戦姫と奏でる竜魂の音色   作:骨っ子ドラゴン

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 どうも。骨っ子ドラゴンです。
 自分で思っていたよりは早めに書き終われました。
 あと、書き方なのですが、やっぱり一人称視点の方が筆が進みやすかったので、今後は基本的に一人称で進めて、要所で三人称を使うようにしたいと思います。一話目はプロローグ的な意味で三人称視点だと認識していただけると幸いです。


羽撃く火竜、炎の剣

 

 

 

   その昔、神と呼ばれる存在が人に認識されていた時代。人々は統一言語と呼ばれる共通言語によって意思疎通をしていた。

 そんなある日、神が統一言語をバラルの呪詛という呪いで封じ込めた。なんの知らせもなく当たり前だった物を奪われ、人々は混乱に陥った。

 そんな最中、誰も見たことのない生物が世界中に姿を現した。姿形こそ違っているが、その大半が人間を超える巨躯を誇り、鋭い牙、大きな翼、あるいは強靭な四肢を持つ生物たち。

 

 

 

 

 

 それらは畏怖と畏敬の念を込め   ドラゴンと呼ばれた。

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

「マジか・・・・・・」

 

 俺がトントに言われるがままやったとはいえ、目の前の存在は予想外過ぎてそれくらいしか言葉が出てこない。

 

『なんジャ、信じてなかったのか?』

 

「いや、まさかこんなのが産まれるとは思わねぇだろ普通」

 

 今まで二次元や物語の中でしか聞いたことがないドラゴンが目の前にいるだけでも信じられないのに、自分で孵したとかもう訳分からん。驚きが一周回って逆に落ち着いてるように見えるだけで、頭の中は現実の情報処理に手一杯だ。

 肝心のドラゴンはというと、孵った直後に視界に入ったノイズを睨みつけている。親の仇とでも言わんばかりの迫力だ。

 ・・・・・・ん? なんかこっち向いたけど、顔怖いままなんだが   

 

「・・・・・・おい、こっちにきたんだが!?」

 

 敵意も牙も剥き出しの状態で突っ込んできたぞ!? 何? 俺の見た目がノイズより癪に障った?

 あまりの迫力にビビって一歩下がると、先程まで動きが鈍っていたノイズがまた攻撃してきたのが目に入った。ちょうどよく下げてた足で力強く跳ぶ。

 これでノイズとドラゴンから同時に距離をとれたが、どうするか。前門のノイズ、後門のドラゴンとかシャレにならん。とりあえず、トントからドラゴンへの対処方法を聞き出そう。

 

 

 

 

 

   グシャアッ!!

 

 

 

 

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・え? なんか、ドラゴンが俺に追撃しようとしてたノイズを着地と同時に踏み潰したんだが?

 踏み潰されたノイズはそのまま炭素になっていく。ノイズをゴミのように踏み潰したドラゴンを見上げる。未だに忌々しそうな視線を炭素となったノイズに向けている。

 ・・・・・・・・・・・・さっきのって、ノイズが俺に襲いかかってきたから、助けるために突っ込んできただけなのか?

 

「・・・・・・ありがとな」

 

 うん、とりあえず礼を言っておこう。ひょっとしたら偶然かもしれないし、言葉が通じないかもしれないが。・・・・・・最悪の場合「次はお前がこうなる番だ」ってなるかも。

 内心ビビっていたが、俺の言葉を聞いたドラゴンはまるで返事をするように低く唸った。

 

「トント。こいつ言葉が分かるのか?」

 

『いいや、分からんぞ。ジャが今はワシがおぬしの考えや思いをスピリットとして送っておる。だから伝えたいことは自ずと理解してくれるというわけジャ』

 

「なるほどな。わざわざそうしてるってことは、俺の指示には従ってくれるんだよな?」

 

『当然ジャ。考えるだけでその通りに動いてくれるぞ』

 

「そうか」

 

 となると、まずはあの娘たちの安全確保のために一時離脱だな。こいつの背にでも乗って遠くへ飛ぶ。ノイズを倒すのはその後でいい。

 そう考えてると、ノイズを睨んでいたドラゴンが姿勢を低くする。急な行動に疑問を抱いたが、こっちに顔を向けて小さく鳴いたことでようやくその意図を理解した。俺が乗りやすいように屈んでくれたんだ。

