「休日に来るなー!」
俺は対空砲の引き金を引きながら叫ぶ。
まあ叫んだところで周りの銃声とか爆発音とかモビルソルジャーのスラスター音とかで掻き消されるんだがそこは気持ちの問題だ。
固定してあるとはいえ反動と音が半端ねえな、流石三十五ミリ口径のスカイシールド式
敵さんの戦略爆撃機撃墜に最適だな、砲台だから高機動兵器とかモビルソルジャーに取りつかれたらアウトだが。
敵の戦略爆撃機へ撃ちながら俺は考え事をしていた。
……う~ん、今日の予定ちょっと狂ったな。 これじゃあケイコに恩返しするどころか時間取ってるだけなんじゃね?
うお、敵のモビルソルジャーがこっちに気付きやがった!
素早く砲台から飛び降りて屋上に着地すると背後からの爆風圧で体が押されて転ぶ。
近くに落ちていた
使用済みの
今日の食事は手軽にテイクアウトにするか。
体がほぼ反射神経で戦場を駆け抜けながらそう考える。
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「あ、あの~」
「ん? 何?」
「なぜ天────ではなくて“モビルソルジャー”に乗り込んでいるのですか?」
そう、何故か私達は皆格納庫に案内され今“モビルソルジャー”に乗っている。
「だって追撃戦に移るから」
「そ、そう言いますが、“十六式”とは違う────」
「当たり前でしょ? 十六式なんて軍用機、市街の追撃戦に使う訳ないでしょ?」
私はこの前乗った“十六式”と違う形のした“こっくぴっと”を見る。
「それにこれは一人用に見えるのですが────」
「追撃戦用モビルソルジャーよ? ガッチガチに装甲が厚くて遅い機体より機動性重視だから構造も複雑じゃないわ────っとと」
ラケールが職員に呼ばれ隣の“ついげきせんよう”モビルソルジャーを降り、私は周りを見る。
ウキウキした顔で友と喋る若者。
昔を懐かしがり話し合う中年期の者。
年端もいかない子供たちが“こっくぴっと”の中のレバーやスイッチを弄る。
私のいたガイアでは考えもしていない光景に見取られ始めると近くの別の職員が話しかけた。
「お? その制服姿は軍人学生のだね? モビルソルジャーに乗った経験は?」
「十六式なら────」
「じゃあ戦果に期待しているよ────」
「はい?」
「じゃ発進させるから」
「はい?!」
何を言ってるんですかこの人?!
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「で、さっきの服の会計が何だって?」
私、ラケール、は今まさに“めちゃ不機嫌です”のトーンで呼び出された職員に向けて言う。
折角着せ替えにん────
────ゲフン────
────ではなく“
────ゲフンゲフン────
────もとい、話し合っていたのに。
あ、紹介が遅れたわね。 私はラケール。
ラケール・イヴァノヴァ。 階級は曹長でマイケルと同じでハウト連邦
と言っても昏睡状態だったから長期間軍務果たしてないんだけど。
「はい、先ほどのお支払いに使われたクレジットカードなのですが現在ストップが掛かれまして────」
「────うげ、マジ? じゃ、じゃあ現金で────」
あちゃ~……先に確認すれば良かった。 と思いきや周りが騒がしくなる。
「ん? もう出撃?」
今回早いわね~……
でもなんか忘れてるような……
あ。
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「うわ、何だあのパイロット?」
まあ、見とれている間に爆風でまた体が吹っ飛んだが。
「ってー!!! くそ、今のは避難所の方だったからだぞ?!」
痛む体に鞭を打って避難所シェルターの方に走ると中から怪我人達が連れ出されているのを見た。
中にはぐったりとした職員を担いでいるラケールを見たがケイコの姿が見えない。
「お、おい大丈夫か?!」
「ええ、何とか! でも……」
おい、まさか。
「まさか────」
「あのケイコって子、操縦の経験ってある?」
……は?
「いや、オペレーター席に座った事があるだけだが────」
「げ、不味いわね。」
……おいおいおいおい! ちょっと待て!
