それでは……
本編どうぞ!
「えぇえええええええええええええええええええええええ!!?」
「ちょっとうるさい!」
「シャ、シャンハーイ!」
「す、すみませんでした……」
大声を上げたのは妖夢だ。アリスと上海に怒られてシュンとしているが何があったのかと言うと……
アリスの想像であるが、妖夢が人里で起こした辻斬り騒動これによっておそらくだが霊夢や魔理沙が動いていること、それに男性を狙った白昼堂々と騒動を起こしたことによって主である幽々子に迷惑がかかることなど普通に考えればすぐわかることを伝えただけだが、妖夢はそのことを考えてもいなかった……いや、考えられなかった。自分でもよくわからない感情に踊らされ祖父の教えに従い、突き進んだ結果であった。アリスの想像だがおそらく正解だろう……その結果に驚愕を悲鳴を上げたのであった。
「ど、どうすればいいのでしょうかアリスさん!?」
「私に聞かれてもあなたが勝手にやってしまったことでしょ?」
「そ、それはそうですけど……私はこのフワフワしたよくわからない感情の正体を知りたかったのです!」
「わからないから相手を斬ろうとするあなたの頭の中を知りたいわよ……」
後先を考えずに行動した結果がこれとは……アリスから疲れが混じるため息が出る。
「とりあえず彼が誰なのかわからないから私は一度人里へ出向くわ。それにあなたが起こした騒動で人里がどうなっているかも見に行かないといけないから。ここで大人しくしていなさい」
「あっ、はい……お願いします」
「彼を襲ったらダメだからね」
「……先っぽだけ斬るのはいけませんか?」
「怒るわよ妖夢」
「……すみません……」
「はぁ……上海、妖夢を監視しておいてね」
「シャンハーイ!」
念入りに妖夢に注意を促し、もし誰かが訪れても隠れておくように釘を刺しておいた。上海が居るにしても妖夢を家に残して置くことに不安は消えないが、人里の様子も気になる……嫌な予感がするのだ。
アリスの予感が的中しているとわかるのは人里へ出向いてからだ……
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「な、なによ……これが……人里……なの……?!」
はた迷惑な妖夢の辻斬り騒動に巻き込まれてしまったアリスは人里へとやってきた……はずだった。今の時間帯ならば人々が買い物や談笑を楽しんで子供達が遊びまわっているはずなのにその様子は全くない。自分の醜い容姿を陰でコソコソと嘲笑う声が聞こえて来てほしいと普段のアリスならば思うことはないことを思った程に……誰もいないのだ。人っ子一人姿が見えず、辺りは無音に支配されていた。アリスの錯覚か、太陽がまだ昇っているのに彼女の視界には人里全体に影が差し込んでいるように見えていた。
……一体なにがあったの?誰もいないだなんて……まるでゴーストタウンみたい……
ゴーストタウンとは住民に見捨てられ廃墟またはそれに近い状態となった町のことを示す。ここでは里だがそれと同じ雰囲気を感じさせていた。見慣れているはずの人里のはずなのに今はとても不気味だ。
「と、とりあえず誰でもいいから見つけないと……それにしても明るいのに不気味ね……」
人里へと足を踏み入れる。アリスの足音が辺りに響くだけ……自然と周りに注意を向けてしまい、いつもは安全な人里のはずが警戒心を抱いてしまう。
しばらく人里を歩いたが一つわかったことがある。ゴーストタウンのように住民が人里から離れた訳ではなく、みんな家の中へと隠れて身を潜めているようだ。家の中から気配を感じられ、住民がいなくなってはいないことが一先ず安心した。だが何がこの状況を作り出したのか?
妖夢がここで辻斬り騒動を起こしたことで自身の危険にみんな怯えているとか?でも何かがおかしいわね……私の予感が告げている。もっと何か妖夢よりも恐ろしいことがあるんじゃないか。それにみんな怯えている……そんな気がするわ。
アリスが人里のど真ん中で考え事をしていた時だった。
――ッ!?何かがこちらに向かって来ている!?
