俺と僕と私と儂   作:haru970

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次話です!是非読んでいってください!


第1話 「ええ子や」

 俺は見上げて、彼女と目が合った。デカい木の枝の一つの上に彼女はいた。

 民族衣装に弓と矢筒を装備し、腰辺りに短剣。碧眼にかなり長めのピンクブロンドの髪の毛。

 

 ピンクブロンドの髪なんて初めてリアルで見たぞ。

 

 彼女は木の枝からフワッと飛び降り────

おおおお!あの脚線美!Eccellente!胸部装甲はほどほどサイズだが形がイイ!ちなみにパンツは角度と服で見えなかった。ガッデム。

 

 俺はフラフラになりがらも体に鞭を打って立ちながらズボンポケットから数は少ないが疲労回復剤の針なし圧力注射器を打った。一応命の恩人の前だらしないところは見せたくない(俺も男だし。見栄っ張り?イイんだよんな事は。)

 

「……」

 

 弓に矢を構えながらもこっちに無言で歩いて来た。身長は俺と同じかちょっと低めな感じで顔は────

 

「綺麗だ……」

 

 ────“綺麗”と思わず呟いた。この一言でしか表せなかった。完璧に美少女だ。つか可愛い。えっと、まず友好的に事を運ぶには礼を────

 

「あ、ありがとう────」

「�����」

「────え?」

 

 ────俺が礼を言うとほぼ同時に彼女は声をかけてきた、が初めて聞く言語だった。こうなったら────

 

「ハロー、カンユゥーアンダースタンドミー?」

「�����?」

 

 キョトンとした顔でこっちを見る。だめだこりゃ、ぜんっぜん分からん。綺麗な声と顔だけど。

 

「えーと」

 

 俺はとりあえず敵意が無いことを証明するために“自分は丸腰です”という両手上げのアピールをしたがなかなか警戒体制を解いてくれない。よく見たら装備品とか服が旧世界の古代史位か?どんな所に不時着したんだ俺?

 

「�����」

 

 彼女が俺を指さしてまた喋る。

 

「あー、うー」

 

 こんな事になるんだったら奮発して言語解析人工知能搭載付きのスマホ買えばよかった────

 ん?なんか回りが光って────?

 

「ってなんじゃああああ?!」

 

 俺の体が光り始めたと思ったとたん消えた。ここってもしかして放射線があるところ?!俺の体ってこれから光るの?!

 

「あの────」

「へ?」

 

 あれ?彼女の言葉が分かるぞ?

 

「────早くラージウルフを持ってこの場から離れたいのですが、手伝ってくれませんか?さっきの騒ぎが他の魔物を呼び寄せる前にしたいのですが。」

「あ……ああ、もちろん!」

 

 ラージウルフって言うのかこの()()()()は。彼女はせっせと移動する為の作業を始め、俺も加わった。

 

「フー、こんなもんか?」

 

 少し身だしなみを整え(ガムテープは最高だな!ちなみにサブマシンガンも簡易点検してから回収した)、移動しやすいように近くにあった木の棒とかを簡易的な担架っぽいのに狼もどき────いや彼女が言うにはラージウルフか────を乗せ移動彼女と共に始めた。

 

「さっきはありがとう、俺はマイケル。」

「いえ、こちらこそ手伝ってもらってありがとうございます。私の名はケイコと言います。」

「さっきの矢、君のだろ?いい腕しているな。てか、普通に喋れるようになったな俺達?」

「いえ、あなたの魔術こそよく発動しているのに魔力の気配を一切発さないとはさぞ名のある魔術師なのでは?私も多少嗜む程度ですが、“意思疎通の風”位なら扱えます。」

「魔術?魔力?“意思疎通の風”?」

「……ご存じ無いのですか?」

「いや、まあ……うん、色々あって……」

「そうですか。」

 

 返答を濁しながら俺は“何言っていんだかこの子は”と思った。魔術や魔力なんて、そんなファンタジーめいたものを未だに言う奴がいるとは。もしかしなくてもさっきの銃声とかの事を“魔術”と勘違いしているんじゃ?というか銃声を知らない?“

