諏訪子の口から語られる早苗の衝撃の真実~!に対して我らが主人公は……!!
それでは……
本編どうぞ!
「早苗のトラウマを克服する為に……早苗の彼氏になってほしいの」
「――はっ?!」
いきなり何を言われたのかわからなかった。一瞬思考が停止してしまったぐらいだ。この神様……諏訪子さんは何を言ったんだ?
「あれ?聞こえなかったのかな?もう一度言うよ、早苗の彼氏になってあげて……って言うか彼氏になって早苗とデートしてもらえないかな?」
聞こえたよ、聞こえたけれどまるで意味がわからんぞ!?彼氏になれ、デートしろとはどういうことだってばよ!!?
慧吾はいきなりのことで困惑している。目の前の幼女から放たれた衝撃発言に内心焦りまくりである。
「いきなりで訳が分からないって顔だね」
「あ、あたりまえです。先ほどの話を聞かされているのに、男がトラウマの早苗さんにいきなり彼氏になってあげろとか……何を言ってやが……何を言っているのですか?」
「私相手に敬語なんて使わなくていいのに……あっ、もしかしてわざと敬語使ってる?
姿は幼女にか見えないが名のある神様である諏訪子に緊張している慧吾を見かねて咄嗟につまらないギャグで場を和ませようとしたみたいだがあえなく失敗。慧吾は露骨に不機嫌になった。
「ご、ごめんってふざけただけだからそんな顔しないでよ!君の緊張をほぐそうとしたんだってば!」
「……そうですか。それならばよしとしましょう」
「急に態度がでかくなったような……ゴホン!ええっと話の続きだけど、早苗の彼氏になってほしいのはトラウマを克服してもらいたいからなんだ」
「男がトラウマなのに?俺が彼氏ですか?」
「そうだよ。男の君じゃないと意味がないじゃないか。トラウマを克服する為には男性である君の力が必要なんだよ」
「しかし……何故俺なんです?」
「君のことは射命丸から聞いたよ。不細工な少女達でも分け隔てなく接する理想の男性だって」
「でもそれだけで俺を信用するなんて……」
「何て言うか……神様の勘ってやつかな。君なら大丈夫って気がするんだ何となくだけどね」
勘か……勘だけで俺を信用するのは本来なら不安要素だらけなんだが、霊夢も勘が鋭いからそんなわけないって否定できないんだよな。諏訪子さんが俺ならば大丈夫と思ってくれるのはありがたいことだ。しかし問題は当の本人である早苗さんだ。彼女と会ってトラウマが刺激され発作を起こしたのは見ればわかる。尋常じゃない程の拒否反応だったわけだ。そんな彼女と彼氏になることが本当にできるのか?
慧吾の考えもわかる。早苗は慧吾と会った瞬間に発作が起きたのだ。それでは会うだけで危険なのでは?と思うのは自然なことだった。
「あれは不意打ちだったし、君の容姿もイケメンだったからトラウマが余計に刺激されたんだと思う。心の準備ができていなかったと言えばいいかな?いつも早苗は人里に布教活動をしに行く際は必ず男性達が載っている外の世界での雑誌を見て、心に余裕を持たせてから向かっていたしね」
「……それは性的な目ではなく、トラウマを刺激しない為の行動ですか?」
「うん、早苗は男は嫌いだ。けれど布教活動をするうちに男と対面するのは避けられないことだから例え嫌いな男相手でも笑顔の練習とか会っても発作が起きないように目を慣れさせてから人里へと向かうようにしているみたいなんだ。私達には話してくれてないけど保護者早苗の行動がわかるの。部屋で雑誌を見る度に気分を悪くなっても無理に自分を奮い立たせる早苗を見ていると……本当は行かせたくないんだ。でもそうしないと私達が消えちゃうから必死なんだ」
「……」
悲し気な諏訪子の語りに慧吾は何も言えなくなってしまった。
そこまでして諏訪子さんと神奈子さんの為に行動を起こすのか。俺も血の繋がりのない御袋と妹紅さんを親だと思っている。早苗さんも二人のことを親だと思っている……俺達もしかしたら似た者同士なのかもしれないな。トラウマに逆らってまで親の為にか……彼女は強い子のようだ。
大切な御袋達に愛情を注がれて育ててもらっての今の俺があり、御袋達に恥をかかせるような息子になった覚えはない。男として泣いている女の子を放っておけないし、見捨てれば御袋達の顔に泥を塗ることになる。御袋達は俺の誇りで、俺が糞男と同じだと見られるなんて冗談じゃない……ここは一肌脱がなければいけないようだ。
