最近小説に掛ける時間が減っている作者です。それでもゆっくりながら投稿させていただきます。
それでは……
本編どうぞ!
「はい慧吾の分のお茶ね♪そして……ほれ魔理沙の分」
「「……」」
博麗神社へとお邪魔した慧吾は霊夢におもてなしされていた。そして隣に座っている魔理沙にも一応のおもてなしはされていたが……明らかに慧吾と魔理沙との態度の違いと出されたお茶には天と地ほどの差があった。
「おい霊夢……これは何なんだぜ?」
「何って……お茶よ?」
「……どう見ても葉っぱなんだぜ……慧吾には何に見えている?」
「俺も葉っぱにしか見えねぇ……」
慧吾には入れたての湯気が立ち上る熱々のお茶が出された。霊夢はこう見えてお茶を入れる才能はピカイチなのだから美味しいお茶であるとわかる。だが、それに比べて魔理沙の前に出されたのは葉っぱ……粉状にもなってないそのままの葉っぱが茶碗に無造作に入れられていた。
「飲まないの?」
「飲めるか!!なんで慧吾にはちゃんとしたお茶が出て来て私には葉っぱなんだ!?不公平なんだぜ!!」
「嫌なら没収するわ」
「普通のお茶を入れろよ!!」
「嫌よ」
ツンとした態度で魔理沙の抗議をものともしない。折角慧吾が来てくれたのに
霊香の方は更に醜悪さを成長させていた。霊夢が子供の頃でも凶悪だった果実は更に大きさを増し、見る者全てに吐き気を与えるだろう……霊夢と魔理沙は見慣れたものだが、慧吾は見慣れていてもグッと来るものがあった。この世界では豊満な果実は不細工の証の一部だが、慧吾にとっては魅力の一部だ。それだけでなく、子供の頃から見ていた霊香の肉体はより良いものに引き締まっており、巫女装束から覗かせる美しい筋肉が慧吾を刺激する……霊夢の母親でなければ本気で告っていたかもしれないと思っていた事は慧吾の心の内に秘めて置く。
「こら霊夢、また魔理沙ちゃんに意地悪しているのか!」
「ゲェ!?ちょっと母さんこれは……誤解よ!魔理沙が新鮮なお茶が欲しいって言ったから……」
「私はそんなこと言ってないぜ!!」
相変わらずだな魔理沙も霊夢も……この前は饅頭の取り合いでいがみ合っていたこともあったな……それにしても霊香さんの前では霊夢は頭が上がらない……母親は強しだな。
「慧吾も霊夢の私に対する犯行を見たんだぜ!そうだろう慧吾?」
「ん?まぁ……そうだな」
「れ~い~む~!正座しなさい!」
「母さんそれはその……」
「せ・い・ざ!!」
「……はい」
「ぜへへ♪いい気味だぜ♪」
この光景も見慣れたものだった。慧吾と魔理沙だけが仲良くしていると霊夢はいつも限って魔理沙にちょっかいをかけてくる。それが霊香にバレて叱られるのを何度も見てきた。あの博麗神社で出会った頃から霊夢と魔理沙そして慧吾自身の運命を大きく変えた出会いだった。
不細工な霊夢と魔理沙は以前よりも明るくなった。霊夢は未だに人里に苦手意識があるが博麗の巫女となり仕事で向かわなければならない時もある。人里は苦手だが、そこには霊夢が大好きな慧吾が住んでいる。仕事で疲れた帰りには必ず慧吾の元へと立ち寄るのだ。その時に慧吾が不在だったりすると不機嫌になる。逆に訪ねた時に慧吾がいると甘えた猫のように転がり込む。慧吾は何も言わずに現実を受け入れるしかない。それならば毎日訪れたらいい事かもしれないが、先ほど言った通り霊夢は人里が苦手だ。そして母親である霊香には「むやみやたらに慧吾君に付きまとうのは禁止!」ときつく言っているので自ら出向くことはできないため、逆に妖怪退治の依頼が来れば慧吾に会いに行っても誰にも文句は言われないのである。だから妖怪退治の依頼が来ないかワクワク待機していることだってある……慧吾が博麗神社に来てくれないか待ち望み、発作を起こしては猫のように待っている。
魔理沙も慧吾と出会い自分に自信を持った。霊夢に対して勝負を挑んだり、負けそうになっても最後まで諦めずに食らいつく負けず嫌いに育った。今では親元を離れて一人で魔法の研究の日々を送っている。たまに実験に付き合わされて酷い目に遭うことがあるが、魔理沙をそれで嫌ったりすることはない。魔理沙は一人暮らしなので昔慧吾が魔理沙の家に一人で行った時は大変だった。お互いに楽しい一日を過ごして慧吾が帰ろうと扉を開けるとそこには光を失った瞳で手には鋭い刃物を握り玄関の前に立っている霊夢がいたのだから……霊夢が朝からずっと玄関の前で待っていたことを知ってしまった慧吾は笑う事も出来なかった程だ。
