「北方鎮守府の日常」
の投稿が間に合わなさそうなので急遽書きました。
時間が無さすぎていろいろ拙いですし、書きたかったことが伝わるかと言われると怪しい気がします。
今回の短編の主人公は皐月ちゃんです。
お話の主軸は筆者の脳内で作りました。
楽しんでいただけると幸いです
4月30日
「司令官!ボク行ってくるよ〜!」
ボクが港に向かって手を振るとみんなが手を振り返してくれる。
「皐月ちゃーん!頑張ってねぇ〜〜!」
1番仲良しの文月ちゃんが大きな声で送ってくれる。
「皐月!頑張れよーー!」
長月ちゃんも大声で見送ってくれる。
ボクは港が見えなくなるまで手を振りながら出発した。
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ボクは今までいた鎮守府を、出発した。大本営からの転属命令でボクは今までいた小さな鎮守府を出発した。
ボクは睦月型の皆と別れるのがちょっぴり…いやとっても寂しかったけど、ボクのいた鎮守府の司令官(榊原さんと言う女の人だった)は笑顔で
「皐月ちゃんなら頑張れる。私の鎮守府でも今まで一生懸命頑張って来たんだし、元気いっぱいの皐月ちゃんなら新しい鎮守府でも頑張れるよ!」
って笑顔(目に涙を溜めながら)で送り出してくれた。
睦月型のみんなも泣いてたりした子もいたけど送り出してくれた。
到着するのは明日。いい所だといいな、新しい鎮守府。
5月1日
コンコンコン
ノックの音がいつもとは全く違って聞こえる。材質は同じはずなのに。
「どうぞ」
中から優しそうな声が聞こえる。ボクは思い切ってドアを開けた。
ドアを開けた瞬間─ボクは思わず息を呑んでしまった。目の前の提督机に座っていた司令官のキレイな目を思わず見入ってしまった。
そのせいでワンテンポ遅れてしまったけどボクはちゃんと
「睦月型駆逐艦五番艦の皐月だよ!司令官!よろしくね!」
とちゃんと自己紹介できた。そしたら司令官が目を合わせて来て
「皐月さん、よろしくお願いしますね?」
と言ったからボクはとってもドキドキしちゃって、
「皐月って呼んで」
って小さい声でしか言えなかったよ。
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新しい鎮守府について新しい司令官と初めて会った。
ボクはその司令官の目を見てなんでか分からないけど、とってもドキドキしちゃった。
そのせいで、しっかり練習していた自己紹介の挨拶もこんなふうに、思ってたより上手くいかなかった…。
だけどその司令官さんはにこやかに返してくれた。そのせいで余計恥ずかしくなっちゃった。
それにしても…なんなんだろう。あのドキドキは……。
5月3日
「皐月ちゃん」
─ボクは呼び捨てが良かったんだけど、司令官さんは呼び捨ては好きじゃないらしくて、こうなった─
「この書類のチェックお願いします。」
ボクは秘書艦に任命されていた。んだけど…
「Hey!テイトクー!tea timeにしまショー!」バァァン!
「パンパカパーン!お仕事手伝いに来ましたよ〜!」バァァァァン!!
とっても活気がある提督室だった。
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到着して2日がたった。ここの鎮守府はとっても活気がある鎮守府だった。司令官さんはボクのことを秘書艦にして一緒にお仕事をすることになったよ。
執務机でお仕事をしている間も色んな艦娘の人が司令官さんに会いに来てたよ。
司令官さんは提督室に色んな人が来るからボクを秘書艦にしたのかな?
5月5日
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今日はこの鎮守府に来て初めて出撃したよ。ボクは2隻の敵艦を沈めたんだ!他の人もいっぱい沈めて完全勝利だった。
ボクは第二艦隊のMVPを取ったから司令官さんにいっぱいなでなでされたよ。そしたらドキドキして…真っ赤になっちゃって、司令官さんにとっても心配されたよ。でも、なでなでしていた司令官さんの顔も少し赤かったみたい。
大丈夫かな?
5月10日
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大本営の作戦で敵本拠地へと攻撃に行ったよ。
ボクは第1陣の駆逐艦夜襲部隊の旗艦に選ばれて獅子奮迅の活躍をしたよ。僚艦に夕立ちゃんと時雨ちゃんがいたけど、2人よりも沢山沈めたんだ〜!だけどボクも中破しちゃって司令官さんにとってもとっても心配されちゃった…。
司令官さんの悲しい顔は見たくないし、ダメージ受けないように頑張らなきゃね!
5月13日
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今日も出撃だったよ。あんまり沈められなかったけど、命中率が以前に増して上がった気がするよ。ここに来てから2週間がたって色んな人とも仲良く喋れるようになったけど、司令官はボクを秘書艦にしたままだよ。ボクも、司令官さんの近くにいるのが好きだから嬉しいんだけどね!
5月15日
「皐月ちゃん、あなたの改二改装が決定しましたよ」
「本当かい!?司令官!ほんとにボクが改二なのかい?」
「えぇ、そうですよ。明日、工廠で行います。」
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なんと!ボクの改二改装が決定したよ!
明日、工廠で改装するんだって!
このことを前の鎮守府のみんなに伝えたら大喜びしてくれたよ。
特に榊原司令官なんて涙を流しながらね。
5月16日
「司令官!ボク、どうかな?」
「えぇ、すごくいいですよ?特に左手の機関砲が。」
「本当かい!?これ、ボクが選んだやつだからね、嬉しいね!」
「皐月ちゃん、改二改装記念にプレゼントがあります」
「なんだい?司令官?」
「どうぞ」
「これは……刀かい!?」
「えぇ。武功抜群ということとこれからの活躍を祈って、ですね」
「ありがとう!すっっごく嬉しいよ!大切にするね!」
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改二改装が終わったよ!
