fate/stellaris 【完結】 作:宇宙きのこ
【ガイア征服戦争】
さて、戦争が始まるわけだが、改めて我々の戦略目標を確認しておこう。
此度の戦争は表向きは大国であるローマが辺境の島国ブリテンを併合するために起こしたモノと傍から見る者は思うだろう。
大陸一つ分の領地を持つ超巨大国家はようやくドーバーを超えてその手を辺境のちっぽけな諸侯で纏まる国に伸ばしたかと。
しかして実態は全く違う。
この戦争は文字通り世界の行く末をかけた決戦なのである。
我々は今回の戦争で全ての片を付ける。
我々を拒絶するSOL3の意思をねじ伏せ、正真正銘ローマをこの惑星における唯一の国家とするために今回の戦いは行われる。
少しばかり早いが文明レベル5を通り越し、4に至るための前提条件である惑星統合政府を作ってしまうのだ。
同時に新型の惑星解放装置を搭載したコロッサスと解析され復元された巨大回路を用いて我らはこの星の全てを手に入れるつもりだ。
勿論激しい抵抗は確実に発生するだろう。
この星はあらゆる方法で我々を妨害し、攻撃し、自らを守ろうとする事は想像するに容易い。
だからこそこれは必用な行為なのだ。
仮にここでブリテンだけを落としアーサー王を手に入れたとしてもSOL3の小賢しい干渉は続く。
この手の星はとてつもなく陰険で、周到で、悪意に満ちた手をためらうことなく使用してくるだろう。
いつ、どのように、どんな手段を使うかも判らないのは厄介である。
ならば此方からそのタイミングを指定させてしまえばいい。
仕掛けざるを得ない状況を作り出し、迎え撃つ。
その瞬間に発生する星からの干渉、防衛機構を我々は読み取り、その対策や原理などを解析していく。
勿論何もせず我々の行為を受け入れてくれても構わない。
今回の作戦が成功すればSOL3はもはや抵抗する意思さえも失うのだから、気づいた時には手遅れだ。
星系級戦略兵器・コロッサス。
かつては星を砕く事にさえ苦心していた我々が作り上げた超巨大な移動兵器である。
この衛星サイズほどもある芸術的な兵器は惑星を支配、操作するためだけに存在する。
いうなればただ一つの装置を起動するために存在する移動砲台だ。
主な兵装である「w」級惑星コントロール装置を起動させる為だけにコレはある。
時には星を粉々にする兵器を。
時には惑星を高次元の遮断フィールドで密閉し可視光以外の全てから断絶する隔離装置を。
また時にはシュラウド・エネルギーを通し我々のサイオニック・エネルギーを惑星に照射することでその星を効率よく我々の「一部」に組み込む神聖なる執行装置を。
もはやαクラス程度の兵装さえあれば星を破壊することは容易いので破壊装置が使用されることはなくなったが
それでも興味深い星を手中に収めておくのに便利なのでコロッサスは度々使用されることはある。
今回の様な件においては、コロッサスは正に最適解と言えた。
目標はブリテン・ロンディニウムに座する霊墓の奥深く。
かの地の深淵の底に張られた遮断フィールドを解放する。
既に遮断フィールドの刻一刻と変化するエネルギー波長の解析は完了し、そのパターンの模倣も終わっている。
我々は例の光壁について予想を立てている。
ヴォーティガーンの記憶の中にある限りではアレの名前は「世界の果て」と呼ばれる完全なる隔離次元の境目らしい。
この世をこの世たらしめる世界の法則を繋ぎとめるためにある概念的な軛の持つ力の一つだと。
そしてその軛の操作端末である「槍」を持つのもやはりというべきかアーサー王である。
彼女がかつてヴォーティガーンにとどめを刺した際に使用されたあのらせん状の槍だ。
演算の結果としてアレはいうなれば半ば物質と化した特異点である。
この世のあらゆる物質、────暗黒物質や暗黒エネルギー───とさえも一致しないが、確かにそこにあり、質量は持たない「負の質量」だ。
現存の宇宙には存在しない概念と存在できないはずの物質による防御壁はまるで卵の殻のようだ。
卵……つまりこちら側と壁の向こう側では全く違った宇宙が存在する可能性が高い。
そうだ。更に突き詰めるならば単純な壁というよりはもはやあれはもう一つの宇宙膜だ。
つまりこの星は自分の中に一つの宇宙の卵を宿しているのかもしれない。
物質ではなく情報によって構成される宇宙を。
恐らくだがそこにあるのは物質ではなく膨大な量のサイオニック・エネルギーとこの星が記録してきた46億年分の記録だろう。
かつて無限機械が我々に齎した叡智の一つとして存在する特異点の中には新しい宇宙が眠るという観測結果のデータがここでは役に立った。
特異点を生成し支配する技術を持っている我々ならばその情報の宇宙さえも飲み込むことは可能だ。