「諏訪子さん俺は提案に乗っても構わないよ」
「本当!?」
「けれど本当に大丈夫なのですか?不意打ちだったとはいえあそこまでの発作が起きた。今度もまた発作が起きてしまったら……」
「あの糞男は顔だけはよかったから君も顔がいいから早苗にとってトラウマそのものかもしれない。けれど君はあんな糞男じゃないと信じているから。トラウマを克服するにはちょっと刺激が強すぎるかもだけど、事前に私から説得する。事前に会うとわかっていれば大丈夫……だと思うよ。それで二人でデートしてもらって早苗に少しでも耐性をつけてもらいたいんだ。元々雑誌でも一応のトラウマ予防の効果はあったみたいだから」
「正直言えば不安だらけですが、早苗さんを見過ごすことはできません。男として!」
「慧吾君……ありがとう!」
「けれど……彼氏になるまで必要はあるのですか?友達感覚で買い物ぐらいの方がいいのでは?」
「早苗は短い間ながらも男と付き合って彼氏という関係自体にもトラウマがあるみたいで……このままだと一生男に怯え続け、本来なら女の夢である結婚し、家庭を持って、子供が生まれる。それが例え不細工でも幸せを掴むチャンスは有ってもいいはずなのに、これから先ずっとビクビク怯えながら過ごしていかなければならないなんて……あの子はただ私達のことを知ってもらいたかった。神様は存在するんだって……それを周りに話しただけで変人扱いを受けた。いじめられても頑張って学校に通い、信用していたのに糞男に騙されたんだ!しまいには見ず知らずの他人から笑われる日々に耐えられず逃げ出して来たんだよ!?早苗は悪いことなんてしていないのに……こんなあまりにも酷い仕打ちを受けなければならなかった早苗が可哀想だよ!!」
「諏訪子さん……」
そうだ。男として御袋と妹紅さんの息子として生を受けたんだ。こんな話を聞かされて協力もせずに見放すなんて俺にはできない。俺は糞男とは違うことを早苗さんに知ってもらって、トラウマを克服してもらい、苦しみから解放されるべきだ。彼女はもう苦しんだ……救いがあってもいいはず……違うな、救わないといけない。早苗さん、あなたに悲劇のヒロインは似合わせないぞ!
「できるだけ力になれるように俺も頑張ります!!」
一人の若者が決意を抱いた瞬間だった。
「はぁあああああああああああああああああああああああ!!?」
「妹紅さんうるさいです」
「妹紅静かにしろ」
「だ、だだ、だって慧音!慧吾が……お、おお、おんなと……で、でで、ででで、でででででででででででででででぇえ!!?」
「デートだ妹紅さん」
「ででででででーととととと!!?お前がかぁ!!?正気かよ!!?」
「俺は正気だ」
諏訪子に人里まで送り届けてもらった慧吾は真っ先に慧音へと報告した。事情を知った慧音は初めは渋っていたが、早苗の過去に心痛めたようで今回の件を受け入れた。ほどなくして妹紅がボロボロの姿で帰って来た。何事かと聞けば
後は永琳に任せておけば問題ないので、やることのなくなった妹紅は自分の家に帰らず守矢神社に慧吾を向かう手前服だけは何とかしようと(ボロボロの服装だったらまた喧嘩したのかと怒られる為)途中慧音の家へ立ち寄ればそこには慧吾居たのだ。安心したが、聞かされた話が予想外のことだったので妹紅は慌てふためいている。
「見ず知らずの女相手にいきなりデートって……何を考えているんだ慧吾!?」
「妹紅落ち着け、話は聞いただろ。その子のトラウマを克服する為に慧吾は一肌脱ごうとしているのがわからないのか?」
「それは……だけどデートって……」
「妹紅さん勘違いしていると思うが、デートと言っても本当に付き合う訳じゃない」
「……どういうことだ?」
諏訪子さんに彼氏になってくれと言われたけど、本当に彼氏になる訳じゃない。彼氏のフリをするだけでいいと言われた。早苗さんは男にトラウマがあり、それも彼氏と言う関係で酷いフラれ方をしたと言うことがトラウマであり、俺が彼氏役になってまず男に対する恐怖心を忘れさせることが必要で、ある程度早苗さんがトラウマを緩和できたなら彼氏役はおしまいにして早苗さんとは普通の関係に戻ることになる。いわばトラウマ克服する為の練習台と言うわけだ。早苗さんだって見ず知らずの相手と彼氏になれとか言われたら不満爆発するに違いないからな。そう言うことなんだが……妹紅さんわかってくれたか?
