「うっま! なんじゃこりゃ?!」
「……」
「(ニコニコ)」
ケイコが作った物はとても非常食から抜き取った食材とは思えない位味が違った。
現に食べ慣れてる筈の俺やラケールの奴も食が進んでいる。
そこんとこどうなのよラケールさん?
さっきから無言で怖いんだけど。
せめてもの救いがケイコの笑顔だな。
「あまり馴染みの無い食材かと心配したのですが、味見をしてみれば憂鬱な心配でした」
「……ピンクブロンドのおっとり系の上に料理の腕が良いってどれだけ要素積み込んでるのよ」
「ん?」
またラケールが何かブツブツと独り言を言ってるような……
まさかこの料理から“インスピレーション”を貰ったんじゃないだろうな。
見た目が同じで中身がゲテモノ料理は御免だぞ俺は!
……これからはケイコ自身に飯作ったかどうか確認するか。
「そうだ、部屋の案内をしてくるからここを片付けてくれないかラケール?」
「んあ? ヤダ」
ちょ、“ヤダ”って何やねん。
「プレハブ住宅何だから作りは同じでしょ? 私が案内するわ。 どうせアンタの事だからこの子はゲストルームで私は私室でアンタはリビングのソファーでしょ?」
何がどうなればそうなる?
「オイ、何でそうなる?」
「じゃあ何よ? まさか自分はホテルを取るとか────」
「当たり前だ。 家具とかならまだしも、ベッドが足りない。大きいサイズとは言え一つだけだぞ? ソファーに一人、ベッドに二人ってか?」
「あら、
「俺が気にする」
客人に雑魚寝はなんか違うからな。
「じゃあ
「いいって……ソファーに一人、ベッドに二人をか?」
意外だな、
「(ジー)…サイズ的には負けてない筈、後で確認しないと」
……配慮してるんだよな? 他意は無いよな?
「では、話もまとまったようですし今夜はお開きという事で宜しいでしょうか?」
「ま、そういう事なら俺は片づけをしとくから……ラケール、こいつに風呂の説明をしてくれ」
「ほいほ~い、じゃ行こうかケイコちゃん?」
「ケイコ…ちゃん?」
ケイコ“ちゃん”って……見ろよ、本人でさえ戸惑っているじゃねえか。
「…ケイコちゃん……」
ラケールがケイコを連れて行って久しぶりに俺は一人になった。
……何かデカく感じるなこの家。
ダイニングとキッチンを片付け、皿を洗ってると風呂場から声が漏れ、聞こえ始める。
『あら、可愛い肌着ですね』
『そういうアンタもね。って何それ? サラシ?』
『サラシをご存じだったんですか?』
『まあねえ、旧世界のアニメとか漫画とか見るとね~……』
うんうん、仲が良い事は良きかな。
『そちらの胸当ては変わった形をしていますね』
『あ、ブラ見るの初め……って何よそれ?! デカすぎない?!』
…ん?
『あ、あの────?』
『ホンモノよね? 整形とかじゃ……ない、だと?』
…えーと?
『そんなに見られてはこ、困ります』
何を見られ……いや落ち着け俺。
皿洗いに集中するんだ。
ラケールがケイコに風呂場の蛇口やら設定やら説明するのを場のせせらぎと思うんだ。
『やはり聞くのと実際に見るのは違いますね!』
『そ、そう? 聞くって誰に……て、アイツしかいないわね……って髪の毛凄いわね?! どうなってるのよそれ?!』
………髪の毛が何だって?
