よりも醜い肌が慧吾に触れるんだぞ!慧吾が汚れちまうだろうが!それなら汚物の方がまだマシだっつうの!!」
「ボロクソだね、まぁ事実だからとやかく言うつもりはないけれど、私やもこたんからしたら確かにそうだね。でも慧吾からしたら嬉しいんじゃない?超不細工な姫様が超美人に見える……そうだったよね?」
「まぁ……そうだな。輝夜は美人……美人過ぎるぐらい素敵だな」
「うぐぐぐぐぐっ!!?キィイイイイイイイッ!!!ムッッッカツク!!!」
地団駄を踏んで頬をパンパンに膨らませる妹紅がいつものキリっとした彼女の姿と違って愛らしいと感じてしまう慧吾とてゐである。
「だ、だからって輝夜と慧吾が会う理由にはならない!だから帰ろう慧吾!!」
「もこたん諦め悪すぎるよ。慧吾が行くって言っているのに約束を邪魔しようとするなんて流石に酷すぎるよ。私でもそんなことしないのに……もこたん最低だよ?屑だよ?ゴミだよ?モンペの化け物だよ?」
「うぅ……だ、だって……ってそこまで言うことはないだろうが!?それにモンペは関係ないだろ!!?」
てゐの指摘は尤もだった。妹紅は輝夜のことを良くは思っていない……しかしそれを慧吾に強要するのは間違っている。本人も自覚しているが、それでも大切な慧吾のことを思うとどうしても納得いかない様子だ。それに妹紅は少なからず自分のことを見てくれなくなってしまうのではないかと恐怖していた。
「(クッッッソブサイクな輝夜が超美人に見えてしまう……慧吾も男だ。美人に目がいってしまうのは仕方ないことだ。仕方ないことなんだが輝夜だけは納得いかねぇ!もし輝夜にだけ目がいってしまって私と慧音のことを見てくれなくなったら……それは嫌だ!輝夜に取られて慧吾が私のことを忘れてしまったら……私は……!!)」
そんな思いがふっと頭に
「妹紅さん」
「……慧吾」
「妹紅さんが俺のことを大切に思っていることはわかっている。けれど輝夜とあの日に約束したんだ。その約束を破りたくはないし、俺では到底実感できないが今まで受け入れられなくて寂しい思いをしたと言っていた。人間一人で生きられない……だからあの日の出来事は運命だったんだ。輝夜と出会い、永琳さんやてゐ、鈴仙とも仲良くなれた。これも運命であり、あの人たちのことを知ることが出来たから妹紅さんのことも深く知ることができた。妹紅さんが不老不死で他人と違うからって理由で見放したりしないし、赤ん坊だった俺を拾ってくれたのが御袋と妹紅さんだったことを嬉しく思っている。当然感謝もしているぜ。この先この気持ちは変わったりしないさ。だって妹紅さんは俺のもう一人のお袋なんだから」
「………」
妹紅の両手をそっと優しく包み込むと慧吾の肌の温もりが伝わって来る。赤ん坊の頃から感じた温かさと変わらなかった。昔までは小さかった手が今では大きくなり妹紅の手を包み込める大きさまで成長していた。
「(……こいつもあれから随分と成長したよな。昔から世話のかからない子供で大人びていたが、今じゃ私の方が駄々をこねる子供みたいじゃんか……)」
身長も顔つきも体格も男らしく成長した慧吾見て思う。ついこの間まで小さかったと思っていた手がこんなにも大きくなっていた。そのことに安らぎを感じて駄々をこねていた自分が恥ずかしくなってしまった。
「……わるかった。これはお前の選んだことだもんな……私が大人げなかったよ」
「妹紅さん」
「けど!私も一緒にお前といるぞ。輝夜の野郎がお前に変なことしないか見張っているからな」
「もこたんは親バカだね」
「うっさい!!」
体が軽くなった妹紅は慧吾とてゐを引き連れて永遠亭へと歩み出した。
「……慧吾まだかしら……慧吾……慧吾ッ!?慧吾会いたかった!!!」
「んにゃろう!私の慧吾に近づくんじゃねぇブスが!!!」
永遠亭へと辿り着いてすぐに妹紅の鉄拳が輝夜の顔面へと吸い込まれた。
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「死ねぇ汚物野郎!!」
「あんたがくたばりなさいよモンペのブス太郎!!」
「黙れ顔面汚物製造機めがぁ!!」
「あんたなんか鼻くそまみれの顔でしょうが!!」
「フンコロガシの糞が喋ってんじゃねぇぞ!!」
「腐った牛乳で髪染めてるくせに!!」
「染めてねぇわバカ!!」
「あっ!