 

 見た目通りあんまり発達してない文明の星なのかな?でも俺の知る限りそんな星は聞いた事がない。

 

 もしかすると実は“装備品は文化的制限があって本来はやはり近代化した文明”なんて言うのもありかも。ということは、ここはもしかして俗に言う“未開惑星”って奴か?だとしたら────

 

「あ、やっと森の出口が見えてきました!」

 

 考え込んでいる内に森から出られる所まで来たか。さて、これからどうするかと思いながら前方の眩しい程の光に足を踏み出した。

 

 _________________________________________

 

 森を出たらそこは草原と畑ばかりだった。

 

「へ?」

 

 いや“へ?”としか……今まで見慣れていた()()の都市があるようなビルが聳え立つ景色の代わりに見渡す限りの草原の中に畑。金色に輝いているのは確か“小麦”だっけ?実物を見るのは旧世界史の授業以来だな。

 

 俺は何とも言えない気持ちで周りを見ながらケイコの後を歩き、一応整備されている土道に出て両側に畑。それにあれは人?畑の中で何をしているんだ?武器も持たずに。

 

「?どうかなさいましたか?」

「ああいや、何だか……夢でも見ているんじゃないかって。」

「フフ、私は夢などではなく本物ですよ?」

 

 ケイコが笑い、俺は目をそらした。笑顔が、眩しい。畑の中にいる一人の男が俺たちに気づき、声をかけてきた。

 

「お~い!ケイコや、デカいウルフだな!」

「ええ!今から肉屋に持って行く所なの!新鮮な肉がもうすぐ売りに出るわよ!」

「こりゃ早いとこ、畑仕事をいったん切り上げてカミさんに伝えなきゃ損だな!ん?その坊主は誰だ?この辺じゃあ見かけねえ顔だな。」

「え?」

「どこから来たんだ?」

「お、俺は────」

「彼、森の中を遭難していたみたいなの!彼を助ける代わりに私の手伝いを申し出たの!」

 

 俺はどう答えたら良いのか迷っている所をケイコが答えてくれた。

 

「何だ、ようやく嬢ちゃんにも“コレ”が出来たのかと思ったぜ!」

「“コレ”?」

「ブッ?!」

 

 思わず吹き出してしまった。この星(ここ)でも小指使うんだな。俺はケイコの様子を窺う。

 

「“コレ”って何ですか?」

「がっはっはっは!ただの冗談だ!さて、いったん切り上げるぞお前ら!」

 

 男は笑いながら他の畑にいる奴らに声をかける。ケイコの方は見事な“ハテナ”マークが似合う顔をしている。

 

 歩いていると城壁らしき物が見えて、門を守護する兵士から声をかけ────

 

 ────られる事無く門を潜り抜けた。

 

 いやいやいや、警備体制緩すぎるだろ?!俺が言うのもなんだが服装 (ボロボロだが)が違う俺よりも逆にウルフに興味が行くとか地球(テラ)じゃ基本失格だ。

 

 あーだこーだと考えている内に町の中に入った。作りは旧世界で言う“中世”の少し前ぐらいか?そう言えば昔こんな時代をテーマにした娯楽町もあったな。

 

 出門の兵士同様視線が俺よりウルフに行っているな。

 

「ごめんくださーい!」

 

 ケイコが肉屋らしき建物(看板の文字が読めなかった)に入り店主に声をかけに行く。ようやく一人になって自分の容姿を見る。

 

 ところどころ破れた迷彩服(ガムテープで即席修理)に軍用ブーツ。バックパック(これもガムテープで即席修理)に腰の小銃ホルスター、肩から下げたサブマシンガン。

 

 傍から見たらどう見ても場違いな感じがするのは俺だけかと思って周りを見たら案の定余所余所しくも他の人らがチラチラと俺を見ていた。子供は俺を指差して連れの親に何か言っているし。

 

「なあ兄ちゃん────」

「へ?」

 

 振り返れば5,6歳位の民族衣装を着た子供が俺に声をかけて来た。

 

