それでもめげずに投稿することを強いられているんだ!
それでは……
本編どうぞ!
「ふ~ふんふ~ふふん♪」
幼い巫女服を身に付けた少女が鼻歌を歌いながら箒を手にして嬉しそうに境内の周りをお掃除していた。傍から見ると醜い少女が上機嫌で掃除している光景にしか見えない。何も知らない意地悪な人がこの場にいたならば揶揄われたり、罵倒されたであろうが、ここにはほとんど誰も近づかない……否、近づきたくはない場所なのだ。ここは博麗神社と呼ばれており博麗の巫女が生活し、少女が生きる場所である。
代々にわたって博麗の巫女が住む場所として知られているが、醜悪な存在が集まるある意味では異界の地とも知られている。ここに住まう博麗の巫女自体が醜悪で、代々の巫女は醜悪な姿をしていた。醜くない巫女など今までいなかったのだ。そしてこの場にいる少女もまた残酷な運命に従わざるを得ない一人だった。だが、とある事件をきっかけに一人の少女の運命を大きく変えることになった。
「霊夢、そっちは終わった?」
「うん、おわったよ母ちゃん」
「えらい子ね霊夢」
「えへへ♪」
少女は博麗霊夢であった。いつもは掃除なんかめんどくさくてやりたがらない子であったが今日は違っていた。とある人物がここ博麗神社を訪れるのだ。そのためにも霊夢は誠心誠意心を込めて掃除していたのだ。
「母ちゃん、慧吾はまだかな?」
「まだ早いわよ。来るのは昼頃じゃないかな?」
「そっか、早く来ないかなぁ……」
そう言いながら霊夢は部屋へと戻って行った。霊香はそんな霊夢にやれやれと思いながら片づけの続きをしようとした時に気配を感じた。
「……何の用……紫?」
「呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン!八雲紫17歳が華麗に参上♪」
「おえぇぇぇぇぇ!!」
「ちょっと霊香!『おえぇぇぇぇぇ』はないでしょ!『おえぇぇぇぇぇ』は……ってダメよ!?吐いちゃダメよぉおお!!?」
空間が裂けた切れ目から顔を出したのは八雲紫であり、妖怪の賢者と呼ばれている。彼女は妖怪であり、化け物のような容姿をしていた。吹き出物ができるなんて論外であり、美しくなろうと努力しても容姿を変えることなどできない。人ならざる姿に生まれた方がまだマシだったと妖怪は総じて言うだろう。悲しい事に不細工であることを定められた存在だ。
紫も色々と言われている。不細工の賢者、スキマから汚物が流れ出たような顔、醜い妖怪代表など様々な言われようである。博麗の巫女である霊香とは幼い頃より友人であり、霊香を博麗の巫女としたのも紫であった。そのために昔からこうして博麗神社に度々顔を出す……出した結果が霊香が吐くことになったのだが……
吐き出してしまった吐しゃ物を掃除した霊香は紫を叱っていた。タンコブのできた紫は正座させられて渋々霊香の説教を聞いていた。
「いきなり醜い登場の仕方は止めろと言っているんだ。聞いているのか紫」
「……はい」