 背中に生えてる剣のような棘に注意しつつ跳び乗る。その瞬間、ドラゴンは羽撃いて空へ飛び出す。

 だけど、普通に飛んでもらうだけじゃダメだ。先程のような上空ではなく地上スレスレの低空飛行をするようにドラゴンへ伝える。道中のノイズをいくつか蹴散らしながら、少女たちがいる場所に近づく。

 

「掴ま   《/s 》その場で跳んで!」

 

「っ!? は、はい!」

 

 手を伸ばしたが、子どもを抱きかかえたままの彼女には掴むのは難しいと判断し、すれ違い際に抱きかかえることにした。

 ただ、ドラゴンの体がそこそこ大きい分、地面に立ってる彼女を抱きかかえるには高いから、こっちに高さを合わせてくれという意味でジャンプしてもらったんだが・・・・・・高過ぎる! 周りの建物位の高さまで跳んだぞ!?

 驚きつつも、ドラゴンに急上昇するように指示した。が、急な方向転換と加速で強烈なGが襲いかかってきた。振り落とされないように慌てて背中の棘を力一杯握るが、剣のようなそれを考えなしに握った結果、鋭い痛みと同時に血が流れる。思わぬ怪我をしたが初めて体感するGをなんとか堪え、空中にいる彼女たちをキャッチする。

 

「ふぅ、なんとかなった」

 

 万が一にも子どもが落ちないように自分の正面に抱え、少女には棘に掴むように伝える。力を入れすぎるとこうなると、さっき切った手を見せて注意もしておいた。

 しっかり掴んだのを確認し、ドラゴンに避難シェルターがある方へ飛ぶよう指示する。ちなみにさっきのGを再び体感したくはないため、急旋回はしないように予め伝えておいた。

 とはいえ、アトラクションも顔負けの高度とスリルだから、俺はともかくこの娘たちが怖がらないか心配だが《s》   

 

「うわぁ、高ーい!」

 

「す、凄い! 私たち空を飛んでるよ!」

 

「・・・・・・思ってたより大丈夫そうだな」

 

 予想していたリアクションよりずっと無邪気な反応を見せる二人に内心ホッとする。二人とも芯が強いのかもしれないな。

 その様子を温かく見守っていると、少女がハッとする。どうしたんだ?

 

「あ、あの! 助けてくれてありがとうございます! でも、私は置いていってください!」

 

 置いていってください? お礼と一緒に言われた言葉に思わず眉をひそめる。あの状況でも抗ってたということは、この娘は死にたがりではないと思ってたんだが・・・・・・。

 

「ち、違いますよ!? 別に死にたいとかじゃなくてですね!」

 

 俺の表情を見て考えていることを察したのか、慌てて説明し始めた。

 

「私、ノイズを倒せるんです! この格好になって咄嗟に殴ったらノイズを倒せて「知ってるよ」え?」

 

 途中で割り込んだ俺の言葉に目を丸くする少女。それに構わず、続きを話す。

 

「君たちの場所に来る時、遠くから見えたからね。でも動きを見た感じ、君は喧嘩慣れもしてない素人だろ? 確かに君が纏ってるそれはノイズを倒せる物かもしれないけど、だからといって変な責任感や使命感を感じる必要は何もないんだ。倒せる(イコール)戦える、じゃないからね」

 

 倒せるとはいえ、人にとって死の恐怖そのものと言ってもいいノイズに向かって行ける胆力は凄いと思うが、見てて危なっかしい。持ち前の反射神経で攻撃をかわしてはいたが、積極的に戦わせたくはない。

 

「君たちはシェルター近くに送ろう。そして、そこに避難してほしい。ああ、君はその格好をなんとかしておくようにね。コスプレと言ったらギリギリ誤魔化せるかもしれないけど、ハッキリ言って痴女みたいだから」

 

「ち・・・・・・!?」

 

 俺の発言に思わずといった感じで体を抱きしめる彼女だが、自分の格好を改めて確認して顔を赤らめていた。腕と足以外の露出は多くないんだが、肌にピッタリ着くタイプのせいで彼女の身体付きがハッキリ分かってしまうから結局はエロいという事態になっている。

 

