東方あべこべものが徐々に増えているのに感激中でもあります。
いいぞもっと流行れ流行ってくれ!(切実な思い)
それはともかく……それでは……
本編どうぞ!
「小鈴か」
慧吾はその少女の名を呟いた。名前を呼ばれた少女は小走りで近づき……
「
そう言いつつ近づいていき慧吾に自然と手を伸ばす……胸の辺りにジリジリと吸い寄せられるように触れようとするのである……女性が男性の胸を触るなどセクハラ行為だ。当然慧吾はそんなこと許さず触られる前にそれを払いのける。
「流れるようにセクハラはやめろといつも言っているだろ小鈴」
「いいじゃありませんか。私とケイ君だけのスキンシップじゃないですか♪なので少しだけさわさわしても同意の上ですから問題無しですよ!」
「同意も何もしてねぇし問題大ありだ」
「チッ」
今舌打ちしやがったのは本居小鈴と言い、俺のことを「ケイ君」の愛称で呼んでくる。それは別に良いんだが何かとこいつには黒い部分があって昔からそれに俺は苦労させられる。今まさにセクハラされそうになったんだからよ……女である小鈴が男である俺しかも胸を無断で触る行為は、俺が元に居た世界で男が女の胸を触る犯罪行為なのだ。つまり御法度な行為だ。あべこべ世界であるためにそういったところが反対になっている。そしてこいつはそれを平然としようとした……俺でなければ即逮捕だったろうな。友達関係だから触ってもOKみたいなところがこいつにはある……寧ろ触らせろと何度か迫られたこともあった……正直あの時はマジで俺をイラつかせたこいつは猛者だ。おしとやかそうに見えて実は見えないところに危険がある……鈴奈庵に住んでいるのだが、そこには秘蔵の品と言うエロ本が何冊も保管されている。その大半はこいつの所有物だ。つまりこいつは変態枠に入る部類なんだ。何故こんな奴と俺が友達なのかは色々とあってだなぁ……
はぁ……と堪らずため息が出てしまった。そしてその息が空気中に発散する前にすかさず顔を近づける輩……小鈴が目にもとまらぬ速さで息を吸い込んだ。自身の全身に深く沁み込ませるようにくちゃくちゃと音を立てて空気しかないはずなのに口の中はとろみを感じさせて、小鈴の唾液が慧吾の吐息と混じり合おうと濃厚な粘り気を生み出しあるはずもない味を堪能する。
「……ぷはぁ!ケイ君の吐息……食べちゃった♪」
頬が赤色に染まりトロリとした表情がまるで淫魔が降臨したと小鈴を知らぬ者ならば錯覚をしてしまったであろう……しかし慧吾はそんなことなど気にも留めずに無視するのみ。無視だけで済んでしまうのはいつものことだからだ。そうでなくては毎回気にしていては慧吾の方が持たなくなってしまうからである。しかしその行動にプルプルと体を震わせて黙っていない者がいた。
「お、おい!小鈴お前いい加減にしろよ!」
魔理沙だった。顔を真っ赤にして小鈴に睨みを利かしていた。自分の目の前でこんな光景を見せられて黙っている訳はないのだ。しかし小鈴の方は敵意を向けられているのに対して平然としていた。
「いつものことだからいいんですよ。魔理沙さんも懲りないですよね……自分もケイ君の吐息を食べちゃいたいのならば素直に言えばいいのに」
「ば、ばばばばばばばばばばかッ!!?わ、わわ、わたしがそんなうらやまし……じゃない!!そんなハレンチなことしたいとお……おもってないから!……ど、どんな味だとかどんな香りがするとか気にしてない……気にしてない……ほ、ほんとうなんだぜ!!!」
顔が真っ赤な茹でリンゴに変わってボソボソと独り言を呟く魔理沙は慌てていた。その光景をニタリとねばり気のある笑みを浮かべて見ていた小鈴は更に追撃を加える。
「私、見てしまったんですよね~魔理沙さんが落ちていたケイ君の髪のにおいを隠れて嗅いでいる光景を~♪」
「嘘!?見られていたのか……はっ!?ち、ちがうんだぜ!!慧吾違うんだ!!こ、これは小鈴の言う出まかせで……!」
「そして魔理沙さんが
「や、やめろ……!やめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめてくれー!!!」
真っ赤色を通り越して燃え上がる顔を帽子を覆い隠してそのまま博麗神社から逃走してしまった魔理沙……そしてしてやったりと満面の笑みを浮かべる小鈴……勝者は小鈴で決まった。だがまだ終わっていない……魔理沙は負けたがもう一人厄介な相手が残っている……
「…………………………」
無言で小鈴の背後に佇むのは病んで霊夢だった。霊香に説教を受けていたはずが、瞬間移動したと錯覚してしまう程の速さで小鈴の背後を取ったのだ。そして霊夢は濁りに濁った瞳で見下ろしていた。それに気づいた小鈴は振り返っても笑みは消えていなかった。
「霊夢さん居たんですね。ああ、ここは博麗神社なので博麗の巫女である霊夢さんが居ない方がおかしいですよね失礼でした」
「……そうね……ねぇ小鈴……前にも言ったわよね?