プロトコル「シグナル・ホライゾン」によって得た知見は今回の計画において非常に有義である。
幻想種はエーテルの減衰と共に星の内側に避難したと彼の老竜は語っていた。
我々も一度しか足を運んだ事はなかったがあの地はやはり未だに想像を絶する謎を隠し持っているらしい。
では作戦を1から並べて確認しよう。
まずは復元された魔術回路を起動させる。
かつて妖精種たちが自らの国土を星の内側に転移させる為に使用したとされる術式を動かし、星の障壁がどのように変化するかを観測。
何事もなく光壁が開けばこの後の手順は大幅に省略されるが、そんな都合のよい展開はまずない。
次にコロッサスを起動させる。
コロッサスは惑星解放装置を常に惑星に照射し続ける必要がある。
光壁の一部に重点的に負荷をかけ続け、展開させるのだ。
そして自らを守る防護壁に干渉されたと察したこの星は間違いなく防壁を強化するかその性質を変化させるかなどの対策を取る事は明白だ。
それに対応するために照射し続けながら波長を修正しながら壁をこじ開ける。
次に我々のサイオニック・エネルギーを惑星へと撃ち込み、量子を固定した“道”または“接続”を形成する。
星と我々をつなげた後はそのまま惑星同化プロシージャを稼働しこの星の内側にある情報と神秘を全て引きずり出す。
とてつもなく莫大な情報の処理が必要とされるが既に幾つもの星で実行された行為であり、この行為そのものに目新しさはない。
これらすべての行為はアーサー王率いるブリテン軍と交戦しながら同時に行う。
王を捕獲し解析してから行う方が安定度は間違いなく上昇するのだが……何やら胸騒ぎがするのだ。
月の王が語っていた星の自死という言葉を我々は思い出していた。
スキャンの結果、この星の中核にはサイズ16程度の惑星を吹き飛ばす程のエネルギーや爆発物は特に存在はしていないはずだ。
月サイズの反物質爆弾でも埋まっていれば即座に解除しなくてはならないが、当然そんなものはない。
ヴォーティガーンの記憶の中には存在していない、何らかの星の防衛機構、果ては自壊システムをブリュンスタッド王は知っていて我々はそれを知らない。
あの王が露骨に嫌悪と諦めを漏らす程の悪辣な罠がまだ存在することは明確である。
故に我々はそれが発動される前に片をつける必要がある。
もしくは万全の状態で星の行うあらゆる妨害と拒絶を迎え撃つのだ。
コロッサスの役割が完全に実行されればこの星の全てのデータは我らの手に入り、そしてSOL3は我々の一部となる。
星の自我は塗りつぶされ、この星が運営するシステム全てを掌握できるだろう。
この記念すべき大事業を行うにあたり是非とも多くの客が来ることを我々は期待し、最高の用意をして待つとしよう。
想定外。予想外。埒の外。常識外れ。
大変結構。死に物狂いを是非とも見せてもらおうか。
我々は好きにする。君たちも好きにしたまえ。
【白昼夢】
ルキウス・ヒベリウスは微かな気配を開けて瞼を開けた。
周囲の空間は彼が瞑想を行う際によく観測する青紫色の霧で包まれたシュラウドではなかった。
ここは透き通った世界とでもいうべきか、鏡面の様な地面に果てのない黎明の宙が続いている。
修行の為に組んでいた座禅を解き立ち上がれば手足の感覚はしっかりとあるが、これは違うと彼は悟った。
理屈ではなく直感で自分は今、肉体という殻の外側に飛び出していると理解する。
高次元たるシュラウドを認識した上に、ガンヴィウスから肉体等という物質は存在の一側面にすぎないという教えを度々受けていた彼はすんなりと現状を受け入れる事が出来た。
周囲を見渡しながら歩を進めれば、直ぐに彼は誰かが自分を見ている事に気が付いた。
これは神祖ガンヴィウスという殻を被った「彼ら」のものではない。
遥か高みから原子の一粒を注意深く観察されるような視線ではなく、もっと気楽な同胞に向ける様な日常的な視線だ。
「何者だ」
「うむ。余であるぞ。よくぞ気が付いたな!」
彼の硬質な剣の様な声に答えたのは快活でありながら何処か憂いを感じるさせる女の声だ。
見ればいつの間にかルキウスから十歩進んだ程度の場所に真っ赤なドレスで着飾った女が立っている。
その堂々とした有様は剣帝と恐れられる彼からしてみても立派と評せるものだった。
「……どこかの王族か。
貴様の様な女が居たのならば直ぐにでも思い出せる筈なのだが」
「何と余を知らぬと申すか!
よりにもよって当代のローマ皇帝とあろうものが!」
待てと一声告げてからルキウスは頭の中を引きずり出し検索をかけるが
やはり誰も出てこない。
仕方ないので当然の様に彼は聞き逃さなかった単語から話を繋げることにした。
「……“当代の皇帝”と言ったな。
俺はお前の様な皇帝は知らん。女の皇帝など神祖は必要とされなかった」
「何てことだ!
