俺と僕と私と儂   作:haru970

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第16話 「初めて」

 気が付くと(マイケル)は近くまで来た瓦礫撤去用の重工業用モビルソルジャーを()()()ケイコ達が飛んだ方向へ限界ギリギリで走らせていた。

 

「大丈夫だろうか?」

 

 特にこれはケイコの初の単独初陣の上、かなりのガチな敵が相手だ。

 

 とは言えケイコの反射神経と触覚・視覚協応機能は高いからな、ワンチャンあるかも?

 

 そう考えながらモニター越しにティダ帝国型の遊撃モビルソルジャーとハウト連邦型の追撃戦用“ミニ”モビルソルジャーが見えてきた。

 

 あれは確か……ミゴ製のタイプ16だったか? 機動性特化型の。

 

 それに対して俺達側のはサイム製の90式、通称“クロ”。 こっちも機動性特化型だが元々量産第一の設計で()()()()()()()()()様な作りだからな────

 

 ────じゃなくて何だありゃ?

 

 俺が近づくとタイプ16にしがみついている90式が足で蹴る寸前のような形で固まっていて既に人だまり出来ており二機を囲んでいた。

 

『ケイコ、無事か?!』

 

 俺の胸がザワザワし、思わず叫びたくなるような衝動に動かされた。

 

『……』

 

 通信には何も変えって来なかったので更に近づき、俺のオープンコックピットに猛烈な異臭が鼻をつく。

 

 この匂いは忘れ様も筈が無い────

 

 ────()()()()()()()()の混じった匂いだ。

 

「ケイコ!」

 

 できるだけ近づき、オープンコックピットの安全バー(ロールケージ状みたいな)を開閉し、ケイコが乗っていると思う90式のハッチ付近まで移動した。

 

 ガンガン!

 

「ケイコ、いるのか? 返事をしろ!」

 

 コックピットハッチを叩き、声を上げても反応がないので緊急開閉スイッチに認識コードを入力し強引に開けた。

 

「ケ────」

 

 ────そこ(コックピット)にいたのは股を抱えて頭を埋めているケイコだった。

 

 何時もの雰囲気が無く、声が続かなった。

 

「………マイケルさんですか?」

 

 何分、何秒かの沈黙後彼女が俺に気づいたのか顔を上げず、声を上げる。

 

「…ああ、そうだ」

 

「……すみません、少し時間をくれませんか?」

 

「いいぜ、その間に憲兵に報告と車を回してくる」

 

 そう言い俺は来た重工業用モビルソルジャーに乗り移り、地面に降り立った。

 

 そしたらすぐさま記者や野次馬に声が掛かってきた。

 

「正規の敵パイロットを撃墜したのが宇宙帰りの学生というのは本当ですか────?!」

 

「パイロットとの関係は────?!」

 

「この追撃が適正テストと言う噂の真相は────?!」

 

「90式パイロットが初の出撃どころか実戦経験の無い者と言うのは本当ですか────?!」

 

「────ノーコメントだ!!!」

 

 毎度毎度うるさい奴らだ! もうノーコメントで通らせてもらう!

 次いでだからこいつらに借りたモビルソルジャーの会社の対応をしてもらおう。

 

 俺は何とか憲兵達も乗り越えるのに苦労する人の輪を潜り抜け何とか合流する。

 

 それにしてもやっぱりケイコは────

 

 ────機転が利くな、素人にしちゃあ上出来な結果だ。

 

 _________________________________________

 

 こんにちわ。 (ケイコ)は今非常に混乱している。

 

 特に理由も無くマイケルさんと言う方に付いて来て初めて“りったいきどうせん”に遭遇し、テラ(地球)と言う別の“わくせい”に着くや否ラケールという方に出会い────

 

 ────そのラケールという方も昨日見ましたが()()()()()()()()()()()()()()()をしていましたし────

 

 ────そして今私は初めて、()()を────

 

「ウッ!」

 

 私は込み上げてくる気持ちや考えが渦になり私を襲い、私は横を向き胃の中の物を吐いた。

 

 ……私は何をしているんだろう?