「
「………………………………………………………………………………」
小鈴は挑発的な態度で見上げたまま霊夢に言い放つ。その言葉に眉一つピクつかせることなくただ小鈴を見下ろし続けていた。無言の圧力をかける霊夢相手に縮こまることもせずに威勢を保っている小鈴は間違いなく強者と言えるだろう。
毎度のことながら俺の前で争うなよ……ほら見ろよ。霊香さんも呆れて物も言えなくなっているぞ。
何度目だろうか……このやり取りも見飽きたものだと慧吾は感じる。そして慣れてしまった自分はもうこの世界の住人なんだと改めて実感させる要因であった。
霊夢・魔理沙・小鈴の3人が慧吾の昔からの付き合いだ。何度も反発し合い時には互いに協力し合った時もあった。そして小鈴と初めて会った時の記憶が自然と思い浮かんでくる……
過去の鈴奈庵にて……
「おたからの
まだ幼くて言葉を噛みながら言い放った小柄の少女が慧吾の手に持っている一枚の写真を見つけると凄い勢いで詰め寄ってその手から奪い取った。小柄の少女は写真に傷がついていないか念入りに隅々まで目を凝らしながら確認している。奪い取られた慧吾の方はあまりの衝撃に固まっており、写真の中身を見ることが出来なかった霊夢は名残惜しそうに写真を見つめていた。
……はっ!?突然の出来事で我を失っていた……が、この子は何を言っているんだ!?さっきの写真はどう見ても成人男性の上半身裸が写っていた。ただ写真に写っているならば俺は何かの記念写真か自身の肉体のアピールのために撮ったものだと思えただろうが……そうは思えなかった。この写真には不自然なところがある……それは写っている男性の向きだ。男性を横から見上げるように撮られていた。しかも上半身裸なのは男性が着替えている最中であったと気づいてしまった。つまり俺が言いたいのは……これは盗撮写真だということだ。この時代に撮影技術があるのは妖怪の山にいる天狗と言う種族に関係していることだが今はそんなことはどうでもいい。肝心なのは目の前の子供がそれを『お宝』と呼んでマジマジと舐めまわすように見ていたことに、俺の背筋に冷たいものが触れた錯覚を引き起こしたぞ……
体が急に寒さを感じた慧吾は背を向けて写真を眺めながら「はぁ……はぁ……♪」と甘い声で息を出している小柄の少女から自然と距離を取った。本能が危険性を感じ取り防衛本能が働いた結果だった。慧吾は6年しか生きていないが様々な魔の手から己の童貞を守って来た。その過程で変態的な行動を起こす大人を見てきたが、目の前にいるのは子供だがその大人達と雰囲気が似ていた。小柄の少女も霊夢や魔理沙と同じで不細工に該当する。飴色の髪を鈴がついた髪留めでツインテールにしており、紅色と薄紅色の市松模様の着物を身に付けていた。勿論不細工なので吹き出物もシミも無く将来は有望な不細工に育つだろう。しかし慧吾にとっては不快感など感じない……のにも関わらず距離をおいてしまう。
この子は……捕食者だ!危険だぜぇこの子供はヤバイぞ!!?