しかしそんなことを何度も経験していくうちに慧吾は次第に適応していった。霊夢の発作も抑える方法を編み出したし、ある程度のことならば心が乱れずに対処することができるようになった。今ではこんなことが日常の一部になっているのだからこの青年は凄いと言える。
「な、なぁ……慧吾」
「ん?」
魔理沙は慧吾の表情を窺うようにチラチラと視線を向けてはすぐ逸らしてしまう。自分のことを呼んで置いて視線を逸らすとはどういうことなのだろうかと不思議がった。
「……こんな生活がずっと続けばいいよな……」
「……そうだな」
思いにふける慧吾を魔理沙は横からボケっとそのまま見つめていたが、ハッと我に返り深々と帽子を被り表情を隠す……慧吾は知っている。霊夢のように積極的に甘えて嫉妬してくれればたとえ鈍感であってでも自分に好意を持っていることがわかる。しかし魔理沙はそんな素振りを見せない……否、見せないようにしているつもりのようだった。慧吾は鈍感ではないし、ちょっとしたことで魔理沙の隠れた思いを感じることがあった……それも何度も感じている内にそれは確信へと変わった。
魔理沙も密かに俺を好いてくれているんだよな……霊夢のように表に見せないだけで……
本人は隠しているようであるが、好意を向けられている慧吾からしてみれば魔理沙からの熱い視線に気づかない訳はない。好意があることを知られてしまったら恥ずかしいのだろう……乙女なところがこれはまた可愛らしと慧吾は思えた。だが、それともう一つ理由がある。それは霊夢との関係だ。
霊夢は慧吾を好いている。心が病むほどに……そこに魔理沙が加わればどうだろうか?この3人は友人同士、その関係にヒビでも入れば修復は難しいだろう。霊夢は魔理沙が自分と同じく慧吾を好いているのかそれは当の本人に聞いてみないとわからないが、ライバルが増えてしまうことだ。それに病んだ霊夢がそれを良しとするかどうかも不明で、魔理沙は友人である霊夢も大好きだ。その関係が崩れてしまったらと魔理沙は思っているのだろう……魔理沙は根は優しい子であるため表に出さないのだ。だから自身の思いを我慢して慧吾に接している……慧吾もそのことに追求することなく気づかぬフリをして今の関係を続けている。魔理沙が言うように「ずっと続けばいい」と心のどこかで思っているのかもしれない……それと慧吾にはまだ悩みの種があった。
それにだ……古くから関係が続いているのは霊夢と魔理沙だけではないんだよな……
一人の姿を思い起こす……実は慧吾にはもう一人古くから付き合いが長い相手がいる。その相手とは……
「見つけたよ
丁度タイミングのいいところで現れたな……
神社に高らかと響く声に全員の視線が注目する……姿を思い起こしたもう一人の忘れていけない友達が彼にはいたのだ。
「小鈴か」
小鈴と出会ったのは俺が寺子屋に通い始めた時だったな……
慧吾は思い出す……少年時代に霊夢と魔理沙以外にも友達になったこの少女との思い出を……
少年時代の出来事……
「待ったか霊夢、魔理沙?」
「ううん、いまきたところ」
「だじぇ」
博麗神社での出来事から色々とあって、現在人里の門前に集まっているのは霊夢と魔理沙に慧吾の三人だ。人見知りだった魔理沙とも友達となり、こうして3人で人里で集まり買い物をするようになっていた。世の中のモテない女性陣達からしてみれば羨ましい光景だろう。実際に霊夢と魔理沙を睨む大人げない大人が視界の端にチラホラ見えた。
「慧吾はやくいこう!魔理沙もうじうじしてないでついてきてよ!」
「れいむまってくれだじぇ~!」
「走って転ぶんじゃないぞ」
人里が苦手な霊夢でも慧吾と魔理沙と会えるなら話は別だ。いつも以上に上機嫌で霊香から貰ったお小遣いを片手に人里を駆け抜ける……置いて行かれるのが嫌な魔理沙は霊夢の後を追いかけていく。そんな二人の面倒を見ているのはいつも慧吾の役割だ。そして今日も保護者の代わりにしっかりと目を凝らして何か仕出かさないか注意しておく。
「(さてと……今日はどこに寄ろうか……)」
慧吾も3人だけでの買い物を密かに楽しみにしているのだった。