「とにかく、引き返すなら今の内だ。俺は君に関することを誰にも言わないようにするし、君も俺に関することを誰にも言わないようにする。そうすれば、その力を使うことも、わざわざノイズと戦う必要もない平和な日々を明日からも過ごすことができるよ」

 

 日常を過ごす人がその人にとっての非日常に足を踏み込めば、思った以上に簡単に壊れる。今回のようなノイズの襲撃こそ、正しく非日常だ。

 死の恐怖に怯えた人が最優先するのは自分の命。こうなった場合、自分が助かるためなら隣にいる人を利用してでも助かろうとするのが人間だ。見知らぬ誰かはもちろん、一緒に暮らす家族であろうと、愛を誓った恋人であろうと、囮として簡単に切り捨ててしまう。

 だが、例外も当然いる。危機的状況でも自分より他人を優先し助けようとする、所謂善人   聖人の類。

 ノイズに囲まれても子どもを抱きかかえて守っていたということは、この娘もその類なんだろう。そんな彼女だからこそ、その優しさは日常でだけ使っていてほしい。・・・・・・こういった死と隣り合わせの非日常では、優しい人はすぐ死んでしまうから。

 

「・・・・・・・・・・・・その、あなたはこれからどうするんですか?」

 

 しばらく黙っていた彼女が口にしたのは、俺の今後について。まあ、さっきシェルター近くに送るとは言ったが、俺自身の動向については何も言ってないからな。

 ただ、あまり言いたくないのが本音だ。

 

「戦うよ。ノイズには恨みしかない。それに、救えるなら目の届く範囲の人くらいは救いたいしね」

 

「・・・・・・それなら、私も戦います!」

 

 やっぱりだ。この娘のようなタイプだと絶対そう言うと思った。一人では危ないからと、放って置けないからと、こちらに手を差し伸べる。

 

「悪いけど、他人が危ないからという理由で手を貸すのなら、断らせてもらうよ。その類の決断は自分の意思のように思い込んでる場合が多いからね。いざ危なくなったり、死んでしまったりして「あいつが逃げないから」とか「あいつを助けようとしなければ」とか恨み抱かれても嫌だから。どうしても助けたいなら、それ相応の意思を見せてくれないか?」

 

 こう言えば善人といえど大抵の人は踏みとどまる。実際に自分が危なくなった時に、俺を恨まない自信がなくなるから、それを気にして行動ができなくなる。

 ・・・・・・そう考えていた。

 

「私は人助けがしたいんです! この力でノイズを倒して、それが誰かを助けることに繋がるなら、戦います!    いえ、戦いたいんです!!」

 

 しかし、目の前の少女は臆することなく、力強くそう言ってみせた。その目に揺るがぬ意思   決意を宿して。

 

『これは一本取られたノ。諦めて連れて行った方がいいんじゃないか?』

 

 思わず気圧されてしまい黙っていた俺の代わりにトントがそう言ってきた。彼女たちは突然聞こえた声に驚いて、辺りをキョロキョロと見回している。

 

「ああ、今の声はトントって言って、このギター(姿)になってるが元はブサグルミだ」

 

『誰がブサグルミジャ! ・・・・・・まあ、よろしくノ』

 

「わっ! その状態で喋れるの!?」

 

『ウム   ってコラ、娘っ子! あまり叩くでない!』

 

「すごーい!」

 

 子ども特有の無邪気さでベシベシと叩かれるトント。その様子に苦笑いしながらも、顔を少女へ戻す。視線に気づいた彼女は緊張した面持ちになる。だが、その目は先程と変わっていなかった。

 

「・・・・・・わかった。それが君の意思なら問題ない。ただ、一つだけ。無茶はしないこと、いいね?」

 

「はい!」

 

 うん、いい返事だ。

 とりあえず引き返すことは確定したが、問題はこの子だな。とはいえ、ここまできて一人にするのは逆に危険だ。シェルターに向かう途中で新たなノイズが出るかもしれないし、それなら俺と一緒二ドラゴンの背にいた方が安全だろう。

 

「お嬢ちゃん。悪いんだけど、もう少し俺と一緒にこのドラゴンさんの背中に乗ってても平気かい?」

 

「おじちゃんと? うん、平気だよ!」

 

 

 

 お じ ち ゃ ん

 

 

 

 その一言が心に深く突き刺さる。先程手を切った時より遥かに痛く、襲いかかってきたGよりも遥かに重い。一瞬とはいえ、意識が飛びかけた。

 フフフ、おじちゃんか。・・・・・・俺まだ18なんだけど、そんなに老けて見えるのか?

