作者の願望はともかく……
それでは……
本編どうぞ!
「ねぇ……どうして?どうして昨日会いに来てくれなかったの?私一日中待っていたのに……」
顔は整っており、スベスベした肌と綺麗な黒髪に巫女装束を身に纏う少女が虚ろな瞳で一人の青年を見つめていた。しかしその少女の口から語られる言葉に重くのしかかるような威圧感……そして手には鋭く尖った刃物が握りしめられていた。
「落ち着け、毎日来れるわけないだろ。昨日は御袋の手伝いをしていたんだ」
「ウソ!慧吾は誰にでも優しいからいつも狙われている……どこの誰かもわからないメスブタが慧吾を狙っている!慧吾を守らないといけない慧吾は誰にも渡さない慧吾にもしものことがあったら私も一緒に死ぬ!!」
少女の瞳は虚ろから血走った瞳に変わり見開いた。しかし青年の方は身動き一つもせずただ立ち尽くしている。
「慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾がいない世界なんていらない慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾につく害虫は私が駆除しないと慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾どこにも行っちゃいや慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾と私の関係を邪魔する者は許さない慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾がスキスキスキスキスキスキ慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾慧吾!!!」
呪詛のように青年の名を繰り返す放つ姿は壊れた人形のようで不気味であった。しかし青年はものともせずに巫女服の少女に近寄った。そして優しく少女を抱きしめる。
「あっ」
「また発作かよ。少し落ち着け……落ち着くまで俺の胸にいればいいからな霊夢」
「……うん♪」
慧吾と霊夢……それが男女の名であり、少女をこんなにしてしまったのは彼に原因があった……
そして時はまた遡る……
『お前の名前は今日から
俺は慧音と家族となった時に、
そんな俺はこの前までは赤ん坊をしていたんだ。驚きだろう?そして今では5歳になり、この世界【幻想郷】という場所らしいところで新しい人生を送っている。信じられないことにこの世界には妖怪や神様が住んでいるらしいのだ。まるでファンタジー小説の中にでも来てしまったようだった。ちなみに慧音……今では御袋と呼んでいるし、友人である妹紅さんもよく訪ねて来て遊んでくれる。二人共俺を溺愛してくれている。まあ、無理はないと思う……御袋なんて子供……しかも我が子なんて一生授かることなどできないと諦めていたようだからな。しかし、何故御袋のような美人が諦める程なのか……これにはこの世界独特の世界観があった。
一般的に美しい人と言うのは、顔に吹き出物ができ、肌が荒れていてスタイルもだらりとしている人物のことを示す。それに対して不細工な人と言うのが、顔が整っており、肌がすべすべしてスタイルもすらりとしている人物のことを示すのだ。つまり何が言いたいかと言うと……美醜逆転のあべこべ世界なのであった。しかもそれに当てはまるのは女性のみという……なんとも可哀想なことだ。不細工だけが損をする世界……俺がいた世界ならば御袋も妹紅さんもモテモテだったに違いない。
美人が不細工、不細工が美人という一風変わった世界で生活している俺だが、俺には美人は美人としてちゃんと映っている。初めは何もわからないからどうなっていると困惑したが慣れてしまった。ちなみにだが、美醜逆転しているからその感覚に合わせて生きようと思っていない。俺は俺の生き方をするし、自分自身を偽って生きたくはないからな。折角第二の人生を歩んで行くんだから悔いなど残したくはないんだ。