「てめぇ!内臓引きちぎってやって焚火に込めてやる!!」
「やれるもんならやってみなさい!あんたの臓物で顔面を飾り付けしてあげるわよ!!そうしたらその顔面がまだマシになるかもしれないわよ?あっ、時すでに遅かったわね。飾りつけしてもその顔じゃ無意味ですものね♪」
「てめぇに言われたくないわ!喋る度に口から雑菌生み出してんじゃねぇぞこらぁ!!」
「なによ!?あんたの口からは何日も吐きっぱなしの靴下の臭いがプンプンするわよ……あっ、口だけじゃなく体全身からだったわよね。気持ち悪いくらいにくっさ~いわよ♪」
「マジでぶっ殺して二度とその汚物製造機みたいな顔面と存在そのものを蘇らないよう湖に固めて沈めてやる!!!」
……喧嘩中の輝夜と妹紅さん……喧嘩ってレベルじゃ済まされねぇ。汚い罵倒合戦と物理の殴り合い……これが俗に言う殺し愛か?ってそんなわけないよな。痛々しくて見ていられない……二人は俺の知らないところでこんな殺伐としたことを繰り返していたのか?正気かよ!?
慧吾は二人の壮絶な争いをこの目で初めて拝んだ。感想は生きた感じがしないとだけしか言えない……女同士のキャットファイトレベルの争いなどではなかった。あれは戦争だったと慧吾は後にこう語っていた。そしてその光景を静観している永遠亭のメンバーにとってはいつもの事であるため気にも留めていなかった。
「こんにちは慧吾君」
「ど、どうも永琳さん……あの……あれ大丈夫なんですかね?」
「いつものことよ。気にしちゃ負けよ」
「は、はぁ……ですが……」
ドカッ!ベギッ!ボキッ!
鈍い音が耳に入って来る。人体から出て良い音ではない音が辺りに響く……
ヤバいって……永琳さん達は慣れていると思うが俺は普通の一般人だぞ。例え霊夢だってこんなことまでは……しないとは限らないな。霊夢の方がある意味恐ろしいもの……と、とにかく俺はこれ以上流石に見ていられない。不老不死だからと言って妹紅さんも輝夜も痛みはあるって言っていたし、傷つくのを黙って見過ごすことはできない。正義感とか決してそんなものじゃない……理由は単純、二人には傷ついてほしくないからだ。母親同然の妹紅さんと生まれながら不細工すぎると言う理不尽な理由で人生を送って来た輝夜……俺の目の前だけでも静かで平凡な生活を送ってほしいと思っている。二人は長い時間生きてきた。その過程で様々な迫害を受けたと思う……話では語られなかったこともあるはずだ。俺自身のエゴではあるがこの瞬間だけでも仲良くして楽しい一日を過ごしてほしい。人間は楽しみがないと不老不死でも生きているって言えないからな。
熾烈な醜い争いを止めるため勇気を振り絞って混沌の戦場へと足を踏み入れようとする。
「あっ!慧吾君近づいちゃ危ないわよ!?」
「巻き込まれるウサ!」
永琳とてゐが止めようとするが、慧吾は止まらない。
「大丈夫です。秘策がありますから」
どうやってこの二人を止めるべきか……慧吾には秘策があった。永琳とてゐの心配をよそに戦場へと足を踏み入れた。
「妹紅さん!輝夜!」
「け、けいご……?」
「えっと……ど、どうしたの?」
妹紅と輝夜の視線が慧吾に向く。殴り合って顔面から血が流れていたり、顔が腫れていてそれを見てしまうとどれほどの憎しみが籠った拳同士が交わったのかがよくわかる……それほどお互いに嫌い合っているわけだ。
これ以上は本当に見ていられない……俺の知っている妹紅さんの顔が今では別人に見えるし、輝夜の綺麗な顔も酷い有様だ。止めないといけない……幼少期からあの霊夢達と過ごして来たんだ。あいつらの扱い方も把握しているし、妹紅さんも輝夜も俺には甘い。ならばこの方法ならば喧嘩を止められる!
