俺と僕と私と儂   作:haru970

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21話目です!
今回からは一人称と……えーと、“三人称視点”(?)を合わせました!
三人称視点は〔〕で表せています!


第21話 「POW」

「ぬあ?!」

 

 ロケットの爆発で(マイケル)はよろめきながらケイコをカバーしながらラケールの方に叫ぶ。

 

シャーマン(M4 Sherman)は?!」

 

「敵に使われないように手榴弾を使うわ!」

 

 ラケールはシャーマン(M4 Sherman)のハッチ裏の何かを引くと同時にサーメートが焼ける独自の匂いが鼻を襲った────

 

「────ってよりによってサーメートかよ?!」

 

「時間がなかったんだからしょうがないでしょ?!」

 

 俺達三人は内側から焼け始めるシャーマン(M4 Sherman)と横たわっているBTR-80を走り通ってシェルターが設置してある奥へと進んだ。

 

「いや~、でも二人が無事で良かったよ」

 

 そう言うと、ラケールが意外そうな顔で俺のほうを見る。

 

「え? そ、そう?」

 

「そりゃそうだろ?」

 

「え?!」

 

 何だよコイツ(ラケール)、失礼だな。

 

「だって二人がいなかったら大変だったからな。 どうやってあの装甲車(敵のBTR-80)を一人で切り抜けるかとか考えるだけで頭が痛くなるじゃん?」

 

「………フン!」

 

 ちょっとラケールさん? 何故そこでジト目&顔プイ?

 

 そうこうしている間にシェルターらしきエアロック状のゲートに着いた。

 

「えーと、このインターフェイスに市民番号を入れて────」

 

 …………

 

 ……

 

 …

 

 で、俺達三人はシェルターに入った訳だが────

 

「────これってもしかしなくてもヤバくね────いで?!」

 

「こんな時に馬鹿言ってんじゃないわよ!」

 

 俺がふざけている────もとい場を和ませる冗談を言う────とラケールが頭突きを食らわせた。

 ゴリラの上に石頭とは…

 

「大丈夫ですかマイケルさん?」

 

「ああ、ありがとう。 すまないな、こんな事になってしまって」

 

「いえ、まさか“しぇるたー”なるものが敵の手に落ちていたのは誰も想像していないかと」

 

 あー、マジでいい子。

 ちなみにもう察しているかもしれないがシェルターは既にティダ帝国の潜入部隊に占拠されて、到着した俺達は身柄を拘束されていた(現在はシェルター内に設置してある数ある個室の一つに三人共腕を後ろに縛らている)。

 

「で? どうするのよ?」

 

「いや、どうもこうもないだろ。 てかお前この縄引き千切れない?」

 

「……アンタは私を何だと思っているの?」

 

「怪力おん────いで!」

 

「ア・ン・タね~!!!」

 

「だってお前重装兵じゃん!」

 

「だからって限度って物があるわ」

 

「だってクリフは出来たぞ?」

 

「上半身ほぼメカの奴と比べないでくれる?」

 

「“めか”?」

 

「そういやそうだったなアイツ(クリフ)。 えーと、つまり身体の上部分がほとんど機械なんだ」

 

「それは…何か凄いですね。Docka(人口人形)とは違うのですか?」

 

Docka(人口人形)は一から作られて、クリフの場合は怪我を負って代わりに機械にしたって感じだな」

 

「そうね。確かあいつの場合両腕とアバラ左半分が吹き飛んだっけ? で、どうすんのよホントに?」

 

「だな、今の状況は不可解な部分が多い」

 

「そうなのですか?」

 

 あー、ケイコは知らない筈だな。

 

「まずティダ帝国の突撃部隊が捕虜を取るのが前代未聞だ。突撃部隊と読んじゃあいるが、実質“帰る見込みの無い”部隊なんだ。だから捕虜を取ったとしても意味があまり無いんだ」

 

「“取る意味が無い”?」

 

「だって死ぬつもりで戦うような奴らだぜ?」

 

「そ、そんな…」

 

 毎度思うんだが何なんだ? あの表情()は?

 落ち着いたら聞いてみようか。

 

 それにしても今回は何が違うっていうんだ?

 突撃部隊が捕虜を取るのにはそれなりの理由────

 

「────あ」

 

「何だ、ラケール?」

 

 俺はラケールを見る。

 

「もしかしてだけど…ねえ、ケイコちゃん? 少し前、天井が崩れる前に見上げてたけどあれは────」

 

「────あ、はい。 ()()()()()()と感じたので────」

 

「────それってやっぱり“魔法”的な奴?」

 

 うぃえ?! ナンデ知ってんの??!