 

「あ、あの、私が言い出したこととはいえ、この子だけは送ってきた方がいいんじゃないですか?」

 

「あー大丈夫大丈夫。一人でシェルターに向かわせるより、一緒にいた方が安全だからね。大丈夫だよ、俺が守るから。ハハッ、ハハハ」

 

「ほ、本当に大丈夫なんですか?」

 

『心配いらん。もう少しで立ち直るジャろう』

 

 って、いかんいかん! これから戦うのに落ち込んでられるか!

 心を強く持て! 俺は老け顔じゃない! 俺は老け顔じゃない!(大事なことなので二回言った)

 よし! これで俺の心は鋼の如く丈夫になった! 大丈夫だ! もう折れな   

 

「おじちゃん大丈夫?」

 

「ダイジョウブダヨー。オジチャンゲンキー。ハハハハハハ」

 

『折れとる折れとる』

 

 ・・・・・・ハッ!? またしても意識が飛びかけていた!?

 純粋な子どもだからこそ、悪意なくこういうこと言っちゃうんだろうなぁ。いつの日か、その残酷さに気づいて鳴りを潜めてくれることを切に願う。うん、なるべく早く気づいてね。

 

「・・・・・・そういえば、こいつに名前はないのか?」

 

『あるぞ。コヤツの名はフレアソード。本来の生息域は成層圏近くの火竜じゃ』

 

 ・・・・・・サラッと凄いこと言ったな。そんなとこ住んでるのかこいつ。

 

炎の剣(フレアソード)か・・・・・・・・・・・・頼んだぜ、フレアソード!」

 

 名前を呼ぶと返事として雄叫びを上げる。その音を聞いたのか、少し遠くに見えているノイズたちがこちらを向いた。この距離で反応するのか。いや、フレアソードの声がデカいからか?

 兎にも角にも、もうすぐ再戦だ。念の為、少女にもう一度声をかける。

 

「一応いつでも助けに入れるようにはするけど、さっきも言ったように「はい、無茶はしません!」よろしい」

 

「頑張ってね、お姉ちゃん!」

 

「うん! また後でね!」

 

 そう言い残し、彼女はノイズたちに向けて跳び降りていった。・・・・・・本当、凄い度胸だな。あの装備のお陰で大丈夫なんだろうが、まだ結構な高さなのに。

 

「よし、待たせたな、フレアソード。本当は一刻も早く蹴散らしたかったんだろ? ここまでお預けされた分、思いっきり暴れてやれ!」

 

 今度は返事の咆哮を上げることなく、突っ込んで二体まとめて噛み砕く。その隙を狙うようにノイズが突撃してくるが、思考を伝える俺とトントが第二の目のような役割となっている以上、不意打ちは喰らわない。突っ込んできたノイズをかわし、すれ違いざまに爪で引き裂く。

 翼で叩き落とす。尾で薙ぎ倒す。俺とこの子どもがいる以上、間違っても無茶な動きをしないようフレアソードに伝えてあるため、最初に見せた踏み潰しはその後の急上昇がいるため使わないようにしてくれている。

 いつでも助けに入れるように、あの娘と一定の距離を保ちながら周りのノイズを倒していく。とはいえ、彼女もぎこち無い動きながらも一体だけならなんとかなるようで、二体目が近づこうもしたら優先的に攻撃するようにしている。

 とはいえ、思ってた以上に順調だ。ノイズの数も、もう両手で数えれる程しか残っていない。このまま終わってくれれば   

 

『いやー、楽勝ジャノ! これはもう消化試合というやつジャな!』

 

「おいバカ、それ以上言うな」

 

 調子に乗って盛大なフラグ発言をかますトントに黙るように言う。しかし、それでもその口が止まることはない。

 

『なんジャ、葵云。消化試合過ぎてつまらんか? 何、案ずるでない。この戦いが終わったらこやつのとっておきを教えてやるからノ』

 

「うん、ちょっとマジで黙ろうか!!」

 

 もう強制的に口を塞いでやろうと思ったが、今はギターだったのを忘れていた。クソ、どっから音出してやがんだ!?

