あべこべ幻想郷に落ちた命   作:てへぺろん

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はてさて早苗と慧吾の取り巻く関係の裏でそのきっかけを作った連中はと言うと……


それでは……


本編どうぞ!




負け犬のその後

ちくしょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!

 

「ちょっと、開口一番に大声をあげないでよ」

 

 

 鈴奈庵で一匹の野獣(ケダモノ)が雄たけびを上げていた。

 

 

「ちくしょう、ちくしょうちくしょう!!!あの早苗(あばずれ)め!ケイ君の優しさにつけこんで、あまつさえ恋人同士になるだとぉ!!?ふっっっっっざけんじゃねぇぞ!!!ブヒブヒ泣きわめいて糞尿でも漏らしていればよかったのに!!!ふんがぁああああああああああああああああああ!!!」

 

「はぁ……」

 

 

 鈴奈庵の野獣(ケダモノ)と当てはまる者は一人のみ。そう、小鈴である。そしてその暴走に付き合わされているのが阿求である。

 

 

「小鈴、早苗さんには訳があったんでしょ?まぁ、それで恋人のフリをする彼もおかしいんだけどね」

 

「ケイ君はお人好しで優しいから騙されちゃったのよ!あの早苗(あばずれ)がケイ君を狙っているなんて知ってるのよ。そんで後を尾行して、私がケイ君を守ろうとしたら邪魔が入るし、ケイ君が怪我したんだよ!なのにちゃっかり許されて、はいこれで恋人同士ではなくなりましたざまぁみろ早苗(あばずれ)♪……にならないとかなにそれ!?許されました、もう恋人のフリなんてしなくていいはずなのに恋人関係のままでいましょうだと!?悲劇のヒロイン気取りでケイ君を騙して自分のモノにしやがって許さんぞ!!!ぺっぺっぺっ!!!」

 

 

 小鈴の唾を吐く先には人形。その姿は早苗に似ており幾つもの釘が打ち込まれていた。

 

 

「こうなったら()()()だか()()()だか知らないけど、神社の一つや二つ潰してやるわ!!!」

 

 

 押し入れから取り出したのは巨大なハンマー。どこにそんな力があるのか小鈴は悠々と担ぎ上げ今にも守矢神社に突撃する勢いだ。しかしそれを止めるのは阿求。

 

 

「落ち着いて、散々博麗の巫女様にお叱りを受けたのに懲りないの?それに早苗さんにそんなことをすれば彼に嫌われかねないわよ?」

 

「ぐぬぬ……!!!」

 

 

 霊香と霊夢(博麗の巫女親子)()()をされたぐらいで懲りる小鈴ではないが、流石に今回は堪えたのかしばらく部屋から出られなかった。だが復活した小鈴は内に渦巻く混沌を吐き出す捌け口に選ばれてしまった阿求はご愁傷様である。そんな懲りない小鈴でも慧吾の名を出せ暴走を止められる……流石小鈴の友人、これぐらいできなければ小鈴の友などなれないだろう。

 

 

「でも……でもでも!うぅ……ちくしょう、いつか尻の穴から使用済みの玩具(大人の)で隅々まで調教してやるから覚悟してなさいよぉ!!!」

 

「(はぁ……また()()されるでしょうね。私には関係ないからいいけれど)」

 

 

 ちょっとした鈴奈庵でのお話であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もうぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!

 

「遂に壊れましたか紫様……いえ、既に壊れていましたね。修理に出すには……そうだ粗大ごみが適任ですね」

 

「はぁ!?私は壊れてなんかいないわよクソ狐!!!」

 

「では何故そのような汚い悲鳴を御上げになっていたのですか?正直きもいですよ?きもいのは存在自体ですが」

 

「私は慧吾君のことを思って行動したまでなのに!霊香も霊夢もガチガチのガチで()りに来るとかありえないし、慧吾君に会っちゃダメってそんなのあんまりじゃない!?あと汚いもきもいも一言余計よ!!喧嘩売ってんの!!?」

 

「きっと霊香殿も霊夢も嫉妬しているのです。私が慧吾君の妻であるが故に羨ましいのですよ。彼女達は負け組ですから。あと余計ではありません。妖怪の賢者(笑)の紫様には外せないものですので」

 

「うっさい狐ね、口だけは達者……いえ、頭の中はお花畑なのね。また妄想と現実がごちゃごちゃになっている……なんて可哀想なクソ狐なのかしら♪」

 

「可哀想なのは紫様の方ですよ。存在そのものが糞でできているのお方ですからね」

 

「よっしゃその喧嘩買ったわ。表出なさいよ」

 

「嫌ですね、紫様は真実を言われるとすぐにキレる……もうお歳のようですね。そうとわかれば、すぐに葬儀の準備をしたくてはなりません」

 

「まだ生きているわよ!!上等よ、あんたみたいな無礼な式は私がけちょんけちょんに()って()るわ!!!」

 

「望むところです。妖怪の賢者(笑)に負けるような私ではありませんので!」

 

「………………………………………………はぁ」

 

 

 すきまの中に消えた主人達に見えぬところでため息をつくのは八雲家唯一の癒しである橙。八雲家ではいつもの光景ではあるものの、彼女は常識(妖怪)なので醜い争いを繰り広げる主人達に呆れていた。

 

 

「にゃぁ……紫様も藍さまも慧吾お兄さんのことになると暴走して止められません。慧吾お兄さんは優しいお人だけど、お二人共迷惑を掛け過ぎです……申し訳ございませんお兄さん」

 

 