説明された妹紅は一瞬破顔するが、腰から力が抜けたようだ。どうやら慧吾が取られると思っていたみたいでただの人助けであったことに心から安堵していた。だが不満が無いわけではなさそうだ。
「慧吾はお人好しだからあの子の為にとは言うが、身勝手なことをしたな。本人の意思も聞かずにさ」
確かにそれはまぁ……悪いと思う。しかしこうでもしないと頼れる男が俺なだけもあって早苗さんがずっと拒み続けていたらトラウマなんて克服できないし、諏訪子さんの強行策と言える。周りから押してやれば嫌々ながらも一度は会えるだろう。そこからアプローチして少しずつでいいから心を許せる仲へと発展していけたらいいなと考えたわけだ。しかしデートが実現しても早苗さんの好感度は最低値間違いなしだなこりゃ、嫌な顔されながらデートか……やっべ、今から思うと心が張り裂けそうなぐらいに苦しいぞ。これは上級者向けのプランじゃねぇか?
嫌々デートする早苗の姿を想像しただけで罪悪感に押しつぶされてしまいそうになるが、やると決めた以上取り消すことはしたくない。それに悲しい過去を背負う彼女を見捨てておける程の非情さを慧吾は持ち合わせていなかった。
「今回は事情が事情だ。私達はそっと見守っていようじゃないか」
「慧音……チッ、仕方ない今回だけだ。た・だ・し!もしもあの子がお前を襲おうとしたら……タダじゃおかないからな!」
家族の了承を得た慧吾は待った。そして何日も過ぎてもう一度守矢神社へと様子を見に行こうと思った矢先に退院していた文から手紙を手渡され、その中身の内容はデートの日時と場所の指定だった。その日は慧吾にとっても早苗にとってもただでは済まされぬ一日となることは目に見えていた。
「……私のケイ君が……そ、そんな……そんなそんな……そんなそんなそんな!!?」
何故なら必ずどこからともなく情報を手に入れる輩が存在する。例えそれが練習や同情の余地があるデートであったにせよ、
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「……うぅ……うぅ……」
うぅ……気持ち悪い……体中がムズムズする……早く帰りたい。
人里から離れた妖怪の山の麓辺りに早苗はいた。天気は快晴で太陽の光が
守矢神社に突如やってきた男に耐えられなかった早苗は発作を起こして永遠亭に運ばれた。目が覚めた時に真っ先に飛び込んできたのは手を握りしめ必死な表情を露わにした家族として一緒にいると誓った神奈子の姿だった。とても心配され、退院したにも関わらず体調を何度も確認して傍時から離れようとしなかった。そして早苗と神奈子はやっと帰って来た我が家の守矢神社にはもう一人の家族がいる。諏訪子のことも親として見ている早苗はその姿を見て安堵したが、その日にとんでもないことを伝えられた。
男と彼氏になってデートしろだなんてどうしてそんな……この提案に神奈子様は反対だったけど諏訪子様は本気、二人とも私のことを思ってくれた。それも喧嘩までして……
帰れば勝手に話が進められており、唖然としていた早苗が気づけば、隣に立っている神奈子は激怒し、諏訪子と喧嘩をし始めていた。二人はボロボロになっても争い合ったが、次第に落ち着きを取り戻して喧嘩はこれぐらいにして話し合いをすることになった。当然神奈子は反対だったが、早苗を思えばいつかはトラウマを克服しなければならない時が来る。それが遅いか早いかの違いなだけである。早苗自身は男と居るだけで拒否反応が起きるのにましてあの頃のような同じシチュエーションを味合わなければならないなんて拷問と同じことだった。
諏訪子の説得は何日も続いた。早苗は諏訪子の必死さが伝わって応えたいと少なからず思いが芽生え始めるが男を思い出すと拒み続けてしまう。それから早苗が頷くまで更に日が過ぎ、そしてようやく叶う時が来た。しかしその当日に近づくにつれて眠れぬ夜が続き、食事も喉を通らない。心配する神奈子に中止することを提案するが諏訪子が断固拒否するのでまた喧嘩になる。
早苗はその光景を見るのが嫌いだ。大好きな親……本当の親を捨ててまで幻想郷へとやってきた彼女にとって二人は本当の親なのだ。その二人の関係が自分のせいでこじれていくのは見るに堪えなかった。
自分が我慢すればいいだけだと……デート当日まで気丈に振舞うことにした。そして当日、待ち合わせ場所に早苗はやってきたが、後悔の念が大きい。練習だと思っていてもあの時の光景が脳裏に鮮明に映し出される。嘲笑う男の姿、バカにする目、笑い者になるように仕組まれた噂……頭が痛くなりそうだ。
嫌い……男なんて大っ嫌い!!!
