俺と僕と私と儂   作:haru970

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第27話 「真相の糸口」

「なあラケール…これ、何なんだよ?」

 

 (マイケル)の問いに私は答えられなかった。

 そもそも起きた物事が重なって(ラケール)の頭がグルグルしてきた。

 

 先ずはマイケルが見知らぬ女性を連れ返って来たでしょ?

 しかも今考えると宇宙人を!

 その次に博物館でしょ?

 あの不可解ばかりのゲリラ戦に魔法や魔術のファンタジーにケイコが何か暴走した様な…

 そして今ケイコが何か初めから居なかった様な感じが…

 いや、それの全部以前に0261空域戦線で私の記憶の途切れ方に私の髪の毛の色の変質…

 

 え? 髪の毛はそれほど重要じゃない?

 あのね、女の子にとって髪の毛は死活問題なの!

 あー! もうー! すっごいめんどくさい!

 

 私は部屋の中を見渡す。

 うん、埃一つないわね。

 流石はプレハブ住宅、部屋の作りも、窓の形も私のと同じ────

 

「────ん?」

 

 いや、何か()()()がある。

 

「マイケル?」

 

「…なんだ?」

 

「ちょっと部屋の鏡、取り外していい?」

 

「…ご自由にどうぞ」

 

 マイケルは気の抜けた声でスマホ弄り始めた。

 まあ、煙草をバカスカ吸い始めるよりはマシね。

 

 私は部屋のデスクをどかしてミラーと壁の間にわずかに隙間ができているのを見る。

 しかも最近動かされたような跡がある。

 私は鏡を取り外して、壁と壁同士の間の空洞を────

 

「「────これは────」」

 

 私と同時にマイケルの声が出た様な気がした。

 

 _________________________________________

 

「「────これは────」」

 

 (マイケル)と同時にラケールの声が出た様な気がした。

 俺は操っていたスマホから見上げ、ラケールの方を見ると彼女が()()()()()()()()()っぽい物を出した。

 

「これってケイコちゃんの────?」

 

 同時に俺はラケールに()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()を見せた。

 

「ああ、そしてこの夜空はガイアのだ!」

 

「あ、凄い綺麗」

 

 沸々と何か温かいモノが俺の身体を満たし始める感じがした。

 

「つまり────」

 

「ああ、ケイコは確かに此処に居た」

 

「そして何者かがそれをとことん隠蔽しようとしている!」

 

「ああ!」

 

 と言う事は……

 

「まずは情報収集だ! っと言いたい所だがラケール、先ずはヘレナ叔母さんに話をするぞ」

 

「え?」

 

「お前の事をハッキリさせないと嫌だろ? 行くぞ────」

 

「ええええ?!」

 

 俺は急いでジャケットを羽織ってから、外に出て車のイグニッションを入れてラケールを待つ。

 

「ちょ、ちょ、ちょっとマイケル────!」

 

「よし、乗ったな。 行くぞ────」

 

「待って、シートベルト着けさせ────わきゃああああ?!」

 

 俺はアクセルを踏み、ヘレナ叔母さんの居所へと行く。

 

 ………

 ……

 …

 

「……」

 

「なあ、いい加減機嫌直してくれよ」

 

 ラケールがフイっと顔を背ける。

 

 高速道路に乗って数分。俺とラケールの間にはまだ沈黙が続き、ラケールはケイコの本らしき物のページをパラパラと捲る。

 

「それ、ガイア語だから読めないぞ」

 

「ふーん…」

 

「「……」」

 

 何と無く空気が気まずい。

 知り合って十年かそこそこ。 

 この年数は地球(テラ)にしては異様に長い付き合いとも言えるしそれ故に遠慮なしでコイツ(ラケール)に気軽に話せるのだが…

 

「……あー、不安か?」

 

 俺は取り敢えず頭にきた言葉をそのまま伝える事にした。

 

「…何よ? 悪い?」

 

 不貞腐れている様な声でラケールがそう答える。

 

「私にだってこう言う時ぐらいあるわよ────あ」

 

 俺の手がラケ-ルの手を握る。

 

「大丈夫だ」

 

「…」

 

 確か()()夜泣く時とかはシオンにこうされていたな。

 今までアイツの事はなるべく思い出さないようにしていたんだが…

 やっぱりさっきラケールに0261空域の事を話したからかな?

 

「…ありがと」

 

 俺は高速道路から降りる坂を下るとラケールが何か言った様な気がした。

 

「おう、何か言ったか?」

 

「な、何でもない! って、いつまで触る気?!」

 

 変な奴。

 

 〔マイケルとラケールの乗っている四輪駆動車が高速道路を降りると住宅街に出る。

 と言ってもマイケルとラケールの家が中心部の都会に近いというだけで厳密には同じく市の中となっている。

 大きな違いがあるとすればこの住宅街はプレハブ住宅だけが並んでいるのではなく、ここの特徴がある家などがほぼ建っている。〕

 

「お、ここだったな確か────」

 

 二階建ての家の前に止まり、ラケールの手を放す。

 

「あ────」

 

「うーん、流石高級街ってか?」

 

 俺は四輪駆動車から降りて周りを見ながら腰を確認する。

 

 ()()()を使う羽目にならなければ良いが、事と場合によっては────

 

「ね、ねえマイケル? べ、別に今日じゃなくても良いのよ? 明日でも────」

 

「────いや、今は時間が惜しい」

 

 俺達のスマホ内のデータ改ざん、病院への手回しの上に俺の家内部の証拠除去…

 あまりにも行動が早い。

 …もしかするとこれは────

 

 〔マイケルはヘレナ・イヴァノヴァ(ラケールの叔母さん)がいるらしき家のインターコムを鳴らす。

 少しの間待つとドアが開かれ、モーター音につられ電動車椅子に乗った女性が出てくる。

 歳は大体30代後半辺りと思われる上半身の見た目に反して、下半身の肉付きが異様に少なかった。〕

 

 へ? こ、これがヘレナさん?

