【参加者募集中】読者参加型SS スーパーロボット大戦 無限戦争 作:ダス・ライヒ
ジブリールが座乗艦「ロゴス」に搭載されているレクイエムを使い、連合軍を無理やりディバイン・ドゥアーズと戦わせている頃、その戦列に加わらなかった同盟軍のローグレッドは、同じく戦列に参加していない連邦勢力の一つである
隊長であるビアンナ・ドバルドは、マリ・ヴァセレートのトルネードパックを装備したVF-25Fメサイアと死闘を演じており、部下たちの危機を知る由も無かった。
『クソっ、数が多すぎる! ウワァァァッ!!』
凄まじい数の機動兵器に包囲されたローグレッドのザクⅣは、それでも抵抗するが、先の右翼系義勇軍のリーオーやスピナ・ロディとは違い、UCAのパイロットたちは正規の訓練を受けた正規軍であり、数による集団戦法で集中砲火を行い、撃墜していく。
UCAには連邦軍のようにジムⅣなどの最新鋭機は配備されていない。良くて量産型ヒュッケバインMk-Ⅱがあるだけでも幸運と言える。が、相手は二十機ほどのザクⅣなので、性能と技量差は数で圧倒すれば問題なく、こうして次々と性能で勝る最新鋭機を撃破できている。
「な、なんだお前たちは!?」
『ま、待て! 我々はファルツ家に言われただけで…』
「うわっ!? 撃ちやがったな! 俺たちを騙したのか!?」
『ち、違う! これは! き、機体が勝手に!?』
右翼系義勇軍はUCAの大部隊に恐れをなし、投降しようとしたが、彼らに装備を渡したヴィクトールは生かす気が無く、自動戦闘システムを起動させ、UCAを攻撃させた。
騙し討ちで僚機を撃墜されたジェガンJ型のパイロットは、同僚を殺された怒りで言い訳しながら抵抗してくる彼らに大型ビームライフルを何発も撃ち込んだ。リーオーとスピナ・ロディでは、ジェガンの最終量産タイプには敵うはずがなく、性能差で圧倒されて撃破される。
百機以上は居たのだが、技量が低すぎ、連携も取れない上に練度も低いので、ローグレッドのザク等に的のように落とされてその数を減らしていた。
「我がブロンズコンドル戦隊は、偵察機周囲の敵を掃討する! 各大隊、包囲陣形を取って攻撃せよ!」
巡洋艦「ブロンズコンドル」号を旗艦とする戦隊の指揮官である日系のUCA海軍の大佐は、指揮下の大隊に包囲陣形を取るように指示を出し、ミシュリーヌの救出に打って出た。
その指示に合わせ、ジム・ライトアーマーのようなカラーリングのヘビーガンとジム・キャノンのようなカラーリングであるGキャノンの集団が、ミシュリーヌの偵察機を拿捕しているザクⅣ小隊を全方位から包囲しながら迫る。
『し、四方八方から敵が来る! 捌ききれねぇ!』
『一体、どんな重鎮があの偵察機に乗っているんだ!?』
ブロンズコンドル戦隊全戦力のMS隊に包囲されたローグレッドのザクは、その圧倒的な物量に呑み込まれ、次々と撃墜されていく。何機かは撃破しているが、数が多すぎるために対処しきれず、撃破されるばかりだ。
『く、クソっ! こうなればこいつを盾に!』
僚機を全て撃破された最後のザクは、ミシュリーヌが乗る偵察機を盾にしようとしていたが、狙撃用ビームライフルを装備したヘビーガンにコクピットを撃ち抜かれ、その機能を停止した。
『標的、沈黙を確認』
『偵察機は無事だ。偵察機はシルバーアイビス戦隊に回収させろ』
二機一チームの狙撃班は、ミシュリーヌの偵察機の脅威を排除したことを報告すれば、後続の部隊に回収を任せ、残敵の掃討に集中する。
「お、俺たち助かったぜ!」
「ふぅ! イカレタ女は役に立たなかったが、UCAが助けに来てくれたぜ!」
「あの、彼女は!? 彼女の救援は頼めますか!?」
偵察機のパイロットと取材班はUCAに助けられたことで安堵するが、ミシュリーヌは一人ビアンナと戦うマリに救援を回せないのかと問う。
「あぁ? ほっとけ! あんな実在しない美少女を尋ねるイカレ女なんざ…」
「彼女のおかげで私たちは助かったんですよ! 貴方たち、直ちに彼女を!」
『なにを仰っているか理解できません! 我々シルバーアイビス戦隊は、貴方の救助しか命じられておりません!』