余のこの偉大なる美貌と才覚を知らないローマが存在するなど!
あぁ、何という悲劇であろうか……」
女は大仰に悲しみに身を震わせ目元を袖で隠す。
そこにつぅっと一筋の涙が伝わる。
ルキウスは全く表情を変えずに暫しこの女の茶番に付き合ってやることにした。
この女、少なくとも凡夫ではない。
彼の研ぎ澄まされた超直感は女の概念的な魂の大きさとそこに宿る可能性の量までもある程度把握することが可能である。
とてつもない量の因果の糸ともよぶべき因子がこの女には絡みついていた。
「改めて問おうか。お前は何者だ。
皇帝たる俺を前にして威風堂々と並びたたんとする貴様は誰だ?」
剣帝の瞳に圧が宿る。戦時に見せる冷たく鋭い殺意が融合した瞳だ。
ただの兵士では眼前に立つことはおろか、その存在を認識しただけで意識を奪い取られるであろう圧倒的な重圧が彼から放たれる。
しかして女はそんな怪物の圧を真っ向から受け止めながら胸を張り、世界よ我が名を聞けと言わんばかりに宣言した。
「───余はネロ・クラウディウス。ローマ帝国第五代皇帝である」
皇帝だと? 貴様が? とルキウスは思わず一瞬だけ表情を歪めてしまう。
自分の知る知識と全てが食い違っている。
いや、そもそもネロ・クラウディウスという人物を彼は書類の中では知っているが……間違っても彼女は皇帝ではなかった。
「馬鹿な。ありえん、貴様は」
「うむ。貴様のローマでは余は皇帝にはならなかったのだろうな。
────偽りの神祖に仕える皇帝よ」
瞬間ルキウスの顔から表情が消える。
半歩、更に距離を離す。
自分と女の間合いを測りながらどのような手段、どのような剣筋であれば彼女を切り刻めるをかを彼は考え始めた。
瞬時に50通りを超える処刑方法が編み出され、それらは一秒ごとに倍々に増えていく。
しかしながらそのような考えは表に出さず傍から見れば単純に警戒しているだけの男を演じつつルキウスはネロと問答を行うことにした。
これは好奇心の問題であった。
自分の知らないローマの皇帝であるネロと会話をしてみたくなったのだ。
微かに意識を自分の中に潜り込ませれば、直ぐに見つかるシュラウドとの接続を開始しその力を行使する。
あらゆる個所に偏在し、あらゆる個所とつながる事を可能とするシュラウドの力は目の前のネロ皇帝を媒介に、微かではあるが“彼女のローマ”の記録とのリンクを開始した。
瞬間、流れ込んでくる彼女のローマの歴史は彼の知っているモノとは全く違うものだ。
東西の分裂。あまりに遅速な発展。
ガンヴィウスという絶対の支配者が居ない結果、巻き起こされる混乱とした世界がそこにはあった。
そしてその中に現れた一人の孤独な皇帝の哀れな最期も。
身内よりも他人を愛するふりをし、母を殺し、だれにも理解されず荒野で一人朽ち果てた女。
三度も目覚めを繰り返しながらも滅びきれない妄執を抱えた身体ばかり大きな童。
何とつまらない最期だとルキウスは思った。
皇帝とは神祖の代行者。民を庇護し国を栄えさせる故に全てが許される神の代理人。
その使命を果たす限りは何をしようと許されるが、それさえも出来ないのならば排斥されて当然だと。
自分のローマにおいてガンヴィウスが彼女を皇帝にしなかった理由がよくわかるものだ。
そもそもの話、彼女は皇帝になど向いていない、統治者としては不向きだ。
かの神祖の語る単語で表するのならば「国を繋ぎとめる重力を持たない」というべきか。
「そのような事も出来るのだな。さすが剣帝と称えられる皇帝である!