頭に大きなタンコブを作って紫はしょんぼりとした空気を漂わせていた。だが、霊香は哀れとは思わない……スキマからゲテモノが顔を出せば胃から上がってくるものを我慢できるほどの精神を持ち合わせていないのだ。酷い目にあったのは霊香の方なので紫に情けなど必要ないのだ。
「まぁ、今日のところはこれぐらいにするわ」
「あら、説教が昼頃まで続くのかと思ったのだけれど?」
「……して欲しいのかしら?」
「遠慮させていただきますわ」
これがいつもの二人である。博麗の巫女・妖怪の賢者と呼ばれているが友人の前では普段通りの姿を見せる。昔からお互いを知っており尚且つ不細工同盟である心を許し合った仲なのだ。
だからこそ紫は違和感をすぐに感じた。博麗神社がいつも以上に綺麗なのだ。霊香は毎日境内の掃除をしているのは知っているが、ここまで綺麗になっているところは年末年始の大掃除ぐらいの時だけだ。後は特別なことがある場合のみ……とすると考えられることは後者の方だ。
「今日何かあるのかしら?宴会でもするつもり?」
「宴会ね……そこまではしゃぐつもりは……あるかな」
「?どうしたのよ?」
いつもと様子が違う霊香に首を傾げる。言うべきか言わないべきか……迷っているらしい。
「なになに?私に言えない事なの?もしかしてスケベな本でも見つけたから霊夢と一緒に鑑賞会する気だったとか♪」
「バカなこと言ってんじゃないわよ!ブッ叩くわよ!!」
バコン!と鈍い音がした。紫の頭には真新しいタンコブがもう一つ出来上がっていた。
「痛たいじゃないのよ!結局
「冗談でも言っていい事と言ってはいけないことがある」
「……戸棚の裏に隠している秘蔵の代物はどこの誰のかしらねぇ?」
「くっ!紫!!」
「ちょ!?陰陽玉はやめましょう!!それはシャレにならないから!!」
霊香の背後に陰陽玉が紫を狙っていた。あわや紫は陰陽玉の餌食になるところに救世主が現れる。
「母ちゃんなにしてるの……あっ、紫!」
「霊夢助けてー!」
現れた小さな救世主に助けを求める紫だが、霊夢は無視してプンスカと怒っていた。
「紫、暇なら手伝ってよ!母ちゃんものんびりしてたら慧吾がきちゃうよ!」
「ああ……はいはい、わかったわよ」
「もう、だらしない女はきらわれるよ!」
そう言うとまた奥に戻って行ってしまった。紫はポカンと眺めているしかなかった。
「……どうしたの霊夢は?なんだかいつもと様子が違う気がするんだけど……?」
「ああ……まぁ、今日この博麗神社を訪れる御客人にいいところを見せようと必死なんだ」
「慧吾とか言ってたわね?なんだか男性のような名前ね」
「男だ」
「……はっ?」
紫は耳を疑いもう一度聞き返した。
「ごめんなさいよく聞こえなかったわ……今なんて?」
「男だと言ったんだ」
「……」
「おい紫、一応言っておくが慧吾は男でもまだ男の子……」
「らーーーん!!!らんらんらんらんらん!!!大変よ!!!霊香があまりにもモテないから妄想を語り始めたわ!!!」
「それは大変です!霊香殿すぐに頭を見てもらいましょう!それと顔の方も!!」
「藍、顔は酷すぎて医者でも直せないわよ」
「そうでしたね失言でした」
「あ・ん・た・ら!!!」
ゴンッ!ゴンッ!