パイロットはマリが異常な女に見えていたのか、放っておけと返せば、ミシュリーヌは彼の顔面を押し退けながら、恩を返すため、自分らを救出するジェガンのパイロットに彼女の救援に向かうように指示を出すが、命令された以外の事はしないと返される。
「貴方では話になりません! 部隊長殿に繋いで!」
『話は聞かせてもらいました。シルバーアイビス戦隊指揮官のルゥトゥ大佐です。そのような命令は、いくらル・ベーグ家の令嬢でも受け入れられませんな』
「そんな…!」
『私も部下の命を預かっている身です。どうかご理解を』
一パイロットでは話にならないと言って、上官を出すように命じれば、直ぐに戦隊指揮官が出た。当然ながら部下の命を預かる身として、戦隊指揮官は彼女の要請を断る。これにはミシュリーヌも、諦めざる負えない。
「あぁ…! どうか、ご無事で…!」
周りが安堵する中、ミシュリーヌはただ一人、マリの無事を祈った。
「こ、こいつ…!」
『こんな我慢比べ、身体が持たない!!』
一方でマリのVF-25Fメサイアと死闘を繰り広げるビアンナは、部下がUCAの救援部隊に殲滅されていることを知らず、彼女のバルキリーに張り付き、チキンレースの如くの戦闘を継続していた。
既に両者とも多大なGで身体が限界を迎えており、マリは血反吐を吐き、ビアンナもまた口から血を吐き出しながら、彼女のファイター形態のバルキリーに向け、マシンガンを撃ち続けている。掃射は長く続かず、そのまま弾切れとなる。
「弾切れかい! 再装填すれば、隙を見せる!」
予備の弾倉があるが、再装填を行えば大きく隙を見せることになるので、迂闊に出来なかった。対するマリは一発も反撃せず、相手が反撃してこないことで弾切れと見破り、機体を人型のバトロイド形態に変形させ、離れて大火力で叩こうとする。
「武装を使おうってのかい!? そんなこと、許すわけ無いだろ!」
距離を取ってミサイルやビーム砲を使おうとするマリのVF-25にビアンナはそれを許さず、スラスターを吹かせて急接近し、ヒートホークを振り下ろした。その斬撃は届いたが、シールドで防がれてしまう。この焦りで行った斬撃が、マリに反撃の隙を与えてしまった。
「マズい!」
直ぐに離れようとするビアンナであったが、既に相手のバルキリーは、ガンポッドの砲口をコクピットがある胸部に間に合わない距離で突き付けており、引き金を引こうとしていた。
「しまった…!」
ガンポッドが乗機の胸部に叩き付けられた音が聞こえたことで、ビアンナは死を覚悟した。
かつては才女と謳われていたビアンナだが、十代のパイロットに撃墜数を越されてしまう。素直に実力差を認めたが、自由惑星同盟は様々な文明を持つ国家や勢力が参加しており、ビアンナの事を年上に負けた年増などと蔑む輩が出て来た。そればかりか、その美貌を使って不正にスコアを稼いだなどと言う酷い噂まで流れる始末だ。
それがビアンナの精神を追い詰めてしまい、撃墜数を稼ぐためなら手段を問わなくなり、やがては同盟軍の鼻つまみ者として嫌われ者となってしまう。
そんな彼女の下に自然と同じ除け者や鼻つまみ者たちが集まり、ローグレッドを結成するに至る。
鼻つまみ者の集まりであるローグレッドに、最新鋭のザクⅣが配備されているのは、素行よりも実力を重視する将軍の手腕によるものだが、他の上層部の将軍たちは軍の面子を重視するらしく、死亡させるために激戦区へと送り込んだ。
どの激戦区に送っても、他の隊を犠牲にしてまで生きて帰ってくるので、上層部はかなり苛立っていた。他の将兵たちからは死神部隊として嫌われており、ローグレッドごと敵を撃つ部隊も居たが、それでもしぶとく生きて戻ってくる。
が、悪運も長く続かないのか、この非正規戦で遂にローグレッドは壊滅した。隊長であるビアンナ・ドバルドを除いて。
そんな最後の生き残りであるビアンナは、マリのVF-25に追い詰められて死の危機にあったが、相手は撃たずに接触回線で、ルリの事を聞いてくる。
『この娘、どこ?』
「はっ…!? はははっ、あはははっ! アタシを殺すんじゃないのかい!」
自分を殺さず、ルリの事を訪ねてくるマリに、ビアンナはバカバカしくなったのか、大笑いして自分を殺すんじゃないのかと問い返す。
『こう追い詰めれば、答えてくれるかと思って』
