だから、お初です。
10/29 三人称の呼び方を変更
目の前にはでっけえ魔物
背後には大量の魔物。骸骨。
どっちがいいかなって思うけどどっちもやばいから選びようがない。
それに、騎士団長のあの感じ。多分デカい魔物のほうには勝ったことがないんだと思う。ベヒモスって言ったかな、こいつはやばい。
囲まれて撤退できない。
グルァァァァァアアアアア!!
その咆哮が団長たちを正気に戻す。
「アラン! 生徒達を率いてトラウムソルジャーを突破しろ! カイル、イヴァン、ベイル! 全力で障壁を張れ! ヤツを食い止めるぞ! 光輝、お前達は早く階段へ向かえ!」
「待って下さい、メルドさん! 俺達もやります! あの恐竜みたいなヤツが一番ヤバイでしょう! 俺達も……」
「馬鹿野郎! あれが本当にベヒモスなら、今のお前達では無理だ! ヤツは六十五階層の魔物。かつて、“最強”と言わしめた冒険者をして歯が立たなかった化け物だ! さっさと行け! 私はお前達を死なせるわけにはいかないんだ!」
「「「全ての敵意と悪意を拒絶する、神の子らに絶対の守りを、ここは聖域なりて、神敵を通さず──〝聖絶〟!!」」」
戦況は依然として変わらない。俺は完全に守られているだけだし、ベヒモスはどうにもならない。大量の骸骨も。
俺があっち行ったところで足手まといにしかならないんだけどな。
考えろ。
俺ができることはなんだ?
雑魚を倒すだけか?
守られるだけか?
…
違うだろ。誰かに守られるなどというそんな無様な真似は俺には耐えられない。
何より…
「俺の体に流れる血が、それを許さない」
―電波変換、ソロ、オンエア
ムーの紋章を携えて、黒き戦士が誕生する。
──―
電波変換。
異星の生命体と手を組み、心を重ねることで強大な力を手に入れる。
地球を救った青い流星の名を持つ戦士も、人を乗っ取る宇宙人も。
互いがいないと成り立たないシステム。
の、はずだった。
古代に存在していたムー大陸。そこに住んでいたものは電波体との絆なしに電波変換することができた。
力に頼り切り、絆が消えてしまったその大陸。唯一の生き残りはソロただ一人。
絆なんて必要ない。
先祖の誇りを汚すことはできない。
何より俺が許さない。
その感情だけが
恐ろしい魔物の気配などものともせずに振るわれるその剣は光輝たちが支給されたもので。
しかし耐久力などなかったかのようにスパスパと骸骨たちを裁いていく。
同級生たちは転移したときからほとんどパニック状態だ。
出口に思われる階段にみんながみんな、駆け寄る。
ある少女が突き飛ばされた。
「うっ」と声を上げ、転倒。骸骨の戦士が頭を狙って武器を振り下ろす。
「あ」
避けられない攻撃。思わず目をつむる。
ザシュ
来ない衝撃。
代わりに聞こえるのは頭の落ちる音だけ。
気が付いたらそこに魔物はいなくなっていた。
──―
「ええい、くそ! もうもたんぞ! 光輝、早く撤退しろ! お前達も早く行け!」
「嫌です! メルドさん達を置いていくわけには行きません! 絶対、皆で生き残るんです!」
「くっ、こんな時にわがままを……」
限定された空間での戦闘はそろそろ限界を迎える。
障壁に突進し続けるベヒモス。
ココでの最良の選択は『障壁を展開しつつ撤退すること』
ココのモンスターたちは20階層のモンスターよりもはるかに強いやつばかりだ。
しかし、それをやるのはかなり難しいと団長は踏んでいた。
撤退を促す団長。そんな団長を置いていくまいと光輝は前へと進む。
「光輝! 団長さんの言う通りにして撤退しましょう!」
雫は状況がわかっているようで光輝を諌めようと腕を掴む。
しかし、龍太郎の言葉に更にやる気を見せてしまった。それに雫は舌打ちする。
「状況に酔ってんじゃないわよ! この馬鹿ども!」
「雫ちゃん……」
トータスの人間が一度も勝ったことのないベヒモスと対峙する光輝パーティ。チームの頭脳はいらだち、香織は心配そうな顔をする。
そこに、ハジメはやってくる。
「天之河くん!」
「なっ、南雲!?」
「南雲くん!?」
「早く撤退を! 皆のところに! 君がいないと! 早く!」
「いきなりなんだ? それより、なんでこんな所にいるんだ! ここは君がいていい場所じゃない! ここは俺達に任せて南雲は……」
「そんなこと言っている場合かっ!」
乱暴な言葉で返すハジメに驚く。
「あれが見えないの!? みんなパニックになってる! リーダーがいないからだ!」
胸ぐらをつかみながら怒鳴るハジメ。
そこにはパニックになっているクラスメイト達。