後続たる皇帝が立派なのは余も鼻が高くなってしまうな!」
「俺の世では貴様は皇帝ではない。かの大王と同じく皇帝になるべきではなかった女よ」
ルキウスの言葉にネロの顔が微かに陰った。
しかして彼女はそれも当然のことだと受け入れる。
余りに発展し、満たされたローマにおいての自分がどのような人生を歩んだか彼女は理解していた。
ルキウスが知るように彼女もまた“見ていた”のだから。
シュラウドがルキウスを媒介にしてこの黎明の世にも版図を伸ばしていく。
現状惑星上において最高位の精神力を持つルキウスはこの異次元の地であってもシュラウドと別たれることはなく、その力を自由に振るう事が出来た。
彼は今度は自分の番だと言わんばかりに、自分のローマにおいての彼女を映し出していく。
「自らの充足を知らない女がどうして民を満たせるものかよ」
鏡面の様な足元に一つの景色が映し出される。
それは彼のローマにおいてのとある国葬の眺めだ。
百万を超える参列者が帝都を埋め尽くしていた。
大通りはおろか、都の外にまで簡易的な野営地が幾つも設立され大勢の人間たちが大陸中から集まり続けている。
皆が涙を流し、ただ一人の為に祈っていた。
ネロ・クラウディウスという女を誰もが悼んでいる。
生前はその浪費癖をガンヴィウスに咎められ抑え込まれていた彼女の最期を彩る為に、神祖は途方もなく巨大な黄金の劇場を旅立つ彼女への手向けとしていた。
一夜にしてローマの中央に拵えられたドムス・アウレアは彼女が夢見た輝く彼女の為だけの宮殿であり舞台である。
そんな夢の果てを追求した舞台の主演が舞い踊るであろう個所には豪奢な棺が安置されていた。
中で眠るのは一人の老婆───ネロである。
美しかった金髪は全ての色素が抜け落ち、身体はやせ細っている。
顔には彼女の今までの苦労に満ちた人生を物語るように深い皺が幾つも刻まれていたが、それでも安らかな顔であった。
彼女はただ一人の議員として、そして精力的に活動するアイドルとして多くのローマ市民に愛されていた。
急速に巨大化する当時のローマ帝国において彼女は様々な開拓地に出向き、中央との連携を大いに助ける役割を担った。
時には汗水を流し開拓者たちと共に働き、ある時には私財を投げうって必要な備品を調達し、更には神祖に対して臆することなく最前線から持ち帰った現実的な意見を訴えかけることさえもあった。
そして時折開催される彼女の歌唱式には多くの民が訪れることで有名でもあった。
決して素晴らしく上手というものではないが、間違いなく民たちの為に懸命に歌声を披露するネロをローマの民たちは愛していたのだ。
民たちにとって彼女は正しく神祖と自分たちを繋ぎ合わせる橋渡しの存在であった。
神祖や元老院たちという遠すぎて意識さえも出来なかった天上の権力者たちに自分たちの代わりに意見を届けてくれる味方だと。
無邪気で快活。
それでいて思慮深く、だれよりも民を愛してくれた女だったのだ。
宮中の奥深くに座する支配者ではなく、手を伸ばせば簡単に触れ合える距離こそが彼女と民たちの適切な位置だった。
そんな彼女の死をあらゆる者が悼んでいた。
参列者たちは更に更にと増え続ける。
黄金の劇場を彼らの持ち寄った捧げものが埋め尽くしていく。
多種多様な花。
彼女を描いた絵画に像。
彼女の活躍を称える詩などが山の様に積み上げられた。
そんな光景を皇帝ネロはただ見つめていた。
彼女の瞳は揺れており、ルキウスでなくともその中にどんな感情が存在しているかを察するのは容易い。
羨望、嫉妬、情景……自分が至れなかった幸福と安らぎに満ちた最期に彼女は瞳を焼かれていた。
「そうか。このような最期もありえたのだな……」
彼女の瞳に憂いが浮かんだのは一瞬だけであった。
すぐに彼女は翡翠色の瞳を輝かせてルキウスへと向き直った。
そこに宿る強い意志は剣帝に向き合うに足るものである。
「それでもだ! 余たちは偽りの神祖を認めることは出来ぬのだ。
既に数多くの者がかの存在の脅威に気づき動き出している。
貴様が加担しているのはブリテンとローマの戦争などという些事ではない
この星の未来を永遠に左右する決戦なのだ!!」
「それで俺を説得でもしに来たのか? 貴様の様に親殺しに手を染めろとでも?」
現状、ガンヴィウスこと「彼ら」の行使する力の本質に最も近いのはルキウスである。
シュラウドという■に存在するあらゆる存在でも認識できない高次元をはっきりと意識し、その力を引き出せるのは彼だけだ。
故にその力さえあればもう間もなく訪れる戦いにおいて有益になると考えるのは当然だと彼は考えていた。
戦術としては判るが不愉快極まりない話ではある。
しかし、違うとネロは頭を横に振った。
「否。これは宣告である。
剣帝よ、歪んだローマを率いる貴様と、かの神祖を僭称する異形への宣戦布告だ。
我々■■■■の英雄は貴様らを認めぬ!
このまま進めば貴様らのローマは神祖ロムルスの意より外れ、災いを招くモノへとなり果ててしまうだろう!」
ネロは剣を抜き放つとそれをルキウスへと向けた。
燃え盛る業火をそのまま鋳造したような独特の形状の剣は彼女と彼女の言葉に賛同するものの意を表する様に深紅に輝く。
彼女の後ろに数多くの“向こう側”の皇帝たちが透けて見える。
皇帝に届かないまでもその礎を作った男がいた。
名君が居た。
暗君が居た。
暴君も居た。
ルキウスの世界では殆どが皇帝になれなかった者らだ。
必要なし、もしくは資質なしと神祖クィリヌスが判断した者らが大半である。
誰もがルキウスを拒絶していた。
ガンヴィウスという来訪者に設計され製造された「彼ら」と同類であるルキウスを皇帝とは認めないと言っている。
しかしてルキウスは一歩も退く事はなかった。
むしろ踏み出し、彼女たちとの距離を詰める。
小柄なネロをルキウスは見下ろして口を開いた。
彼の顔にはとてつもない狂貌じみた笑みが浮かんでいる。
彼の優れた直感は“その時”はもう間もなくと悟っていた。
「大変結構。
……此度の戦はどうやら俺が思っていたよりも大きなモノになるようだ。
ククッ、神祖も意地が悪いものだ!