「兄ちゃんってお貴族様なの?」

「えっと、それはどうしてかな?」

「だって兄ちゃん、凄い模様の入った服着ているじゃん。」

 

 そう言えば他の人達が着ている服は皆質素な服装だ。

 考えてみれば今俺が着ている迷彩服は支給品とはいえ戦場で活動する為に色々と工夫がほどかされている。たまに“こんな機能いつ使うんだ?”と思っていたが今の俺の状況には不確定要素がありすぎて損はしないだろう。

 

「ああ、これか?これは戦うための服と言うか()と言うか────」

「すげえ!騎士様なんだ!でも剣も持っていないし、馬にも乗っていないし、見た事ない鉄の塊をぶら下げているけど?」

 

 やっぱり―こう言っちゃ失礼かもしれんが―この星の現地人からしたら俺の服装と装備は異様なんだな。ここはどう答えたら良いんだろう。

 

「えーと、俺は基本的に()()を使うんだ。森の中を遭難していて他の仲間とはぐれっちゃってね。その時にウルフに襲われて馬からもはぐれちゃったんだ。」

「ふーん、そうなんだ────」

 

 俺はさっきケイコが畑と話した男の会話を少し借りてありきたりな返答をする事にした。

 

「申し訳ございません騎士様!子供の無知をお許し下さい!」

「ちょ、母ちゃん!」

 

 途端に子供の母親らしき人が子供の頭を下げさせて自分も俺に頭を下げてきた。

 

「え?」

「子供とは言え騎士様にご無礼を、何卒────!」

「え、いや、ちょっと────」

 

 何で?え?ちょっと付いて行けん。

 

「あのう────」

 

 後ろからケイコの声がして振り返れば唖然とする肉屋の店主らしき男とケイコがいた。

 

「いや、俺に聞かれても────」

「魔術騎士様、どうかお許しを────!」

 

 “魔術騎士”と聞いた瞬間他のやじ馬がひれ伏し始める。これを見たケイコは凛とした、かつ優しい声を上げた。

 

「皆さん頭を上げてください!確かにこの方は()()()()()()()ですがこんな事を望むような方ではありません!どうか、頭を上げてください!」

 

 これを聞いた者達が恐る恐る頭を上げながら“ケイコ様が言うなら”とひそひそ話し合っているのを聞こえてくる。

 “ケイコ様”って、余程この子は慕われているな。

 全然驚かないけど、俺みたいな奴に動じないし、面倒見は良いようだし。

 

「では、買い取りありがとうございました。」

「あ、ああ。」

 

 何もなかったように肉屋の店主に笑顔を向けるケイコにたじろぐ店主。頭を上げた人たちはいそいそと場を離れ、店主はウルフを店の裏に持って行き、ケイコは俺の手を引き歩き始めた。

 

 手、柔らかいな。

 

 少し歩いて路地裏に引きずり込まれ────

 

「って力つよ?!」

「さっき何が起こったのですか?何故あんな事に?」

 

 ケイコは俺の目を真っすぐに見ていた。無表情だけど威圧感半端無い!

 俺は店の外で待っている間さっきの子供とのやり取りをケイコに話した。

 

「成程……そう言っては仕方が無い事ですね。」

「えっと、“騎士様”にも驚いたが、“魔術騎士”って────?」

「“騎士”など普通は貴族や貴族に所縁ある者達が普通なる職業ですわ。“魔術騎士”等となると“騎士”の中にさらに上の上位職業になります。」

「な、成程」

 

 イメージ的に俺の前に見慣れない軍服着ている奴が曹長と思って気軽に接したら実は少尉どころか少佐でしたー!な感じかな?そりゃ恐れ多くなるわ。

 

「いや、すまん。軽率だった。」

 

 俺が頭を下げるとケイコは少しびっくりした顔になり────

 

「いえいえ、わかって頂けるのなら幸いです。」

 

 ええ子や、マジで。

 

「ですが今からすぐ私の家に行き、詳しい話を聞かせてもらいます。」

「ア、ハイ。」

 

 でも時々怖え~!

 




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