「――ってなことがあって、霊夢を助けてくれたんだ」
「……信じられないわ」
「私も紫様に同感です。もしそんなことが実際に起きたら即交尾します」
「黙れ発情狐!!」
大きなタンコブを作って正座させられているのは紫とその式である八雲藍。紫の式であり見るもの全てに吐き気と頭痛を与える酷い顔で昔、国を傾けたことがあった。もう虚しくなってやめたそうで、今では落ち着いて紫の式を務めている。二人は正座しながら霊香の語る話を一字一句逃さずに聞いていた。
この幻想郷中探し回っても不細工な女を助けてくれる男などいない。居たとしてもただ可哀想だから、自分の正義感に反している行為を見逃せなかったという決して不細工な女を好いて助けることなどない。しかし不細工は優しくされると自分に気があると錯覚し、それがきっかけで付きまとわれ最悪男は童貞を捧げてしまう結果になる場合がある。不細工に付きまとわれるなんて幻想郷の男からしたら堪ったものではない。だから助けることなどしないのが普通だ。しかし霊香が語ったのはそんな現実をぶち壊して不細工が夢見た光景を映し出すお話だった。白馬の王子様が現れるなど夢のまた夢の話だったからだ。そんな二人は嘘のような話を霊香から聞かされて半信半疑であった。
「その子の名は上白沢慧吾、人里で寺子屋の教師をしている慧音の息子だ」
「あの半獣教師に子供がいたのですか!?」
「なななななななぁっ!?」
藍は驚いて九つの尾っぽが逆立っていた。紫も出目金魚が顔に張り付いたように驚いて体がわなわなと震えていた。
「いつヤったの!?プレイ内容は!?指先からそれともつま先からしゃぶりだしたの!?布団の中でギシギシ家を揺らしながら喘ぎ声を響かせ絶頂に浸ったの!?羨まけしからん!!こうなったら私もその教師の息子の息子である男の肉棒を私のスキマにイン――!」
「紫黙れ!!」
霊香からの顔面ストレートが決まり地面を跳ね飛ばされて紫は沈黙した。ピクピクと痙攣を起こす紫を助けに行こうか悩んだ藍……しかし興味の方が勝り、主を見捨てた。そしてあることに気づく。
「霊香殿その話が本当ならばチャンスかもしれませんよ」
「チャンスですって?」
藍が語るのはこうだ……
慧吾と霊夢が親しい間柄になる→博麗神社を訪れる機会が増える→紫や藍も博麗神社に顔を出す→慧吾と仲良くなれる→仲良くなれたならヤッテも問題ない→気分はエクスタシー!!!→子沢山→毎日エクスタシー!!→ハッピーエンド❤
「――という流れに」
「ならんわ。ヤルことしか考えてないでしょうが……それにあくまでも慧吾はただ霊夢を元気づける為に『かわいい』と言っただけかもしれないしな……」
霊香は親として霊夢のことが心配であった。霊夢はまだ幼いため知らないだろうが、不細工な女性が触ったものを男性が嫌がったり、顔には出さないが見えないところで唾を吐いていたり、酷いものになれば不細工な女性に近づいてお金を騙し取られると言った輩もいることはいるのだ。結局は不細工な顔をしているのが悪いと片づけられてしまうそんな理不尽なこともあった。この世界では不細工は不幸な目に遭うのが当たり前で、初めは苦しくて涙を流した時もあるがいつかは慣れてしまう。しかし親である霊香は霊夢の泣く姿なんて目の当たりにしたくない。
霊香は慧吾のことを何も知らない。慧吾とあったのはあの時だけ、霊夢はあの時のことで慧吾を気に入ったようであった。今は子供であるが故に純粋な心で対等に話せたりするが、大人になった時が怖い……博麗の巫女には何かと根も葉も無い噂が囁かれていたりする。博麗の巫女と関わったら不細工になるとか、妖怪に狙われやすくなるとか根拠のない噂が密かに出回っていたりする。そのせいで慧吾にも変な噂が立つかもしれない、それに我慢できずに霊夢の元から去ってしまうかもしれないと……まだ何もないのに今から考えても仕方がない心配事ばかり頭に浮かんでくるのだ。
「(いかん!なにを考えているのよ私は……あんなに霊夢が楽しみにしているのにそれを邪魔するような考えが浮かぶだなんて……)」