流石に歳がさほど変わらない子供が捕食者とか冗談ではないと慧吾は思った。まだ幼く純粋な時期……好き嫌いはあるにしても性欲が開花している子供がいるとは思わなかった。もしかすると他にもいるのかもしれないが、慧吾は会ったことが無い。会って堪るもんかと全力で拒否するであろうが、瞳に映る小柄の少女の後ろ姿が今や子供に見えず、小さな捕食者が映っていた。
「だぁれ?」
霊夢が小柄な少女に聞いた。名前の知らない子に対する純粋な質問だろう……しかし慧吾は正直このまま関わらない方がいいとさえこの時は思えたのだ。だがもう遅かった。思い出したように小柄な少女は振り向いて挨拶をする。
「ぐぬへへへう~♪……はっ!?そ、そうでした!おきゃくしゃんのまえだった……ごめんなさいわたしは……ぴぃあ!?」
奇声を上げて目が飛び出したのかと思うぐらいに驚いた様子だった。それもそのはずである……先ほどまでお宝だと言っていた男性の盗撮写真がひらひらと重力に従って床へと落ちた……それ程の衝撃だった。写真で見るよりも歳が近いし、顔もいい、更に写真では味わえない相手から向けられる視線、におい、声、呼吸音……それら全てに生々しさがある。写真では決して味わうことのできないもの……それが生だ。写真なんかよりも生が良いに決まっていた。紙切れで満足なんかできるわけがない……女なら当然生を選ぶ。
「わ、わらひは……ごほん!わたしは本居小鈴でしゅ!パパとママのまぐわいによってうまれました!わたしのゆめはだんせいとまぐわってママになることでしゅ。そのためならばおたからもすてます!!ですのであなたのたねをわたしのおちつのなかにうえつけてくだしゃい!!」
本居小鈴……この鈴奈庵の子供か……ってこいつさっきからなに卑猥なことばかり言っているんだよ!?『うえつけてください!!』とか輝いた表情で言ってんじゃねぇぞ!!?それにその歳で『まぐわい』とか使うなよ!!おいこら親は一体どんな教育をしてきたんだよぉ!?
慧吾は心の奥底から吐き出してしまいたい衝動に駆られた。自分よりも歳下の子供が大人の性事情を知っており尚且つ初対面で『まぐわい』や『たねをうえつける』などと卑猥な言葉を覚えていた。確かにこの世界は男が圧倒的に少なく美醜逆転しており美人が不細工に、不細工が美人に受け取られる世界だ。不細工が損をする世界でもあり、女は堪りに堪った性欲を発散させるために男を求めて襲い掛かることがあるが、まだ早すぎる性事情を目の前の小鈴は理解していたことが慧吾にとって心をえぐられる気分だった。
純粋に外で遊び、大人を真似事をしたり、勉強をして次第に体と心に相違して『性』というものを理解していくものだ。今はただ周りに迷惑をかけ、何度も怒られて成長していく過程をすっ飛ばして「サンタクロース?そんなものいない。あれ親でしょ?」なんて言われるようなものだ。こんなこと自分の子供から言われてみろ……親は悲しくてやりきれないはずだ。だから慧吾は目の前の少女と言う存在がショックだった。
こいつこんな歳で既に純粋を捨てやがったとは……こんなの見ていると悲しくなる。何とかして純粋な心を取り戻させてやらないと俺が見ていられねぇぜ……
「小鈴とか言ったよな?とにかく落ち着いて話そうぜ。そう興奮するな、俺達はただここに寄っただけだからすぐに出て行く」
「――ッ!?そ、そんな……やっぱりわたしはぶさいくなんでしゅね……このかおのせいで……」
そう言った小鈴は先ほどまで興奮していた気分が一気に冷めきってしまった。何度か訪れる
小鈴はまだ幼いながらもちゃんとした親がいる。決して毒親ではない立派な両親に囲まれてこの鈴奈庵で暮らしていた。そんなある日に夜遅く起きた小鈴はトイレに行くときに見てしまった。この世のモノとは思えない芸術的な光景……視界に映る光景は激しく上下に揺れ動き、暗闇の中で聞こえてくる美しい
布団の上で夜の大運動会を繰り広げていた両親の神秘的な姿を目の当たりにした小鈴の中で何かが弾けた……小鈴はそれ以来、あの神秘的な光景を忘れることができず、体が
しかし返ってきた言葉はやはり自身を避けるものだった。理解していたが理解したくなかった……顔が悪いという理由だけで男性をまともに話ができない、遠ざかってしまうなど経験していたからである。本人はこの醜い顔が全て悪いと思っている(本当は欲情した小鈴を見て引いていただけだったのだが)