『これですか? ヘアピンを普段使ってるだけですが────』
『それにしても長すぎるわよ! ざっと見ただけで1.5メートル位有にあるわよ?!』
『ああ、それは何重にも折りたたんでいるので────』
『────それにしても綺麗な髪ねー。 細いけどちゃんとしっかりしてて、ってこれは何? ……ヘアピン?! まだつけていたの?!』
『すべて解くと迷惑になるかと────』
『も、もういいわ……次からは一人で入れるんだから……』
……………すごく長いのか、ケイコの髪の毛。
っとと、皿洗いに集中……ってもう終わりやんけ。
風呂場が気にならない様に部屋の掃除でもするか。
そう思い二階への階段を上がり始めると────
『はふう~……いい湯ですね!』
『う、浮くって都市伝説じゃなかったんだ………』
────そんな二人の声が聞こえた気がした。
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次の日、俺は朝日に釣られて目覚めた。
「ふわ~……ねみ~……」
朝の支度をしていると二階から誰かが階段を下りる音がして見ると制服姿のケイコが見えた。
「あら、おはようございます」
「おう、おはよう。ラケールは?」
「彼女ならもう間もなく来ると思います────」
「ふわ~……おは~……」
半分寝ぼけているラケールが下りてくる。
「おう、帰れ」
「ヒド! 朝一番の掛ける声がそれ?!」
「それはさすがに酷いのでは?」
「昨日から迷惑掛けてるアポ無しを泊めたんだ、それ位は────」
「あ、アンタねえ────!」
「ではこれはどうでしょうか? お二人が
「まあ……お前がそれでいいなら」
ラケールがジト目で俺を見る。
「何この扱いの差」
「“自業自得”って言葉知ってるか?」
「ぬぐ…」
「やはりお二人は仲が良いですね」
「「どこがやねん」」
俺とラケールの声が同時にハモリ、ツッコんだ。
「ちなみに時々聞くその言葉遣いは何なのですか?」
「
「別にいいじゃん、言葉遣いなんか」
「よかねえよアホ、お陰で気を付けなきゃ相手は俺が何言ってんのか分かんねえ時とかあるんだよ!」
「“あにめ”? “まんが”?」
「それは追々説明する」
取り合えずラケールの事は置いて今日はケイコに
「アンタ馬鹿じゃないの? 女の子の買い物なら普通第一に服でしょ、服!」
────と話したらラケールにダメ出しをされた。
「……何でそうなる?」
「アンタ本気でそう言ってる?」
「ですが私に衣類は支給されましたし────」
「────駄目ったら駄目! 支給品の制服が憎たらしい程似合うのはともかく、折角可愛いんだから似合う服を見に行くのが先でしょ! と言うわけでデパートへレッツゴーよ!」
「……それってお前が行きたいだけじゃないだろうな?」
「(ギクッ)そそそそんな訳ナイナイナイ」
図星か。 目が泳いでいるぞラケール。
「その“でぱーと”と言うのは?」
あー、やっぱりそこからか。移動しながら説明するか。
「ラケール、この辺のデパートは
「あるわよー、何回か
「そいつは良かった、じゃあ行くか」
「どう行く? 交通機関?」
「ここは奮発して車を出そうか考えてたんだが────」
「……」
「何だよその目は?」
「ううん、べっつにー?」
何だよ? 買い物は荷物がかさばるから言ったんだが…
…………
……
…
数時間後、俺は車で来てよかったと心底思った。
荷物がかさばるからと思ったが、女子の買い物ってよく分らん内に多くなる。
デパートに来て数時間、まだまだこれから買い物をするって言うラケールに振り回されるケイコと荷物持ち/荷物片づけ係の俺。
一服しながらデパートの屋上にある休憩スペースのベンチに座りながら横に置いてある買い物から目を逸らし、上を見る。
……何かガイアと違って
かくいう俺の吸ってるタバコもそれに加担してるような気がするが。
ケイコは大丈夫なんだろうか?
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マイケルさんとは別行動になりましたが、彼の知り合いのラケールに今案内されている。
「ふんふんふふ~ん♪」
そして何故かご機嫌のそのラケールに着替えの“こーでぃねーと”をされている途中です。
「……あ、あの────」
「ほんっと何着ても似合うわね貴方、一周回ってすごく楽しいわ」
「で、ですがこれ程の数の服は高いのでは?」
「いいのよ! どうせ
「は、はあ……」
そう思った途端耳に響くような音が聞こえ、辺りが騒めく。
「またか────」
「今日はいつもより遅いな────」
通りかかる人達がその様な事を言い、お店の窓に鉄の板の様なものを設置する。
「あれは?」
「ん? ああ、貴方は知らないかもね。 あれは敵襲サイレンよ」
「て、敵ですか?!」
「そ、だから皆防弾シャッターとか閉めてるでしょ? ま、モビルソルジャーとかビーム兵器が加わったらアウトだけど」
「た、大変ではないですか!」
私はこの間の宇宙での戦闘を思い出し、今度はそれがここで起きるのかと思った。
「そう?
「ここでも…ですか…」
やはり何かがおかしい。
それが何か突き止めて…何か出来るとは言えませんが。
「あーあ、これで
ふと思い、ラケールに問いをする。
「聞いても良いですかラケールさん?」
「なーに―?」
「マイケルさんのいる屋上にもその“ひなんしぇるたー”はあるのですか?」
「無いけどその代わりに対空砲とかあるから多分そっちに回されたんじゃない?」
「“たいくうほう”?」
「貴方本当に別の星から来たのね、忘れてたわ」
やはり分からない事がいっぱいありますね。この際なのでラケールにも聞く事にしましょう。