「ふっ、そんな小娘、鼻つまみ者のアタシが知らないよ。毎度の事、上の奴らから早く死ねと言わんばかりに激戦区に放り込まれていてね。他にあるとすれば、撤退の際に殿をやらされるくらい。事前情報なんて、アタシら鼻つまみ者の集まりであるローグレッドに回って来やしないさ。すまんね、そんな情報しか無くて」
マリに勝てないと分かったビアンナは、素直に彼女の問いに答えた。
自分ら鼻つまみ者の集まりであるローグレッドに、情報など回ってこず、ルリの事は知らないと返した。これにマリはVF-25のガンポッドを離し、何処かへ逃げるように告げる。
「じゃあ、もう良いや。逃げて良いわよ」
『はぁ、帰る場所が無いアタシに、何所へ逃げろってんだい!? だが、あんたに負けたおかげで、軍やら撃墜数の事なんてどうでも良くなったね。生き残りを集めて、傭兵団でも結成するとするかね』
「へぇー。頑張って」
『ちっ、誰の所為でこうなってんだか』
逃げろと言うマリに、ビアンナは帰る場所が無いと返した。が、圧倒的な技量を持つマリに負けた所為なのか、軍や撃墜数の事など、どうでも良くなってしまった。
更に自分らを見捨てた軍に戻る義理も無くなったので、生き残りと合流して傭兵部隊を結成するとまで言い始める。
そのビアンナの新たな決断に、マリは軽く頑張れと言えば、誰の所為でそうなったと呆れながら告げた。
「生き残りたちに、合流地点を指定する。あんたが探してる女の子だっけ? 見付けたら知らせといてやるよ。連絡先は…?」
ローグレッドの者たちが、既に壊滅させられたことをビアンナは知らなかった。そうとは知らず、合流地点を壊滅させられた部下たちに送っていたビアンナは、ルリの事は見付ければ知らせるとマリに告げ、連絡先を問う。その途中で、残る自分を始末しに来た刺客が、二人が居る宙域へと接近してくる。
『オレ、タダチィーッ!』
その刺客とは、凶悪な大型MSであるクスィ・パンツァーであった。パンツァーの生体ユニットとして搭載された元UCA陸軍将校であるウラジミールは、ただ一言だけ許された言葉を叫びながら、ビアンナとマリを始末しに、クスィ二機を僚機として迫ってくる。
「こいつ、噂の化け物MS! なんでこんなところに! まさか、アタシの部下共を!?」
『こんなところで!』
迫るクスィ・パンツァーに対し、二人は直ぐに臨戦態勢を取った。ビアンナのザクは再装填を終えたマシンガンを向け、マリのVF-25はトルネードパックに装備された旋回式ビーム砲やマイクロミサイルを発射する。
マリはクスィの事は知らないため、一気に片を付けようとした全力の攻撃であったが、高い防御力を誇るナノ・ラミネートアーマーが施されているため、マイクロミサイルでは余り効果が無かった。
「効かない!?」
『ビーム耐性を込んだ装甲かい! 小型ミサイルじゃ意味が無いよ! 接近戦でやるしかない!』
効かなかったことにマリが驚く中、ビアンナは装甲が厚ければ、接近戦で倒すほかないと判断して突撃する。先の戦闘で推進剤の半分を使い切っているが、あのクスィの速度から逃げきれないと分かっていてか、倒してしまおうと思って挑んだのだ。
『も、目標にこ、こ攻撃!』
「フン! 遅いよ!!」
パンツァーと同じく四肢を削がれてクスィの生体ユニットにされている人物は、血走った目でビアンナのザクⅣに機関砲やビームなどの攻撃を浴びせた。が、ビアンナはその全てを得意の機動戦で躱し切り、ナノ・ラミネートアーマーに有効であるヒートホークを胴体に叩き込んだ。
『あっ!? アァァァッ!!』
「やった!」
『オレ、タダチィーッ!』
偶然か奇跡的に、クスィを一撃で撃破したことに成功したビアンナであるが、異様な速さで迫るクスィ・パンツァーは、クスィの残骸ごとそのパワーで巨大な両腕を振り下ろした。パンツァーのパワーは、ナノ・ラミネートや重MSのフレームを有するクスィを引き裂いてしまう程であり、ビアンナのザクは逃れきれず、得物を持つ右腕を持っていかれた。
「なんてパワーだい!? あのデカいMSをこうも容易く!」
『オレ、タダチィーッ!』
この驚異のパワーに驚くビアンナに、生体ユニットのウラジミールは恐ろしい形相を浮かべ、喋ることを許された唯一の言葉を叫びながら凄まじい速さで攻撃を行う。