気配を感じた方向へと視線を向けた……そこには見知った顔があった。
「……慧音と妹紅?」
こちらにゆっくりと近づいて来る俯いた慧音と妹紅の姿があった。しかし様子が変だ……妹紅の背後にはゆらゆらと燃える炎が見え隠れしており、慧音に至っては満月の夜でもないのにハクタク化しており、半妖である彼女の頭には二本の角が生えていた。二人がアリスに徐々に近づくにつれ警戒心が跳ね上がる……明らかに状況的に異常で様子がおかしいかったからだ。しかしそれだけではなかった……更なる気配がアリスの背後から近づいて来る。ハッとして恐る恐る背後を確認するとそこには……!
魔理沙!?それに咲夜と小鈴?慧音や妹紅と同じく様子がおかしいわね……一体どうなっているの!?
友人の魔理沙だけでなくそこには紅魔館のメイドである咲夜と鈴奈庵の娘の小鈴が近づいてきていた。慧音や妹紅と同じく俯いた状態でゆっくりとアリスを目指してくる……前方と後方から自分の元へと近づく怪しい友人たちに危機感を覚える。危機感を覚えた頭脳がここから逃げだしたいと思ったが足が言うことを聞いてくれなかった。
なんなの……このプレッシャーは!?それにどうして足が動かな……えっ?
アリスはその時気づく……この不気味な状況に怖気づいて体が動かなくなった訳ではなかった。足にお札がいつの間にか貼り付けられており、そのお札の効力で動きを封じられていたのだと。そしてそのお札は何度も見たことがあった……
これは……霊夢のお札!!?
霊夢の使うお札であったのだ。そして気づいてしまった……自分の足に視線を向けていたアリスはすぐ隣に誰かいることに……それもいつの間にか気づかぬ内にである。つい先ほどまでいなかったはずの紅白色の服が視界へと入る。それが巫女装束であることを頭で理解し、それを着ている人物が隣に居ることを理解した。だが同時に血の気が引く……とても冷たく体中に流れる血をことごとく凍らせるような視線がその人物から発せられており、自分を見ていることも理解してしまう。
そして……
「………………ねぇ………………アリス………………」
耳元で囁かれた声は重く低く、聞いた者の魂を奪い取ってしまいそうな冷たい声が自分の名前を呼んだ。
「……な……なに……かしら……」
「………………………………………………霊夢っ!?」
感情の無い瞳を向ける霊夢がアリスを見つめていた……その瞳を見てしまったアリスは自分の予感が的中したことを改めて理解すると同時にこの状況を作り出していたのはここに居る霊夢を含むメンバーのせいであるとわかってしまった。目の前の巫女が見た者の心を恐怖に染め上げ、その声は冷たく魂を狩り取ってしまう死神に見えた。そして自分が霊夢達に囲まれているこの状況がどんなに危険な状況であるかも瞬時に理解してしまった。
これ……ほ、ほんとうに……霊夢なの……?!別人なんじゃ……けど何故か霊夢本人だと理解してしまう!ここにいる全員は本物だとわかってしまう!だからこそなんでみんな……こんなに恐ろしいのよ!!?
どうして霊夢達が恐ろしい雰囲気を漂わせているのかまではわからない。だから余計にアリスは恐怖を感じてしまう。
「……よぉ……アリス……ここに何の用だよ……?」
俯いていた魔理沙が顔を上げるとアリスはギョッとした。瞳に涙を浮かべて今にも泣きだしてしまいそうな震える声の友人の顔があったからだ。
「魔理沙!?ど、どうしたの……?みんなも……ちょっと様子が……お、おかしいわよ?」
「……ねぇアリス……妖夢は……見てない……?」
霊夢の言葉によって妖夢の辻斬り騒動が彼女達をこんなにしたのだ……しかし辻斬り騒動で彼女達がこんな状態に追い込まれてしまうものなのか?だがアリスの賢い脳が思い出していた。魔理沙がアリスの家に遊びに来た時のことである……
魔理沙には好きな異性がいるようだった。本人は隠しているようだが、アリスからはバレバレであった。不細工として生まれたアリスは「恋するのは勝手だけど、恋が叶うのは絶望的ね」と同じく醜い容姿の友人を見つめ、心の底でそんなことを思いながら
彼は魔理沙が言っていた異性の人であったならば……この状況を説明できる!どういう関係かまではわからないけれど好意を寄せる相手に危機が迫っているとしたら……私だってジッとしていられない。妖夢ったらとんでもないことをしてくれたわね!!