これほどの大戦と知っていたのならば相応の武具を揃えて挑んだというのに!」
剣帝の瞳は彼の意に従い更なる視野を彼に与える。
元より適正があったというのもあるが、この地が時間軸があやふやな次元だというのも彼に味方した。
これから訪れるであろう途方もない規模の戦いを彼は見た。
ブリテンとの闘いなぞ前座も前座、正真正銘この世界の全てを相手取る神話のティタノマキアの再演である。
否。此度の戦はもしかすれば神話のそれさえも遥かに凌駕しうるかもしれない。
彼は見た。星という単位でさえちっぽけになる大戦争を。
天を砕くほどの戦いを繰り広げる巨大な神祖の箱舟と理解不能な巨大極まりない怪物たち。
星々の先まで覆い隠し支配するシュラウドの力、それと拮抗すべく膨れ上がる幾つもの「法」と「秩序」が全力で世界を回す。
地上でも戦は当然として行われる。
霧より作り出された軍とこの星が今まで刻んできた全ての英雄たちがそこらかしこでぶつかり合っている。
形勢は見る限りでは互角か、僅かばかり「霧」が優勢かもしれない。
これこそ正しく決戦である。
世界の行く末をこれから先永遠に左右する戦いだ。
ルキウスの身体が微かに震えだす。彼は気が付いたのだ、自分の使命に。
父であるウラキ・ガンヴィウス・クィリヌスがなぜ自分を作り出したのか。
それはもしかすればかの古き大神がアルケイデス───ヘラクレスを鋳造したのと同じ理由なのかもしれないと。
燃え滾るような形相でルキウスは右腕を大きく天へと翳した。
そこにある尊いものを根こそぎ奪い取り握り砕くかの如く。
「貴様らが何と言おうと関係はない、貴様らの語る理など俺にはどうでもいい!
俺は勝利する!
勝利して我がローマと我が民たちこそが真のローマなのだと証明するまでよ!
かかってくるがいい。
東西に分裂し、大陸の弱小国共にいいようにされる脆弱なるまがい物共め、俺が悉く滅ぼしてくれよう!!」
「楽しみに待っておるがいい剣帝。直ぐにその時は来るだろう」
ネロ・クラウディウスの硬い決意に満ちた声をきっかけにルキウスの身体は光の粒子となり崩れ散っていく。
身体全体に感じる引力に身を任せながらも、ルキウスは意識が完全に暗転するその瞬間までネロから視線をそらすことはなかった。
【ロンディニウムの戦い】
ブリテンとローマが開戦した際にアーサー王が最も最初に攻撃を行ったローマの領土はガリアではなくロンディニウムであった。
表向きの理由としては自分の領土の中にローマの一大拠点があるということは後に控えているであろうローマ遠征の際に気がかりとなる事が挙げられるだろう。
まずは自分の領土内に存在する不安要素を一掃してから外敵への反撃に応じるという手は誰が見ても納得のいく手順である。
しかしこれはあくまでも表向きの理由である。
アーサー王はマーリンよりこのロンディニウムに何があるかを聞かされているのだ。
ガンヴィウスが世界中に拡散していた魔術師たちを集めて作りだした巨大な神秘の研究拠点の存在を。
自らの同胞である竜の墓地と亡骸を弄び、更にはブリテンにとっては第二の民ともいえる妖精らを捕獲し収容を繰り返す忌むべき地だとアーサー王は判断したのだ。
民の庇護と救援は王の責務である故に、たとえこの地がとてつもない防御設備を備えた牙城だとしても攻めざるを得なかった。
何よりも彼女の直感が告げていたのだ。自分たちに残された時間は余り多くはないと。
それだけではない。
戦略的に見てもここを他ならぬアーサー王が直々に攻撃を行うという行為そのものにメリットがあった……。
ロンディニウムの城壁から眼下に広がる緑豊かなブリテン王国の光景をガンヴィウスは見下ろしていた。
背中で手を組み直立した彼はもう間もなく自分たちのモノに収まる国を眺めている。
隣にルキウスが並び立てば、彼は口を開き深い老齢の声で彼に問うた。
「さてルキウスよ。
此度の戦いでブリテン王国が我々に勝利するにはどうすればよいと思うかね?」
「指導者の抹殺……即ち、俺と貴方様を殺すしかありません。
真っ向からブリテンとローマが激突すれば幾らブリテンに円卓とアーサー王が居たとしても国力の差は歴然故に」
ブリテン王国とローマの国力差は単純な国土面積だけでも十倍を優に超える差がある。
更には技術レベル、経済規模、動員可能な兵の数に戦争継続能力を見てもどうしようもない程の壁があるのは誰が見ても明らかだ。
文字の読み書きを知らない童だってこの程度の理屈は理解できるだろう……即ち“大きい方が勝つ”という単純明快な話だ。
で、あればブリテン王国ことアーサー王の取るべき手段は一つだ。