 最後に見た時とは違うな。

 

「あら、マイケル君じゃない。 久しぶりね。」 

 

「あ、ハイ。 ご無沙汰しています、ヘレナ叔母さん」

 

「ラケール、何度か通信送ったんだけど解読の表示が無かったから心配したわよ?」

 

「ご、ごめんヘレナ叔母さん。ちょっと色々あって……」

 

「で、マイケル君と久しぶりの再会はどうだった? 見た所二人ともまだ────」

 

「────だー!!! その先言わないでー!」

 

 ラケールが慌て、それを見たヘレナ叔母さんがクスクスと静かに笑う。

 

 “まだ”何だ?

 それにしても……ヘレナ叔母さん随分変わったな。

 前見た時は車椅子もなかったし、足も普通だった────

 

「────気になるマイケル君?」

 

 おっと、見すぎて気付かれたか。

 

「ええ、まあ。 最後に見た時は自身の足で立っていましたし」

 

「これはちょっとした()()で神経をやられちゃってね。」

 

「そう、だったんですか。 義足などは────」

 

「────神経が死んでいるから意味無いわね。 だけどどうしたの? 連絡もしないで急に来られたら大したおもてなしなど出来ない────」

 

()()()()に関して聞きたいことがあります、」

 

 〔マイケルは真っすぐとヘレナを見ながらそう言う。 ヘレナはマイケルの顔を見返し、何かを悟ったように、あるいは諦めたかの様に溜息をした。〕

 

「そう……玄関で話をするのも何だから、上がったら?」

 

「では、お邪魔します」

 

 俺とラケールが家に上がり、ヘレナ叔母さんとリビングに入る。

 

「お茶を入れてくれるかしらラケール?」

 

「え? あ、うん」

 

 え?

 

 〔マイケルがリビングに入るとヘレナはテーブルに着き、マイケルも反対側に座る。〕

 

「さて、と。何を聞きたいの?」

 

 〔マイケルはキッチンでお茶を入れる用意をするラケールをチラッと見た後、身体を前に寄りかかりヘレナに小声で問いを投げる。〕

 

「単刀直入に聞く、アレは……いや、()()()()()()()()()()()?」

 

 〔マイケルの問いにヘレナは表情を変えず、彼女も上半身を前にし小声で返す。〕

 

「あら、何の事かしら?」

 

「とぼけないで下さいヘレナさん。ラケール自身も違和感を持っています」

 

 〔マイケルは目を離さずヘレナを見続ける、まるで威圧をかけるかのように。

 いや、実際はかけようとしていたがヘレナはこれをモノとせず、ただ静かにマイケルを見る。〕

 

「そう? 気のせいではなくて? 長らく会っていない事もあるし────」

 

「────俺達二人の共通の知人の情報が隠蔽され、存在を揉み消されようとしているんだ。 アンタはラケールの数少ない“家族” だ、手荒な真似はしたくない。 けど事情がこっちにもあってね。 例えアンタでも俺は────」

 

 〔────そこでカチャリと金属と金属の擦り合いが起きたような音がしヘレナが音の元を見るとそこには小銃のFN Five-seveNがテーブルの上に置かれる。〕

 

「……撃ったら憲兵に捕まるわよ?」

 

「構わないさ。 どうせ何時死ぬか分からない人生だ」

 

「……そこまでさせるとは余程の事ね」

 

「俺の命の恩人との約束があってね。 まだ返せていないんだ」

 

「その“恩人”って言うのが────」

 

「────ケイコの事よ、叔母さん」

 

 〔ヘレナの後ろからラケールがお茶の入ったコップをテーブルに乗せた後自分もテーブルに座る。チラッとテーブルの上に置いてある小銃に視線を送りヘレナへと戻す。〕

 

「前に写真を見せた子ね……そう、通りで────」

 

「ヘレナ叔母さん、話してくれる? あの時写真を見たリアクションの理由を」

 

 ん?

 どういう事だ?

 初耳だぞ?

 

 俺はラケールの方を見ようかどうか一瞬迷ったが、ここはラケールに任せようかと思う。

 

「貴方が言った事に対してビックリしていたのよ? “何せマイケルが連れ帰って来たー!”って騒いで────」

 

「────じゃあ何で写真を見せた時黙ったの?」

 

「……」

 

「それだけじゃないわ、今思えば色々聞いていたわね。“この子は何処から来たの”とか、“この子とは何か喋った”とか。あの時はただ物珍しかったかなと思ったけど……まるで私をあの子との接触を怖がっていた様な────」

 

「────そうね。 そうかも知れないわ」

 

「「え?」」

 

 〔ヘレナは溜息をして自分の動かない足を見る。〕

 

「私の下半身は事故で神経をやられたと言ったけど……それは半分本当の事で、もう半分は────」

 

 〔ヘレナは自分の足からラケールへと視線を移す。〕

 

()()にされた事」

 

「え?」

 

「と言っても“前の貴方”だけど」

 

「「ハ?」」

 

 俺とラケールの声がハモリ互いを見てヘレナを次に見る。

 

「どういう…事?」

 

 いや、まったくその通りだ。

 

 どういう事だ?

 




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