アリスはこの状況を作り出す原因となった妖夢を恨んだ。何故自分がこんな恐ろしい体験をしなければいけないのか……そんなアリスの心情など知らない霊夢達は妖夢の居場所を聞き出そうとする。
「アリス、慧吾様のことを見ていないの?知っているならば早く言って……さもないと!」
片手にナイフを握りしめ瞳から血涙を流す咲夜……
「その辻斬り野郎をとっとと出しやがれ!そんでそいつの股を真っ二つにしてヒィヒィ(怖い意味で)言わせてやるからよぉおおお!!」
青筋だらけの顔で充血した瞳で眼を飛ばしてくる小鈴……
「慧吾は……
涙と鼻水を流して顔をぐしゃぐしゃにする妹紅……
「頼む!私の大切な息子を奪わないでくれぇ!!代わりに私の命を差し出すからぁああ!!!」
肩を揺すって必死の形相で懇願する慧音……
「アリス……友達だろ?妖夢の奴がどこに行ったか教えてくれよぉ……!」
弱々しく簡単に壊れてしまいそうな姿を見せる魔理沙……
「妖夢はどこなの?少し妖夢に用があるだけだから……そうだわ、半分死んでいるんだからもう半分死んでも問題ないわよねぇ……それでねアリス……妖夢はどこなのよ?ねぇったら……どこどこどこどこどこどこどこどこどこどこどこどこどこどこどこどこどこどこどこどこどこどこどこどこ私の慧吾を襲ったあいつはコロスどこどこどこどこどこどこどこどこどこどこどこどこどこどこどこどこどこどこどこどこどこどこどこどこ早く言いなさいどこどこどこどこどこどこどこどこどこどこどこどこどこどこどこどこどこどこどこどこどこどこどこどこどこ妖夢を知らないかしらアリス……嘘をついたらどうなるかわかるわよねぇ?」
血の通っていない光を失った虚ろな瞳を向けて呪詛を吐き続ける霊夢……
「………………………………………………」
人里を恐怖で包み込んだ者達に囲まれて逃げ出すこともできない……
ど、どうすればいいのよぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!?
アリスはこの状況をどう切り抜けるのであろうか……神にだってこればかりはわからない……
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「………………………………………………」
「シャ、シャンハーイ?」
「………………………………………………」
「シャンハイ?」
「………………………………………………」
「……シャンハイ!!」
「えぅ!?な、なにか?」
「シャン、シャシャン、シャンハーイ!!」
妖夢はアリスが出て行ってからボウッとベットで寝ている青年を見つめていた。アリスに注意され刀を握りしめる腕が疼いて我慢するしかなかったが、青年を見つめていると何故か次第に疼いていた腕が静まっていった。理由はわからない……先ほどまでに斬らないといけないと思っていた気持ちがどこかに飛んでいたようなのだ。しばらくボケっとしていたら隣にいた上海に呼びかけられて現実へと引き戻されていた。
「シャンハイ!シャンハイハイ!!」
「心配してくれているの?ありがとうね」
「シャンハーイ♪」
アリスの人形である上海が妖夢に何かを言っているようだ。おそらくだが妖夢がボケっとしていることに心配しているようである。人形の言葉はわからないが、仕草と表情を見ていれば自分を心配してくれていることぐらいは予想できた。上海にお礼のつもりで頭を撫でてあげると照れているようであった。
顔は可愛くない人形だけど仕草は可愛らしいですね。私も可愛ければ男性とお話でもできたのに……そう言えばこの人は私とぶつかっても嫌な顔一つせずに饅頭を拾おうとしてくれて……
青年へと視線を向ける。スヤスヤと夢の中に旅立っている青年の寝顔を堪能できる妖夢は幸せ者だ。
「………………………………………………」
