もし、アルミンがミカサのことが好きだったら…と思って書いたお話。

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 アルミンがミカサのことを好きだったら…と思って書いたお話です。それはきっと、とても幸福で同じくらい絶望的な恋だと思うのです。

別サイトの作品を推敲した後アップしております。


「君が好きだ」

 エレンは医務棟で暫く休んでいくこと になった。今日、やっと立体機動の基礎訓練でバランスをとることに成功したのだ が、頭を打ったために気分が悪くなって しまったのだ。

そういうわけで、彼を医務棟へ連れて 行ったのはミカサとアルミンだった。

 その帰り道、すっかり暗くなった訓練場をミカサとア ルミンは連れ立って横切って行った。今日は満月の筈だったが、今は雲が月をすっかり隠してしまっている。遠くの方に星が光っているのが見えた。

「ねぇ、アルミン。エレンは大丈夫だと思う?」

ミカサはアルミンに尋ねる。

 もう何回目だろう。10回、いや、20回目だろうか? エレンの事が心配なのは自分も一緒だったが、アルミンはほんの少しだけ苛立つ。

 ミカサは、口を開けばいつもエレンの心配ばかりだ。母親でも無いのに、とエレンはずっと言っているけれど、そう思うのも無理はない、と少し思う。

「…ねぇ、アルミン、エレンは大丈夫 だと思う?」

「大丈夫だよ、ミカサ。エレンはあれ だけ意思が強いんだから、あれくらいの 脳震盪くらい」

 少しだけ早口でまくしたてる。この説明だって、もう何回したことか。 アルミンはため息をついた。

 違うんだ、今は苛立っている場合じゃあないんだ。だって、ミカサと一緒に歩いていて、しかもエレンはいないんだから。

 アルミンはとても賢いから、ミカサが考えていることは手に取るようにわかる。けれど、ミカサにはアルミンの考えていることは分からない。 だからこのような矛盾が発生してしまうのだ。矛盾と言うより一方通行。論理だけなら簡単な事だ。簡単で、それ故に救いようのない事だ。賢いアルミンはそれもわかっていた。

「ねぇ、ミカサ。そんなにエレンのこ とが好きなんだね」

「もちろん。私は、エレンに命を助けられたのだから」

ため息を、もう一つ。

 そのまま暫く二人は黙って歩いた。風が強くなってきた。雲の間から淡い月の光が透ける。銀色の光は黒い雲の姿をいっそう際立たせた。

「ねぇ、ミカサ。話は変わるんだけれど」

 夜空に目をやりながら口を開いた。

 風が雲を流す。

 本当は何も変わらないんだけれど

「…実は、僕もね、好きな人がいるんだ」

 え。ミカサは驚いたのか、小さく声を上げた。黒い瞳の真ん中に自分の姿が映る。魚眼レンズを覗いたように丸く歪んだ姿が映る。

「…まだ、誰にも話していないんだけれどね。…ほら、ミカサは幼馴染だから…」

「初耳。それって誰?アルミンが恋愛を するのなら、私は、全力で応援する」

 ミカサが微笑む。本当に嬉しそうな顔をする。誰かを愛する事の喜びを彼女は知っているのだから。

 それに答えて、アルミンもミカサに微笑みかけた。

「それはありがとう。ミカサにそう言っ てもらえると心強いよ」

  けれど、自分は上手く笑えているのだ ろうか。

 「でも、アルミンの好きな人って誰?私 は、男女の機微には疎い…ので、よくわ からない」

  ミカサは無邪気な目で、愛らしく首を 傾ける。 アルミンはそれを見た。笑みが自然に深くなる。

「それはまだ秘密。…いつか…そうだね、この上ない機会があったら話すよ」

「わかった。もし、その時はエレンと一緒に応援する」

 ありがとう。上の空でそう言った。勇気をだしてみたのだけれど、口に出してしまった今、それは酷く虚しく響いた。

 ミカサに告白する瞬間が訪れることなんて絶対に無いような気がした。もし、それがあるとしたらこの瞬間しかない気がした。

 それなら、いっその事、今言ってしまったほうが良いのかもしれない。きっと伝わりもしないだろうけれど。

 すぅ、と息を吸う。冷たい夜の空気。

「ところで、また話が変わるん だけれど…」

 「今日のアルミンはちょっと変…けれど、なに?」

 ミカサがこっちを見た時、急に雲が途切れた。月光が何にも邪魔されずに地上まで落ちる。

 ミカサの頬が陶器の白に照らしだされた。髪は青く見える。黒に近い、とても美しい色だ。

 

「月が綺麗だね」




読んでくれてありがとう!
 アルミンが大好きです。賢くって可愛らしくて、まさに天使のような子。

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