鬼滅の刃 鬼滅の鬼武者   作:始まりの0

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第10話 とある鬼殺の話

 武がこの時代に来て数年が経過した、武は日々鬼を斬っていた。

 

 此処数年で変わった事が幾つかある、中でも最も武に関わりがあったのは炎柱だった槇寿郎が引退。鬼殺隊に入隊してた杏寿郎が下弦の鬼を討伐、炎柱に就任した。

 

 その他にも柱の面子達とそこそこ交流があった武。

 

 加え分かった事がある、武がこの時代に来てから彼自身全く変わってない。つまり全く年をとっていないのだ。どうやら、【時のねじれ】や【鬼の力】が関わっているらしい。

 

 そんな彼は現在、ある仕事を頼まれた。勿論、鬼殺の仕事である。

 

 何でもと寺に鬼が出るらしい。

 

「さて……と、此処か?」

 

 そこそこ大きな寺で、手入れもしっかりされている為、本当に鬼が出るのかと思ってしまう程、立派な寺を目の前にして辺りを見回す武。

 

「天宮様」

 

 

「ぁあ、隠の」

 

【隠】、鬼殺隊の隠密・諜報活動を行う者達だ。

 

「中は?」

 

 

「流石に朝方ですから変わった動きはありません。普通の寺といった感じでしょうか」

 

 

「そりゃそうか」

 

 

「しかし御気を付け下さい。調査をした隊士が何人も行方知れずになっております」

 

 

「あぁ、慢心はしないさ。それで住職達はどうだ?」

 

 

「はい、確認した所、全員人間であると分かっており、皆、協力的にです」

 

 

「そうか……なら鬼に寝返った人間と言う線は薄いか。

 

 そう言えばしのぶも此方に向かってるんだったか?」

 

 

「はい。胡蝶しのぶ様も此方に向かっております。恐らく夕方前には御着きかと」

 

 

「そうか……他に手掛かりは?」

 

 

「申し訳ありません、特には」

 

 

「ならっいい。しのぶが来るまで休むとするか」

 

 武はそう言うと、鬼殺隊に協力してくれている藤の花の家紋の家へと向かった。

 

 

 

 

 ~藤の花の家紋の家~

 

 用意して貰った部屋で休んでいた武は夜に向け、刀や持ち物のチェックをしていた。

 

「ふぅ……これでよし」

 

 

「失礼します」

 

 

「はい、どうぞ」

 

 

「お茶をお持ちしました」

 

 この屋敷で働いている少女がお茶とお菓子を持ってきた。

 

「こりゃ、どうも……頂きます」

 

 武は少女からお茶と菓子を受け取るとそれは頂き、ほっと息を吐いた。

 

「ありがとう」

 

 

「いえ……」

 

 短い会話で静寂が続く。すると隠の人間が入ってくる。

 

「失礼します……天宮様、これが資料になります」

 

 

「ありがとう……」

 

 武は受け取った資料に目を通す。そこにはこれまでに犠牲になった人々の情報が書かれていた。

 

「隊士以外は殆ど女か、しかも年頃の娘ばかり……だが何故、夜の寺に?」

 

 

「それは分かりません」

 

 若い娘達が何故、夜遅くに寺に行くのか分からなかった。

 

「あっあの……」

 

 急にお茶を持ってきてくれた少女が声を出した。

 

「ん?」

 

 

「もしかしたらですけど、あの寺には縁結びの御利益があると噂で」

 

 

「縁結びか……成程、その為の御参りにか。可能性はあるな」

 

 

「確かに年頃の少女なら理由としてはあり得ますね」

 

 話をしていると到着したしのぶがそう言った。

 

「遅くなりました……来る途中に色々と噂を聞きましたよ。あの寺、深夜に御参りしたら恋が叶うとか」

 

 

「だから夜か……夜なら余程じゃない限り、人に会う事はないものな。しかしそこまでして恋を実らせたりものかね?」

 

 女心を理解してない武の言葉に呆れているしのぶ。

 

「当たり前じゃないですか! 女の子にとって大切な事ですよ!」

 

 

「あっはい……ごめんなさい」

 

 しのぶの迫力に押されて縮こまる武、彼は改めて資料を見ると悲しそうな顔をしている。

 

「神仏に祈る娘達を餌食にするとは……」

 

 

「悲鳴嶼さんが聞いたらぶちキレそうな案件ですね」

 

 

「えっ?」

 

 

「どうかした?」

 

 悲鳴嶼の名前を聞いた瞬間、少女は驚いていた。

 

「ひめじま…さん……悲鳴嶼さんを知ってるんですか!?」

 

 

「えぇ……私達を鬼殺隊の仲間です」

 

 

「良かった……生きてた……」

 

 少女は涙を流す。しのぶと武は互いに顔を見合せる。少女が落ち着き、話を聞いてみた。

 

 少女の名前は沙代、悲鳴嶼が鬼殺隊に入る以前に育てていた孤児達の1人。

 

