~深夜~
現代の東京のシンボル、スカイツリー。それが今、異形の姿へと変貌していた。そんな巨塔の前に1人の少年がいた。
「はぁ……幻魔め、なんで期末テスト前に出てくるんだよ」
右手に篭手の様な物を着けた学生服の少年がそう呟きながらしゃがんでいる。
「文句言うんじゃないよ!」
その後ろに尼僧の格好をした少女が少年を叱りつけた。
「《阿倫》ばあちゃん、現代になんで戦えるのが俺だけしかいないんだよ?」
「こんな若い女にばあちゃんとは何事だよ!? それに戦えるのは《血》と《鬼の篭手》を継いだアンタしかいないんだから仕方ないだろ」
「いやいや、子孫に年齢偽っても仕方ないでしょ。ジャックさんが戦ってくれりゃいいのに」
「ジャックは今は鬼の力を失って只の人なんだから無理でしょ!」
「そうでした……はぁぁぁ」
少年は大きなため息を吐くと、ガチャンガチャンと鉄の音が耳に入ってきた。
少年は音のする方向……変貌したスカイツリーの方向を見た。するとタワーの方向から無数の怪物……幻魔達が現れる。
「愚痴ってても仕方ないか。よっと」
少年は立ち上がる何処からか刀を取り出すと、鞘から刀を引き抜いた。
「ばあちゃん、結界宜しく。さっさと終わらせる」
「はいよ、しっかりやりな! 武!」
武と呼ばれた少年は怪物の群れへと斬り込んで行った。
「おらっおらっ! 雑魚共! さっさと俺に斬られろ!」
武の刀が大剣や双剣、斧などに変化し幻魔を斬り伏せていく。
斬られた幻魔からは魂の様な物が現れ周囲を漂っている、彼は幻魔の魂を右手の篭手に吸い込み封印した。
ードオォォォンー
何かの爆発音と共にスカイツリーの半分程の大きさの幻魔が現れる。
「うっわぁ……マジか。こんなんまでいるのかよ。仕方ねぇ」
篭手が光を放ち、武の身体を黒い光が包み込む。
【オォォォォォ!】
そのまま光球と化した武は巨大な幻魔を貫いた。
「ふぅ……」
巨大幻魔を倒しその魂を封印すると、スカイツリーの方を見上げる。
【おのれ、忌々しい虫けらめ。よくも私の息子を斬ってくれたな】
彼の前に言葉を発する新たな幻魔が現れた。
「げっ……このマッドサイエンティストめ。また性懲りも無く出てきやがったな!」
【五月蝿いぞ、この虫けらめ。何故貴様の様な者が存在している!? この穢れた存在め!】
「放っておけ! テメェには関係ないだろうが、取り敢えずそこを動くな俺が叩き斬って封印してやる。テメェとも因縁も今日で終わりにしてやる!」
現れた幻魔に刀を向けながらそう言う武。そして彼は駆け出した、目の前の幻魔を斬る為に。
「うおぉぉぉ!」
こうして彼は今も戦っている。人知れず戦い続けている。