それでは……
本編どうぞ!
「もうすぐで守矢神社ですよ」
天狗の本拠地から少し離れた山の中、この山は『妖怪の山』と呼ばれ天狗のみならず多種多様な妖怪が住んでいる周りを見渡しても木々が生い茂り、鳥のさえずりが時々聞こえてくる。そんな自然豊かな場所を文の案内で例の人物に会うために足を運んでいた。踏み入れるのは初めての山の中は意外にも道が整備されていた。文が言うには守矢神社へ信者が足を運びやすいように河童達に作らしたようだった。おかげでそれ程の時間をかけずに守矢神社には後少し、そこには人里で布教活動を行っていた東風谷早苗がいる。
「どんな人物なんだろうな」
「私的にはいじりがいがある子って感じですね。いじって遊びたくなる衝動に駆られましたし実際。けれど、言ったように何かを抱えて一人で溜め込んでしまうタイプと見ます。そして放っておくとそのまま重みに耐えられなくなって……っと私は検討します」
「溜め込むタイプね……」
東風谷早苗とは面識がない。以前文の話に出てきたが忘れていて、昨日の会談でそう言えばそんな人物の話をしていたことがあったな……と思い出しただけの赤の他人である。しかし面識は無いにせよ、母親の慧音が気にかけた人物だ。それと人里の布教活動での一件と文の話も含めると後々その子に振りかかる厄介ごとは大きそうであるし、現代人とのことで親近感が湧き男性である自分ならばこの世界理論上説得しやすくなるかもしれないと淡い期待もしていたが、同時にその子の行動に違和感もあった。
「文の検討が外れていてくれたら良さそうなんだがな……」
拭えぬ違和感を持ちつつ二人は守矢神社へと辿り着いた。
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俺は妖怪の山へとお邪魔している。妖怪の山とは名前の通り妖怪達が住まう山で天狗が主に支配している(その他にも居るが)天狗は縄張り意識が高く仲間思いで、人間のような社会的な構図が形成された珍しい種族なのだ。そんな天狗達が支配する山に誰も近づくことは普段ならあり得ないし、ましてや俺のような男が一人で入れば即妖怪達にあれよこれよと頂かれてしまうだろう(性的な意味で)から訪れることはまずない。しかし今回は事情があるので致し方なし、それに話によれば守矢神社になら天狗達もとやかく言わないらしい。まぁ信仰するために神社に訪れさせない訳にはいかないし、天狗と守矢の方々で取り決めがあったか定かではないがそういうことなのだろう。
現在護衛兼相棒役として文が同行しているので俺が頂かれる(性的な意味で)ことはないので無問題だ。おっと関係ない話かもしれないが途中で見回り中だった犬走椛とか言う犬ッコロ……本人は「狼だ!」と言っていたが同じことだろ?ともかく自称狼さんに出会ったわけだ。初めは襲いに(性的な以下省略)来たのかと内心身構えたがそうではなく、文が見慣れぬ俺を誘拐しようとしているのではないかと疑って尋問しに来たらしい。文……お前部下にどんな目で見られているんだ?傍から見ていると何やら険悪な雰囲気を漂わせてお互いにメンチビームが炸裂していたのが見えたぞ。これこそ犬猿の仲……いや、狼鴉の仲だなこりゃ。しかしこのままだと時間だけが過ぎていくので俺が事情を説明したら素直に納得してもらえて見回りに戻って行った。去り際に「もし男性に危害を加えたら容赦しないから覚悟しておけ」と釘を刺していたが、狼さんそれが上司に対する態度か?相当嫌われているようだな……ご愁傷様。
本人は気にもしていないのか踵を返して案内を開始する。その際「糞駄犬が、今度尻穴に骨突っ込んでやる」と聞こえたような気がしたが俺はクールにスルーしたぜ。まぁ関係のない話はこれぐらいにしてっだ。ようやくおでましのようだ。
目の前には鳥居が佇んでいる。
ほぇぇ、博麗神社とはまた違った清潔感が漂って来るな。見た目では守矢神社の方が軍配が上がりそうだが、俺的には博麗神社の方が落ち着く。やっぱり昔からあそこに入り浸っているからか?