「……すみませんでした。みぐるしいものをみせて……わたしはこれでしつれいしましゅ……」
慧吾と霊夢に背を向けて奥に向かおうとする。背を見せた小鈴の表情は唇を噛みしめてとても悲しそうな顔をしていたがそれを見せることはなかった。これ以上自分の醜い姿を見せることは必要ない。小鈴も不細工に生まれてしまったが故に苦しい思いをする一人の女であった……
「……見苦しいなんて思ってねぇよ」
「……えっ?」
そんな時に背後から声がかかる。声に釣られて振り向くとその声の主は勿論慧吾であった。
慧吾は目の前の小鈴が不憫に思えた。霊夢や魔理沙と同じように見た目で損をしている……小鈴に至ってはそれだけのせいではないのだが、それでも慧吾は声をかけた。
「俺は別に不細工とも見苦しいとも思っちゃいねぇって。ちょいと俺は特別でな、小鈴の顔を見ても嫌とは思わねぇんだ。だから悲観的になるなって」
「で、でも……むりしてないでしゅか……?」
「してねぇよ。また本当のことを言うと小鈴は小っちゃくて
「
「あっ」
しまったと慧吾は思った。以前本当のことを言って
「ほ、ほんとうでしゅか!?うそじゃないんですよね!?……ね?」
不安混じりの期待を込めた瞳でウルウルと見つめられてしまった。小柄な小鈴は見上げる形で潤んだ瞳が慧吾の心を刺激する。
こりゃ勝てないな……正直に話すか。もし紫さんや藍さんみたいに襲ってきたら容赦しないけど。
「嘘じゃない。俺にはちゃんとかわいい女の子に映っているから安心しろよ」
「ふぁあああ!!」
煌々とした表情で今までの鬱憤が吹き飛んだ顔をしていた。男から今までかわいいと言われたことのない小鈴は感極まった。
「お、おなまえを!おなまえをおしえてくだしゃい!おねがいしましゅ!!」
「落ち着けっての、俺は上白沢慧吾だ。寺子屋を営んでいる上白沢慧音の息子」
「しってましゅ!たれチチのせんせいのことでしゅね!」
おい御袋のことを垂れチチなんて言うんじゃねぇ!こいつ意外に外見とは裏腹に口がわりぃな……見た目に惑わされるなと言う事だな。一つ学んだぞ。
「小鈴ってよんでくだしゃい!慧吾しゃま」
「様呼ばわりするな。慧吾でいいぞ。それにこれからは友達だから気軽に呼べ」
「わ、わたしとおともだちになってくれるのでしゅか!?ほ、ほんとうでしゅか!!?」
「ああ、ここで会ったのも何かの縁だ。人と人との縁は大事にしないとないけないからな。だからそんなに堅苦しくなるな」
「わ、わかりました!これからは
「好きにしろよ」
「ああ……かみしゃま、ほとけしゃま、このごおんいっしょうわすれません!」
跪いて神に感謝するように祈りを捧げる小鈴の姿に頭が痛くなりそうな慧吾だった。
はぁ……疲れた……今日だけでも色々と問題が起こり過ぎた。めんどくさそうな奴だが放ってはおけなかったから仕方ない。自己満足と言うことにしておこう……それに鈴奈庵だったっけか?暇を潰せそうな場所だし、外の世界の本もあるならば読むに越したことはない。御袋から借りた本も読んでしまったから丁度いいし今日の出来事は良しとするしようじゃねぇか。こうして霊夢と魔理沙と人里を見て回って運よくここを見つけられてよかった……ん?霊夢……あっ。
慧吾はふっと思い出してしまった。そう言えばこの場にもう一人居るはずなのに先ほどから会話に一切入ってくることなく静かだ。嫌な予感がした……慧吾は恐る恐る背後を振り返って……見てしまった。
「………………………………………………………………………………!!」
そこには血走った瞳が二つこちらを凝視して辺り一面がどす黒いオーラで暗黒世界へと変わり果てていた。暗黒世界から血走った二つの瞳が慧吾と小鈴をずっと静かに見つめていた……
霊夢のこと……忘れていた……
「ふぅ……またせたじぇ!……ってこれはいったいなんなんだじぇ!?」
……こっちが聞きてぇよ……
これが慧吾達と小鈴の最初の出会いであった。ここから霊夢と小鈴の争いが繰り広げられ、慧吾も魔理沙もそれに付き合わされ現在まで続いていく関係となっていったのであった。
読みにくいとの指摘があったので少々変えてみました。