俺と僕と私と儂   作:haru970

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第7話です! 今回もマイケルとケイコの視点があります。

中々、物語が進まないなぁと思われてる方もいると思いますが、何卒見放さない下さい!!


第7話 「なるほど、分からん」

 やあ、こんにちわ。俺の名はマイケル。マイケル・レナルト軍曹。れっきとしたハウト連邦────

 

 え? それはもう良いって? 

 

 いやだってそうでもしないと背中の感覚に脳みそが行っちまいそうだから。 

 

 軽いし、柔らかいし、いい匂いするし、これでリミッター(制限装置)解除後じゃなかったら発狂しそうなぐらいテンション滝登り具合なんだが。

 

 う~ん……情報まとめはしたし、あと出来る事と言えば今の現状の事を整理する事と救命ポッドについてだな。

 

 今背中に気を失ってるケイコをおぶってメンレに戻ってる途中だ。 

 

 以上。

 

 何でこれだけかって? 聞くなよ、ハズイから。

 

 救命ポッドについては大当たりだった。 どうやらずっと現在地の照合検索と平行してちょくちょく救命信号を出してたらしく受信確認のログがあった。

 

 どこがどうなったら受信確認可能か分らん。 この星には人工衛星や電波が無かった筈なのに? でも結果オーライだからあまり気にしない気にしない。

 

 でだ、今俺はメンレの町の外にいる。 正確には城壁の外だ。 何で入らないかって? 言うと思ったから想像して見てほしい。

 

 背中に気を失った少女を背負っている言葉の分からない奴が城壁を普通に通れると思うか?

 

 通れたとしても他の誰かに止められて少女の具合を質問されても今の俺には言語が分からないから“言葉が通じない+気を失っている少女を背負っている不審者”確定されて衛兵を呼ばれて連行というオチだ。

 

 そこで俺は戦術的待機(ヒマ)を持て余して野外隠密行動(外で身を隠し)中だ。

 

 幸いにもここら辺は訓練場か何かで身を隠す所も川も近くにある。 ケイコも横になれるしな。

 

「う~ん……」

 

 オレは救命ポッドから取り外────もとい“拝借”したものを地面に置き、整理しながら考えた。

 

 今のガイアの文明ってやっぱり俺からしたらド田舎で何か改善できないかって。

 

 いやもちろんガイアに住む種族全員って訳にはいかないけどせめて俺の身の回りを楽にしてあげたい。

 

 チラッ

 

 ……眼福。

 

 やっぱ化学っていいね! と思いながら俺は軍用のフルフェイススタイルのヘルメットのバイザーを上げた。目視力だと限界があるからな。

 

 もともと宇宙服についていたタイプのヘルメットだが持ってて損はないだろ。

 

 次に小型食事レプリケーター。 「これさえあれば10年は腹が空く事は無い!」って誰か言ってたなー。

 こいつの良い所は太陽さえあればエネルギー変換をし、いつでも使える状態で待機。 後は野菜なり、泥なり、()なりとにかく栄養価のあるものを放り込めば硬いパウンドケーキ状の(ほぼ)無臭のバーが出来上がる。

 

 味は聞かないでくれ……入れたものの影響そのまま受けるから適当に放り込むと物体Ⅹが出てくる。 あれは闇鍋パーティーとどっこいどっこいの勝負ができるぐらいヤヴァイ。

 

 けどこのラージウルフのは当たりだな。 ビーフジャーキー風味のエネルギーバーの出来上がり。

 

 ガジガジと口を動かしながらも次のものを見る。 意外にうまい、ビールが飲みたい。

 

 次はストラップを解けば寝袋っぽいのが出来上がる!

 ……うん、ただのブランケットだ。

 

 そこからは結構小物に分かれるな。 小型通信機(イヤピース付、体内電気充電可)、マグネシウムファイヤースターター、ウェット・ドライマッチ、拡大レンズ、銃用フラッシュライトアタッチメント(取り外し可タイプ)、応急処置用医療器具、トラップ・警備用ワイヤー、コンパス……

 

 よく見る機会なんて今までなかったが結構充実してるな(使い捨てのような扱いが多いのに)。

 

 これを使って楽をするのはやっぱり料理かな? 材料をただ入れるだけ。

 次はフラッシュライトかな? 戦闘用だけあってなかなかのルーメンだ。真っ向からこいつの光を肉眼で食らったらマジで目が見えなくなるような代物だが普通にフラッシュライトとして優秀のはずだ。いままで見た松明とかよりは光るしバッテリーの心配もしなくていい。

 

 あとは……医療器具か。 ガイアの治療は見た事ないがケイコが言ってた薬草云々で医療技術は低いと思うが……

 

 魔法、いや魔術か。これがどんなふうに絡んでくるのか見ものだな。

 

 ガジガジと噛むほどに味が出るな、このジャーキー風のバー。

 

「……ん、う~ん────」

 

 奴さんが起きてきた! タイミングを逃さず俺は行動に移った。

 

 ……

 

「……あの────」

 

 俺は何も言わず唯々額を地面に擦り付けるような低さで動かない。

 

 そう、古来から伝わっているアレだ。

 

「────えっと────」

 

 深く詫びたいが故に顔を合わせず、かつ言葉で示せない相手への最大のお詫びの作法。

 

 DOGEZAだ。

 

「────こ、困ります」

「恩人の()に危害を加えた俺を裁く権利がある。何をして良いが、俺の世界の物の使い方を先に説明させてくれないか?」

「え────?」

「出来れば少しでも()の生活が楽になればと。遺書はもう既に作ってあるから────」

「ちょ────」

「だから、()がしたいようにしてくれ。」

「……」

 

 うーん、反応がないのはちょっと意外だな。 もうちょっと待ってみるか?