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今日は色々と見て回った。普段はあまり行かない場所にも行ってみたり、甘味堂で甘いおはぎにありついたりもした。この人里で暮らしていたのだが人里は思っていたよりも広かった。成長したと言ってもまだ子供の体であるため世界が大きく見えている。霊夢と魔理沙と友達になってから結構の月日が経ち、今ではこうして遊びに行くまでの仲になった。そんな霊夢と魔理沙に紫さんと藍さんが嫉妬して「「私達の
「む~!!」
「れ、れいむ……きげんなおせ……だじぇ」
先ほどから霊夢が不機嫌だ。それは俺達が買い物を楽しんでいた時に立ち寄った店で女性店員が俺に色目を使って来た。俺の本能がすぐさま「こいつショタコンだ!」とアラームを鳴らして警報を教えてくれた。男が少ないからと言って買い物に来た子供を誘惑するんじゃねぇと感じたぞあの時は。丁重に断ったが何度も引き止めて滞在させようとしてくるので少々イラついた。結果的には
チラリと霊夢の様子を窺った。今では機嫌が悪そうな様子だけだが数分前までは魔理沙も話しかけられないぐらい様子が変わっていた。
光を失った瞳に感情を感じさせない……不細工な顔と言う印象を通り越してそこには血も涙もない恐怖心を覚えさせる無表情の顔があった。子供に似合わないどす黒いオーラを身に纏って女性店員を無言で威圧していたのだ。それを見てしまった哀れな女性店員は慌てて慧吾を解放した。しないと自分の身に何が起こるのか悟ったのだろう……その後に慧吾達はすぐさま店を出て行ったから問題は起こらなかった。もしもあのままあの場に留まっていたらどうなっていたことか……道ですれ違う人々が慧吾達を避けていたのは印象に残ることだろう。不細工な二人が居るからではなく、霊夢から漂うどす黒いオーラが慧吾と魔理沙以外を寄せ付けなかった。どす黒いオーラを身に纏っている間は会話が一切なく沈黙状態が続いた程だ。しばらくして霊夢のどす黒いオーラは次第に影を潜めていき、頬をぷくっと膨らましてむくれる霊夢がその場にいた。
霊夢から感じたあれは何だったんだ……?人形のように無表情……いや、人形の方が表情がある気がしたぞ。あの時の霊夢は本当に表情から何も読み取れなかった。ただ瞳がヤバイと思った……生きている人間がしちゃダメな瞳だったとハッキリ言えるぞ……
慧吾は霊夢の奥底に隠された一面を見てぶるりと体を震わせていた。今でもあの時の表情が鮮明に頭に残っている……夢の中に出て来ぬよう密かにお祈りを心の中で済ませておく慧吾だった。
「霊夢……もう……こわい霊夢じゃないか?」
「……だいじょうぶ、もうおちついたもん」
魔理沙も先ほどの霊夢を見てビクビクしているようだ。それでも友達である霊夢を心配していて声をかけている程に霊夢の事が大事なんだろう。
「そ、そうか……よかったじぇ……うぅ!?」
「ん?どうした魔理沙?」
先ほどまでビクビクしていた魔理沙は霊夢が落ち着きを取り戻したのだとわかった。すると今度は急に体がピクリと反応し何やら体をもじもじし始めた。霊夢に対する恐怖で体が震えてしまったのではないと慧吾は見ていて理解できた。魔理沙は何かを我慢していることに気がつき、顔を赤色に染めてしきりに辺りを気にしている様子に確信を持って自然と口に出た。
「おしっこか?」
「じぇ!?こ、こえにだすなだじぇ!!」
「おぅ、悪い」
霊夢の緊張感から解放された反動だろう。声に出されてしまって恥ずかしさのあまり顔が更に赤くなり、帽子を深く被ってそれを隠そうとするが、トイレを我慢できずそれどころではない。羞恥と我慢している苦しさもあり辛そうだった。早くしないと道端で漏らしてしまうと焦っていたし、慧吾も女の子である魔理沙にそんな醜態を晒させるわけにはいかないとどうするか考えるが、こうしている間にも徐々にトイレを我慢できなくなっていく。
「うぅぅぅ……!」
悲鳴に近いか細い声を震わせて体が危険信号を発していた。
「俺の家まで我慢は……難しいな。そうだ!こうなったら近場でトイレを借りよう。どこでもいいんだがそうだなぁ……おっ!あそこにするぞ!魔理沙付いてこい。霊夢もはぐれるなよ!」
「慧吾にいろめをつかったあのメスブタ……いつかおもいしらせてやる……」
「おい霊夢なにやっているんだ。来ないと置いていくぞ!」
「えっ……まって慧吾どこいくの!?」
