石上優はもう戻れない   作:顎髭

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大友生徒会入会後、その事を嗅ぎつけたマスメディア部は……。

あ、あと、流石に重い話ばかりはどうなのかと思い、今回みたいにほんの少しギャグ回もやる予定です。
それ以前に、マスメディア部でシリアス回ってのが、まあ難しい……。


マスメディア部は確認したい

私が生徒会に入会したというのは、瞬く間に校内中に広がった。

 

「京子生徒会に入ったの!?凄くない!?」

「え、そ、そんなに凄い事なの?」

 

友達はやや興奮気味で私に話しかけてきた。

 

「だって、それは白銀会長や四宮副会長に認められた人って事なんだよ!?生徒会役員は、会長自らが決めるから、それはもうとんでもない事だよ!!むしろもっと威張ってもいい位だよ!!」

「興奮し過ぎだよ……。」

「まあまあ京子。だってあの子、根っからの『会長信者』だからさ。」

 

まあ確かに、白銀会長は外部入学生にも関わらず、しかも一年時に生徒会長になった、凄い人だってのは知ってる。皆な憧れの的になるのは、まあ避けられない。

会長だけじゃない。副会長の四宮さんだってそうだ。四宮財閥総帥の御令嬢、何をやらせてもそつなくこなしてしまう、まさに文武両道。

そんな二人がこの学園の頂点に君臨しているんだ。憧れは勿論、熱狂的なファンがいる事は、耳にはしていたが……。

 

「ほんと、あんたの会長愛は凄いよね。」

「かぐや様が抜けてるよ!!」

「ごめん……ww」

 

この友達も、二人のファンだが、まさかここまで熱狂的だとは思ってなかった。

確かにこの子は癖が強い部分がある。まあ別に嫌ではないけど…。

まあでもそれ位、あの人達は凄いよ。私なんかを生徒会に招待してくれただけじゃなくて、一緒に石上君の事を………。

 

「……京子?どしたの?」

「えっあっ……!いやー、入ったはいいけど、勉強との両立出来るかなーって………。」

「「確かに……。」」

 

友人達は苦笑した。

すると………。

 

「失礼します。」

 

ある女生徒二人がE組に入室してきた。

見た事ない人達だ。恐らく先輩だろう。

 

「大友京子さん、いらっしゃいますか?」

「え…あ、はい……。」

 

その女生徒達は、大友の元へと向かってきた。

 

「昼休み、マスメディア部の部室に来て頂けますか?」

 

マ、マスメディア部……?マスメディア部が、何で私に……?

 

「生徒会に入会した事について、少々インタビューさせて頂きたいのですが……。」

 

え、そこまで話題になるものなのか?

 

「ええ……予定はありませんので……。」

「そうですか……。では、お待ちしていますわ。」

 

そう言った彼女達は、退室していった。

私が生徒会に入会したのが、そんなに珍しい事か………?

まあ、確かに私はバカだ。だが、先輩方に広まっている程ではないだろ……?

それに、何故それを校内全体に取り上げようとしているのだ?

 

「今の……紀先輩と巨瀬先輩だよね?」

「知ってるの?」

「うん……部活動紹介の時、結構大胆に部活の宣伝してたし…。結構有名だよ?」

「そうなんだ……。」

 

この時の大友京子は気付いていなかった。

友人達が言っている『有名だ』というのが、全くもってプラスの意味を持っていないということに…………。

 

 

 

 

 

 

 

「失礼します…。」

 

言われた通り、昼食を軽く済ませ、大友はマスメディア部の部室へ来た。そこには既に、紀と巨瀬の二人が席に座っていた。

 

「どうぞ、こちらの席へ。」

「あぁ……はい……。

 ………あの………一つ確認なんですけど……。」

「はい?何ですか?」

「………どうしてそんな羨ましそうな目でこちらを見てるんですか?」

 

先程から、いや、彼女達が教室に来てから、何か変な視線を向けられている気がしたが、大友はようやくそれが、彼女達の嫉妬の感情がこもった視線だと気付いた。

 

「いえいえ別に……。ただ、会長とかぐや様の間に異分子が紛れ込んだのかと思うと、つい……。」

「異分子!!?」

 

紀の発言に、大友は驚きを隠せなかった。

 

「かぐや様のお姿をまじまじと見れる環境に、いとも容易く入り込めたあなたが、それはまぁ……。」

「いやいやいや!!そんなつもりないですよ!?」

 

巨瀬の発言を、大友は全力で否定した。

そしてこの時大友は、ようやく気付いた。

この呼び出しを受けるべきではなかった。

 

「というか、肝心の私の生徒会入会についての取材はどうしたんですか!?最初から趣旨がズレてませんか!?」

「え、そんな事一度も言ってませんが?」

「私達は最初から、あなたから見た会長やかぐや様はどんな感じなのか?あなたがどうやって神聖なる生徒会に潜り込めたのか?そしてその時間は至福この上ないはず。

 それを確認しに来たのですよ?」

 

この人達………!!

 

「か、帰ってもいいですか!?そんな事の為にお昼ちょっとしか食べなかった自分がバカみたいですよ!」

「………そんな事?」

 

大友も予感はしていた。自分が今、彼女達の踏んではならない何かを踏んだ事に。

 

「……成る程……。あなたにとっては、そんな事ですか………。はぁはぁはぁ……そうですか……。」

「大友さん……あなたという人は…………。」

 

マズい事になった。何とかして、空気を変えなければ。

 

「……い、いや!!そうでもないですよ!!

