武は話しあいの途中、天候が悪くなってきたので、屋敷の中に通され、再び話し合いが始まった。
広間に武の前に耀哉、その後ろに耀哉の妻あまね、子供達、そして柱が座っていた。
まずは【鬼】の事、それに【鬼】の始祖【
鬼の始祖【鬼舞辻無惨】は唯一、鬼を生み出せる存在であり、未だにその姿を現していないと言う。
「そして鬼舞辻無惨は我が一族の汚点だ……鬼舞辻無惨は我が一族の出でね。
それ以来、一族は呪われている。神職の家系から妻を貰って、それでも30まで生きれた者はいない」
「成程……道理でな。アンタとそこの子供達を覆うのは呪いと言う訳か」
「?」
「俺は先祖の血の影響か、そう言うものがよく見えるのさ。俺の目にはアンタとそこの子供達を覆う黒い靄が見える。
特にアンタとそこの黒髪の坊っちゃんが顕著に出てる」
耀哉と周りの者達は驚いた。何故なら耀哉の後ろに並ぶ耀哉の奥方とその子供達は皆、女の子の格好をしていた。なのに武は一度見ただけで黒髪の子供が男だと見抜いたからだ。
「さてと……【鬼】の始祖に、【鬼】、鬼殺隊、産屋敷、柱……加えて大爺さんが関わっていたとは……はぁ、阿倫ばあちゃんも分かってやったのか……と言う事は幻魔関係になるのか? なら斬った後の魂については説明がつく……でもなぁ、幻魔蟲でもないし……」
武はブツブツと言いながら頭の整理を始める。
考え始めて数分、武はカッ! と目を開く。
「………………分からん!」
溜めるに溜めて出たのがこれである。皆、その場に転んだのは言うまでもない。
「【鬼】が何か、何で封印出来るか分からんが…………俺をこの時代に導いたなら此処で戦えということか」
武は鬼の篭手を見ながらそう呟いた。
「武、私には君がどの様な力を持っているのか、どの様な人生を歩んで来たのかへ分からない。
でも、君はその力で多くの私の子供達を助けてくれた。
遅くなってしまったが、本当にありがとう」
耀哉は武に頭を下げた。その後ろにいた耀哉の家族もだ。
「別に大した事はしてない」
「それでもだよ……君にとっては大した事ではないことかも知れないけど、私の子供達の命を救い、多くの未来を守ってくれた。どうか、これからもその力を貸して貰えないかな?」
「まぁ……元の時代に戻るまでだからな。出来るだけの事はしよう」
そう言うと、武は立ち上がると刀を引き抜いた。
それを見た柱達は武に向かい刀を抜こうとするが、耀哉が止めた。
「取り敢えず……組織の頭が潰れたら困るだろうから、先に片付けておくか」
そう言った瞬間、武は耀哉に対し刀を振り下ろした。
その瞬間、バキッと何かが砕ける音が鳴り響く。
全員がその音と彼の行動に対して驚くが、武は続き鬼の篭手を耀哉に向けた。
鬼の篭手の先端が光り出す。すると耀哉の身体から黒い靄の様な物が現れ、篭手に吸収されていく。
靄が完全に吸収されると、武は刀を鞘に納め、篭手の方の手を耀哉の頭に翳すと、淡い光が灯る。光が収まるとその場を離れ座った。
「ふぅ……呪いを断ち斬るのは久しいな。仕事ではあまりなかったしな、上手くいってなによりだ」
「一体なにが……呪いを断ち斬った?」
「かっ耀哉様!?」
「「「「父上!?」」」
近くにいた妻のあまねと子供達が耀哉を見て驚いた。何故なら爛れていた顔が元に戻っていたからだ。
あまねは鏡を持ってきて、耀哉に見せた。本人も顔が治っていることに驚いている。
「ぁ~疲れた。残りは子供達の方か……取り敢えず影響はまだ少なそうだな、後で御守り作って様子見って所かな」
「これは一体……」
「言葉通りだ……アンタを呪いを大本から斬り離して、残っていた呪いを吸い出して、篭手の中で生命力に変換、それを与えた結果、治ったと言う事だ。視力に関しては後々戻るだろうさ」
武はそう言うと、篭手を消しその場に座り込む。
「結界やら、何やら準備しないと……」
武はそう言うと、ポケットから手帳とペンを取り出し、何かを記入し、そこを破ると、耀哉に渡す。
「取り敢えず、そこに書いてるのを準備してくれ。後、疲れたから食事を用意して貰うと嬉しいんだけど」
そう笑いながら言う彼に驚きながらも、この場にいる全ての者が感謝したのは言うまでもない。