時系列や今までの話の続きを考えてはちょっと難しかったので。
誠に申し訳ないです。
それにしても最後の投稿から2年以上ですか。
出てきた艦娘を見て提督は一瞬言葉を発せずに凝視してしまった。
何故なら彼女こそ艦娘で、更に言うなら実際には存在しない女性の中で唯一といっても良いほど自分でも認める好意を持っているキャラクターだったからだ。
「足柄よ!砲雷撃戦が得意なの。ふふ、よろしくね」
「あ、ああ……」
本人の声を聴いて直ぐに我に返った提督はしかし、動揺はまだ完全には収まらず浮いた感じの第一声で彼女を迎える言葉を発した。
彼の近くには今まで共にしてきた時間の中で初めて感じる提督の雰囲気に無意識に関心を持つ大淀と、姉を迎えたことを知って笑顔を輝かせる羽黒がいた。
「足柄姉さん!」
「あら、羽黒じゃない! そっかぁ、先に着任してたのね」
「はい! 足柄姉さん、再会できて私、嬉しいです!」
「ふふ、遅れちゃってごめんね。まだ他の姉妹は来てないのかしら?」
「はい、私以外の姉妹では足柄姉さんが最初ですよ」
「あらそうなの? なら姉さん達が来る前に武勲を挙げに挙げて、いざその時がきたら……というのもできそうね!」
「はい! 足柄姉さんと私で戦場の華を咲かせられるかと思うと私……凄く気分が高揚します!」
「え? あ、うん……?」
ここで漸く足柄は目の前にいる娘が艦娘として生を受けた羽黒に違和感を持った。
(ん……? 何か私が生まれる前に授かったこの子の性格ってもっと引っ込み思案で大人しい感じだった気がするような……ま、まぁ所詮前知識だし)
見れば先ほどの発言にこそ違和感を持ったものの、羽黒の見た目そのものは前もって授かった知識と相違ないものだった。
外見上は初期に持っていた印象通りに思えたがその内面までは着任した拠点による影響もあるのだろう。
改めてそう考えると自身の妹への違和感も小事だと結論した足柄は、直ぐに頭を切り替えて目の前にいる自分が今からその麾下に加わる司令官に意識を向けた。
「……」
提督は最初こそ何とか言葉を発したものの、まだどう接したものか考えあぐねている様子だった。
足柄はその様子に心の中で眉を顰める。
(私、何かしちゃったかしら? あ……ま、まぁつい口から出ちゃったけど、確かに上官に対する言葉遣いじゃなかったか……)
足柄は先ほどの自分の着任時の挨拶が馴れ馴れしく敬意を欠いていたと直ぐに反省し、改めて姿勢を正して直立すると敬礼をして言った。
「申し訳ございません! 先ほどは不敬な態度を取ってしまいました! 改めてご挨拶を致します! 妙高型重巡洋艦三番艦の足柄です。先に妹の羽黒がお世話になっているようで恐縮です。これからは私を含め姉妹共々宜しくお願い致します!」
(一般的なイメージの)羽黒と反対に人懐っこい雰囲気を纏いながらも、締めるところはきちんと引き締めている頼り甲斐のありそうな凛とした声と態度だった。
提督も思わずそれに引っ張られて姿勢を正すと、未だに板についていないと自覚をしつつも少しでもマシに見えることを祈りつつ敬礼を返した。
「ようこそお……私の鎮守府へ。これからよ……こほん、歓迎する」
「?」
提督の背後では初めて見る提督らしい態度に大淀が目をパチクリさせていた。
(なんかこんなに態度を改める提督初めて見る気がする。緊張しているのは……間違いないと思うけどなんか……)
そんな大淀の疑問を余所にまともに提督から言葉をかけられた足柄は安心した表情を見せていた。
「ありがとうございます。それでは早速ですがいろいろとご案内をお願いしたいのですが」
「ああ、うん……」
「でね、姉さん! 弾幕を抜けた私はそのまま突貫するように見せて更に敵の懐に進入したんです!それで……!」
「へ、へぇそうなんだ」
目の前でやや興奮気味に自分の戦闘の体験談をする羽黒は確かに自分の妹であることに違いはなかった。
肩まで伸ばした艶やかな黒髪と少しタレ気味の目が優しそうな印象を相手に与える彼女の可愛い妹。
その何れも足柄の『世界』から授かった知識通りだったのだが、だがしかし、優しそうな印象を与えるはずのタレ気味の目が讃えるその瞳は爛々と熱く燃えていた。
時折拳を振りかざしながら大振りも……まさかそれが砲身を抱えて敵に振りかざした時の様子だとは思いもよらない足柄は若干引き気味に妹の話を、あてがわれた部屋で聞いていた。
一方その頃提督は……。
「……」
一通りの話をして後の大まかな案内は大淀に任せた後、一人執務室で渋い顔をしていた。
(いやぁ、流石に本物は心が引き込まれるものがある。だからといって勿論贔屓はしない……しないつもりだけど。心配なのは無意識に好意的に接しないか、なんだよなぁ……)
明確な好意を抱いていた存在との出会いの実現に素直に喜べずとも、その気持ちは偽りでないことに思い悩む提督だった。
2000文字に届かない短文での久しぶりの投稿で皆々様……(いや、もう皆様もいないかな)の目を汚してしまったこと相済みません。
歳というか過労というか、すっかり無気力になってパソコンもあまり使わなくなったのが大きいと思います。
・オマケ
「……」ピクッ
「? 加賀ちゃん?」
「いえ、何かこう……私の独自性が誰かに使われたような」
「はい?」