 主人達の暴走を止められない橙は決して悪くないと言えよう。それでもこの場に居ない慧吾に対して謝罪する程に流石八雲家唯一の癒しは伊達ではない。そんな橙の仕事……っと言うよりもこの後の展開がわかっているのですぐに準備に取り掛かる。

 引き出しから二人分の服とタオルを用意し、常備している薪を取りに行く。その薪を使ってお風呂を沸かしている間に少々のお食事とお茶を準備していると……ドサリッ!と庭から何かが落ちる音がした。それに気づいた橙は庭に向かえば見慣れた主人達がボロボロの姿で倒れていた。

 

 

「紫様、藍様どうぞ」

 

「ありがとう……橙、た、たすかるわ」

 

「ふ、ふふっ……やっぱり橙は偉い。それに比べて妖怪の賢者(笑)は……()(オーク)(ダイヤ)(生ゴミ)とはこのことですね」

 

「コロス……でもその前にお風呂に入りたいわ。橙、お風呂は当然……」

 

「湧いております」

 

「そう、いつもありがとう。それじゃお先に失礼するわね♪」

 

「ぬぅ!?紫様の入った後のお湯などブス汁が染み出て汚染されてしまいます。私が先に……」

 

「私が先よ!!」

 

「いいえ、私です!!」

 

「………………………………………………」

 

 

 フラフラになりながら小競り合いをしつつ風呂場へと消えていく主人達。そんな哀れな主人達に振り回され苦労ばかりしている橙だが、それでも二人を嫌いになれない自分がいる。

 妖怪は醜悪な姿をした化け物。妖怪ならば妖怪らしく男を襲って喰う(意味深)ことはおかしくない。しかし妖怪の賢者と呼ばれ、幻想郷の為にと様々な策を巡らせ時には他の者と争い、代々博麗の巫女を見守って来た紫。その下で働き、紫をなんだかんだ言いつつも支え続けた藍。そんな二人は今まで男なんか相手にされず、男を食う(意味深)ことも我慢して来た。最近慧吾と言う非常に珍しい青年と出会い、夢中になってしまうのも無理はないことだと橙はわかっているし、今まで苦労して来た分、幸せを求めて暴走してしまうのも理解できる。

 

 

 ただ暴走し過ぎてしまっているだけだ。主人達が幸せで居られたら橙にとってこれほど嬉しいことはないのだから。

 

 

「……そろそろ慧吾お兄さんに会いたいと紫様も藍さまが行動を起こす頃合いですね。お兄さんに迷惑をかけないようにしたいのに……橙は無力だにゃ……」

 

 

 これ以上の迷惑行為を野放しにしてはおけない。博麗の巫女親子からきつく監視するようにと釘を刺されている分余計にだ。橙は頭を悩ませた。

 

「んん……あっ、そうだ!」

 

 

 橙は何かを閃いたようで藍の寝室へと向かっていった。その後のことだが、食事を終えた紫と藍が慧吾の下へ行くことはなかった。橙が睡眠薬を仕込んだからである。何故睡眠薬があるのか、それは藍が買っていたもので、慧吾が一人の時にお詫びと称して、愛情(睡眠薬)を込めて作った手料理を渡すつもりだったが、結果として自身に帰って来た。実行される前に実行されてしまった哀れな藍は夢の中。当分夢から覚めないよう10倍の量を仕込んでおいて良かったと思った橙(注意!薬は決められた方法で服用しましょう!)であった。

 

 

 こうして苦労人こと橙の活躍で今日幻想郷に平穏が訪れるのでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 騒動の主犯格達は()は大人しい。そして巻き込まれた哀れな二名はと言うと……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さぁ妖夢!その性根があらぬ方向に向かわないよう今日もビシビシ鍛えていくわよ覚悟しなさい!!」

 

「ゆ、ゆゆこ様、少しは手荒な真似は控えてほしいかと……」

 

「手荒だなんて……ナンノコトカシラネ?」

 

「幽々子様、言っておきますが私、当たれば死んでしまいます」

 

「ふ~ん……それで?」

 

「えっ?それで……とは?」

 

何言っているのかしらこの子は?妖夢は半分死んでいるのと変わらないじゃない。大丈夫よ、もう半分死んでも大したことではないわ。あなたが起こしたことに比べれば……ねぇ?

 

「………………………………………………みょん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「咲夜、大丈夫よ。だからもうそろそろ出て来なさい」

 

「……お嬢様……わ、わたしは……」

 

「慧吾に退院祝いのパーティーの帰りに言われたでしょ?『もう気にしてないから咲夜の顔を見せてくれ』って。あなたは確かに周りが見えなくなって迷惑をかけたけど、もう十分反省はしたわ。慧吾は許してくれているのよ?それなのにいつまでも部屋で閉じこもって逃げるつもり?」

 

「………………………………………………」

 

「慧吾の思いを無駄にするの?彼はあなたに会いたがっている。あなたがやってしまったことに対して責任を感じているなら、これから清算していけばいいわ。それを一番理解してくれているのは彼だからね」

 

「……レミリアお嬢様……ありがとうございます」

 

「ふふっ、お礼は彼に言いなさい。そうそう、パーティーをやったからお酒が切らしちゃったのよね。買って来て頂戴。すぐに帰って来なくていいわ、お酒が無くてもフランと一緒にジュースを飲むから」

 

「……ありがとうございますっ!」

 

「だからお礼は彼に……まぁ、いいわ。後は思うように行動しなさい。人生は山あり谷あり、上手いことがいかなくても前に進まないといけないのだからね」

 

 

 親とも呼べる主人達からの愛情を受けた二人、これもまた一時の出来事であり、自然にいつもの日常戻っていくだろう。幻想郷では常識に囚われてはいけないのだから。

 

 

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