キリのいいところまで書いたつもりです。
どういう事だ?
“前の
俺はそれがどう言う意味で言われたのか考えてみるが……
〔ヘレナがお茶を啜る音に
「そ、それって…その…えっと」
「そうね、少し順を追って話しましょうか? 私がハウト連邦の化学機関所属だったのを覚えているかしら? 元だけど」
ハウト連邦の化学機関。
確かハウト連邦の医学、物理学や量子力学などの“知識”の追及がされ、技術とかを編み出しているところだっけ、確か。
まあ、俺から見れば“頭でっかち”の集まり場所だったが……
まさかヘレナ叔母さんがそうだったとは。
「そこで私は生化学寄りの部門で
〔そこでヘレナは一旦言葉を止め、お茶をもう一度啜り、マイケルとラケールを見る。〕
「今言うけど、これから話す事を聞いたら貴方達はもう“知りませんでした”では通らないところまで来るわよ??」
何だ?
まさか命に危険が迫るってんなら────
「“命なんか惜しくない。いつ死ぬかも分からないなんて日常茶飯事だ”って思っているのかも知れないけど、死ぬ事よりもっと酷い事はこの世にザラとあるのよ? 少なくとも、今から話す事にそれも含まれるかも知れないけど」
…もしかして、いや先に確認を────
「一つだけ、聞かせて欲しい」
「何かしら?」
そこで俺はさっき思った疑惑を聞く事にした。
「さっき、ヘレナ叔母さんは元化学
「あら、マイケル君って見かけによらず鋭いわね」
……褒めているのか? それか嫌味か?
分からん。
だが否定はしてない。
「“中央”って、連邦首都の────?」
正式名ハウト連邦首都ゼロ区、又は“中央”。
文字通りハウト連邦のど偉いさん方やエリート、最新技術の出所。
ヘレナ叔母さんって、意外と凄い所の所属だったんだな。
何で出たんだろ?
「ヘレナ叔母さんは、何で“中央”から出たの? それにその下半身は“前の私”って────」
「────
〔ヘレナは自分の下半身を擦りながら、ラケールの方を見る。〕
「
「そう。 先程私が言ったプロジェクト────
なん…だと?
計画の被験体だと?
じゃあ、此処に居るラケールは────
_________________________________________
「そう。 先程私が言ったプロジェクト────
そう
まるで毛虫が体中を這いずり回るような────
────ってそんな考えやめやめ!
マジで無理だから!
「あまり楽しい話では無いのは、まあ言わなくても分かるわよね…ねえ、二人は“不老死”って事を知っているかしら?」
不老死って確か…
アレでしょ? 旧世界で言う“火のバード”シリーズとか首をはねられた事を“
…えーと、現実逃避はこれくらいにしてと。
「“不老死”って永遠に生きるって事でしょ?」
「うーん、少し違うかしら。 マイケル君は?」
「…うん? あまり考えた事ないや」
「そう。 単純に言うと“不老死”とは“歳を重ねる意味”が無くなる事よ」
……は?
え?
“歳を重ねる意味”が無くなる?
_________________________________________
“歳を重ねる意味”が無くなる?
なんじゃそりゃ?
ラケールの方を見た。
旧世界文化ドハマリな彼女なら何か知っている────
────と思って見たら案の定、ラケールも困惑していた。
「うーん…そうね、私達人間だけ当てはまる訳じゃないんだけど生物の全てには細胞の分裂回数には上限があるの。 ここまでは分かる?」
なんのこっちゃ?
うーん…
もう一度ラケールを見ると今にも頭から湯気が出てきそうな感じで“ウーン、ウーン”と唸りながら考え込んでいた。
「……つまり生物全てには“賞味期限”みたいなのがあるって事よ」
「「あ、成程」」
〔マイケルとラケールが同時に返事をし、ヘレナは溜息を吐きそうになるが途中で止めて説明を続ける。〕
「
まあ、無理も無いか。
ただの兵士である俺でさえ単純にすごいと思っているしな、
「最初に私達はヒトの器を作り、ソレがヒトとして生命活動を維持出来るのか試した。これが第一段階のクリア条件」
「なんか“フランケンシュタイン”の物語みたいね」
“フランケンシュタイン”?