 

『何を焦っとるんジャ。漫画やアニメじゃないんジャから、フラグが建つわけが   

 

 

 

 

 

   ズズゥゥゥン!!

 

 

 

 

 

 ・・・・・・・・・・・・なんか、デッケェ音が聞こえたんだが?

 嫌な予感がするが、周囲のノイズは倒し終わったため、音のした方向へ恐る恐る顔を向ける。

 そこには、周りの建物よりも巨大なノイズがいた。頭ら辺は芋虫に見えなくもないが、そこから下にある体は太く、とにかくデカくなっている。

 

「・・・・・・・・・・・・トント。明日の昼食も抜きな」

 

『ワシのせいか!? あれ来たのワシのせいなのか!?』

 

「あれだけ前振りかまして何言ってんだこの素っ頓狂が!」

 

 だから黙れって言ったのに、見事にフラグ回収しやがって!

 トントと言い争っていると巨大ノイズが動いた。顔の先端から何か白い球体を出した。身構えるが、それは俺たちのところまで届かず、全部がヤツの近くに落ちていく。疑問に思っていると球体は形を変え、先程まで倒していたノイズと同じ姿に   は?

 

「はぁ!? あのデカブツふざけんなよ! あいつ倒さなきゃキリがないじゃねぇか!」

 

「ど、どうしましょう!」

 

 あの娘がこちらに声をかけてきた。残り一体まで倒したようだが、デカブツをどうにかしないとまた数が増える。最悪、さっきよりも多い数が出てきかねない。

 

『まあ、ある意味ではちょうどいいノ。葵云、あとで教えようと言ったとっておき   ドラゴンフォースを今教えよう』

 

 どうするか考えていると、戦犯(トント)がそう言ってきた。

 

「ドラゴンフォース? なんだ、ハンドパワー的なアレか?」

 

『ス○ーウォーズとは関係ないぞ。フォースについても話したいが、今は手短に説明しよう。ドラゴンフォースとは、ドラゴン固有の能力   有り体に言えば必殺技みたいな物ジャ。そして、フレアソードの物は単純明快。特大威力の火球で敵を粉砕する』

 

「なるほどな。で、使い方は?」

 

『今までと同じジャ。ドラゴンフォースを使うように伝えればよい』

 

「わかった。お嬢ちゃん、しっかり掴まっててくれ!」

 

 幸いというか、あの娘は奴らから死角である建物の影にいるから、上空へ飛び上がる俺たちを素直に追ってくる。なるべく一掃したいため、デカブツの真上付近に位置取り、ノイズどもをデカブツのいる場所へ集める。

 あと少し・・・・・・・・・・・・・・・・・・ここだ!

 

「ブチかませ、フレアソード!!」

 

 俺の掛け声と共にフレアソードは咆哮を上げ、大きく息を吸う。そして   

 

 

 

 

 

バーニングエッジブレス

 

 

 

 

 

 その口から火球を吐き出した。

 ノイズたちは障害物にもならず、火球はデカブツに直撃する。その巨体に焦げた風穴を作り   次の瞬間、爆発した。火球が当たらなかったノイズもその爆発に巻き込まれて吹き飛び、炭素となって散っていく。

 結果、三十はいたであろうノイズは、ドラゴンの火球一発で全滅した。

 

「Wow・・・・・・」

 

『驚き過ぎてネイティブになっとるぞ』

 

 ・・・・・・いや、うん。思ってた以上に凄い威力だったからさ。実際、火球が炸裂した場所と思われるコンクリートの地面には小さなクレーターができてるし、偶然とはいえ真下に向けて撃ったのは正解だった。横に撃ってたらどれだけの二次被害が出てたかわかったものじゃない。

 とにかく、これで新手が来なけりゃノイズはこれで全滅だな。

 

「すごーい!」

 

「大丈夫かい? 怖かっただろう?」

 

 いくら守っていたとは言え、一歩間違えたら死ぬような時間を過ごしたんだ。相当怖かったと思うんだが・・・・・・。

 

「ううん! おじちゃんとドラゴンさんが守ってくれてたから、平気だよ!」

 

「ハハハ、ソウカー。ソレハヨカッター」

 

『また折れた   いや、現実逃避か』

 