この世界は男が女よりも数が少ないらしい。比率としては3:7と言ったところだそうだ。それ故に結婚して子供を授かれる女性などは3割程しかいないと言う事だ。女は男に気に入られようと必死らしいが、不細工と見られている御袋や妹紅さん何かは希望がないようだ。御袋は寺子屋の教師だから少々男性と話すことはあるようだが、それは教育者として向き合っているだけであって御袋自身を見ていない……腹が立つぜ。だが、この世界では俺がイレギュラー扱いだから少々のことは我慢する。こう見えても御袋のことは大事に思っている。俺を育ててくれて愛情を注いでくれる
おっと言い忘れていたことがある。俺自身のことだ。生まれ変わって5年も経って俺は何をしていたのか……
初めの方は生活になれるために赤ん坊の頃から勉強した。勉強と言っても読み書きなんてできないから人との会話をじっくりと聞いて居た。わからないところは俺が言葉を少し喋れるようになった時に聞いてみたこともあったな。初めて俺が言葉を発した時なんか御袋が泣いて喜んだっけ……そして俺は赤ん坊を卒業し、家にあった書物をあさって御袋に色々と教えてもらい様々な知識を身に付けた。こう見えても同学年の中では頭がいいとされているからな。中身がバイトしていた大学生だから余裕なんだけどな。
そして次は俺自身の容姿についてだ。女は美醜逆転しているが男はそうでない。イケメン顔の男ならばその男はイケメンになるのだ。そして俺の顔面レベルは上位に入るらしいのだ。つまりイケメンだ。俺としては普通よりもいいぐらいだと思っていたのだが、どうやらイケメンに見える基準が低いようで普通顔の男もイケメンなると言うわけだ。男にとってはいい条件だな。
元々男が少ないので近づいて来る女性が多い……ただ近づいて来るのが不細工な連中ばかりだ。別に顔で判断するわけでもないが、性格が悪い連中が多いのだ。全員がそうであるわけではないのだが、自分が一番可愛いと思っているらしく他人を見下すのは良くない……のでそんな連中とは適当にあしらって逃げ去ることが多いので、友達と呼べる相手はそういないのだ。別に寂しくも何ともない。友達と言うのは喧嘩してもお互いに思いやりの心を持ったもの同士がなれるものなのだから、顔で判断して近づいて来るのは好ましくないんだ。なので、友達はいない。そのことを御袋に心配されることがあるがこれでいいと思う。俺にもいつかは友達ができる……はずだからな。心から信頼できる友達が……
「……と、こんなもんか」
色々と語ったが時間になった。御袋が寺子屋で授業をしている間は家で自主勉強の日々を送っている。俺ももうそろそろ寺子屋に通い出す日が近い、それに俺は御袋の息子であるため勉強が出来なければ御袋の顔に泥を塗ることになる。それはさせないさ、これからも育ててもらう恩を仇で返すことは俺が許さんからな。
話がずれた。今日は買い物を頼まれていたんだ。俺は同年代よりも頭がいいし、何より一人でも何かと対応できる。それに男である俺が買い物に行くと高確率でサービスしてくれるところがこれがまたラッキーだ。少しでも生活費を軽くするためにも俺が買い物をする必要があるのだ。だからいってきますー!
慧吾は戸締りを確認すると買い物かご片手に歩き出す。
「ねぇ、今日は博麗の巫女様が人里を訪れているらしいわよ」
「いやねぇ、あの巫女様が?」
「しかも娘と一緒だったらしいわよ」
慧吾が買い物していると耳に入ってくる女達のひそひそ話……慧吾に聞かれている時点でひそひそ話ではなくなっているのだが、気にせずに買い物を続ける。
博麗巫女……確かこの世界を守る立場にいる存在で時には妖怪を退治する凄い人物と御袋から教えてもらった。
人でありながらも妖怪を退治し、幻想郷の平和を守っている巫女様であると教わった。ちなみに御袋は半分が妖怪なのだが、後天的なもので元は人だった。だけど、人を愛することに変わりはない。御袋は巫女様のことを尊敬しているようだ。里の人々も巫女様に守られて平和に生活していけているというのに……
「訪れられた店は可哀想よね。客が寄り付かなくなっちゃうわ」
「出来れば来ないで欲しいわね」
「神社にこもっていてもらえないかしら」
守られているのに酷い言われようだ。自分達が守られていることを忘れているのだろうか……全員が巫女様を蔑ろにしているわけではないが、こう言った話を耳にすることがある……人は見た目で決まるものではないのに、その人のことを何も知らずに語るのは止してほしい……巫女様に会ったことのない俺が言うのも間違いなのだがそう思わずにはいられない。