「おいまさか」
気まずそうにラケールが空の方に指を差し、さっき俺が見てた
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「ど、どどどどどどうすれば?!」
何とか何がどうこの“ついげきせんよう”モビルソルジャーに影響があるか試していてる間に“むせんき”から声などが聞こえる。
『よおし! やるぞ! これでボーナスを稼ぐんだ!』
『ハハハ、若い者は良いねえ。昔を思い出すよ』
『オイお前ら! 前方から何か来ていないか?』
『あ? 友軍の偵察機じゃ────?』
前から小型の火の玉の様な物が突然前からこちらに飛来し隣や周りにあったほかの“ついげきせんよう”モビルソルジャーに当たる。
『え、ちょ、ま』
瞬く間にその“ついげきせんよう”モビルソルジャーの“こっくぴっと”辺りから
『てて敵襲!』
『何だよありゃ?!』
『友軍の偵察機は何をやっているんだ?!』
凄い轟音が前方からし始めていると思うと、何かが私達の横を通り抜ける。
『早い!』
『ありゃあティダ帝国の遊撃部隊の生き残りだ!』
『マジか?! ゼゴロク式には荷が重いぞ?!』
『来る! 総員旋回────!』
また爆発が起こり、周りの人達の人数が減る。
『くそ、このままじゃジリ貧じゃねえか?!』
『あの野郎、楽しんでいやがる!』
『お、俺は帰る! もともと追撃戦に参加したんだ! ガチの────!』
『おい待て、そっちは────!』
上から火の玉が雨のように降り、爆発が再び私の乗っているモビルソルジャーを揺らす。
「そ、そんな…どうしたら…」
そう思い、“むせんき”から聞き覚えのある声が聞こえた。
『ジジッ……ケイコ、聞こえるか?!』
今まで荒げていた息を何とか整え返事をする。
『!!! は、はい! 聞こえますマイケルさん! どこにいるんですか?!』
『今避難所シェルターの中だ! 色々ボロボロになったが通信室はまだ稼働していた! 状況を教えてくれ! 帰ってこれそうか?!』
『だ、駄目です! さっきから何人か逃げようとしていた者から撃ち落とされています!』
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「くそ!」
苛立った
「こんな事になると分かれば────!」
「ちょ、落ち着きなさいマイケル! 今はケイコちゃんをどうやって無事に変えさすかが先よ!」
「分かっている!」
くそ、いつもならこんなにイライラしないはずなんだが……
『ど、どうすれば…』
『……お前がやるしかない』
「え?」
『え?』
ラケールとケイコの声がほぼ同時に返ってきた。
「む、無茶よマイケル! あの子はほとんど素人なのよ?! 敵のプロの、生き残りとはいえ遊撃部隊よ?!」
「でも、ほかに助かる方法は無い。 個々の襲撃のおかげで近くに使える機体は無いし、あったとしても間に合うかどうか分からない」
「で、でもどうやって────?」
俺は通信機に戻った。
『よく聞いてくれケイコ。 俺がこの通信越しで指示をする』
「そんな無茶な……」
『わ、分かりました。 やってみます!』
よし、良い子だ。
『俺の声に集中しろ、良いな?!』
俺はうろ覚えの学校の教師の座学などを思い出し、通信室の生きている計測器やレーダーなどに気を付けながらケイコに説明し始める。
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ハウト連邦の犬共め! いたぶってやる!
そんな思いを胸に秘めながら儂、アルグレ元隊長、は自分のモビルソルジャーの腰に搭載してある固定ライフル型拳銃でハウト連邦の小型モビルソルジャーを撃ち落としていった。
こうでもしなければ死んでいった隊員達に申し訳が無い!