「妹紅さん、輝夜……そんな醜い争いを続けるならば俺は二人のことを軽蔑します。口を聞いてあげませんし、無視し続けますけど……それでもいいのですね?」
「――ッ!?け、けいご!?わ、わるかった!私がわるかったから機嫌直してくれ!」
「ごめんなさい慧吾、ついカッとなって……ぐすん……だ、だから私のこと……ひぐっ……無視しないで!!」
突き放す……これが最良の方法だった。溺愛する妹紅に至っては慧吾の機嫌を直そうと必死になり、輝夜は涙目で今にも泣きだしそうだ。霊夢達(主に霊夢と小鈴)を相手取るのにこの方法は効果的で大人しくさせるにはうってつけなのだ。これも長い付き合いで得た経験であり、妹紅と輝夜にも効果は抜群だった。
「慧吾やり手だね」
「そうね。飴と鞭とはよく言ったものよ」
てゐと永琳は慧吾の対応に感心するのであった。
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「ねぇ慧吾、お、おい……しい?」
「正直に美味しいとは言えないな」
「うぅ……そ、そう……そうよね……」
「けど頑張ったんだろ?美味しくしようとしてくれているのがわかる。それに食べられない味ではないんだ。俺の為に作ってくれたんだから最後まで食べるさ。輝夜の頑張りを無駄にしたくないし、俺が食べてあげたいからな」
「慧吾……!」
「かぁ~っぺ!!!」
「もこたん汚い」
うっせぃ!私の口の中はベタベタなんだよぉ!なんだよお前輝夜に甘い言葉をかけやがって!!べ、べつに私にも甘い言葉をかけてほしいとか……ぜんぜん羨ましいとかなんとも……思ってねぇし……くそったれのちくしょうめー!!!なんであんなにベタベタしやがるんだよ。ふざけるんなよ……後で輝夜マジ殺す!!!
愛する慧吾に愛情籠った手作り料理を食べてもらいたいと輝夜は披露した。それを食べる慧吾と輝夜は傍から見ればとても仲良く見える。輝夜に至ってはハートマークが周りに浮かんでいるのがわかるぐらいだ。それと引き換えに機嫌が最悪なもこたんこと妹紅は
「妹紅さん畳に
「わるい、だが私の
「もこたんもどっこいどっこいだけどね」
「あ"あ"!?てゐ、お前あの
「(うわぁ……これじゃただのチンピラウサ……)」
妹紅に絡まれる鈴仙とてゐは哀れなり。そしてそんなことも耳に入っていないのか慧吾と戯れる輝夜の姿を視界の隅に映ると青筋が立ってしまう。歯ぎしりをしながら完全に輝夜を睨みつけていた。
「慧吾君、この子何とかしてくれないかしら?我が家に損害がでたら賠償請求するわよ」
「すみません……妹紅さんの気持ちはわかるけど、永琳さん達の迷惑になることはしてはいけない。そんなこと俺は妹紅さんにしてほしくないし、妹紅さんならわかってくれるだろ?」
「うぅ……そうだけれど……なぁ慧吾……もう帰ろう?」
弱々しく懇願する妹紅。構ってくれない慧吾に寂しさが募り、大っ嫌いな輝夜に大切な慧吾を取られている。寂しさと悔しさが交わり気分は奈落の底……早く慧吾を連れて帰ってしまいたい様子で嘆いている。
「妹紅さん、永遠亭に来たばかりでしょう?」
「だって……だって……だってだって!輝夜のこと嫌いなんだもん!!!」
しまいにはジタバタと子供が駄々をこねるように畳の上でぐずり始めた。いつもの乱暴な言葉遣いも忘れて子供が我が儘を言っているようにしか聞こえてこない。
嫌なんだもん!輝夜が慧吾と仲良くするの嫌なんだもん!慧吾は私と慧音の子供なのに!!愛情注いだ慧吾を輝夜なんかに取られたくないもん!!!