小さな勝利を重ねていくのではなく──もちろん局地戦であっても勝利は大事だが──戦争の流れそのものを変えるほどの大勝利を収める必要がある。
得てしてそれは替えのない重要な将軍の討伐や交通の要所を奪い取る事で達成できる。
そして現状のローマにおいて替えのない存在であり、もしも仮に倒れた場合ローマ全体が戦争遂行能力を失う程の打撃を受ける存在と言えば皇帝と神祖しかいない。
スキピオなどを代表とする手ごわい将軍もいるにはいるが、あくまでも一将軍でしかない彼らには替えがいる。
言葉にするだけならば簡単だ。
敵の指導者を殺せば勝ち等というのは常識なのだから。
どうやって殺すか、そもそも本来は最も堅固に防御を固められた要塞に引きこもっているであろう存在をどうやって戦場に誘い出すかが問題である。
「故にアーサー王は自らこの地に赴いたのでしょう。貴方様と俺を誘い出すために」
「正解だ。そして我々はそれに乗ったというわけだ。此方としても長々と争うつもりはない。
繰り返すが、アーサー王は生け捕りにせよ。他は殺して構わん」
ルキウスの瞳が青紫色に輝きその視線は遥か地平の彼方、大規模なブリテンの総力を結集した軍団が寝泊まりする野営地の中で軍議を行っている王を捉える。
文字通りアーサー王はこの地で決着をつけるつもりらしく、見られていると気づかれても取り乱す様なことはせず、小さく口を動かしてルキウス達へと語り掛けた。
待っていろ。間もなくだ。
声もなくそう言い放たれたルキウスは無粋なのぞき見をやめてから含み笑いをした。
ルキウスの内心で滾る途方もない熱を覗き見たガンヴィウスは少しばかり彼に忠告をした。
「昂っているな。大変結構。
思うがままに力を振るうがいい。だが、力に使われる事はなき様に」
「肝に銘じておきましょう神祖よ。
しかし、少しばかりは致しかたないでしょうて」
ルキウスは振り返り、そこに鎮座する何万という軍団を眺めた。
新たに神祖が解禁し配った技術───火薬と銃によって武装した部隊を編入した軍だ。
木と金属で構成された筒の名前は自動小銃であり、所々にはそれを更に強化した機関砲までも用意されている。
千年以上先まで出てこないであろう殺戮の為の道具がここにはあった。
今まで地上における原始的な戦いに対して文明相応か少し上程度の力しか使わなかった「彼ら」はこの戦いに限っては別らしく、ルキウスをして驚愕する規模の力をいきなり行使して見せた。
アーサー王がロンディニウムを襲撃するという予測が出た時点でルキウスが率いる第一軍は首都ローマからこの地まで僅か一日で輸送させられたのだ。
神祖の力によって首都の近郊に開かれた巨大な空間の歪み。
ゲートウェイ、または疑似的なワームホールとも称されるソレを一歩でも踏み越えればあっという間にロンディニウムだ。
普通に進軍すれば何日もかかる距離をたった一歩にまで縮めるという偉業は正に神と称されてもおかしくはないだろう。
数万の軍団をまとめて転移させるなど神代において限りない奇跡を振るっていた古き魔術師や、神々でさえ難しい規模の力を些事の様に振るうガンヴィウスの異常さが改めてよくわかる。
それだけの力を使ってもなお、この神祖と名乗る怪物の力は底を見せない
「時間だ。軍を所定の位置にまで移動させよ。攻撃はまだ行うな」
「仰せのままに神祖よ」
剣帝が号令を発せば響き渡るのは天をも落とす巨大な歓声。
半分は共に戦い先陣を切りローマのあらゆる敵を屠ってきた剣帝への熱狂。
もう半分はローマを導き支配し、自分たちに対する限りない繁栄と発展を約束してくれる神祖への狂信だ。
ローマの軍勢の士気はこれ以上ない程に高かった。
ルキウスが率いるというのもあるが、神祖直々に戦場に出向き自分たちの戦いを観覧してくれるという名誉が彼らを突き動かす。
神祖が求めたブリテンを我々が神に献上するのだという熱狂がそこにはあった。
ブリテンの直上に鈍く輝く星が現れたことを誰も知る由はなかった。
ロンディニウム近郊にて、ローマとブリテンの軍はにらみ合っていた。
時刻はようやく日が昇り始め本格的に昼の時間が始まったころ合いである。
朝露が日光で消え去り、空はこれから凄惨な殺し合いが行われる血生臭い地上の事など知らないと言わんばかりに晴天だ。
数多くのフルプレートの鎧に身を包んだ騎士たちが一糸乱れずに隊列を組んでいる様はローマから見ても一種の美しさを感じるものであった。
騎士たちの先頭に立つのはアーサー王であり、円卓の騎士たち。
もしもの時間軸であったのならば揃うはずのなかった騎士たちが、ここには全員いる。
ランスロット。
ガウェイン。
モードレッド。
ガレス。
トリスタン。
ギャラハッド。