ブンブンと頭を振って
霊香は博麗の巫女でありながらも母親になれたことがどんなに幸福であるか考えたことが今まで何度もあった。母親になることもできずに一人寂しく死んでいくことなど不細工の女性にとっては珍しいことではないのだ。だからこそ霊夢のことが心配で仕方ないのだ。
「(考えるのはよそう……それにあの子は霊夢を助けてくれた。きっと霊夢を裏切ったりしない大人に育ってくれるはずだ)」
「……霊香殿?」
「藍……ごめんなさい。色々と思うところがあって……」
「霊香殿、わかっていますよ」
「藍……」
藍は霊香のことがわかっているようだった。察してくれた藍に感動を覚える。
「どうやって部屋に連れ込むか考えているのですね。ご安心ください!この私があの手この手を使って霊香殿と私と紫様を含めて4Pでヤレルように話を進めます!早速ですが、幻想郷中を桃色に変える程の激しいシチュエーションを計画に移して……!」
霊香のストレートが藍の顔面に直撃し、地面をバウンドしながら主の紫の横でゴミクズのように転がった……
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これは霊夢と霊香と初めて出会った後の出来事のことだ。
「――っと言うことがあった」
「慧吾、お前は偉い!」
ぐしゃぐしゃと頭を乱暴に撫でられる。だが、嫌いじゃない……もう一人の大事な存在の温かさを実感できるからな。
遊びに来た妹紅さんは今ではもう一人の御袋のような存在となっている。妹紅さんは俺に遠慮はしないし、こっちも遠慮することなく接することができるため話しやすい。御袋とは昔から仲がいいからこうしてよく遊びに来るんだ。そして御袋の手が離せない時とかはよく抱っこされていた。御袋よりも子守に慣れておらずあたふたする姿に何度笑いを我慢したことか……いい思い出だ。それに俺が初めて御袋と妹紅さんの名前を呼んだ時は二人で抱き合って大泣きして朝まで宴会している程だから仲はとてもいい。その後、縁側で二人仲良く吐いていたのは思い出したくはないがな。
「慧音、慧吾はまた一つ大人になったというわけだな」
「ああ、人は見た目じゃないってことをもっと授業で教えるべきだな。だが、その子達も反省してくれたようでよかったよ。ありがとう慧吾、その子達も私の教え子だったのだろ?お前がしっかりと叱ってくれて嬉しいぞ」
「いいよ御袋、俺は御袋の子供だ。御袋の顔に泥を塗ることはしたくなかった……それに教師の息子である前に人として当然のことをしたまでだから何も褒められることはないさ」
「慧吾……」
グスリと涙ぐむ慧音と誇らしそうにお茶を飲み干す妹紅。二人にとって慧吾がここまで立派に育ってくれていることが嬉しくて堪らない様子だった。
「しかし慧吾はまだ5歳だろ。なのにこんなに大人びている……それに頭もいいみたいだし、慧音に似ているんじゃないのか?」
「ふふ♪当然だろう私の息子なんだから」
胸を張って答える御袋……自慢している時の顔はとてもいい笑顔だ。容姿のことについてガキンチョから散々言われた時は慣れているようだったが見ていられなかった。美醜感覚が違うイレギュラーな俺が介入して黙らすわけにもいかないために、こうしている時ぐらいは御袋に笑顔で居てもらいたい。それが御袋の息子である俺ができる親孝行だからな。
「……慧音が羨ましいよ……」
妹紅はボソリと呟いた。意図して口にしたことではないのだろう……心の奥底にある本音がこの場の雰囲気に流されて口ずさんでしまったのだろう。どこか寂しそうな表情で慧音を見つめていた妹紅を慧吾はハッキリと見た。
そんな顔しないでくれよ妹紅さん。寂しい顔なんて似合っていない……俺にとって御袋は一人だけじゃないんだからよ。
「妹紅さんも御袋のように思っているが?」
「私をか!?いや、その……わ、わたしは慧音のように上手く子守出来なかったし……それに私なんかよりも慧音の子供である方がいいだろう……?」
