鬼殺隊の花柱・胡蝶カナエと出会い数日、話をしながら俺と彼女は彼女の屋敷へと向かっていた。取り敢えず住む場所がなければ動くに動けないからだ。
【鬼】……俺の知る【鬼の一族】とは違う存在で、元は人間であり、昔から出現しているらしい。
普通の武器では討つことは不可能な不死性を持ち人を喰らう、弱点は太陽の光だそうだ。他にも藤の花を苦手としており、その鬼を討つのが鬼殺隊だそうだ。彼等は日輪刀と呼ばれる刀を使用しており、それで斬れば回復が困難になるらしい。
ただ、俺の斬った時の様に魂が出たのを見たのは始めてらしい。
正直俺もなんでアイツ等から魂が出るのか分からない。【幻魔】か【鬼の一族】に関わりあるなら分からなくもないんだけどなぁ……あのマッドサイエンティストが関わってない事を祈ろう。
元凶の奴が何の目的か分からんが鬼を増やしてる様だ。
平成の世の中より、文明が発達していない。胡蝶カナエよると現在は大正時代らしい。
これからどうしたものかと考えながら、歩いていると、胡蝶カナエが声をかけてきた。どうやら着いたらしい。
「アンタが姉さんに近付く男ね! 姉さんは騙せても私は騙せないわ! このケダモノ!」
と胡蝶カナエに似た少女に刀を突き付けられる。何でこうなったのだろう?
~少し前~
胡蝶屋敷……胡蝶カナエの屋敷で、現在は彼女の妹……胡蝶しのぶと住んでおり、そして此処は鬼殺隊の療養所となっていた。
しのぶは少しイラついていた。原因は姉であるカナエの帰宅が予定より遅くなっているからである。
緊急事態であれば、
(姉さんが弱い鬼にやられることはないだろうけど……美人で、誰にでも優しいとくれば勘違いする下衆な男共にひっかかって……流石の姉さんもそこまでは)
等と考えているしのぶ。すると、鎹鴉が飛んできた。
「カァーカァー、しのぶ! カナエカラノ手紙ダ!」
どうやら鎹鴉はカナエからの手紙を持ってきた様だ。
「ご苦労様」
しのぶは鎹鴉から手紙を受け取るとそれを開いた。
「……はっ?」
しのぶはその手紙を見て唖然とする。手紙を置き、横に置いていたお茶を飲む。そして一度庭に出て深呼吸する。
「すぅ~はぁ~……最近忙しかったから疲れているのね」
そう呟くともう一度部屋に戻り、手紙を見た。そこには……
事情のある男の人を連れて帰ると書いていた。
そして、しのぶの中では優しい姉が騙されたり、乱暴されてたりと言う姿が浮かぶ。
「姉さんは私が守る!」
これが武とカナエが少し前の事である。
~現在~
「しっしのぶ? どうしたの?」
「姉さん下がって! 男は皆、ケダモノよ!」
「なんか物凄く勘違いされているような」
突然の事で驚くカナエと武。
「えっとしのぶ、どうしたの?」
「どうしたの? ……じゃないわよ! いきなりあんな手紙を寄越して!」
「だっていきなり男の人を連れて帰ってきたら驚くでしょう?」
「そりゃそうよ! ちょっとアンタ!」
「はっはい」
「姉さんをどうやって誑かしたは知らないけど、姉さんにその気はないわ! とっとと去りなさい!」
「「????」」
武とカナエは互いに顔を見合わせる。そして2人共、頭の中は疑問で一杯である。
「ねぇ、しのぶ。何か勘違いしてないかしら?」
「どういうこと?」
「彼とは鬼殺のお仕事で出会ったのよ……それで住む所がなかったから一先ず家でお世話しようと思って連れてきたのだけども」
「えっ?」
「えっ?」
しのぶは姉の言葉を聞いて、彼女の頭もまた疑問で埋まった。
「えっと……何か行き違いがあったみたいだな。俺と彼女が出会ったのは数日前だ。さっき彼女が言った様に鬼関係で会ったんだ」
「えっでも……手紙には」
「取り敢えずその手紙とやらを見せてくれるか?」
武はしのぶからカナエの手紙を受け取った。そして、手紙に目を走らせる。
そこには武との出会いを簡略的に書いており、どういう人物なのか、(子供が)危ない所を助けて貰ったこと等も書いていた。
そして極めつけは「紹介したい男の人がいます」だった。正直これだけみれば、危ない所を助けて貰って、色恋に発展、紹介する為に連れて帰るね……と言う意味に取ってしまう。
「これは……胡蝶が悪いな」
「ぇ!?」
武はじっーとカナエを見た。
「姉さん……」
しのぶもまたじっーとカナエを見た。
「出会って数日だけど……胡蝶妹は普段から苦労してそうだな」
「そうなんですよ……姉さんはこんな性格で人を疑う事をあまりしないし、下心がある男共も多くて……ついこの間も……」
と愚痴を言い始めたしのぶ。
そんなこんなもあり、武は蝶屋敷に到着した。
~産屋敷~
この屋敷で2人の男女が向きい合っていた。
「あまね……間違いないんだね?」
「はい。花柱・胡蝶カナエ様の手紙にはそう書かれております」
「そうか……では直ぐにカナエに彼を連れてくる様に頼んでおくれ。それと柱の皆にも召集を……あまね、私はね、これは兆しだと思っている」
「兆し?」
「これまで動かなかった情勢が動き始めた……【義勇】や【錆兎】【実弥】達から聞いた時はまさかと思っていたけど、書物にあった人物と関係ある者ならきっと私達の力になってくれる筈だ」
あまねと呼ばれた女性は、夫であり、鬼殺隊の頭・産屋敷耀哉の言葉を頷いた。