そう思っていた途端に敵の中で一機変な動きをしているヤツを見つけた。
「何だアイツ? “落として下さい”と言っているのなら上等だ!」
儂はそう叫び、照準を合わせ引き金を引いた。
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『────敵からの砲撃右上方、噴射左旋回!』
「ぐ、ううううううっ?!」
急な動きで私の身体が椅子の押さえられ、痛みが体中に走り外の景色が急激に回る。
『噴射はそっとやれ! そっと! 来るぞ! 斜め上方! 右だ!』
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「ぬ、こいつ」
これに釣られ好機と思ったのか他のハウト連邦の犬共が撃ってきた。
「ええい、ハエ共め!」
儂はいたぶるのをやめ、敵の小型機を撃ち落としていった。
「最後は────」
そう言いかけて最後の一機から雑な砲撃が来たが────
「何をしている下手くそめ!」
────避けるまでもなく敵の砲弾が通り過ぎる。
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『さ、最後になってしまいした!』
ケイコの慌てる声が来て、それに対し────
『大丈夫だ! うまいぞ、その調子だ! 急噴射の時は下半身に力を入れておけよ!』
『で、ですが────』
『当てなくても良い、敵の方向に撃て! 威嚇にはなる!』
「だ、大丈夫なのあの子?」
ラケールが聞いてくる声がしたような気がしたので通信機のマイクを手で覆う。
「空中戦では勝ち目は無いな」
小声でそう答える。
「え?!」
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あれから何回か
「ええい、なんて下手くそな奴だ!」
あまりにも戦場の法則を無視しすぎて動くが読めない!
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「ふう、ふう、ふう!」
『ケイコ、聞こえるか?!』
マイケルさんの声が切羽詰まったように“むせんき”から聞こえた。
『ハイ!』
『俺がいるところが崩れる!』
『はい! ……はい?』
『よく聞け、勝ち目は一つ────!』
マイケルさんの声の後ろに何か軋む音とラケールの声がする。
『マイケル、早く! この壁クソ重い!』
『────地上戦に何とか持ち込め!』
『ど、どうやって?!』
『ザーー』
返事がなく、帰ってきたのは砂が流れるような音だった。
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「どわっと?!」
その瞬間、俺がいた通信室の壁と天井が崩れ、中の機械が壊れる音が聞こえた。
「あ、あっぶね~」
「感謝しなさいよバカ! 私がいなかったら今頃ひき肉よ!」
プンプンしているラケールが俺を立たせ、埃などを払いながら怒鳴る。
「ああ、ありがとうラケール」
お礼を言いながらラケールの頭をポンポンとすると、ラケールがそっぽを向く。
「な、何バカ正直になってるのよバカ」
ラケールからケイコがいると思う方向を俺は見る。
「無事でいろよケイコ」
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「ええい、上空の角度では無理か!」
そう思い機体をこれから動かすと思った矢先に敵が180度急展開しコックピットスクリーンが“変な奴”で覆わされ、敵モビルソルジャーに捕まったと思ったら突然の加速と方向展開で周りの景色が文字通りゴロゴロ変わる。
「うわ?!」
突然の出来事で戸惑い、その上儂達の二つの機体が地面に叩きつけられながらもゴロゴロと転ぶ。
すべてが収まると同時に儂はグワングワンとする意識を無理やり引き止め敵を睨む。
「下手くそにも程があるぞ! いい加減に死ね!」
儂は自分の機体を起こし、目の前に座っているかのようにある敵モビルソルジャーに照準を合わせ引き金を引く。
が、何も起こらなかった。
「な、何だと?!」
これに驚いている間敵モビルソルジャーは儂の機体を引き寄せ、噴射ノズルのある足裏をこちらのコックピットに付け────
「ま、待っ────!」
────噴射ノズルに火が付くのを見ると同時に体中に汗が噴き出すのを感じた。
そしてこの汗は冷や汗などではなく、急激な温度の変化によって出た汗と瞬時に理解した。
「ぎゃああああああああああ────!」
無駄と分かりつつも、儂は明るくなるコックピットの中で腕と手で顔を覆いながら叫んだ。
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その途端私が乗っているモビルソルジャーの足裏からもの凄い勢いで火が出て来て、“すくりーん”越しでも声が聞こえるような気がした。
「ぎゃああああああああああ────!」
「う!!!」
が、断末魔がまだ聞こえてきた。
「────あぎゃあああああああ! あ゛あ゛あ゛あ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!」
15話です! いや~、これを書いていた時に来たハリケーンIsaias凄かった。
落ちてきた木の枝サイズ達が“ヘルメットがなければ即死だった”レベルだった。
とはいえ、家の外に出ないようにはしているのでそう見て、思ってただけですが。