ベディヴィエール。
王を筆頭に円卓の半分以上が揃っている光景は正に英雄詩に残る決戦がこれから行われるという確信を誰もが抱くほどの絵図である。
しかして剣帝はこれから戦う強敵たちを前にしても脱力し、努めて覇気などをバラまかないようにしていた。
自分の傍仕えの者らに冗談を飛ばし、笑いかける余裕さえも彼にはあった。
やがて両陣営から数頭の騎兵が飛び出し、ちょうど両軍の真ん中で停止する。
騎兵たちの先頭にいたのはアーサー王とルキウスである。
彼らは少数の護衛を引き連れ、戦争の前の最後の会話を行う。
「貴様がアーサー王、赤き竜か」
思っていたよりも小さいな、という言葉をルキウスは口には出さなかった。
元よりガンヴィウスよりアーサー王の性別の件などを聞かされていた彼である故に、目の前の少女は外見とは裏腹にとてつもない生命力を宿しているのが判った。
正に人の姿をした竜。至高の幻想種、この星が作り出した最高の兵器である。
「ローマを統べる皇帝ルキウス・ヒベリウスよ。私は貴公に問わねばならない」
「皇帝たる俺に問いかけとは不遜である。
……だが間もなく終わる国への慈悲だ、答えてやろう」
ルキウスの鋭くなった瞳を向けられながらもアーサー王は凛とした声で糾弾を発した。
「貴公らが崇めるモノの正体を知っているのか。
あの者が何を行おうとしているか、判った上で従うというのか!」
アーサー王の神祖を否定する言葉に護衛たちの胸中が怒りで満たされるのをルキウスは感じ取った。
王同士の対話である故に表には出していないが、怒りで指が震えている様を彼は知っている。
「愚門。当然である。この世の全てがあの方を否定しようと俺は違う。
神祖はローマをここまで導いて下さった。その事実だけは変わらん。
民を庇護し国を栄えさせてくださった神祖の行いに間違いなどない」
故に、とその先に続きそうな言葉をルキウスは胸中で続けた。
だからこそいつか巣立ちをしなくてはならないと。
いつまでも頼り続けてしまえば、いずれ「彼ら」は霊長たちを本当の意味で愛玩生物として扱い始めるだろう。
「彼ら」は慈悲深い。
一度目をかけた種を捨てることはしない。
だがかつての神と人の価値観の違いの様に「彼ら」の加護は人間にとっては余りにも甘い毒になりうる。
今はまだ「彼ら」にとって有益な知見を齎しているが
それも掘りつくしてしまったら後に残るのは文字通り搾りかすだ。
そうなる前に自分たちの足で歩みだし、更なる可能性の拡張を行わなければならない。
この戦いはその第一歩だ。
「我々があの御方に少しでも近づく為にはローマがこの世界を統一する必要があるのだ。
それでようやく第一歩だ! 神祖の座する至高の域への旅路を俺は導く。
その為にもブリテン王よ、俺は貴様を乗り越えなくてはならない。
全てはローマの未来の為に!」
「……いいだろう剣帝よ。その野心、我々が打ち砕いてくれよう」
「大変結構。全霊で挑め赤き竜よ」
皇帝と王は互いに自らの勝利を欠片も疑わず、剣檄よりも激しい言葉での戦いを行い終えると互いに踵を返して二度と振り返ることはなかった。
長い一日が始まる。
【出陣】
無限の光が途方もない屈折と角度の中で荒れ狂い、それぞれ独自の光景を見せている。
光とは可能性である。
青年はそんな無数の可能性を観測し、運営することができる超越者であった。
ファセットカット。
青紫色の世界が視えた。
「行き詰まりだ」
ブリリアン・カット。
青紫色の世界がある。
「ダメだ」
ラウンド・ブリリアントカット。
青紫色の世界が全てを覆っている。
「同じく」
オーバル・ブリリアントカット。
僅かばかりに陰っていた光が青紫色の霧に飲まれていく。
「これもか」
ステップ・カット。
もはや何も見えない。彼をしても観測しきれないナニカがそこにはあった。
一瞬だけナニカがこちらを見つめ返そうとしたので、男は急いで接続を断った。
「…………」
男は掌の中で宝石を弄んでいた。
彼が念を送り指を動かすたびに宝石は職人がカットしたかの様に姿を変え続け、そのたびに中の光は強弱や色彩を変えていく。
彼はそんな光が宿す可能性を一つずつ観測していくがやがては観念したように宝石を置いた。
「どうあっても避けられないようだ」
男が息を吐き顔を歪めれば彼の影より何者かが声を声を発する。
無機質でありながら何処か人間的な感情を隠しきれていない男の声であった。
『理解したようだな。運営さえもこのままでは不可能になる』
「……」
男は不機嫌そうな気配を隠そうともせずに腕を組み己の影へと視線を向けた。
「それで俺に戦えという訳か、この星の未来を守る英雄としてみんなの為に戦えと?
