ようやく書く時間を見つけて投稿出来ましたが短いのでご了承ください。
それでは……
本編どうぞ!
「……、お……て。慧吾」
耳元で誰かが名を囁く。
「慧吾……おき……慧吾」
まただ。誰かが俺を呼んでいる。
「慧吾、起きて。起きないと……慧吾に悪戯しちゃうわよ♪」
「……霊夢か?普通に起こしてくれよ」
「もう何よ?折角起こしてあげたのに嫌だった?」
「いや、嫌じゃないが……」
俺こと上白沢慧吾だ。訳あって幼馴染の霊夢とその母親である霊香さんをこの上白沢家に泊めることになったんだが、俺の布団に霊夢が居た。おかしい、昨日俺は一人で寝たはずだが?幼少期は御袋と寝るのでも恥ずかしかったこともあったが、俺は今や青年となった身だ。俺以外全員女性、しかも全員が美人。そんな中で寝れると思うか?俺は無理だったから、一人で寝たんだ。だが今は横に霊夢の奴が……服は着ているな。一瞬焦ったじゃんか。
霊夢と霊香が泊まりに来た翌朝の出来事だ。いきなり童貞を卒業したのかと一瞬ながら肝が冷えた。しかしこうして布団に幼馴染の姿があると慣れているはずの慧吾であっても心拍数が高まってしまうものだ。霊夢の顔を直視できなくなっているのが証拠である。そんな時、障子を誰かが開ける音がするとそこには霊香が呆れた顔で立っていた。
「こら霊夢、慧吾君に迷惑をかけるな!」
「か、母さん!?ち、違うの!これは慧吾を起こしに来ただけなの」
「そう言いつつ、起こすまで慧吾君の頬を突いたり、においを嗅いでいたんだろ?」
「えっ!?なんでそんなこと知ってるの!?」
「やっぱりそうなのか!」
「母さんカマかけたわね!?」
「そうよ、母ちゃんのこと甘く見たわね。何年あんたの母ちゃんやっていると思っているのよ?それよりもちょっとこっちへ来なさい!」
「けいごー!!!」
嵐のようにあっと言う間に霊夢は霊香に引きずられて消えてしまった。
「……飯でも食うか」
彼は平常運転であった。
「御袋、今日も買い物行って来るぞ」
「ああ、いつもすまない」
「私も行って来るわね母さん」
「くれぐれも慧吾君に迷惑はかけるなよ?」
「私が慧吾に迷惑をかけると思っているの?」
「思っている」
「……」
「まぁまぁ霊香さん、霊夢のことは俺が責任を持って見張っておきますので安心してください。それでは」
しょぼーんと落ち込む霊夢だったが、上白沢家の玄関を過ぎ、親達が見えなくなると隣の慧吾を盗み見る。見慣れた顔だがその顔を忘れたことは一度もない。ずっと幼き頃より記憶に刻み込まれた楽しき日々、彼が居たからこそ今の彼女がいる。
「ねぇ」
「ん?なんだ?」
「なんでもない♪」
「はぁ?」
霊夢の奴やけにご機嫌だな。それもそうか、俺と一緒に居られる時間が増えたんだから。幼馴染でも家に泊まったことはなんてなかったし、霊夢の奴、もしかしたら神社が復興することを望んでいないんじゃないか?だがまぁ……
「ん?慧吾どうしたのよそんなに見つめて?」
「いや、なんでもない」
「もうなによ?気になるから言いなさい」
「いやだ」
「なんでよ?」
「内緒だ」
「……変な慧吾」
俺からすればまだ若い子供だ。そんな子がこの世の中からじゃ不細工だと思われている。それでも巫女としての役目を果たし幻想郷を守ってくれている立派な女の子。俺がいなかったら今頃年相応の青春なんか送れていなかったんだろうな。何の力もない俺が霊夢の癒しになるなら、今の時間を大切にしようじゃないか。
ぶらぶら人里を回る二つの影。不細工な巫女と連れ添って歩く男の姿があればそれは寺子屋の息子の慧吾だと人里では周知されるようになった。彼の周りは不細工な連中で溢れかえり、慧音の息子であることもあって今では有名だ。そのおかげで不細工好きな変わり者と勘違いしている輩もいるようだが、人里の人々にとっては見慣れた光景の一つとなっていた。しかしここは人里、ここにはあの
スッと慧吾を庇うように前に出た霊夢は手に針(封魔針と呼ばれる道具)を持ち、鋭い瞳で一点を睨んでいた。その視線の先には……
「お、おぼ、おぼぼ、おぼぼぼ、おぼぼぼぼ、おぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぉおおおおおおおおおおお!!?」
壊れた人形が誰かに無理やり体を動かされているような動きで二人に近づく小さな少女。
壊れた小鈴が血涙を流し、うわごとを何度も唱え、巨大なハンマーを引きずりながら現れた。その姿はまさにホラーであった。証拠に先ほどまで居た人々の姿が消えていた。これに対して慧吾はと言うと……
うわぁ、小鈴お前……酷い顔になってるな。可愛いのが台無しだぞ?