慧吾は魔理沙を連れて近くの建物に向かって行く。この時、慧吾は魔理沙のことで霊夢の心の内にあるどす黒い何かに気づくことはなかった。慧吾の後を追い、霊夢も小走りでついていく……そしてその建物にはこう書かれていた……
『鈴奈庵』と……
「すみません!いきなりですがトイレをお借りしてもよろしいでしょうか?」
慧吾は建物に入るとそこは本棚が並べられており、奥には机と椅子が置いてあった。意外なことに本棚は一般家庭とは違い沢山並んでいた。おそらく貸本屋なのだろう。慧吾はこんなところに貸本屋があるなんて思わなかったが、今はそれよりも魔理沙のことが先だった。すぐに優しそうな女性が傍に居たので声をかけた。
「トイレ!?わ、わたしの中に出したいと言うの!!?だ、だめよ!!私はこう見えても一児の母なの……でもどうしても出したいと言うのならば喜んで欲望を私に流し込んだらいいわ。寧ろ飽きるまで私を使ってくれてもいいのよ坊や♪」
「違うから!人の話をきけぇ!!」
期待を込めた瞳を向けて来る人妻を説得したことで、童貞の危機を感じたが誤解を解くことができた。人妻が残念そうにしていたのを当然ながらスルーする……この世界で暮らしている内に慧吾も今では周りの環境に適応して生きている。これぐらいのことで敗北してはこの世界で生きていくことなどできない。今までの経験が活かされて発情した女性を落ち着かせることもある程度できるようになっている……大したものだと褒めてあげてもよいだろう。
誤解を解いたことで人妻はすぐに魔理沙を奥へと案内した。すぐに誤解を解いたことが幸いで、霊夢が入って来たのはその後のことだった。この出来事を知らなかったのが幸運だったと慧吾は内心ホッとした。もしもこの出来事を知ったらまたどす黒いオーラを纏い、光を失った瞳が人妻を見つめていたことだろう……
「ねぇねぇ魔理沙は?」
「奥だ。俺達はここで待っていよう……それにしてもここは本ばかりだな」
「そうだね……つまんなさそう」
慧吾と霊夢は辺りを見回した。建物自体はそれほど大きくないがまだ体が小さい二人は本で埋め尽くされた空間に立っているような感じだった。霊夢は本自体にはあまり興味を示していない様子だ。慧吾の方も最初は本が沢山あるなと思って見回していたがふっと気づく。そしておもむろに一冊の本を手に取った。そして驚いた。
「この本は……?!」
「どうしたの慧吾?」
「……外の世界の本だ……!」
見覚えがあった本……元々幻想郷にあるはずのないもの……中国の三國志があったのだ。巻数はほとんどの巻は揃っていなかったが、他にも幻想郷とは程遠い内容の本がいくつも見つけた。
慧音から幻想郷は外の世界と呼ばれる現代社会……そこは慧吾が転生する前に居た世界と瓜二つの世界らしい。時々幻想郷に外からの物が流れつくことがあるが、慧吾は今まで外の世界の物に触れていなかったので懐かしく感じた。ついつい興味が本に注がれてしまう。その横で何度も名前を呼ばれていることにも気づかずに意識は本のみに注がれてそれを良しとしない霊夢が不機嫌な様子だ。
「慧吾……慧吾ってば!!………………ブーッ!わたしをむししたらダメ!!」
本に興味がいっていた慧吾から本を取り上げる霊夢。「あっ」と声が出るが既に霊夢が取り上げた後だ。構ってくれない慧吾に対してむくれていた……そんな時、本の隙間から何かが落ちた。二人は自然とそれに注目することになる。
なんだこれ?写真か?この幻想郷に写真があるとはな……外の世界から流れ込んで来たものかわからないが、どれどれどんな写真なんだ…………………………んなっ!!?
慧吾は拾い上げた写真を見て固まってしまった。目が飛び出そうなほどに驚いた様子に霊夢も気になってその写真を覗き込もうとするが……チリンと鈴の音が聞こえた瞬間に誰かの声が響いた。
「はうわぁ!?しょれはこすずのおたから!!だからかえしてくださしゃい!!」
はっ?お宝……?この子は何を言っているんだ……!?
慧吾は声の主に驚いた。自分よりも背が低く、霊夢よりも更に低く小柄な体で幼い故に言葉も噛みながらの少女が現れた。そんな子供がこの写真を「お宝」と呼ぶのだから慧吾は自分の目を疑うのも無理はなかった。何故ならその写真に写っているものそれは……
「かえしてくだしゃい!それはこすずの……」
「おたからの
写真に映し出されていたのは着替えの途中であろう上半身裸の男性の姿だったのだ。
これがこいつの……本居小鈴との初めての出会いだった。