 悲鳴嶼は寺で孤児達を育てていた。だがある日、寺に鬼が襲撃、沙代以外は殺され、悲鳴嶼は残された沙代を守るために鬼を殴り殺した。

 

 翌日、鬼は日の光で消え、残ったのは子供達の亡骸と血まみれの悲鳴嶼だった。勿論、事情を知らぬ警察は彼を捕らえた。彼も必死に弁明したが、信じられる事はなかった。

 

「それで君は」

 

 

「私は……私は悲鳴嶼さんに酷いことを。あの人が皆を殺したって」

 

 沙代は当時、恐怖のあまり子供達を殺したのは彼だと証言してしまった。その事を彼女はずっと後悔し続けていた。

 

「成程ねぇ……」

 

 

「そうですか……」

 

 武としのぶは、小さな子供が鬼に襲われ恐怖する中、まともや思考で居られる筈がないと考えていた。

 

「お願いです! どうか! 悲鳴嶼さんに会わせて下さい!」

 

 沙代は泣きながら懇願する。それを見て武としのぶは顔を見合せた。

 

「それは……」

 

 

(成程ねぇ……そういう事か)

 

 武は何かを納得したらしい。

 

「取り敢えず話は分かった……この件が終わったらにしよう。もうすぐ陽が落ちる」

 

 武の言う通り、既に日が落ち始めている。先に鬼の事を片付けなければまた犠牲者が増える。そうなる前に鬼を倒さないといけない、だが肝心の鬼を誘い出さないとならない。武はしのぶと紗代を交互に見る。

 

 

「女か……2人ともちょっとばかりお洒落しようか」

 

 

「「はい?」」

 

 

 

 

 

 

 

 ~深夜~

 

 周囲はすっかり、闇に包まれている。

 

 そんな中、2人の少女が寺に訪れていた。2人は仏像を前に手を合わせていた。

 

 バキッと言う音と共に、2体の鬼が仏像の中から現れた。

 

「キヒヒッ、間抜け女共だな」

 

 

「全くだ、ちょっと噂を流しただけで来るんだからな」

 

 

「さて、今夜は1人ずつ食えるな」

 

 

「あぁ……?」

 

 何処からか一体の鬼に向けて複数の御札が飛来し貼り付いた。

 

「なんだこりゃ?」

 

 

「成程……仏像の中に隠れて、仮死状態になって気配を誤魔化したって訳か。なんて罰当たりな奴等だ」

 

 そこに男が歩いてくる。

 

「遅いですよ、武さん」

 

 

「悪い悪い」

 

 どうやら少女の1人はしのぶの様だ。武は手に持ったしのぶの日輪刀を彼女に渡す。

 

「テメェ等、鬼殺隊か!?」

 

 

「その通り……というわけで。『喝っ!』」

 

 武の言葉と共に鬼に貼り付いた御札が爆発し、鬼が木っ端微塵になった。そして武は鬼の篭手で木っ端微塵にした鬼から出た魂を封印した。

 

「なっ!? 何しやがった!?」

 

 

「コイツは【念爆符】。俺の念を篭めておいて、俺の意思で爆発する」

 

 武は御札を取り出し説明した。

 

「では武さん、彼女をお願いしますね」

 

 

「おう」

 

 しのぶが着物を脱ぎ捨てると何時もの隊服姿となり飛び上がった。

 

「【蟲の呼吸】」

 

 しのぶは刀を抜き舞うように鬼へと突っ込んだ。

 

「【蝶ノ舞 戯れ】」

 

 無数の蝶が鬼を包み込む。鬼はその幻想的な光景に見惚れていた。

 

「あっ……」

 

 一匹の蝶がゆっくりと近付いてくる。鬼がその蝶に触れると身体が溶け出す様を幻視した。直後、体に幾つかの穴が開けられた。

 

 蟲の呼吸は彼女の戦闘スタイルに合わせ武と共に開発した独自の呼吸法だ。

 

 鬼はしのぶの刺突による攻撃を食らった。

 

「この程度で……ごふっ……おげっ……ぐぼっ……ごれば?!」

 

 鬼は口からだけでなく、鼻、目、耳などからも出血し、肉が崩れ始めた。

 

「どうですか、藤の花から抽出した毒は?」

 

 

「多分聞こえてないぞ……(うわっ、えぐっ)」

 

 

「この比率で正解でしたね」

 

 ボロボロの状態の鬼を見ながら、自身の調合した毒が効いた事を喜んでいるしのぶ。

 

「ぅ……ぁ」

 

 苦しみながらもまだ息のある鬼を哀れに思った武は刀を抜くと、鬼へと突き刺した。止めを刺し、その魂を篭手に封じた。

 

 これにて今回の事件は幕を引いた。

 

 

 

 

 

 〜翌日〜

 

 武としのぶはある屋敷へと向かう。

 

 到着すると武は大きな門を叩く、少しすると門が開いた。

 

「天宮としのぶか、今日はどうしたのだ?」

 

 出迎えたのは柱の中で最強と言われる男、悲鳴嶼行冥だった。

 

 

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