不安を孕んだような言い方だった。妹紅さんは訳あって歳を取らないと御袋から聞いた。しかも死ねないのだとか……理由は聞かなかったが、そのことを話す御袋の表情に影が差していたのを憶えている……普通の人ではないということがわかった。歳を取らず、若さを保つことが良い事なのかは実際に本人しかわからないし、俺は一生わからないだろう。だが、俺はこう言いたい……
「御袋も妹紅さんも俺にとって命の恩人であり家族だ。だから妹紅さんがそんなことを言うと俺は悲しい……妹紅さんは笑った方がいい。笑顔が似合うもう一人の御袋だから」
「……お前……」
慧吾を見つめる瞳が揺れていた。しかし彼女なりの意地なのか照れ隠しなのか慧吾の視線から逃れて妹紅は背を向けてしまった。振り返る瞬間に瞳から液体がこぼれたように見えた気がした……それを傍で見ていた慧音も目頭を押さえて体を震わせていて、この場の空気が温かくなったのを感じさせてくれた。家族の温かさを感じることができるのはこの二人のおかげだと慧吾は感謝している。
少ししてお互いに落ち着いた慧音と妹紅は先ほどの途中になっていた話題へと戻る。
「それで慧吾、さっきの話の続きなんだがその女の子はどこの子かわからないか?私の教え子が迷惑をかけたなら私も親御さんに謝りたいのだ」
「博麗の巫女」
「……なに?霊香殿のところの子か?」
慧吾の答えに慧音はまさか知人の娘とは思いもよらなかった。
巫女様の名前は霊香さんと言うのか。なるほど把握した、行くときに手土産持って行かないとな。
「慧音の知り合いだったよな?」
「ああ、私が尊敬する人だ。里を守ってくれる人でとても優しい人だ。っと言うことは女の子の方は霊夢か?」
「ん、そう」
「そうだったのか、霊夢には悪い事をしたな……」
「御袋が悪い訳じゃないから気にするな。それにこれも何かの縁で出会ったのだと思う。聞けば博麗の巫女にいい印象を持っていない人もいるようだし?」
「そうなんだ、霊香殿は私の知人でたまに会いに行くときがある。博麗の巫女は代々幻想郷のために身を削ってまで尽くしてくれているというのに……」
慧音の表情は暗かった。人里の人すべてが博麗の巫女を悪く言うわけではない。しかし人と言うのは噂に興味を持ち流れていくにつれて脚色がついて広がっていく。その噂を信じ、博麗の巫女を避けたり陰口を叩く。霊香はそれに耐えてきた。慧音は博麗の巫女である霊香を尊敬していた。そんな彼女の表情が暗くなってしまうのは仕方のないことだった。
「言わせておけばいいって慧音、ちゃんとみんな巫女に感謝しているじゃないか。そんなの信じるのは少数の人間だけだろ?」
妹紅は慧音の不安を拭う様に言った。
「そうだ御袋、妹紅さんの言う通り放って置けばいいさ」
「しかしだな……」
御袋は
「御袋、万人から受け入れられるわけはないんだ。人はみんな
「慧吾……」
「それに俺、直接会ったけど綺麗な人だったぜ」
「えぅ?」
妹紅さんがキョトンとした顔をした。後変な声も出たな「えぅ」ってなんだよ。失礼ながら妹紅さんは霊香さんの容姿に対して綺麗とは思っていない様子らしい……それもそうか。俺だけが元の感覚を持っていて、御袋も妹紅さんもこの美醜逆転世界の住人……不細工に見える相手を綺麗だと言ったらそりゃそんな顔するわな。
「慧吾……お前は霊香殿の姿が綺麗に見えた……と?」
御袋も食いついてきた。ああ……そう言えば今まで容姿のことに関して何も意見言わなかったな。だから気になるのか?って!?
慧吾の肩をがっしり掴んだのは慧音で目がギロリと瞳を捉えている。そして横からの視線が突き刺さる……妹紅も食い入るように慧吾を凝視していた。
こわいこわいこわいこわいっ!御袋の目が近いって!眼力がヤバイ!!妹紅さんも俺の回答が気になるのか身を乗り出しているし!!
「それでどうなんだ慧吾……」
「……あ、ああ……綺麗に見える……けど……」
「――!?そうか……」
慧音は肩から手を離し、少しの間天井を見上げていた。放心状態と言ったところか……妹紅の方も心ここにあらずのようにボケっとした表情で虚空を見つめていた。
ど、どうしたんだ?二人に一体何が……!?