 そ、そうだなー……!ほら、会長って、目つきは悪いものの、結構面倒見が良くて、隅までよく人の事を見てるなーって思いますし!!あと、絶対に人の悪い所を言ったり責めたりなんかしませんし!!人格者ってのはまさに会長の様な事を言うのかなーと……!!

 あと四宮さんも、最初こそちょっと怖いなーと思ってたんですが、実際そこまでてもなくて、いい意味で厳しくて、何が駄目なのかはしっかり指摘してくれる、理想の上司、みたいな……!!」

 

大友は何とかして、何とか紀と巨瀬の気を変えようとした。

でも、実際そうだ。あんな過ちを犯した自分を一切責めなかった白銀会長、私の覚悟を受け入れてくれた四宮さん。

突発的に出た事だが、ほとんど間違ってはいない。

 

「…………………。」

「……あ…の………紀さん?」

「……大友さん………。」

「はい……。」

「………あなたから見た、会長とかぐや様の関係は……どんな感じですか?」

「え……えーと……。そうですねぇ………。」

 

生徒会に入って一週間も経ってないから、正直なところ答えようがない。

ただまぁ………。

 

「………お互いの事を、信頼している感じは…まず絶対ですね……。」

「……例えるなら……どんな感じですか……?」

「例えるなら……?そうだな…………上司と部下という感じではないし………。こう……互いを認めている同僚同士というか……。」

「それですわ大友さん!!!」

 

突然紀が立ち上がり、大友の方へと駆け寄った。

 

「いやはや、あなたの事を妬ましいと思ってた自分を殺したい気分ですわ!!やはりあなたは人を見る目があります!!流石会長とかぐや様が認めただけの事はありますわ!!

 同僚同士ですか……!職場を中心としたラブコメは数多くありますわ…!私もそこまでの発想には至りませんでした!!次の題材にさせて頂きますわ!!」

「(………何の事を言ってるんだ?)」

 

分からなくて当然である。

この女、この頃から既に「ナマモノ」と呼ばれる「白銀×かぐや」の同人誌を書いている事は、読者の皆様は重々承知である。

そして今、この女は大友の発言から、新たなナマモノの設定を思いついたのである。

だが…………。

 

「…………!!!(し、しまった!!興奮の余り、つい……!!)」

 

ナマモノに関しては、この女以外知る者は、一人もいない。

というか、知られでもしたら………。

 

 

 

 

 

『かれん………。流石の私も擁護しきれない……。』

 

巨瀬エリカの憐む様な目。

 

『紀さん……今日初めて会って何ですけど、気持ちが悪いです。』

 

大友京子のドン引きした顔。

 

『……人の事を勝手にこんな風にして……。肖像権の侵害だけでなく、私の名誉まで毀損なんて……。覚悟はよろしくて?』

 

四宮かぐやの恐ろしい事この上ない顔。

 

 

 

 

 

「(マズいマズいマズい〜!!)」

 

最悪の事態が予想し得る。

 

「題材って一体………?」

 

何とか誤魔化さなくては。

 

「前から思ってたけどかれん、授業中ノートに何か絵みたいなの書いてない?」

「!!!」

 

紀は、かいてはいけない汗をかき始めた。

 

「えーそ、それは見間違いではー……。」

「………何か怪しい……。ちょっとカバンの中見させて。」

「ちょっ…!!」

 

巨瀬は紀のカバンの中を見ようとしたが、紀はカバンに覆い被さるかの様に、それを阻止した。

 

「べべべべ別ににに何もないですわわわ……!!」

 

酷く鈍感な人間でも分かるような嘘である。

 

「やっぱ何か隠してるわね!」

 

巨瀬はますます興味を示してきた。

 

「古典のノートは今日ありま……!!」

 

自分で地雷を踏んでしまう。

 

「古典のノートねぇ……。」

 

巨瀬は笑みを浮かべた。

 

「てか、今日古典の授業あったでしょ!」

「わわわわ忘れてしまっただけですわ!」

「言い訳しても無駄よ!観念しなさい!」

「嫌ですわ!私は命をかけてでも拒みますわ!!(でなければ私の後の生活が………!!)」

 

すると、誰かが部室に入室してくるのが、大友の目に入った。

 

「はーいそこまで。」

 

その声を聞いた瞬間、二人の動きが一瞬にして固まった。

 

「ぶ、部長…………。」

「どうしてここに…………。」

 

入ってきたのは、マスメディア部部長・朝日雫だった。

 

「たまたま聞いちゃったのよ。生徒会に入会した一年がマスメディア部の取材を受けたって。で、大方あなた達の事だから、どうせこんな事だろうとは思ったけど………。」

「あ、あの………。」

「ごめんなさいね、大友さん。この子達、悪い子じゃないんだけど、人よりも癖が強くて……。」

「ああ、いえ、そんな………。」

「とにかく、そんな私情混じりな取材は駄目だってあれ程言ったのに……。一週間掃除の刑ね。」

「「はぁーい!!」」

 

元気満々で二人は返事をした。

 

「完全に破る気満々じゃないですか……。」

「まあ、いつも通りだから、若干諦めてる部分はあるわ…。

 それよりも大友さん。時間を使わせて悪かったわね。教室に戻ってもいいわよ。」

「ああはい……。失礼しました。」

 

大友はお辞儀をして退室した。

 

「(…………疲れた……。

もう二度とあの人達には関わりたくない………。)」

 

本日の大友の習得

マスメディア部に関わると、ロクな目に遭わない。

 

そして、もう二度とマスメディア部と関わる事はない……だろう。

 

「……え?」

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