よく訪れる博麗神社とは違う雰囲気に少々落ち着けない慧吾はあっちこっちをしきりに見回していたら背中が見えた。この幻想郷では髪の色など気にも留めないが、現代社会ならば一目見れば忘れることのできない緑髪の女性が視界に入った。向こうはこちらに気づいておらず、呆然と空を眺めている様子であった。
「あれが東風谷早苗さんです」
文が耳元で呟いたことで彼女こそ東風谷早苗本人なのだと認識する。声をかけようとしたがそこで止められた。
「待ってください。慧吾さんは一度お隠れになって身を潜めてください」
「ん?何故だ?」
「考えてみてください。いきなり男性が訪問したらパニックになるでしょ?下手したら勢い余ってそのまま頂かれてしまうかもしれません。少し様子を見てからにしましょう」
この世界だったらあり得ることだ。男性が訪問=抱いてくれになることだってある……何を訳の分からないことを言っているんだと思うかもしれないが、それぐらいこの幻想郷には男に飢えている
「どうも早苗さん」
「えっ?あ、ああ……文さんですか」
「はい、あなたの隣に這いよる清く正しい射命丸文の登場でございます♪」
警戒されないようにスマイル零円で対応する。記者と言うのは伊達ではない。
「はぁ……それで私に何か用ですか?」
「あやや、今日はなんだか
「い、いえ……別に……」
「顔色も優れないですね。やっぱり何かあるのですか?例えば便秘だったり、虫歯になった時は憂鬱になりますし、後は……
「――ッ!?」
明らかな動揺が目に見えた。今日の早苗は調子が良くないと文の目にはまるわかりだ。やはり布教活動のことが原因のようだ。男性との出会いを餌にして釣り上げた魚は魚でも
文は早苗の状況を伝えるべく、物陰に隠れてやや距離がある慧吾に聞こえるよう自然に怪しまれないように振舞っている。伊達に不細工に厳しい世の中で記者をしているだけのことはあったようだ。ちゃんと慧吾にも文の意思は届いていた。
部下に嫌われているし、盗撮の前科があって残念な妖怪だと思っていたが……文、俺はお前を見直したぞ!だが盗撮の件は忘れないがな!
文への好感度が1上がったようだ(100点満点中の34点)
文は今の状態の早苗に会わせて良いものかと悩む。不安を抱いている相手に
慧吾は登場した人物に対して何者と思うだろうが、文はこの人物が何者かであることを知っていた。天狗達を締め上げ神としての力を見せつけた早苗の保護者的存在に位置する八坂神奈子である。
「射命丸じゃないか、また取材か?」
「はい、今日も取材しに来た次第です」
「ふ~ん」
神奈子はそう興味もなさそうに返答すると視線が動いた。正確には物陰……慧吾がいる場所に。
……俺って見られている?そんな訳が……
「取材ならこそこそと隠れるなんて失礼に値しないのか鴉のお友達よ」
「――ッ!!」
「……神奈子様?」
威厳ある重みがかった声が響いた。文は慧吾の存在を知られたのに驚き、早苗は何のことかわかっていない様子だ。
俺の居場所がバレただと?!ちゃんと隠れていたつもりなんだが……本当に何者なんだ!?