 

 私は収まり始める気持ち同様、考えを冷静に順を追って今までの事を思い出す。

 

 そうだ、このテラ(地球)の“間違っている”という違和感の正体は────

 

 ────()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 いえ、これもやはり的を得ていないのですが…

 

 マイケルさん達が来るのを待つ間私はまた考え込み、他の事に頭を映した。

 

「……ラケールさんの髪の色、()()()に似ていたな……」

 

 _________________________________________

 

「あーもー邪魔!」

 

 (ラケール)はマイケルの車のある方に走り、イライラしながら頭を掻く。

 

 駐車場に置いてあるマイケルの車を見つけ、預かっていた合鍵を使って中に入る寸前にマイケル走って来ているのが見えた。

 

「お~い! 待ってくれ~!」

 

 彼と私が乗り込み、駐車場から出発する。

 

「ちょうどいいタイミングだったわね。憲兵達への報告は終わったの?」

 

「ああ、終わった。 で、幸報なんだがアイツは見事敵機を撃墜していた」

 

 アイツ…ああ、ケイコちゃんの事ね。

 

「へぇー、意外ね。良かったじゃない」

 

 完璧なド素人だったと思ったのに、やるじゃん。 ん?この流れって、もしかして────

 

「だろ? という訳で今日は焼肉にしようかどうか考────」

 

「────賛成────!」

 

 はい来たー! 初出撃パーティー!

 

「────えていたんだがケイコの倒し方がな、その…」

 

 ん?

 

「ん? 倒し方が?」

 

 _________________________________________

 

 (マイケル)は運転しながら掻い摘んでケイコが恐らくどうやって敵を倒したのかラケールに説明した。

 

「あー、それはちょっと…焼肉はきついかもね」

 

 渋い顔をしながらラケールが同意する。

 ま、普通敵を焼き殺した日に焼き肉ってのは無いよな。

 

「な? だからいつもとはちょっと違う方法で祝おうかと思ってな。 例えばいつものメンバーを呼んで俺の帰還も兼ねて飲むってのはどうだ?」

 

「お、いいわね~」

 

 昨日確認した時は“いつものメンバー”は生きていたからな、大丈夫の筈だ。

 

 そんな事をラケールと喋っている内にケイコを回収して家に帰った今に至る、が────

 

「────すみません、今は祝い事をするような気分ではないので…」

 

「い、いや気分が良くないなら無理はダメだからな」

 

 主役がイベントから辞退宣言してしまった上部屋に撤退して行った。

 

 これはこれで問題ないんだが…

 

「で? どうするのよマイケル? もう皆呼んじゃったんだけど?」

 

 そう、もう既に知人達をラケールが呼んでしまったんだ。

 

「い・い・加・減・に・し・ろ」

 

 俺はすかさずラケールの顔面にアイアンクローをお見舞いする(手加減なし)。

 

「いだいだいだいだいだい!」

 

 む? なんかこいつの頭の感触変だな。

 

「大体確認する前に呼ぶ奴がいるか?!」

 

 とりあえず言い訳を聞くためにラケールの頭を離す。

 

「だ、だってなんか空気が悪かったからここはパーッと料理パーティーを開こうかと────」

 

「────お前が絡むと“料理”じゃなくて“人体実験”になるのをお忘れかね?」

 

「失礼ね! 木の枝だって立派な有機物よ!」

 

「ジャーキーソースを塗った枝は悪趣味な“ジョークグッズ”の部類に入ると思うんだが、てかどうするんだよ? みんな来るんだろ?」

 

「う、うん…そこはまあ…アドリブで?」

 

 こんっの能天気ドアホ。

 

 …とりあえずアイアンクロー。

 

「だから痛いって! この馬鹿!」

 

 ラケールが返しにキックをお見舞いする。

 

「ぐほあ?!」

 

 切れが入ったキックで俺はよろめき()()()()()()()()()()

 

「て、ああああああああああ?!」

 

「ぬあ、ぬあんだあああああああ?!」

 

 ラケールと俺が共に驚きの声が上がり、俺の手の中には栗色の髪の毛の束(もといカツラと言う奴か?)、そしてラケールの頭から白に近い銀色の髪が────

 

「────なんやねんそれ?!」

 

「わきゃああああああ! 見ないでー!」

 

 ラケールが珍しく俺に手を出さずに頭を手で覆うとする。

 

「……」

 

「こ、これには宇宙より深~い訳が────」

 

「────お前髪染めたのか?」

 

「へ?」

 

「“イメチェン”って奴か?」

 

「は?」

 

「いや何豆鉄砲食らった鳥みたいな顔してるんだよ?」

 

「だ、だって変…じゃない?」

 

 何が?

 

「変? 何が?」

 

「だ、だって…私がこんな“現行締め切り三秒前の作者の髪の毛”みたいな────」

 

「────その例えはさすがに俺も分からんがそんな事を気にしていたのか?」

 

「あ、アンタね! 髪の毛はレディーにとって大事な事なのよ?!」

 

「“レディー”ってお前がか?」

 

「そ、そりゃあ…私だって────」

 

 おいバカやめろ。 何モジモジしてるんだよ────

 

「────ぷ────」

 

 ────笑っちまうだろ。

 

「んな?! わ、笑ったわよねアンタ?!」

 

「だ、だってお前がまるで自分が女────ぐあ?!」

 

 俺の意識は激おこのラケールの拳が顔に飛んできたところで途切れた。

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