俺がそんな人助けを趣味にしているように見えるか?」
『ではかの来訪者は勝利しこの星は奴らの手に落ちるか、もしくはそれ以上の災禍が訪れるだろうな』
男は影を暫く睨みつけていたがやがて天を仰ぎ、もう一度宝石をいじくりまわす。
やはりというべきかどの角度、どの光を見ても青紫色の霧しか映っていない。
つまり、何もしなければこの先の並行世界の全ては「彼ら」の支配下となる運命ということだ。
切り捨てられた世界だろうと基準となる世界であろうと関係はない。
何もかもだ。
ここから先に予定されていた世界の計画は台無しとなり、未来は途絶し、一本に統合されてしまう。
高次元の座にさえも影響は及ぶだろう。
これから先に登場する筈であった勇者や改革者たちは諸共存在がなかったことになり、最終的には消え去る。
この先には彼が好んでいた混沌とした可能性に満ちた世界はなかった。
善悪、悲劇と喜劇、人の喜びも苦しみも含めて青年は可能性を肯定する故に、それらが失われた宝石はただの石ころである。
「気に入らないな。全て同じ光だ。……色彩も何もあったもんじゃない」
『……ならばどうする?』
「お前の口車に乗るわけじゃない。俺は俺が気に入らないから行動する。
お前たちがいう“異物”とやらの面を見てやる。まずはそこからだ」
「そうか! ならば私も同行しようではないか」
青年が立ち上がれば、いつの間にか彼の隣には朱い月が現れていた。
この気まぐれな月の王はいつもの様に無邪気な笑みを浮かべて青年へと語り掛ける。
「奴が行動を起こした。ついに始まったのだ! うむ、わくわくするな!!」
「お前はいつもそうだな。そんなに何が楽しいんだ?」
苦笑と疲労を滲ませながら言う男に朱い月は堂々と胸を張って宣言した。
「魔法使いともあろうものが妙な事を聞くのだな。
無論、生きているだけで楽しいに決まっているだろう?」
「……それもそうか。後ろ向きな奴よりはよっぽどいい生き方ではあるな。
お前の“楽しみ”は他者にとっての災害だってことに目を瞑ればだが」
災害とはどういう意味だ? と首をかしげる朱い月に魔法使いは駄目だこれはと匙を投げる。
この月の王は純粋で無垢であるが、同時に途方もない悪性も秘めている。
いや、もっとわかりやすく言えば道理を知らない幼子の様に、悪いことを悪い事だと自覚していないのだ。
『話の途中で悪いが。貴重な時間は出血を続けている。早く出発したまえ』
「おぉ。そなたらも居たのか。これは本当に大所帯になるな。あ奴の驚く顔が早く見たいぞ」
では、早く行けと急かす影に対して朱い月は小躍りしながら魔法使いに手を伸ばした。
無邪気に遊ぶ子供の様な笑顔は、この存在が恐ろしい怪物だということを一瞬だけ忘れさせてしまいそうな程に綺麗である。
「では行こうぞ魔法使いよ。世界開闢以来の狂騒が始まるぞ。乗り遅れるでない」
「……」
心底いやそうな顔を魔法使いは浮かべるが、渋々と言った様子で朱い月の手を取った。
瞬間、月の王は更に嬉しそうに笑い出し、周囲に空間転移の為の術式を展開し始めた。
星が鼓動し、遂に始まると察したこの世界は朱い月と魔法使いに対してあらゆる加護と許可を下す。
エーテル使用許可。
全てのメモリーへのアクセス権限を付与。
各種■■へのアクセス許可。
座の解放を開始。
緊急応援信号強度増大。
もはや世界は出し惜しみはしていなかった。
考えうる限りの全ての許可と加護を魔法使いに下し、朱い月に対しても一時的に全てを許可する。
目的はただ一つ。
あの異物を排除する、ただそれだけである。
霊長の繁栄など惑星にはどうでもいい、ただ自分を害する敵は許せない、認めない。
星の全力の抵抗が始まろうとしていた。
次の話は割り切って書きたい放題しますので遅れます。
恐らくインフレと超長話になると思われるのでごゆるりとお待ちを。
ようやくガンヴィウスがやりたい放題する話が書けます……。