「……慧吾」
そう思った時に我を取り戻した慧音と妹紅も元通りの状態であったが、顔は真剣そのものになっていた。真顔で名を呼ばれてしまったので身体が勝手に強張ってしまう。
「な、なんだ御袋……?」
恐る恐ると言った感じで慧音と妹紅の様子を観察する慧吾だったが……
「慧吾、お前はもしかしたら
「……はっ?」
いやいや何言ってんの御袋?いきなり訳のわかんらないこと言われてもわからんって。
「
「いやいやいや、俺は御袋も妹紅さんも不細工には見えてねぇって!」
「なに?じゃ私達は慧吾から見たらどう映っているんだよ?そこんところどうなんだよ慧吾?」
妹紅さんがグイっと顔を近づけてきた。いい匂いがする……美人の顔が近くにあると鼓動がバクバクするじゃねぇかよ!最高じゃんかよ!っといけねぇ話が逸れちまった。俺から見た二人の容姿は勿論……
「綺麗な髪に美しい瞳、目が大きくスタイルもいいし、俺にとって二人は親同然だが、だからといって気遣って言っているわけじゃない。素直に御袋も妹紅さんも美人だと俺の瞳にはしっかりと映っているぜ。不細工でもなんでもない正真正銘の美人だが?」
「「――!?」」
素直に慧吾は自分が見えている光景を伝えた。するとどうだろうか……妹紅は顔を真っ赤にして慧吾の視線から逃れるように顔を離した。その拍子にふわりと髪が慧吾の顔に触れたがとても優しい感触だったと後に慧吾は語るだろう。
「び、びじん……私が美人……ふ、ふへぇえ~~~♪」
美人と言われた妹紅は背を向けて一人でぶつくさと何かを言っていた。振り返ればきっとだらしがない顔をしていたのは間違いなさそうだ。そして慧音の方はと言うと……
「……」
御袋が白く……燃え尽きた。
真っ白に燃え尽きてしまっていた。今まで容姿を褒めてくれたことがなく、まさか息子から美人だと言われるとは思ってもいなかった慧音は感極まって昇天してしまった。
「ふへぇ~~~はっ!?け、けいねしっかりしろ!!」
「もこう……わたしのじんせいに……いっぺんの……くいは……ない」
「けいねぇええええええええええ!!!」
……なんだこれ?
自宅で茶番劇を見ることになるとは思ってもいなかった慧吾だった。
「準備はできたか慧吾?」
「大丈夫だ」
昇天した慧音の魂が戻って来てから散々慧吾は色々と聞かれた。慧音と妹紅の二人は慧吾が不細工が好きではなく、慧吾の目には美人に見えていることを理解した。二人は今まで容姿に対して誰も良い言葉をかけられたことがなかったので飢えていた。慧吾に何度も「どこが綺麗」と質問攻めを繰り返してその度に「~が綺麗」と言われれば、妹紅はその度に顔を赤色に染め、慧音は昇天しそうになったのを堪えた。傍から見れば不細工な二人が5歳児に何を言わせているんだとドン引きレベルの行為だった。自宅でよかった……
それから数日が過ぎ、寺子屋が休みの日を利用して慧吾と一緒に博麗神社に向かうことを慧音は霊香に伝えた。妹紅は残念ながら来れなかったが、ようやくその日になったのだ。
そして慧吾の手元には布に包まれた何かがあった。
「それはどうした?」
「近場でプレゼントを買ったのさ。霊香さんと霊夢の分だ」
「ふふ、そうか」
慧音は自分の息子が立派に見えた。他人にこの子が私の子だと自慢したい程に慧吾の姿が輝かしく映った。不細工な女性にプレゼントをするなど嫉妬してしまう程に羨ましいのだから。
「御袋、あんまり待たせるとわりぃから行こうぜ」
「ああ!」
親子は博麗神社目指して共に歩いて行くのであった。