 どうやら平気そうだ。ヨカッタヨカッタ。

 ノイズもいなくなった以上はもうフレアソードの背に乗ってる必要もないため、フレアソードに着地してもらい、子ども抱えて地面に降りる。

 そこへあの娘が走りながら声をかけてくる。どうやら、彼女も無事に倒したようだ。俺たちの前に着くと、興奮気味に喋り始めた。

 

「やりましたね! 私たちノイズを倒したんですね!」

 

「ああ、お疲れ様。君もよく頑張った。本当に凄いと思うよ」

 

 無事に戦い終えた彼女に惜しみない称賛を贈る。喧嘩もしないような人物だったであろう少女が、生き死にを決める戦場に立ってあのノイズと最期まで戦ったのだから。

 

「いえいえ! 私なんて全然! この娘を守りながらあれだけの数を倒す方が凄いですよ、おじさん!」

 

   グフッ」

 

 心に突き刺さった「おじちゃん」の隣に「おじさん」が追加される。そのダメージに耐え切れず、俺は地べたへ倒れ伏した。

 

「えぇ!? ど、どうしたんですかおじさん! どこか怪我でも!?」

 

「おじちゃん、しっかりして! 死んじゃ嫌だよ、おじちゃん!!」

 

 心配して声をかけてくる二人だが、その言葉で更にダメージを負う。

 

『あー、大丈夫ジャから、とりあえずおじさんとおじちゃんを連呼するのはやめてくれぬか? このままだとコヤツの心に消えない傷ができそうジャ』

 

 見かねたトントがそう言った。もう少し早めに止めてほしかったが、まあ、贅沢は言わないでおこう。

 立ち上がってしばらくは二人から大丈夫か凄く心配されたが、貧血気味で倒れたということで誤魔化しておいた。

 

「・・・・・・とりあえず、俺とは此処で別れよう。君たちは逃げ遅れた風に装って近くの物陰に隠れておくんだ。俺はこいつと一緒に山奥にでも隠れるから」

 

「え、なんでですか? おじs   お兄さん(?)」

 

 おじさんと言われかけて倒れそうになったが、言い直してくれたので持ち直した。・・・・・・お兄さんの語尾が上がってたのは少し気になるが。

 

「よく考えるんだ。俺と君は、ノイズを倒せた。   言い換えれば、倒せてしまったんだ。人では絶対に抗えないはずのノイズをね。そんな例外である俺たちのことを、人々はどんな風に見ると思う?」

 

「え? えっと・・・「ヒーローだよ!」え?」

 

「お姉ちゃんとお兄ちゃん(?)は、私を守ってくれたもん! 私のヒーローだよ!」

 

 言い悩む彼女に代わり、子どもが迷うことなくそう答えた。こっちもお兄ちゃんの言い方がおかしかった気がするが、スルーしておこう。自分から傷口を抉りたくはない。

 

「そうだね。君にとってはそうだろう。でも・・・・・・・・・・・・いや、やっぱりやめておこう。君たちには・・・・・・特に君には「立花です! 立花響!」・・・・・・立花さんにはお節介だろう」

 

 人間の根底にあるのは優しさだと言う人もいるだろう。俺も別にそれを否定はしない。

 それでも、他者を糧にし、より強い立場になろうとする人間の本能は間違いなく悪意よりだと思う。

 そしてたちの悪いことに、集団になればなるほど悪意というのは表面化しやすくなり、同じ悪意が一定数以上集まるとなると、あたかもそれ(悪意)が正しいかのように振りかざす。それが人間だ。

 だから、ヒーロー扱いされるのは最初だけなのは目に見えている。もしもノイズがいなくなれば、異常な力を持つ俺達はノイズと変わらない化け物扱いされ、迫害されるだろう。立花さんにはそんな未来を歩んでほしくない。でも・・・・・・

 

「立花さん。今後もその力を使うか否かは君が決めるんだ。君が誰かを救いたいと、自分の意思でその力を振るうのなら俺も否定はしない。ただ、もしその力を使う道を   戦う何が起きても、どんな困難があろうとも、自分が正しいと思った道を進んでくれ」

 

 自分の意思で決めた歩みを止める権利は誰も持っていない。だから、俺も彼女に余計なことは言わない。

 

「何、心配いらないさ。物事っていうのはなんであろうと、なるようになるからね」

 

 口出しはしない代わりに、善人である彼女の歩みは報わるものであってほしい。だから、もし戦うことを選んで同じ戦場に立つことがあれば、支えれる限りは支えてあげよう。少しでもこの娘が重荷を背負わなくていいように。

 

「・・・・・・え?」

 

「ん? どうした、立花さん?」

 

   あ、いえ! なんでもないです!」

 

 なぜか少し呆けていたようだが、俺変なこと言ったか?