慧吾はそんな思いを心の内に秘めながらサービスしてもらった野菜を買い物かごに入れその場を後にする。
「やい!ブサ巫女のくせに!」
「ん?」
帰り道の途中に耳に届いた声……声からして子供のようだった。しかしその声は罵倒の言葉を放っていた。
その声の元が気になった慧吾は帰り道から足を外し、寄り道することにした。
この選択が一人の少女と出会うきっかけとなる……
「何ぶつかって来てんだよ!」
少女は壁に追いやられて三人に文句を言われていた。その少女は人里の人間であるならば誰もが知っているであろう博麗の巫女の娘。博麗の巫女は代々幻想郷の守護者であり、妖怪の賢者によって選ばれる。しかし何を思ってか選ばれる者は外見が不細工な者ばかり、博麗の巫女が住む博麗神社に好んで寄り付こうとする人里の人間はそういない。そしてこの少女も将来が決まっていた。少女も将来博麗の巫女になるのである。
少女の名は博麗霊夢と言う。霊夢は
霊夢は少年の顔を見てドキリとするが、投げかけられたのは罵倒だった。
霊夢は不細工だ。幼い少女ながらもその顔は整って両目はパッチリとして肌には吹き出物などないし、肌は透き通ったようであった。不細工には厳しい世の中で生まれてしまった霊夢は幼いながらも知っている……将来は今よりも不細工に育って周りから吐き気を催す醜悪さを兼ね備えた巫女と蔑まれ生きていくということを。
母親に育てられ、まだ短い人生ながらも数々の悪口に耐えてきた。母親はもっと酷い事を言われたに違いない。霊夢の母親である博麗の巫女もまた醜い容姿をしていたのだから。でも一度も母親を憎んだことなどない……自分を育て守ってくれた愛情を注いでくれる母親が霊夢は大好きだったのだから。しかしその母親も今この場にはいない……
「この子あの博麗の巫女の子よ」
「うぇ、どうりでこんなにブスなのね。親に似て酷い顔」
「ブスの子供ならブスなのは当たり前だな」
心無い言葉をぶつける。霊夢だけでなくこの場にはいない母親に対しても酷い言いようである。それを聞いた霊夢はムッと表情を強張らせる。
大好きな母親を悪く言われて良い思いをする子はいない。霊夢もそうであった。不細工なのは本当のこと、例えそれが本当の事でも霊夢は納得できない。大好きな母親は身を削って幻想郷を人里に生きる命を守っていると言うのに報われない。霊夢は自分のことは良くても母親を貶されることだけは嫌だった。
「謝れよ!そっちからぶつかって来たんだろが!」
「そうよそうよ!謝んなさい!」
「何か言ったらどうなのよブス!」
だから謝りたくなかった。霊夢は頑なに口を閉ざして罵倒されても唇を噛みしめて耐える。謝ってやるもんかと自分自身を我慢させた。
「このブス!」
パチンと音がする。
頬が赤くなっていた。少年が霊夢の顔を叩いたのだ。痛みが脳に伝わり意思が挫けそうになりかける。だが、霊夢はそれでも痛みを我慢する。顔の痛みよりも母親が貶されることの方が悔しいからだった。
これでも頑なに謝ろうとしない霊夢を見て少年はもう一度手を振りかざす……
「おいくそガキども」
不意に声がした。その声は怒りを孕んだような声で思わず少年の手が止まり全員がそちらを振り向いた。
「女の子に手を上げるとは……いい度胸じゃねぇかよ」
一人の少年が買い物かごを片手に佇んでいた。
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買い物かごを片手に佇む一人の少年が現れた。霊夢と同じくらいの年齢だと思われる。少し霊夢より背が高く顔はイケメンの少年だ。きっと人里では女子に人気者なんだろうと霊夢は思う。
「(……だれ?)」
知り合いなど霊夢にはほとんどいない。少年は霊夢が初めて見る顔だった。
「なんだよお前は?」
「俺か?上白沢慧吾だ」
少年はそう名乗った。上白沢……霊夢はどこかで聞いたことのある名だと思ったが思い出せなかった。
「慧音先生のところの子だあの子は!」
「か、かっこいい子ね……!」
女子二人は自分よりも年下の慧吾に夢中になっていた。傍にいた少年よりも幼いながらもそのキリっとした女性を魅了するには十分整った容姿に目がいってしまう。だが、霊夢は始めはそう思わなかった。顔が良くてもたった今、男性である少年に母親を悪く言われて手を出された後だったために同じ男児を疑うのは無理もないこと。しかし何のためにこの少年は自分の前に現れたのだろうと疑問に思う。