「それって何だ?」
聞きなれない単語に俺は質問するラケールの補足をするようにヘレナ叔母さんが話す。
「人工的に“ヒト”を作る点では同じね。 その後“ヒトの精神を解読、または保存出来るのか?”は第二段階の追求。 これにはかなりの時間を必要としたけど、結果として精神は抜き取った“新鮮度”が大事という結果が出た。人から取ると果たしてそれ人なのか? それともただ残留思念の残った
「「…」」
俺とラケールは今言われたことをジッと考え、理解しようと脳をフル回転した。
…俺だけかも知れないが。
「第三段階、“果たして作られた器に抜き取った精神を備え付けられるか?” 答えは“ノー”。
……知らなかった。
まさか
待てよ、その
隣にいるラケールのうなじを見て
その割には顔色がどんどんと悪くなるラケール。
「その…壁はどうやって乗り越えようとしたの?」
〔ラケールがヘレナにそう問うとヘレナは一瞬気まずそうな顔をする。
今までに見ていない表情にマイケルは思わず声をかけそうになるが待つ事にし、数秒後ヘレナは語り始める。〕
「疑似的な器に拒否反応があるとすれば、“
…おい。
「
ラケールが俺を見るが、今はそれどころじゃない。
まさか────
「まさかヘレナ叔母さん、
「────解析結果からして
隣にいるラケールとケイコが“濃い血縁関係者”?
俺の心臓がまるで耳の隣にあるかのようにうるさい。
冷汗がじっとりと俺の背中を埋め尽くし始めるのを感じた。
カラカラに乾いた喉で俺はヘレナに聞く事にした────
「まさか、“自然の器に移植”って……ガイアの人を────?」
「運び来られた
「……何で?」
ヘレナ叔母さんがそんなことに加担していたのが信じられないのか、ラケールがポツリと言う。
「何でヘレナ叔母さん……何でそこまで────?」
「私の姉と義兄、ラケールの親はラケールがまだ小さい頃私に預けて来たまま二人とも帰らぬ日となった。 次の年に母も父も亡くなり、イヴァノヴァ家はラケールと私だけとなった」
ああ、確かにそんな事を聞いたような…
ありふれている話だから忘れていたぜ。
「その時私はかなり参っていてね、ラケールは気丈にも私を励ましてくれたわ。 きっとラケール自身も参っていた筈なのに。 そんな日常の中に変化は起きた────」
ヘレナ叔母さんが上を向き、俺を見る。
「────ある日小学校から帰ってきた日に“マイケル”と言う隣のいじめられっ子を連れ帰って来てね、それはもうびっくりしたわ。 久しぶりに心の底から笑ったラケールを見たのもその日」
うわ~、ここでまさかの俺登場?
きっまず。
「来る日も来る日も徐々に明るくなったこの家、楽しかったわ。 この時はまだ
……俺はラケールの方を見る。
単純にラケールにもヘレナ叔母さんにもかける言葉が見つからないからだ。
「そこからは私達学者チームに提案が来て先ほど言った“
「……あー、聞いても良いか? 俺は詳しくないんだがそもそも人の考えってそんなポンポン抜き取ったり移したりできるのか?」
俺はさっきから気になっていた事をヘレナ叔母さんに聞く。
「出来る。 と言いたいけど私が加わっていた頃は成功二割、失敗は八割ってところだったわ。 私達人間の記憶みたいに固定化した情報はともかく、思考は常時変わっているから一瞬でも止まると────」
「────でも可能なのね?」
〔ラケールがヘレナの言葉を遮り、そう聞く。〕
「…ええ、可能よ。 そこで運び込まれた“優秀な研究材料”の一体が────」
「────私って訳ね」
ラケールの顔が沈み、ヘレナ叔母さんの顔も強ばった。
「…」
……いやこれは流石の俺も言葉が見つからん。
隣にいるラケールの見た目は(髪の色以外)俺の知っているラケールと大差ないぞ?
そんな偶然あり得るのか?
それにもしラケールがケイコとの関係者というのなら、何でケイコは黙っていたんだ?
覚えている限りそんな素振りは見せなかったし。
「運び込まれた素材は全部強制的に睡眠状態を保っていたと聞いていたからコンテナを開けてら訳も分からない間にナニカに襲われたわ」
“ナニカ”って何だ?
「“ナニカ”って何?」
ナイスだラケール!
思わず心の中でガッツポーズをとる。
「そうね……人の形はしていたけど、あれはまるで本能のみで暴れまわる獣のようだったわ。 ただそこに加えて不可思議な突風などが加わるとラケールが好きで見ていた、旧世界で言う“魔法”とかがしっくりくるわ」
……なんてこった。
じゃあ隣にいるラケール(の体)はガイア出身の説が強いじゃないか。
早くケイコの生死を確認するだけがとんでもない事になったな。
いや~今更ながら、子供の頃の自分に驚きです。
多少は今風に直しているものの今までの原稿にほぼ手は加えていません。
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