 

『クサイ台詞ならさっきからずっと言っておるぞ』

 

「うるせぇ。自覚してるから言うな、虚しくなる」

 

 っと、少し話し過ぎた。ノイズがいなくなったと知って避難した人たちが出てくるかもしれないし、この娘たちはともかく俺たちは早く立ち去った方がいいな。

 

「じゃあ、そろそろ俺たちは行くよ。あ、一応最終確認。このドラゴンとこれ、『ワシはこれ扱いか!?』そして立花さんのそれについてはお互いに口外禁止。OK?」

 

「はい! オーケーです!」

 

「こう・・・が、い?」

 

 あ、子どもには分からん言い方だったか。

 

「あぁ、ゴメンよ。つまりは3人だけの秘密ってことさ。約束できるかい?」

 

「秘密! うん、わかった! 約束する!」

 

「ありがとう、いい子だね。元気でいるんだよ」

 

「うん!」

 

「立花さんも。縁が有ればまた会おう」

 

「はい、また   そういえば、お名前は?」

 

 あ、そういえば一切名乗ってなかったな。どうせ覚えれないからと名前も確認せずに会話する悪い癖が出てしまった。

 

「ごめんな、すっかり名乗るの忘れてた。鬼丘葵云。それじゃあ、元気で」

 

「はい! ありがとうございました、葵云さん!」

 

 ・・・・・・・・・・・・いきなり名前呼びとは、まあ立花さんのイメージ的にそっちの方が違和感はないか。

 最後に手を振り、フレアソードの背に跨る。

 

「さて。じゃあもう一飛び頼むぞ、フレアソード」

 

 俺が棘を掴んだことを確認してから飛び立つ。しかし、こいつ全然疲れてないな。あれくらいは歯牙にもかけないってことかる

 

『で、どの辺りに行くつもりなんジャ?』

 

「卵掘ったあの山でいいだろう。あそこら辺そんなに人いないし   

 

 

 

 

 

   はああぁぁぁあああ!!

 

 

 

 

 

「っ!? 避けろ!」

 

 掛け声と共に建物の死角から人影が飛び出してきた。最悪なことに、まだ飛び立った直後だから建物からジャンプするだけで届く距離に俺たちはいた。

 人影がその手に握った巨大な得物を振るう。フレアソードはそれを後ろに下がって避ける。しかし、左の翼に当たったようでフレアソードが小さな悲鳴を   

 

   いっ!?」

 

 なんだ!? 左腕に痛みが!?

 突然の痛みに戸惑うが、翼を斬られバランスを崩した俺達は地面へ落ちていく。いくら俺でも14階程の高さから落ちたら普通に死ぬ。

 怪我をしているからあまり頼みたくないがフレアソードに下敷きになってもらおう。幸いフレアソードもそれを受け入れ、怪我をしたばかりの左の翼を含む両翼で俺たちを包み、自分の体を下にする。直後、フレアソード越しに伝わる衝撃と音によって落下したことを確認した。

 

『無事か、葵云!?』

 

「大丈夫だ! それより・・・・・・!」

 

 素早く腕を捲り、傷を確認する。傷はいくらか浅いが、どう見てもフレアソードの傷のつき方と同じ   切り傷だ。・・・・・・まだトントから確かな情報は聴いてないから予想の範疇を超えないが、もし当たってたら最悪のデメリットじゃないかこれ?

