▼ウィキで「太政官布告によって開設された公園」ってのを見たら函館にも……設置されてて…………函館……オォォォン
お題は「わるものマニア」(http://www.w-mania.com/)より。
pixivより転載
生き延びて、生き延びて、生き延びて。この目で見たものはいくつもある。新しいものがいくつもある。生き残っていった古いものもあった。そしてその「古いもの」は自分も含まれた。古いものの自分が見た新しいもののひとつが、これだ。
「……おい。斎藤。こりゃなんだ」
怪訝そうに、いつも以上に眉間に皺を刻む土方に、自身は答えた。
「公園ですね。なんでこんなもんがシミュレーションルームにあるかはわかりませんが」
そう、公園だ。自分が生前見たものと随分様変わりした気がする。召喚された際に付与された知識で現代日本の公園の平均的な姿は知っている。それに近い気がした。否、遊具が多い気がする。現代日本の公園からは「子どもに危ないから」と遊具を撤去される傾向にあるという。恐らくだがここにいる「子ども」は軒並みサーヴァントだから何があっても大丈夫だろうということだろう。現にジャングルジムを登ったり雲梯を渡ったりしている子どもサーヴァントの姿が見られた。それらを眺めながら、自分たちは歩いていた。
さて、なんでこんなことになったか。
『新しいシミュレーションルームができたんだけど、点検ついでに散歩してきて』
と、ダ・ヴィンチとマスターに言われたからだ。他にも適任がいる気がしたが、偶々その場に居合わせたのが自身と土方だった。意外だったのは、土方が「そんなめんどくせぇことしてられっか」と断らなかったことだ。ただ、「あぁ」と肯いた。そして今、自分たちは公園を歩いている。遊具の隙間を縫うように歩き、そして目についたベンチに、土方が先に腰掛けた。なのでこちらも遠慮なく隣に座る。
きゃあきゃあ、と子どもたちの声が響く。それを耳にしながら、空を見上げた。天井のはずだが、鳥まで飛んでいてまるで本物の外のようだった。外は吹雪の滅多に止まない雪山なのだが。茶の入った水筒でも持ってくるべきだっただろうか、そう思いつつものんびりと空を見上げていると、土方が唸った。
「おい。コーエンってやつが何の役に立つんだ」
「まぁそこはいろいろとあったんですよ。普段こうして人々の憩いの場になってるのもあれば、災害時には人が避難してくる場所でもあった。そういう大事なところなんですよ。尤も、21世紀には避難場所として地域の体育館とかが使われたりしてたそうですが」
「詳しいな」
「まぁ座で暇だったんで……」
「――それにしても、落ち着かねぇな」
隣で土方も、空を見上げていた。横顔からは、感情の色が窺えなかった。
「こうして平和に、誰にも襲撃される心配もなく外で出歩けるってのはな」
「……副長、僕より先に召喚されたんでしょう。その辺慣れなかったんですか」
「基本食堂以外に出入りしねぇからな。あぁ、最近は図書館ができたから俳句の歌集を読みに行ったりはしてるな」
(この人の趣味変わらないな)
そんな暢気なことを考えている横で、土方は言った。
「本当に平和だ。普段のレイシフト先での戦闘が嘘みてぇだ」
――まるで平和を謳歌するように、そんなことを言うんですね。
それを口に出すことは、憚られた。
そんな土方を望んだこともあるのは自分だ、と、わかっていたから。
子どもたちの騒ぎ声が大きくなる。
End.