体中が弾けそうになるほどにむず痒く、痒みは痛みに変わっていく。耐えられない早苗はもうこの場から逃げ出そうとしたその時だ。
「大丈夫か!?」
「――ッ!?」
聞いたことのある声……守矢神社で聞いた……それも男の声!!!
ハッと顔を上げればこちらを心配そうに見つめる男が距離を保ちながら声をかけていた。
「発作は……起きてないか?俺は上白沢慧吾だ、諏訪子さんとは以前知り合ってそこで早苗さんに力を貸してほしいと頼まれたんだ。俺も君の力になりたい……だから今日ここに来たんだ」
グッと唇を噛みしめて堪える。今にも逃げ出してしまいたいが、諏訪子のことを思うと自分の為にとセッティングしてくれた場だ。それに神奈子も早苗のトラウマを何とかしたいと思っていたのは事実で、このデートで早苗の何かが変わってくれればと淡い期待を抱いていた。そんな二人の思いを無駄にはしたくない……怖い、憎い、恐怖で涙が一粒こぼれるが袖で拭い去り、気丈に振舞う姿勢を見せる。
「……すみませんでしたお見苦しいところを見せてしまって」
「早苗さん……」
「……早苗でいいですよ。今日は……私の為に付き合ってくれるんですよね?だから私のことは早苗と呼び捨てで構いません。私とあなたは恋人……同士ですものね」
口から出てくるのは価値のない言葉……意味など含まれていない空っぽの文字の塊だった。
「……」
「……どうしましたか慧吾さん?」
「……いや、俺も慧吾でいい。それよりも……少し近づいてもいいか?」
「……え、ええ、構いませんよ」
慧吾は少しだけ歩を進める……が距離が埋まることはない。一歩二歩と進めると早苗はその度に後退していく。体が勝手に避けているのだ。男である慧吾のことを。
「あっ、す、すみません!私ってば彼氏から遠ざかるなんておかしいですよね。今そちらに……い、いき、いきます……から……すぐ行きますから!!」
「……」
見ていると心が張り裂けそうになる。口ではこう言っているものの、体全身が男と言う存在を敵視し拒み続けている。ゆっくりと踏み出される足が震え、表情が強張っているだけでなく、慧吾を見つめる瞳には恐怖が生まれていた。
諏訪子様と神奈子様の為!諏訪子様と神奈子様の為!諏訪子様と神奈子様の為!諏訪子様と神奈子様の為!諏訪子様と神奈子様の為!諏訪子様と神奈子様の為!諏訪子様と神奈子様の為!諏訪子様と神奈子様の為!諏訪子様と神奈子様の為!諏訪子様と神奈子様の為!諏訪子様と神奈子様の為!諏訪子様と神奈子様の為!諏訪子様と神奈子様の為!諏訪子様と神奈子様の為!諏訪子様と神奈子様の為!諏訪子様と神奈子様の為!諏訪子様と神奈子様の為!諏訪子様と神奈子様の為!!!
自身を奮い立たせる呪文を何度も唱えて無理やり体に言うことを利かせる。距離が近づくにつれて全身から汗が噴き出て鳥肌が抑えられない。呼吸も苦しくなり次第に何も考えられなくなる。
「もういい!これ以上は早苗……早苗さんに無理はさせられない。デート止めようか?」
優しく言葉を投げかける。しかし早苗はそれを拒んだ。
私が克服しないとまたお二人に迷惑をかけてしまう。それは嫌!お二人に失望されたくない!!私が我慢すれば……我慢するだけでいいんだ!!
「はぁ……はぁ……ごめんなさい。私は大丈夫ですよ、それに早苗
「……ああ」
早苗は辛いのを我慢する。克服しないといけないと思う反面あの時の恐怖が体を縛り付ける。
偽りの