 

「ってちょっと待てい! なんでお前が────?」

 

「あら、やっぱりマイケルは知ってたのね?」

 

「うげ…」

 

「それはまあ、置いといて────」

 

「いいのかよ」

 

「良くないけど、今の状況下で違うのは明らかにこの子かさっきの“魔法”でしょ? で、この子が何かに反応したのを私は見たわけ」

 

「で、それで“魔法”に至った訳か」

 

「うん。 それで二人とも何か分かる? 私はつい最近までそんな物が実在したなんて知らなかったから」

 

「…うーん、俺もそんなに言える程知ってる訳じゃないんだが────」

 

「私もです…魔力に関する“何か”というのは確実なのですが」

 

「「どゆこと?」」

 

 お、俺とラケールがハモッた。

 

「あ、いえ。 先程感じ取ったのは魔法の行使、または発動だったのですが今はどちらかと言うと魔術が────」

 

「ちょっと待って、その二つって違うの?」

 

「は、はい。 魔法は使う際に使用者独自の波長みたいな物が発するのですが、今は────」

 

「その話は後だラケール。今は現状打破が先だ」

 

「そうね。で、この縄を解くような奴はある?」

 

「えーと……」

 

「無いの?」

 

「どっちかって言うと俺もそんなに詳しい訳じゃないからな」

 

「“風の刃”と言う物があるのですが────」

 

「────よし、それで行こう」

 

「ですが縄を切ると同時に下にある皮膚と肉も切ってしまうかと」

 

 ナンデスト?

 

「“風の刃”は物を切断する為に使う物ですので……」

 

「あー、鋸か包丁みたいなものか」

 

 “縄が解けたけど同時に腕も無くしちゃいました、テヘ☆”じゃあ本末転倒だからな。

 

「あ、じゃあ火で縄を焦げ落とすってのは?」

 

「あ、それならば()()()()()()()()()()

 

「大丈夫()()()()()()()?」

 

「いえ、こういう使い方は初めてなので……」

 

「あ、いや責めてるわけじゃないんだ。それで行こう」

 

「で、ではこちらに来て背を向けてもらえますか?」

 

「おう」

 

 俺は言われたとおりにケイコの傍に寄り、背を向けた。

 

「あ、あの……しゃがんでもらえますか?」

 

「ん?」

 

「い、いえ。こういう細かい作業は初めてですので、火を手で覆い縄を焼くので────」

 

「あー、そうだな」

 

 そういえば俺とケイコとの身長差は頭一つ分ぐらいあったな。

 俺がしゃがむと────

 

「────では」

 

 ファサ。

 

 ……“ファサ”?

 

 突然俺の手に変な感触が────

 

「────すみません、髪の毛を横にしてもらえますか?」

 

「あ、ああ」

 

 俺は出来るだけケイコの髪の毛を動かし────

 ────ってサラサラして細いなー。

 

「ええと……」

 

 ケイコの手が俺の腰をまさぐり始める。

 

「もうちょっと上だ。しゃがむぞ────」

 

 っと、俺がしゃがむと────

 

 フニッ。

 

「ひゃ?!」

 

 ん? 何だこれ? やわらかい何かを触────

 

「何してんのよ変態!」

 

「ブオ?!」

 

 こ、こいつ(ラケール)器用に縛られながら俺の顔を蹴りやがった!

 俺が何をしたって言うんだよ?!

 …相変わらずキレの良い足技。

 

「アンタね────!」

 

「い、いえ大丈夫です。故意では無いかと」

 

 だから何を?

 

 そう考えている内に俺の手や腕をケイコが触り、腕が縛られている辺りが熱くなり始める。

 

「お、効き始めたかな?」

 

 ラケールが横で覗き込むとポカンとした表情をする。

 

「ふおお、凄い。ホントにケイコちゃんの手の中に火が燃えている────あ、もうちょっと近くにしないと」

 

「こうですか?」

 

 …アツ。

 

「うん、そうそうそこらへん」

 

 アツツ。

 

「うん、あともうちょいで────」

 

「────ぅあっちぃ!」

 

 暑い暑い暑い暑い暑い!

 

 突然温度が上がったような感覚で思わず俺は立ち上がり、腕を冷やす為にひたすら動かし、縄が緩んだの感じた。

 

「お? おお?」

 

「やった! 成功よマイケル! さ、早く私達の縄も解いて!」

 

 自分の縄を解き、今度は二人の────

 

「────滅茶苦茶固いな、この縄」

 

「あ、やっぱり?」

 

「やはりこれらも焼かないといけないのでしょうか?」

 

「じゃあ俺がケイコの手をガイド────」

 

「てか何でアンタ(マイケル)は魔法使わないわけ?」

 

 うぐ。 ラケールさん、痛いところを。

 

「マイケルさんはどうにも原初の理(げんしょのことわり)の理解があまり────」

 

「出たぁぁぁぁぁ! 中二病的なアレ!」

 

「“中二病”? 何の病気だそれ?」

 

「さあ? 私も良く分かんない。 旧世界で魔法とかに関してよく出てきた単語。 いやホント、あとで詳しく聞かせて────」

 

「────ていうか良く敵さんの見張りとか来ないな。どうしてだろう?」

 

「でもこれはチャンスよ」

 

「違いねえな」

 

 _________________________________________

 