何故この青年は不細工であるはずの自分と面と向かって言葉を交わしてくれたのだろうか?疑問が浮かぶと同時にあの時の言葉が妖夢の脳内に蘇る。
『「悪い!大丈夫か!?」』
『「俺もボケっとしていて……本当に悪かった。拾うの手伝うよ」』
『「いいさ、俺の不注意でもあるんだ。それに女の子にぶつかっておいてその場を離れるなんてことはできないからさ」』
『「俺は女性ではないぞ?それよりもこの饅頭拾おうぜ」』
『「こんな量一人で……傍にいるのはなんだ?まぁいいや、大丈夫なのか?」』
人里でぶつかっても罵倒も舌打ちもされずに青年は優しい言葉をかけてくれた。それに一緒に饅頭を拾おうともしてくれた。妖夢は男性を信用してはいなかったし、不細工には当然男性なんて優しくしてくれないものとばかり思っていたのだ。しかし青年は違った。
どうして私なんかに優しい声をかけてくれた?嫌な顔一つせずに別れ際まで心配してくれたのですか?私はあなたを見ていると斬りたくなってしまう……いえ、正確にはこのフワフワする気持ちを知りたいが為に斬りたくなる……おじいちゃんが言っていた『斬ればわかる』教えの通りにあなたを斬ればわかるはずなのです!
妖夢の心は教えに従い上海にも認識できない程の早い動作で青年を斬る意思を表した時だった。
「……うぅ……ん……?」
「――ッ!?」
妖夢の動作が急に止まる。青年が目を覚ましたからだ。まだ目覚めたばかりで意識が朦朧としているようだが心配はなさそうだ。
「シャンハーイ!」
「んぁ……人形?ここは…………………………あっ」
青年と妖夢の目があった。刀を鞘から抜こうとしている状態で固まっている妖夢とだ……青年の意識が鮮明になっていくのを見ていてわかる。明らかに命の危機を実感しているようで顔が真っ青になっていた。その様子を傍で見ていた上海も青年を庇うように前に立ち塞がる。
「お、おち……落ち着こうな?こ、ここは他人様の家(多分)だろうから無益な殺生はしちゃいけねぇと思うんだ……」
「シャンハーイ!!」
青年の説得と上海による健気にも守ろうとする姿勢……普段の妖夢ならば構わずぶった斬っていた。普段の妖夢ならば……
「……わかりました。私もあなたとお話したいと思いましたから
不吉な一言が含まれていたようだが、
「いきなりですが質問していいですか?」
「あ、ああ……なんだ?」
……これだけは聞いておかないといけないことがある……
妖夢には青年に聞いておきたいことがあったのだ。それは……
「……どうして……私をここまで運んでくれたのですか?」
純粋な質問を青年に投げかけたのだった。
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魔法の森で気を失った妖夢を背負ってここまで連れてきたのは青年だった。アリスからそのことを聞かされた妖夢は心の隅で違和感が拭えなかった。斬りたいと思う気持ちとその疑問を聞き出したい気持ちがあった。運よく青年がすぐに目を覚まし、刀を振るえなかったことで疑問を聞き出すには丁度いいと考えたのだ。もしも青年が少しでも目を覚ますのが遅れていたらどうなっていたかは……知らない方がよさそうだ。
「運んでくれたのですか?ってか……まぁ正直に言えば初めはどうしようか迷ったさ。こっちは名も知らない少女に命を奪われそうになったんだからな」
「それはすみませんでした……私は魂魄妖夢と申します。そしてこっちが上海です。以後お見知りおきを」
「シャンハーイ!」
「お、おう……俺は上白沢慧吾だ……って名前を聞いているんじゃなくてな、何で俺を襲ったんだよ?性的に襲ったんじゃないんだろ?」
「性的に!?わ、わたしをその辺の
「わ、わるい……そう言う意味で襲ったのでなければいい……いや良くないな。俺もう少しで命失うところだったんだぞ。それについてはどう弁明するつもりなんだよ?」