驚きを隠せない。それも神奈子が姿を現して1分も経っていないのに居場所を看破されたのだから。しかし神奈子にとってただの人間である慧吾の気配を読み取ることなど訳ないのだ。神奈子的にはちょっかいをかけてくる鴉の仲間に仕置きしてやろうとちょっとした出来心だったのだが、この行動が悪い方に向かうなど思ってもいなかった。正確には
バレてしまったのでは仕方ないとこれ以上隠れることができない慧吾は姿を現す。その姿を見て今度は神奈子が驚いた。女が現れると思うのが普通の考え方だったが、まさか男が現れるとは思ってもいなかった神奈子。予想外の正体に我に返ったのは隣に佇む影が小刻みに震えだした時だ。
「う、う……そ……男……?!!」
それは早苗だ。体が震え、先ほどまでの顔色は更に悪くなり目に見えて異常だ。これには文と慧吾も何が起こっているのか理解できないでいた。
「う……うぅ?!」
崩れ落ちる体、意識が朦朧としており目の焦点が合っていない。全身から汗が流れ出て鳥肌が立っており、過呼吸を引き起こしていた。
俺はその時咄嗟に彼女を介護しようと近寄ろうとした。しかし俺を突き飛ばす手……文でも保護者さんの手でもなかった。その手は介護しようとした彼女の手に触れようとして……
「ち……か……づ……くな……」
その手を拒まれた。焦点の合っていない瞳でもこちらを睨みつける視線を感じ、そのまま彼女は意識を失った。咄嗟のことで何が起きたかわからない……わからないが一つだけハッキリしたことがある。
彼女は……闇を抱えていた。
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「……結果から言えばアレルギー性の発作ね」
「発作であれほどに状態が悪くなるとは低度のアレルギーではないと言うことですね」
「そんなにヤバかったのか?私の所に来た時はぐったりしてたからわからなかったが……」
「過呼吸に大量の汗、そして全身の痙攣……明らかに危険な状態でした。下手をするとそのままぽっくり逝っていたかもしれません」
「マジかよ」
「はい……それで永琳さんに質問です。早苗さんはアレルギー性の発作なんですよね?それで何のアレルギーだったのですか?」
「そこまではまだ詳しく調べてないからわからないわね」
慧吾さんが現れて急に変化が起きた早苗さん……何かあるとふんでいましたが思った以上のモノを抱え込んでいるようですね……あやや。
文は永遠亭へとやってきた。先ほどまで守矢神社を訪れていたのだが早苗の容体が急変し見るからに危険な状況となった。すぐに医者に見せるべきだと行動に移した。永遠亭への道を知る案内人である妹紅がすぐに発見できたのは幸運だったと言える。運よく見つけた妹紅の案内で早苗の保護者である神奈子と共に大急ぎで永遠亭へ向かいすぐに永琳の診察を受けることができた。
結果を言えば早苗は助かった。永琳が言う原因はアレルギー性の発作であることがわかった。だが何に対してはまだハッキリとしていない。
「その原因がわかっている方はいるけど」
「神奈子さんのことですね。それで神奈子さんは今どうしてます?」
「早苗ちゃんに付きっきりよ。あなたの話では神奈子さんともう一人の神様は早苗ちゃんの保護者なのでしょ?娘同然に思っていたはずよ、その娘が倒れてしまったんだから今はそっとしておいた方がいいわ」
「ま、無理もねぇか」
今別室で眠っている早苗を心配して神奈子が
ふむ、原因が何なのかわかれば対策なり対処の仕様がありようですけど、知るには神奈子さんの精神に余裕ができてからですね。しかし早苗さんが発作持ちとは知りませんでした。そんな話題すら上がってませんし、何より早苗さんと親しくなって半年も過ぎてませんからね。っとなると早苗さんの発作の原因を突き止めてみたくなりますね。記者としての魂がそう唸り声をあげています。それに保護者はもう一人いますし、私がここでできることはこれまでのようですので、今の内に諏訪子さんを訪ねてみますか。