だけで済むのはやはり伊達に幼馴染をやってはいない。彼にとってこれも特段おかしいことではないのだろう。人間慣れればなんとでもなるもんだ。
「何しに来たの?慧吾は今、私と一緒で構っている暇なんてないのだけど?」
敵意むき出しの霊夢、それもそうである。折角好きな相手との時間を邪魔されることは世の中の女性(特に不細工な連中)にとって万死に値する行為である。しかもそれが恋敵なら尚更だ。人里は小鈴の
小鈴は何故このような状態なのかが気になるところだが、慧吾と霊夢にとっては手に取るようにわかる。
どこからともなく仕入れた情報かはわからないが、霊夢が慧吾の家(正確には上白沢家)に住まうと知ったのは間違いない。
同棲つまり夫婦またはラブラブカップルが得られる特権を味わっているのが今の霊夢だ。恋人でもない彼女が味わうなんてそんなことを許されないことだ小鈴にとっては。小鈴ですら上白沢家に泊まるなんてことはなかった。まぁそれには理由がちゃんとあり、ある日小鈴が勝手に上白沢家へと侵入。寝ていた慧吾の布団に忍び込み既成事実を作ろうとしたがあえなく慧音に見つかり叩き出されたことがあった。一回、二回だけではない常習犯を泊めさせようとはしない。自業自得なのだが、自分には得られない体験を霊夢が味わっている事を許しておくわけにはいかないのだ。だからこそ……
「この脇巫女がぁ……最近調子乗ってんじゃねぇです。なにちゃっかり同棲してやがるんですかね?ケイ君を独占していいと思ってやがるんですかあ"あ"ん"!?」
「なによ、文句でもあるの?私は
「この脇巫女野郎、それらしい理屈で言い訳しやがって!脇が
「はいはい、言うことはそれだけ?それじゃ行こ慧吾」
同棲していることがポイントが高いのかはわからないが、マウントを取った霊夢に小鈴の言葉は効かなかった。みるみるうちに小鈴の怒りがMAXとなり、言葉で勝てぬとわかると強硬手段を取る。
「おのれ!こうなったら実力行使に移させてもらうわ……脇巫女覚悟!!!」
「お、おい小鈴!?」
巨大なハンマーを振り上げ、背を向ける霊夢に振りかざそうとする小鈴になり行きを見守っていた慧吾も流石に止めに入るが、それを止めたのはなんと霊夢だった。
「慧吾動かないで。動くと危ないから」
「危ないって何が……んっ?」
小声で慧吾に語り掛ける霊夢に疑問を感じたが、視界が暗く感じた。いや、表現が正しくないようだ。正確には何かで日光が遮られて陰になった場所に慧吾は居たことで暗く感じただけだった。その陰の正体を知るべく視線を上げるとそこには……
……はっ?岩……???
岩だった。大きな岩が視界に映る。空から降って来たであろう岩に意識を奪われスローモーションのように時間が感じられた。気がつけば岩が大きな音と大地に突き刺さった光景が目に飛び込んできた。
「ふーはっはっは!博麗の巫女、私にひれ伏せ!!!」
その岩でドヤ顔を披露する青髪の少女が突如現れたことで、慧吾の思考はクリアとなるが、確かなことが一つある。
ああ、また面倒ごとに巻き込まれるのか俺は。
新たな訪問者の目的は如何に?慧吾の運命は?次回へ続く!!!