「それは……このフワフワした気持ちが何なのか理解したかったんです……」
「フワフワした気持ちってなんだ?理解したかったから?よくわからないが……それでなんで俺を斬ろうとしたことに繋がるんだ?」
「『斬ればわかる』と教わりましたから」
「なんだそれ……って言うか……それだけ?」
「はい、それだけです」
「………………………………………………はぁ?」
慧吾には珍しく少々怒りが孕んだ声だった。それはそうだろう……命を狙われてその理由が『斬ればわかる』と教わったから斬ろうと思いましたっと言われたら誰だってそうなる。
「うぐっ……す、すみませんでした……」
流石に冷静になった妖夢から謝罪の言葉が現れた。幻想郷で貴重な男性を傷つけて命まで奪おうとしたのだから本来ならば謝って済むものではないのだが……
「まぁ……謝ってくれるのならば許すがよ、今度はやめてくれよな?」
「えっ?許してくれるのですか?こんな醜い私を……?」
慧吾は許すことにした。これには妖夢も呆気に取られてしまう。
「醜いって……俺のお袋は寺子屋で教師をやっているんだ。それで子供には悪い事をしたらちゃんと謝ることを教えている。それが誰であってもだ、大人になればなるほど素直に謝ることができなくなる。恥ずかしかったり自分は悪くないと決めて謝ると言う行為が中々できなくなってしまうんだ。それに相手の容姿とか関係ないし、妖夢は自分が悪いと思ったから謝ったんだろ?」
「……はい」
「なら俺は許す。命を狙われたとしても結果的にこうして謝ってもらえたならば俺は妖夢を恨まないし、俺が許してもいいと思ったから許すことにした。それにさっきの話だが……ここにたどり着いたのは偶然でな。こんな危険な森の中で女の子を一人で放ってはおけなかったからな」
「そんな……私は一人でも戦えますし、こんな醜い私なんて放っておいてくださればよかったのに……」
「男として見てみぬフリできるかってんだ。それに妖夢は自分が思っているように醜くなんてないぞ?」
「そんなの……嘘です。私は醜い塊なんです!」
「まぁ初めは疑うよな……信じられるかわからないが俺の目には妖夢は可愛らしく映るんだ。本当だぜ?」
「か、かわっ!?そ、そんなこと言っても私は信じませんよ!」
急に自分の容姿を可愛いと言って来た慧吾の視線から逃れるようにプイっとそっぽを向くが、体中の体温が上がるのを感じた。それに彼のことが気になってチラチラと視線を無意識に向けてしまう。
「(……はっ!?私は何をやっているんだ!?)」
自分の無意識にしてしまった行動に我に返る。人里で会った時からずっと慧吾のことを気にしている……
「(なんなのですか……この気持ちは……私は一体どうしてしまったのでしょうか!!?)」
何度目になる自問自答かわからない……彼のことが気になり意識してしまう。フワフワする気持ちに理解できない程に胸が苦しくなる。これは病気の一種なのかそれとも妖術の
「ソレ……コイ、ジャネーノ?」
妖夢の視線が上海に釘付けになった。正確には上海が放った言葉、いつもは「シャンハイ」としか喋らないアリスの人形だが今ハッキリとそう言った。
「こ……い……恋?この私が……?」
「シャンハーイ!!」
「そうだよ」と肯定しているように笑顔で答える上海。自分は目の前にいる彼に恋をしていると言っているのだ。自分ではあり得ないと思ったが視線が勝手に彼を見つめている。そして慧吾も自然と妖夢の方へと視線を向ける。
「「あっ」」
目と目が合った瞬間に体中の体温が一気に上昇していくのがわかる……証拠に妖夢の頭から蒸気が立ち上り、沸騰したヤカンのようだ。
「……ふしゅう……」
「お、おい!!?」
「シャンハーイ!!?」
硬直した妖夢が床にぶっ倒れた。薄れていく視界には戸惑う慧吾の顔が最後まで映されていた。