文は守矢神社での早苗の発作に違和感を感じ、すぐに原因を解明したいと欲求に駆られた。現在永遠亭には神奈子が居るが先ほど申した通りに早苗の身が心配で他のことに構っている余裕などない。ならばともう一人の保護者に聞いてみれば良いと考えた。文自慢の速さでちょちょいのちょいでひとっ走りで原因解明しようとこの場を後にしようとした。
「おい天狗、そう言えば慧吾はどうした?慧音から今日は守矢神社に行くと聞いていたからお前と一緒のはずだが?」
「あっ」
妹紅に引き止められた。そして思い出したことがある。発作で倒れた早苗に夢中で同行者の慧吾をそのまま守矢神社に置きっぱなしだったのだ。しかし緊急事態なのだから仕方ないと弁解はできるだろう……が、相手は慧吾LOVEの親バカ妹紅ではそうともいかず……
「おいお前今……『あっ』って言ったよな『あっ』って」
「……慧吾さんは置いてきました。何せ緊急事態でしたので空を飛べない彼には守矢神社で大人しく待ってもらっています」
一応咄嗟に思いついた弁解を口から喋ってみたのだが……
「確かに緊急事態だが……守矢神社に行く際に護衛をお前に任せたはずだ。そのお前がうっかり忘れ、他の護衛も付けずにポツンと慧吾を一人ぼっちで守矢神社に置いて行くとはなぁ……お前
あやや?!これはめんどくさい人に絡まれてしまいましたよ私!?妹紅さんの意外な一面、慧吾さんのことになると親バカ属性爆発ですか!もうやだこのチンピラ……こっちは緊急事態だったのですよ!?それに慧吾さんだってバカじゃありません。一人で山の中をうろつくなんて行為はしないはずですし、守矢神社で待っている方が安全だってわかっていますよ。確かに護衛を任された私ですよ。忘れたのも私ですけど……そんなメンチビーム飛ばさないでいただけませんかね!!?
わざわざ
誰かこのチンピラ何とかしてほしいのですが……あやや、永琳さん他人のフリしないでください。この場に味方はあなただけなのですから……
永琳だって
どこからかドタドタと廊下を走る音が聞こえて来て部屋の前で止まる。まさか!と願いは神に届いたのかと部屋の扉から
「慧吾!?来てるの!!?」
「おぉろろろろろろろろろろろろろろろろろろろろろろろ!!?」
忘れていたのは慧吾のことだけではなかった。ここは永遠亭、あの怪物が住む魔境の巣窟だったことを……
文が最後に見たのはこの世のものとは思えないおぞましき怪物と視界を埋め尽くす食べたはずの朝食のおかず達だった。
「……」
冷たい風にどれぐらい吹かれていたのかハッキリと憶えていない。憶えているのは彼女が彼……早苗が慧吾を拒絶したあの時の瞳だけ。太陽は上り、曇り一つない快晴な空の下だが、慧吾の心は雲に覆われ何一つとして日差しが差し込んで来なかった。
何がしたいとか何をしようとか考えられなかった。ただ慧吾は文達が飛んでいった方角に視線を向けて呆然とするしかなかった。このままではいつまでもそうしている気がする……そんな時に転機は訪れる。
「ねぇ君、男だよね?」
慧吾は声がした方へと自然に振り返るといつからそこに居たのかわからない。そこには小鈴やフランのように小柄で金髪のショートボブと白のニーソックス、頭に特殊な蛙の目玉を連想させる帽子を被っている可愛らしい少女が立っていた。
「うん、顔は満点。でも中身はどうかな?」
何を言っているんだと慧吾は思った。その少女は慧吾の視線の意味を知ってか知らずかそのまま神社内に入って手招きした。もしかして童貞を食いに来た野良妖怪かっと慧吾の息子(♂)は身構えたが、その心配事を少女の一言がぶち壊した。
「早苗が何故ああなったのか……知りたくない?」
「――ッ!?」
少女の名は洩矢諏訪子と名乗り早苗の保護者だと言う。彼女の一言で慧吾は自然の動かされていた。後を追って居間へと通され、お互いに座布団に座り込み対面するとよりその幼さが際立って見えた。
「早苗はね……男が嫌いなんだ」
そして諏訪子の口から語られる……東風谷早苗と言う一人の少女の