見えない何かのおかげで最初の三分の一以上は減ったものの、それでもパニックに。訓練したことも体に出ていない。好き勝手に戦っている。
「一撃で切り抜ける力が必要なんだ! 皆の恐怖を吹き飛ばす力が! それが出来るのはリーダーの天之河くんだけでしょ! 前ばかり見てないで後ろもちゃんと見て!」
呆然と、混乱に陥り怒号と悲鳴を上げるクラスメイトを見る光輝は、ぶんぶんと頭を振るとハジメに頷いた。
「ああ、わかった。直ぐに行く! メルド団長! すいませ――」
「下がれぇーー!」
障壁が砕け散る。ハジメが石の壁を咄嗟に作っても、すぐに壊れてしまった。
よく見ると団長、騎士団の数名は気絶しているようだった。
これ以上は限界だ。
覚悟を決める。
雫と龍太郎がベヒモスに突貫する。
香織が騎士団の人たちに治療を、ハジメは周りに石壁を張る。
光輝は、今の自分が出せる最大の技を放つための詠唱を開始した。
「神意よ! 全ての邪悪を滅ぼし光をもたらしたまえ! 神の息吹よ! 全ての暗雲を吹き払い、この世を聖浄で満たしたまえ! 神の慈悲よ! この一撃を以て全ての罪科を許したまえ!――〝神威〟!」
先の天翔閃と同系統だが威力が段違いだ。橋を震動させ石畳を抉り飛ばしながらベヒモスへと直進する。
当たった。
舞う土煙。威力のおかげか橋に亀裂が生まれる。
誰もかれもがボロボロ。終わってくれればいいのだが…。
晴れた視界の先に、無傷のベヒモスが立っていた。
治療で起きたのか団長は撤退指示を出す。
狙っているのは光輝。
回避するのもギリギリ。満身創痍。
「お前等、動けるか!」
前線で戦っていた光輝たちに問いかける。
が、うめき声を出す程度しか声を出せない。
「坊主! 香織を連れて、光輝を担いで下がれ!」
偶然視界に入ったハジメにそう呼びかける。
決死の決断だろう。光輝さえいれば何とかなる。
しかしそこでハジメの出した提案は息をのむものだった。
あまりに馬鹿げている上に成功の可能性も少なく、ハジメが一番危険を請け負う方法。
「…やれるんだな?」
「やります」
決然とした眼差しを真っ直ぐ向けてくるハジメに、団長は「くっ」と笑みを浮かべる。
「まさか、お前さんに命を預けることになるとはな。……必ず助けてやる。だから……頼んだぞ!」
「はい!」
団長は風の壁を展開して避ける。さっきまで団長のいたところに衝撃が走る。
再び、頭部をめり込ませるベヒモスにハジメが飛びついた。赤熱化の影響が残っておりハジメの肌を焼く。しかし、そんな痛みは無視してハジメも詠唱した。最も簡易で、唯一の魔法。
「〝錬成〟!」
石中に埋まっていた頭部を抜こうとしたベヒモスの動きが止まる。周囲の石を砕いて頭部を抜こうとしても、ハジメが錬成して直してしまうからだ。
ベヒモスが頭部を抜こうとする。錬成で離さない。
ベヒモスのパワーは凄まじく、油断すると直ぐ周囲の石畳に亀裂が入り抜け出そうとする。だがベヒモスは頭部を地面に埋めたままもがいている。中々に間抜けな格好だ。
その間に、団長は回復した騎士団員と香織を呼び集め、光輝達を担ぎ離脱しようとする。
逃げ道側にいた骸骨たちはかなり減った。それでも200体は優にいるだろう。連携で倒したのか落ち着きが戻っているような雰囲気だ。
「待って下さい! まだ、南雲くんがっ」
撤退を促す団長に香織が猛抗議した。
「坊主の作戦だ! ソルジャーどもを突破して安全地帯を作ったら魔法で一斉攻撃を開始する! もちろん坊主がある程度離脱してからだ! 魔法で足止めしている間に坊主が帰還したら、上階に撤退だ!」
「なら私も残ります!」
「ダメだ! 撤退しながら、香織には光輝を治癒してもらわにゃならん!」
「でも!」
言い募る香織に団長の怒鳴り声が叩きつけられる。
「坊主の思いを無駄にする気か!」
「ッ――」
そう言われ正気に戻る香織。
気持ちを抑えつつ、光輝の治療を行う。
何か横を通り過ぎていく気配がしたが治療に専念する。
ただいま骸骨100体。どんどん増え続けるソイツは橋を埋め尽くしている。
連携はまだ取れていて、突貫しようとする生徒もいない。でももう少しで崩れてしまう。
いまだに死人がいないのは奇跡と呼べるようなものだった。
誰もが、もうダメかもしれない、そう思ったとき……
「――〝天翔閃〟!」
光輝の白い斬撃が骸骨たちを斬る。
それに続いて団長の剣戟、怒声が戦場を走る。
同級生たちは元気づけられたようだ。
階段が見えた。
「皆! 続け! 階段前を確保するぞ!」
光輝が掛け声と同時に走り出す。
ある程度回復した龍太郎と雫がそれに続き、バターを切り取るように骸骨の包囲網を切り裂いていく。