 〔一方その頃シェルター内での通信室では叫ぶ声が通路にまで響いていた…〕

 

「────話が違うではないですか!」

 

 〔通信室の中にはティダ帝国の突撃部隊らしき人物が画面に向かい怒鳴っていた。〕

 

『君とは前以って作戦内容を確認した筈だが?』

 

 〔画面越しには突撃部隊の上官らしき男が退屈な表情をしながら答えていた。〕

 

「作戦は対象の身柄を確保次第、援軍が後程指示をする筈では?!」

 

『そうだが?』

 

「でしたら何故援軍は来ないのですか? 部下に説明をしようにも────」

 

『────だからさっき君も確認した様に援軍はもうそちらに着いているではないか』

 

「……あの女二人が()()ですか?」

 

『君の思うところは分かるが、これは軍上層部からの勅命なのだ』

 

「だが彼女がここに着いてからは“捕虜が必要”と“ここからはまだ動かない”と変な命令を出し、部下にも混乱が生じました。今は何とか統制を維持していますが────」

 

『それも作戦の内だ。 今我が軍が時間を稼ぐ為に各地で市街戦を行っている。彼女の好きなようにさせなさい。他には無いかね? 他に指示を仰いで来る者が閊えているのでね』

 

「……いえ、他には…何も…」

 

『宜しい、では次の指示があるまで現状維持に慎め』

 

 〔そう言い残すと上官らしき人物側から通信が切れ、通信室に残された突撃部隊の体調らしき者がグッタリと椅子に座る〕

 

「……クソデスク(desk)ジョッキー(jockey)が。現場に居ないくせに…」

 

 〔そう言い残すと上官らしき人物側から通信が切れ、通信室に残された突撃部隊の体調らしき者がグッタリと椅子に座ると後ろの扉が開き、一人の女性が入ってきた。〕

 

「荒々しい声が通路まで聞こえましたよ、隊長さん?」

 

 〔“隊長”と呼ばれた者が後ろを振り向き通信室に入ってきた女性を睨む。

 女性は白衣を纏い、紫色の髪は長く後ろにポニーテールに纏まり、抜群のプロポーション。 

 顔はどこかこの状況を楽しむかのようにニンマリと笑っていた。〕

 

「その顔じゃ、あまり良くない話をしたようね?」

 

「……」

 

「ンフフ、そう睨まないでくれるかしら?」

 

「…次の指示は?」

 

「つまらない人。 まだここの用事は終わっていないからその後になるわね。 ああ、疲れてきたら私に言って頂戴? 眠気覚ましになる飲み物ぐらいは出せるから」

 

 〔白衣の着た女性そう言い、部屋を出ようと踵を返すと隊長と呼ばれた者が声を掛ける。〕

 

「お前は何者だ? 我らティダ帝国の上層部に関わっているらしいが私はお前たち二人の事を見た事も聞いた事も無い」

 

「あら、最初に会った時に言った通りよ? 私達は極秘中の極秘。 一般の兵達には存在すら匂わせないようになっているの」

 

「……」

 

「話が終わったのなら私は戻るわね?」

 

 〔そう言い残し、白衣の女性は部屋を出て、通路を歩くと一人の少女らしき人影が壁に身を預けているのが見え、白衣の女性に声を掛ける。〕

 

「茶番は終わったかロクバン?」

 

「オホホ、茶番だなんてそんな…せめて人形遊びって言って頂戴?」

 

 〔“ロクバン” と呼ばれた白衣の女性は歩みを止めず歩き続けると壁に身を預けていた少女も身を乗り出し、後を歩く。

 これにより少女の服装と顔立ちもう少し明らかになり、彼女は隣の女性とは対照的に退屈な表情に少し背が低く、ショートな黒髪と思わせるが後ろに細長いポニーテールらしき髪が後ろを揺れる。

 顔自身は正統派和風美少女らしく、服装は地球の幕末時代の侍服装が現代風にバージョンアップしたような雰囲気を思わせ、腰と背中に鞘に収めている刀らしき物が見える。〕

 

「で? どうなのだ?」

 

「う~ん、暇つぶしに何体かバラしたけどあまり変わっていないわね────」

 

「────貴様の趣味の事では無い、阿呆」

 

「相も変わらずの堅物ね。 安心して、今回の“オカルト好き”────ああ、ごめん言い直すわ。 “魔術師”は私の提案した方針で今も実験中よ?」

 

「そうか」

 

「最も、成功するには中身が重要になるのだけど」

 

 〔歩みを続ける白衣の女性は声の低い一人笑いをクスクスとしながらも笑顔は崩れず、もう一人の侍風の少女の表情は一切変わらなかった。〕




初の三人称視点はいかがでしたか?
これからもこういう風に使う予定ですがあまり良くないのであれば一人称オンリーに戻せます。

後々今までの話をもう一度読み直して直すべき場所などを見つけ次第直す予定ですので“なろう”での最新情報が変わるかもしれませんので前以って一声をと。

では、また次の話で!
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