「先生の子?それが何の用なんだ?」
「ああ、ちょいと様子を見ていたんだが……女の子に手を上げるとは男として惨めじゃないか?あ"あ"?」
幼い姿ながら大人びた話し方と雰囲気を醸し出していた。慧吾と名乗る少年はギロリと睨みを効かせるとビクリと少年は肩をビクつかせた。
「な、なんだよ……こいつの方からぶつかって来たんだからこいつが悪いんだ!謝ろうとしないし……悪いのはこいつだ!!」
霊夢を指さして少年は説明する。傍に居る女子二人も首を縦に振る。
「ほーん……けれど、親御さんを悪く言うのとこの子を
「えっ?」
霊夢は驚いた。霊夢を
「(どうして……母ちゃんのことを……)」
霊夢は不思議に思いながらもこの様子を眺めている。その視線に気づいたのか霊夢に視線を送り慧吾は語る。
「御袋から聞いたが、巫女様とその子は血の繋がっていない親子らしいな。それでも親子愛は本物だろう……俺も御袋とは血が繋がっていないがそれでも大切に育てられた。育ててくれた親のことを悪く言った相手に謝る気なんて起こらねぇだろうが。お前達も親を悪く言われたら嫌だろ?」
「「「……」」」
少年少女は俯き黙り込む。誰だって親を悪く言われたら嫌に決まっている……諭された少年少女は何も言い返せずに黙り込むしかなかったのだ。
「おい、黙り込んでんじゃないぞ。悪いと感じたら謝るってのが常識だ。御袋から教わらなかったのか?」
「お、おそわった……悪い事をしたら謝るって……」
「なら……後はわかるな?」
少年少女は霊夢に向き直り……
「「「ごめんなさい」」」
頭を下げて謝った。
「親のこと悪く言って悪かったよ……それと……叩いてごめん……なさい……」
「……ううん、ぶつかっておいて謝らなかったわたしもわるいから……」
霊夢は自然と口にしていた。先ほどまで頑なに閉ざしていた口が謝罪の言葉を言っていた。
その時の霊夢は気持ちが軽くなった気がした……
少年少女は謝りその場を去って行った。見送る慧吾と霊夢……霊夢は気になっていた。その疑問を今ぶつけるしかないと幼いながらも覚悟した。
「……どうしてたすけてくれたの?」
霊夢には疑問だったのだ。不細工である自分を助けてくれる……それも男である慧吾に聞かなければならない程に。
「助けるのに理由が必要か?」
返って来たのは何気ない一言だった。慧吾にとっては人を助けるのに理由が居るなど思わない……そこに困っている人がいるから助けただけだった。
「まぁ、御袋は寺子屋の教師だから俺もその影響を受けたのかもしれねぇ。間違ったことを叱ってやるのも教師……いや、人としての当たり前の務めだからな」
「……そう(こういう人ばかりだったらいいのに……そしたら母さんも……)」
霊夢は空を眺めている慧吾が眩しく見えた。人里の人が皆、慧吾のように優しい人物であれば母親も陰で悪口など言われることなどなくなると思ったのだ。
人里に来て、霊夢の耳に飛び込んできたのは母親を陰で馬鹿にする言葉だった。顔が汚いや汚らしい肌を晒すなとか本人に直接聞こえないような陰口だった。霊夢はそんな人里が嫌いになりそうだった。そんな言葉を聞くのが嫌で、耳を塞ぎたくなった。そして母親を探していた時に今回のことが起きた。霊夢は一人では心細かったし、また陰口を聞けば我慢できずに喧嘩を売ってしまうかもしれない……そうなればまた問題が起きてしまうかもしれなかった。人里の皆が悪いわけではないが、幼い霊夢にはそう見えてしまっていた。
「おい、名前は何て言うんだ?」
「えっ?」
「お前の名前だよ?巫女様の娘って名前じゃないだろ?」
「……博麗……霊夢」
「博麗霊夢か、いい名前だな」
褒めてくれた。霊夢を褒めてくれるのは母親とたまに来る妖怪の賢者とその式ぐらいだった。男にしかも自分と歳が変わらない相手に褒められたことなどなかった霊夢は体温が熱くなり顔が薄っすらと赤色に染まる。
「あ、ありがとう……」
霊夢はお礼を言うだけで精一杯だった。一生懸命に出したつもりでも声がとても小さくなっていた。そんな霊夢の変化もいざ知らずに慧吾は自然と言葉を口にする。
「それじゃ、探すか。霊夢の親御さんを」
「(いっしょにさがしてくれるの……どうしてそこまでしてくれるの?)」