もし心の声が聞こえていたら勘違いしそうであるが、妹紅は真面目に思っていた。愛する娘が嫌いな男と仲良くする親心そのもの……この場合は娘ではなく息子であるが。
「もこたん……子供だね」
「妹紅さんの意外な一面ですね……」
「慧吾帰ろ!かえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろかえろーよ!!!」
「妹紅さん……よしよし、大丈夫だぞー妹紅さんなら我慢できると信じているぞー」
「「「「(うわぁ……)」」」」
畳の上で暴れる妹紅は完全に大きな子供のようで、いつもの彼女ならば絶対に見せない姿をさらけ出して若干引いている永遠亭メンバー四人である。輝夜ですら今の妹紅に絡もうとは思わないぐらいなのだから。ぐずる妹紅をあやす慧吾を見ればどちらが親なのかわからなくなる光景だった。
その後もドタバタ劇が繰り広げられ次第に永遠亭での時間が過ぎていった……
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「この野郎!私達はもう帰るんだよ!汚物で着飾るブス姫様にはもう用はないんだよ!」
「はぁ!?あんたが何度慧吾と私の時間を邪魔したと思っているのよ!?いい加減にしなさいよ
「うっせぇ!!あっ、顔面にピンク色の芋虫ついてるぜ?」
「えっ?……ってこれは唇よ!!芋虫なんかじゃないわよ!!」
「そうだったのか~あまりにも気持ち悪いから見間違えたわ~♪」
「コロス!!」
「すみません……俺達はこれにてお
「大変ね慧吾君も……はいこれ、用意しておいたわよ」
「ありがとうございます永琳さん」
妹紅は復活した。我慢して我慢して……慧吾にあやされ……輝夜を邪魔して……また我慢した。そしてようやく待ちに待った時が来た。そろそろ帰らなければならない時間となった途端に行動に移して慧吾を連れていく。一刻も早く輝夜と慧吾の仲を裂こうというわけだ。当然輝夜と喧嘩になり今に至る。
妹紅と輝夜が残像が見える程の攻防戦を行っているわけだが、これにはもうみんな無視することを決めつけた。毎度関わっていたら身が持たないと実感したから。
「慧吾もお人好しウサね。もこたんに傷薬を買ってあげるなんてさ」
「永琳さんの傷薬はお墨付きだし、不老不死とは言えども痛みは感じるみたいだし、誰だって痛いのは嫌だからな」
「慧吾さんの忠告も聞かない妹紅さんにそんなの要ります?」
鈴仙が疑問に思う。慧吾の心境的には喧嘩をしてほしくなく、注意しても一時的に冷戦状態になるだけでしまいにはこうして小さなこと一つで争い合う。そんな妹紅に対して優しくする必要があるのかと。
「あれでも俺の大切な親なんだ。御袋は一人だけじゃない……妹紅さんも俺の家族。家族を見捨てるなんてことはしないさ」
「……慧吾、いつか背中から刺されるウサよ」
「慧吾さん……素敵です!」
「羨ましいわね、あなたみたいな優しい男の子が永遠亭に居てくれたらね……うちの子にならない?」
「残念ですが俺には俺の帰る家がありますから」
「残念ね。でも近いうちに帰る家が永遠亭になることを願っているわよ。もし良ければてゐとウドンゲもプラスで娶ってもらっても構わないわよ?」
「し、ししょう!!?」
永琳の冗談を信じてしまう鈴仙はウサ耳をぴょんと立てて顔を真っ赤にする。てゐは冗談だとわかってはいるものの、流石に意識したのか慧吾から視線を逸らす。ほんのりと頬が赤かった気がするが聞かないでおこう。
「俺はまだ結婚する気はないです。まだ自由に日常を堪能したいので……それではもう遅くなると今度は御袋が心配しますので」
慧吾は一礼し、迷いの竹林に向けて歩み出す。
「あっ!慧吾一人で勝手に行くな!私が案内しないと――『死ねぇ!!』ぐぎゃぁ!!?てめぇこの野郎やりやがったな!!!」
「よそ見した馬鹿がいけないんですー!」
「言わせておけばぁ!!」
「叩き潰してあげるわよ!!」
「はぁ……埒が明かないわね。てゐ、ウドンゲは慧吾君を人里まで案内してあげなさい。妹紅と輝夜は私が止めて来るわ」
「はーい」
「(慧吾さんと一緒に居られるなんて……師匠ありがとうございます!帰るまで何を話そうかな……♪)」
こんなハチャメチャな出来事も日常の一つとなっていく。慧吾と出会えたことでまた一つ、光が差し込む家庭が生まれた。彼に次はどんな出会いが待ち受けているのだろうか?