 

「……」

「……」

 

 無言の時間が通り、ケイコが声をかける。

 

「私のしたいように、ですね?」

「そうだ。」

「それは、“なんでも”、と言った具合ですか?」

「出来る範囲内であれば。」

「……では」

 

 ケイコの気配が近づき、俺の前方付近で止まる。

 

「では一つだけ、お願いします。」

 

 彼女の両手が俺の頭を優しく上げ、顔と顔を照らし合わすようにする。 彼女の瞳が俺を見、俺は彼女と目が合った。

 

 なんだこの表情? 「またこの顔か。」

 

「この顔ですか?」

 

 ヤベ、思わず声に出してたか?

 

「私は、貴方の事が悲しく思います。」

「?」

「私が貴方にして欲しい事とは、生きる事です。」

 

 ()()()

 

「私からは、あなたはまるで自分の命に執着心がないように見えて、それが悲しいのです。」

 

 ()()()()()()()? ()()()()()? ()()

 

「私は、すべての命が尊いと思います。狩りをするのも、射る相手に最大の敬意をもってするものです。薬草になる植物や苔は薬などに調合され、いずれはまた地に戻り他の命の為となる。」

 

 なんだそれ、()()()()()()()

 

「ですがあなたの行動はまるで、生き急いでいるような感じがして……歳はさほど離れていないと思うと、余計にそう思ってしまうのです。」

「……」

「ですから、少しの間でいいのでここ(ガイア)での住み方を学びませんか?」

「……俺で、よければ。でもいいのか? 不本意とは言え君に危害を────」

「大丈夫ですよ、()()()()()()()。」

「ア、ハイ。」

 

 笑ってるのに目が笑っていない。こ、怖えええええええ。

 でも、許してくれるのありがたい。

 

 スマホの㊙フォルダを先に消すのを忘れた。

 

「では、明日からは早いので帰りましょうか?」

「あ、ああ」

 

 俺は立ち上がる、足に痺れる感じがしたが必死に我慢しケイコの後を追った。

 

 分からない、()()()? それは何だ? スマホで検索しても“心が痛んで泣けてくるような気持ち”としてしか出てこない。

 

 次にケイコが言っていた“生き急いでいる”を検索したが“データ無し”として帰ってきた。

 

「なるほど、分からん」

「何がですか?」

「いんや、こっちの話。」

「では次は────」

 

 ちなみに今は魔術の術式や方式についての授業中だ。 ケイコの家に一緒に戻ってきた後俺の“設定”について話し合ってみたところ俺は以下のようなものという設定にしておいた:

 

 1.他の領地の辺境の地の出でそこはもろに学を受けれるような場所ではなく辺鄙な場所。

 2.その辺境の地は極めて強い魔物が頻繁に出るので常人より戦闘技術を備えている。そしてそのせいで家族はいない。

 3.出会った魔物との戦闘中、相手が何らかの極大魔法を使い、その余波に巻き込まれ見知らぬ森の中で彷徨っていた。

 4.極大魔法に巻き込まれ、精神に何らかの影響でケイコの世話になっている。

 5.最後に4で出た“精神に影響”のお陰で共通語、魔術、魔法というガイアでの基礎知識が曖昧になっていてリハビリにケイコに付き合ってもらう代わりに彼女の手伝いをする。

 

 ……うん、我ながらよくこんな設定などで来たと思ったがそこはほぼすべてケイコが考えた事だ。

 

 それにあながち間違っていないし。

 

 _________________________________________

 

 あれから一週間程たちましたが、マイケルと彼の世界の技術には未だに驚かされます。

 魔術や魔法がない世界らしく全てを“かがく”という物で代用し、生き、誰もが使えると。

 

 彼に初歩的な魔術を教え始め、共にお互いの世界の言語も習い始めた。 カタコトとですが、お互いの世界の言葉での会話は彼には良い刺激みたいですね。 より魔術や魔法の勉学に励んでいるように思えます。

 

 ただ彼は何故か私と共に街に繰り出すのを戸惑っているように思えます。 彼にこのことを聞いたら“視線が気まずい”と言い、なるべくフード付きのシャツを着ているのですが逆に注目を浴びているというのは酷かと未だに言えず……

 

 夜遅くまで町に繰り出し帰りが遅くなると彼は“街路灯が欲しい”と言っていた。

 

 後から聞くと夜道が常時明るいとか。いいですね、馬を走らせるにはもってこいといった時、彼は“そういや、馬肉って堅かったなー”と言っていたのですが彼なりの冗談だったんでしょうか?

 

 ……冗談ですよね?




日本語独学者なので訂正すべき所など感想があれば是非とも一言お願いします!

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