 そう考えていると、少し先にフレアソードに攻撃をしかけた人物が着地した。

 

「・・・・・・最近の歌手は随分と物騒ですね。一般人にいきなり斬りかかってくるなんて」

 

 さっきはしっかり顔を見る余裕がなかったから見間違いだと思ったが、やっぱり   ツヴァイウィングの風鳴翼だ。先程の立花と似たような服装をしており、その手には少し機械じみた刀剣が握られている。

 

「そのような物の怪を連れてる以上、一般人という言葉はあなたには当てはまらないわ」

 

 二年前の事件とかで歌手としての活動していた頃の顔はテレビ越しに見たことはあるが、今の顔は似ても似つかない程こちらに敵意を向けていた。

 

「手厳しいことで・・・・・・・・・・・・で? 俺をどうするつもりですか?」

 

 いつの間にか俺たちを囲むように銃を構えた黒服が立っていた。全員もれなくこっちに銃口向けてるし、なんなら物陰にもまだ様子を伺っている奴が何人かいる。下手な動きを見せれば撃ち殺されかねない。

 左腕が少し不格好になるが、形だけでも両手を上げ、無抵抗だとアピールする。一方で、フレアソードは斬られたことを根に持ってるのか、はたまた危害を加えられるかもしれないからなのか、牙を剥き出しにして唸っている。身内としては頼もしい限りだが、今は少しおとなしくしていてほしい。その考えが伝わったのか、フレアソードは唸るのをやめて睨むだけに留めるようになった。

 その段階で向こうが再び声をかけてくる。

 

「私たちは特異災害対策機動部二課。ノイズを倒すその生物とそれを操る力を持つあなたを捨置くわけにはいかない。あなたを本部まで連行する。無論、拒否権はない」

 

 ・・・・・・まあ、国の機関だよなぁ。

    さて、どうするか。

 

 

 




 ドラゴンフォースとフォースについての説明は、次回の本文中でしようと思います。今のところはドラゴンフォースが必殺技で、フォースはそれを使うための消費ゲージやMPだと思っていただければ大丈夫です。
 また、原作ゲームのドラゴンフォースをそのまま使うと、完全上位互換の能力の物や、効果的に再現不可能な物。大多数のノイズと戦うには向かない物が出てくると思われるので、場合によって少しだけ改変を加えます。
 「あいつの上位互換だからこっちでよくね?」とならないための配慮です。ご了承ください。

 鬼丘葵云
 年下の子と正面から話すのは実に数年ぶりで、おじさん、おじちゃん呼びには深刻な精神ダメージを負った。同年代からも老け顔だと指摘されたことはあるが、その時は何も思わなかったため、本人も今回の一件には戸惑っている。
 初対面の人には年が比較的近い場合でも基本的に敬語で話し、さん付けで呼ぶ。そのため、子どもはともかく、パッと見年下の響にも丁寧に話してる。
 人間という生き物に関しての認識はかなりドライ。他人の考え方を正面から否定こそしないが、賛同もしない。判断基準は自分とその周囲の人にとって邪魔になるか否かとなっている。

 トント
 ギターにもなれるナマモノ。その状態でも喋れるが、どうやって喋っているかは不明。
 ギターを弾いている者のスピリットをドラゴンに伝える役割を持っている。これがなければ基本的にドラゴンとの意思疎通は不可能。
 フラグ発言に関しては、わざとではないのが半分だが、残り半分は一度それっぽいことを言ってみたかっただけである。

 フレアソード
 体長:約7m
 橙色を主とした体をし、腕の代わりに大きな翼を持つ。所謂ワイバーン型のドラゴン。おでこに小さめの曲がった角を、頭からは剣のような長い角を三本生やしている。背中にも剣のような棘が四本生えており、強く掴み過ぎると切れる。属性は火。 
 原作ゲームでは最初に味方となるドラゴン。後述のドラゴンフォースが使いやすく、最初から最後まで活躍してくれるため、プレイヤーとしてはもう一人の相棒ともいえる。
 ドラゴンフォース:バーニングエッジブレス
 原作効果:消費FP(フォースポイント)10、敵一体に170ダメージのブレス攻撃
 今作での効果:目安としての消費FPは変わらないが、硬い物に着弾すると爆発するようになり、その爆発による擬似的な範囲攻撃が可能。

 立花響
 ご存知、戦姫絶唱シンフォギアの主人公。
 今回はノイズの大半をフレアソードが請け負い、片手で数えれる分としか戦っていなかったため、一人でも倒せた。しかし、ノイズの大群と戦うことはまだ難しい。
 葵云に対するおじさん呼びに関しては、先に呼んでた子どもの影響とかではなく、見た目から自分よりずっと年上だと思って呼んだだけである。
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