「速く逃げて! あんたじゃそいつに勝てない!! くっ!」
ビアンナのザクではクスィ・パンツァーに勝てないことが分かっているので、マリは自分に注意を引き付けようとするが、もう一機のクスィに妨害される。
『オレ、タダチィィィッ!!』
「ヤバイ! 逃げきれ…」
何とか逃げようとするビアンナのザクであったが、クスィ・パンツァーの動きは凄まじく速く、右腕に装備されたパイルバンカーで胴体を貫かれた。勢いよく射出された杭はコクピットにまで届き、ビアンナの身体を引き裂いた。ビアンナのザクをパイルバンカーで貫いたクスィ・パンツァーは、そのまま杭を引き抜き、次なる標的をマリのVF-25に定めた。
「し、死に切れないなんて…!」
上半身と下半身が完全に両断されてしまったが、杭を引き抜かれてもビアンナは死に切れず、苦しんでいた。
「ち、畜生が…! せめて、せめて苦しむ間もなく殺せよ…!」
痛みに苦しみながら、ビアンナは自分を一撃で殺さなかったクスィ・パンツァーに文句を言うが、当の相手は聞かずにマリのバルキリーにファンネルミサイルやファングを放ち、追い詰めていた。自殺するため、拳銃に手を伸ばそうにも腕は全く動かない。そればかりか拳銃を収めている下半身は破片の下で、届くはずも無い。このまま苦しみながら、死ぬ他になかった。
「あぁ…そういえば、おばちゃんが苦しい時は、楽しいことを考えれば、幸せに死ねるって言ってたっけな…そうだ、アタシが自由惑星同盟の英雄に…!」
今際の最中、ビアンナは自分を育ててくれた義理の母である老婆が、楽しいことを考えていれば、幸せに死ねると言う事を思い出した。それを実践すべく、ビアンナは自分が自由惑星同盟の英雄として、群衆に祝福されている場面を妄想する。
「勲章もいっぱいでみんな褒めてくれる…! アタシは同盟軍一のトップエース…! ハハハッ、あの婆の言葉、本当だったんだ…! あぁ、幸せだ…」
叶うはずもない妄想を抱きながら、ビアンナは幸せな笑みを浮かべたまま事切れた。
それと同時か、乗機である赤褐色のザクⅣはその遺体と共に爆ぜ、ビアンナの肉体を消滅させ、周囲にある無数のデブリの一つとなった。
「もう戦い必要は無いのに!」
『オレ、タダチィーッ!』
ビアンナの死後、戦闘は容赦なく続いた。
既に戦い必要が無いとマリは告げるが、クスィ・パンツァーとクスィはファルツ家にプログラムされた通り、容赦なく標的を攻撃し続ける。これに、マリは抵抗を続けるしなかった。
「クスィ・パンツァー相手に良くやる」
シュヴァルツリッターを駆るツヴァイは、クスィ・パンツァーとクスィの二機と死闘を演じるマリのVF-25を遠目から眺めていた。
先のビアンナのザクⅣとの戦いで疲弊しているはずだが、相手は張り付いて来ないので、追加のトルネードパックの武装を存分に使え、こうして互角に渡り合えている。
『兄さま、言われたとおり猟犬共に赤褐色の母艦を沈めさせ、連中に差し向けました。隊長機は倒せたのですが、バルキリーの方は…』
ツヴァイは言われたとおりの事をしたとアコードの能力でヴィクトールに報告した。ビアンナを仕留めたことも報告したが、マリのVF-25相手にクスィ等が苦戦していることを包み隠さず報告する。
『パンツァー相手に、持ちこたえているだと? もしや、領主殿が気に掛けている女か? 交戦を続けさせろ。あの賞味期限切れに敗れるようなら、そこまでだ』
『はい、兄さま』
この報告を聞いたヴィクトールは、ツヴァイに引き続き監視すように命令した。それに応じ、ツヴァイはマリの監視を続行した。
その一方、対ディバイン・ドゥアーズ戦は激しさを増すばかりであった。
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オリジナルとは違って、石動状態となったビアンナ。
散る際は呪いの言葉でしたが、楽しいことを妄想しながら死なせました。
なんか、可哀想だったのでこんな最期にしちゃいました。
本当はラスボスがハイパー化するところまでやりたかったんですが、思いの外に執筆が進み、キリが良くなってしまった。
次回からはラスボス戦並びレクイエム破壊作戦かな?