霊夢にまた疑問が生まれた。一度助けてくれただけでなく、母親を探してくれると言うのだ。しかも博麗の巫女は吐き気を催すほどの不細工だ。霊夢だけでなくその母親もそうだ……慧吾もそのことは知っているはず。
「なんで……いっしょにさがしてくれるの?わたしも……母ちゃんも……ブサイク……だよ?」
言いたくない事実を口にする。不細工であっても大事な母親……でも聞かなければいけなかった。霊夢にとっては慧吾の行動が理解できないでいたからだ。そして慧吾から返って来たのは予想もしていないものだった。
「どこが不細工だ。霊夢はかわいいじゃねぇか」
「うええっ!?」
「俺には霊夢は不細工なんて思わないさ。綺麗な髪だし、瞳もパッチリしている。ハッキリ言って霊夢は俺にとってかわいい女の子さ」
「か、かわいい……」
「ああそうさ。それに霊夢を育てた巫女様もきっと美しい人なんだろうな。霊夢を見てたらわかるからな」
「(母ちゃんもほめてくれるんだ……)」
今度はハッキリと言われてしまった。霊夢は慧吾の顔を直視できずに目を逸らしてもじもじしてしまう。そして嬉しかった。自分の母親も褒めてくれる人なんて今までいなかったのだから……そんな時に霊夢の背後から近づいて来る一人の大人の女性の姿に気がついた。
「霊夢!」
霊夢がその声に振り返るとそこには巫女装束に身に纏った女性がいた。この人こそ現在の博麗の巫女であり、霊夢の母親である博麗霊香であった。女性らしい長い髪に霊夢と同じく赤と白の巫女装束を膨らませる程の果実が二つ付いていた。男の視線を釘付けにしてしまう程の大きさを誇る果実だが、この世界では醜悪の塊にしかならないのがとても勿体ない。
「母ちゃん!」
霊夢は母親の姿を見るなり胸に飛び込んだ。
「一体どこに行っていたんだ!心配したじゃないか!」
「ごめんなさい……」
「もう……離れちゃだめだとあれほど……!」
霊夢の頬が赤くなっていることに気がついた霊香の視線が動き慧吾を見つけた。霊香の瞳が鋭く慧吾を睨みつけた。慧吾の体がビクリと反応する。慧吾の額から汗が流れ体中が危険だとアラームを鳴らしていた。ただ睨まれているだけなのにここまで体が反応してしまうのは伊達に妖怪を退治して来たわけではないことが窺える。蛇に睨まれた蛙のように動けなくなってしまった慧吾を助けるかのように、胸に抱かれた霊夢が庇うように慧吾の前に出た。
「母ちゃん!慧吾じゃない!慧吾はわたしをまもってくれたの!!」
霊夢は母親の霊香に説明した。そうすると霊香から謝罪の言葉が慧吾に送られた。睨まれた視線も今は柔らかくなり申し訳なさそうな顔をしていた。緊張感から解放された慧吾は九死に一生を得た気分でいた。何度も謝る霊香に対して腰が引けつつも大丈夫だと伝える。そして、霊夢の母親も見つかったことで慧吾のやるべきことは何もなくなった。後は家に帰るだけとなった。
「それじゃ、俺はこれで」
そう言ってこの場を離れようとする慧吾の姿が遠く感じる者がいた。
「……」
霊夢だった。霊夢はもう慧吾と会えなくなるんじゃないかと思っていた。霊夢は自分から人里にはあまり行こうとしないだろう……慧吾は人里に住んでいる。会いたいけれど人里が嫌いな霊夢にとっては難しい問題だった。
寂しそうに慧吾を見送ろうとする霊夢……距離が離れていくにつれて寂しさが増していく。小さな手が巫女装束を握りしめる……霊香も霊夢の変化に気づいたのか何も言わずに後ろから優しく抱きしめた。そんな時に慧吾の足が急に止まり振り返る。
「あっ、そうだ巫女様」
「なんだ?」
「今度博麗神社に遊びに行ってもいいですか?」
予想外のことを慧吾が口にした。
「えっ?あ、ああ……構わないぞ」
霊香はただ返答を返すことしかできなかった。不細工が住まう博麗神社に好んでくる人物など限られていた……それなのに目の前の少年は嫌な顔せずに遊びに行くと言ったのだから。
「霊夢にも会いに行っていいか?」
慧吾は問いかけた。慧吾にとってはただの了承を得るつもりで言っただけだったが、霊夢にとっては嬉しい言葉だった。自分に会いに来てくれる相手なんて今までいなかったのだから……
「うん!」
彼女の笑みは太陽に照らされたように輝いていた。
追記
ヤンデレ文章をフォントを変えてみました。病み具合が増したでしょうか心配です……
読みにくいとの指摘があったので少々変えてみました。