そうして、遂に全員が包囲網を突破した。背後で再び橋との通路が肉壁ならぬ骨壁により閉じようとするが、そうはさせじと光輝が魔法を放ち蹴散らす。
「皆、待って! 南雲くんを助けなきゃ! 南雲くんがたった一人であの怪物を抑えてるの!」
困惑するクラスメイト達。数の減った骸骨越しに橋の方を見ると、そこには確かにハジメの姿があった。
「なんだよあれ、何してんだ?」
「あの魔物、上半身が埋まってる?」
「そうだ! 坊主がたった一人であの化け物を抑えているから撤退できたんだ! 前衛組! ソルジャーどもを寄せ付けるな! 後衛組は遠距離魔法準備! もうすぐ坊主の魔力が尽きる。アイツが離脱したら一斉攻撃で、あの化け物を足止めしろ!」
ピリピリとする空気。早く逃げたい。そんな言葉が聞こえてくるようだ。
「早くしろ!」
クラスメイトはその言葉で未練を断ち切るように戦場にもどる。
その中にはいじめっ子もいた。ハジメのことが気に入らない、いじめっ子。
ハジメが離れる。
もがくベヒモスから距離を取ろうと必死に走るハジメ。
ようやっと抜け出したベヒモスの目がハジメをとらえた。
が、何か別の力が働いたのか、急に横を向くベヒモス。
何かをたたきつけられたようだ。
よくよく見ると支給された剣のようにも見える。
「何あれ…幽霊?」
誰かがつぶやく。
今、ベヒモスと対峙しているのは正体不明の魔力の塊だ。そいつがいるおかげでハジメはベヒモスから距離を取れていた。
どういうわけか、ベヒモスがハジメをとらえなおした。見えない相手を探すのをあきらめたらしい。
ドンドン近づいてくる。鼓動がはやる。なんという絶望。
次の瞬間、流星のごとく魔法弾がベヒモスに飛んでいく。
いける! と確信し、転ばないよう注意しながら頭を下げて全力で走るハジメ。すぐ頭上を致死性の魔法が次々と通っていく感覚は正直生きた心地がしないが、チート集団がそんなミスをするはずないと信じて駆ける。ベヒモスとの距離は既に40メートルは広がった。
曲がった。
途中で火の玉がハジメ目掛けて飛ぶ。明らかに故意。明らかに、確実に狙ってきたもの。
止まる。
着弾の衝撃波をモロに浴び、来た道を引き返すように吹き飛ぶ。直撃は避けたし、内臓などへのダメージもないが、三半規管をやられ平衡感覚が狂ってしまった。
ベヒモスはまだろくに動けない。最悪地を這ってでも戻ろうとする。
ドゴオォォォォオン
橋が崩れる。
もう限界だった。
度重なる突進に咆哮。光輝の技能。しまいには何かわからない魔力の塊が橋を襲ったのだから。
崩れる。
しがみつくところすらなくなってしまうくらいに。
崩れる。
ハジメは落ちていった。
…
一瞬見えた黒い何かとともに。
―――
気が付いたら電波変換してベヒモスらしきものと対峙してた件について。
何言ってるかわからないと思うが俺も何言ってるかわからねえ。
ベヒモスってスンげーつええのになんで俺こんなところにいんの?みんな―、安全なところに行かせ…
ドクン
そうだった。自分のことは自分で何とかしないとだよな。
とりあえず戦略的撤退をしたい。なんでかベヒモスの真正面にいるんだよな。なんか見えてないっぽいけど。
電波変換してるからかあ?ここ電波ねえじゃん。ついでに地球にも電波エネルギーってないんだけどさ。
まあそれはさておき。
その…ベヒモス?オタク君に直進してるんだけど。
待て、ステイだステイおとなしくしくれよ頼むから。
そんな気持ちを込めて手に持っていた剣を叩き込もうとする。
まって、その魔法球俺避けらんない。
ベヒモスに当たる当たる超当たる。ついでに俺にもあたってる。かすり傷だけど。
さてと、痛いけどこの隙にベヒモスはお釈迦になr…
ドゴオォォォォオン
大きい音が響く。パラパラと落ちていく音がする。これは…。
「やべえ、落ちる!?」
近くにはまだオタク君がいて、オタク君も落ちそうになっている。
ベヒモスはもう落ちた。
…オタク君も落ちてしまった。
降りれそうなところはないし、多分落ちたら死ぬ。
だったら…。
意を決して、オタク君の元へ飛び込んだ。
―――
「黒い…人型…?」
難産。どう原作と変えようか迷い中。
三人称視点って難しいなあ。
主人公?乗っ取られたんじゃね?もしくはバグった。(白目)
ちかれた。
三人称視点、主人公が使ってる呼び名より本名のほうが読みやすい?
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読みやすい
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読みにくい