前よりも対空戦闘ができるようにって、対空砲も持たせてくれたよ!
そして何より、武功抜群と今後の活躍を祈ってってことで司令官から刀を拝領したよ!とってもかっこいいんだ〜!
こっそり剣術の訓練してたのバレちゃってたかな?
5月20日
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今日はおやすみの日だったよ。司令官さんも同じ休みの日だったんだけど、提督室で書類仕事をしようとしたら金剛さん達に止められて、しぶしぶ休むことになったから…
ボクは司令官と遊園地へ遊びに行ったんだ!
ジェットコースターに乗ったり、コーヒーカップに乗ったり、最後は夕日を見ながら観覧車にも乗ったんだ。
司令官さんはいつも提督帽を目深にかぶるんだけど、今日は帽子をかぶってなかったから司令官さんの綺麗な目が見れたよ。着にんした当日以来だったんだけど…とってもドキドキしたんだ。
もしかしたらボクは司令官さんのことが……。
5月25日
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深海棲艦の反撃があったよ。偵察に出ていた空母部隊の人が気づいてくれたからどうってことはなかったけど、もしも気づいてなかったら大変なことになってたかも……
それと大本営でスパイが捕まったって話で、提督さんは提督室の位置を変えたり、暗号を変更したりと大忙しだったよ。
もちろん、秘書艦のボクもがんばったんたけどね!
5月28日
「司令官、月が綺麗だね!」
「えぇ、そうですね。俺は5月の頃の月が1番好きだな」
「へぇ?そうなんだ。もうすぐだね満月」
「そうですねぇ…」
「司令官…ちょっといいかなぁ?」
「ん?なんですか?」
「司令官は…その……ボクのこと好き?」
「そりゃ、好きですよ?」
「そういう意味じゃなくて…その、ボクのことを女の子として好きかい?」
「え?」
「そうだよね。ボクなんかよりも魅力的な人、いっぱいいるもんね…答えが帰ってこなくてもいいから、この気持ちだけ伝えたかったんだ。じゃあね!また明日!」
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司令官さんに…好きって伝えちゃった。
今思い出すだけでも恥ずかしい……うぅ……
司令官さんのことが好きな人はいっぱいいるから司令官さんはボクのことを選ばないかもしれないけど…どうしても伝えたかった。理由なんてないけど、とにかくボクの気持ちを伝えたくなったんだ。
5月29日
「敵襲!敵襲!」
誰か分からない悲鳴が響く
深海棲艦による夜襲にあった。ボクは飛び起きてすぐに着替えて提督室へと走った。
そこには司令官はいなくて、金剛さんだけがいた。
「金剛さん!?司令官は!?」
「私たちを守るために飛び出して行きまシタ。私もとめたんですガ、間に合いませんでシタ…」
「っ…ならボクも!」
「ダメです、提督命令です!逃げるのデス!」
金剛さんが叫んでいるけどボクは無視した。
(司令官!どこにいるのさ司令官!)
ボクは司令官を探すために艤装を展開して走り出した。
司令官は─すぐに見つかった。
夜間攻撃機に攻撃されている小さな船が見つかった。
わざと攻撃されるために照明を全開にして─
「司令官!」
ボクは気づけば叫んでいた。空へ機関砲を乱射しながら。
司令官はギョッとしたような顔をして
「皐月ちゃん!?なんでここに!?」
って返ってきた。敵の攻撃はだんだんボクへと集中してきた。
無抵抗の小舟と、恐ろしい勢いで艦載機を落としているボクじゃあ優先度が違うからね。
「司令官が、心配だったから!」
ボクが答える。すると司令官はとっても寂しそうな顔をして
「なんで…なんで着いてきたんですか!?」
と言った。ボクはすぐに答えようと思った。でも…それは出来なかった。恐ろしい程に練度の高い艦載機群がボクへ波状攻撃を始めた。
瞬く間に駆逐艦のボクは大破してしまった。それでもボクは、拝領刀を引き抜いて、接近してくる艦載機を切りまくった。切って切って切りまくった。
それでも─ダメだった。
耳をつんざくような落下音がしたかと思うと司令官の乗っている小舟に深海棲艦の爆弾が直撃─司令官の体のほんのすぐ側に─した。
ボクはすぐに駆け寄った。
敵の艦載機は退却したようだ。
ボクは駆け寄ってすぐに司令官を抱き抱えた
「司令官!司令官!しっかりして!」
「うっ……うぅ…皐月…ちゃん…いや、皐月……」
始めてボクのことを名前だけで呼んでくれた。
「司令官!喋らないで!今すぐ鎮守府に戻ろう!今ならまだ間に合うから!」
「人間ってのは…不思議なもので………自分の死ぬ時がわかるんです……」
「ダメだよ司令官!まだ司令官は死なないよ!」
「皐月……ほんとに…ごめん……俺は……答えを伝えられなかった……。俺の机の……引き出しの3段目…。その1番奥に、お前に……渡したい物がある…」
「司令官!司令官から直接貰わなきゃ意味がないよ!」
「へへっ……もう……限界みたいだ………ほんとに…ごめんな……皐月
─大好きだ
司令官の口が動いたのが見えた。そして……司令官は二度と目を覚ますことはなかった。
敵の艦載機が戻ってきているのがわかった。でもボクは…立つことが出来なかった。
そしてボクの視界は、ブラックアウトした。
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5月30日
ドックにいたボクは、すぐに提督室へと向かった。
誰も……いなかった。
誰もいるはずがなかった。
ボクは…机の3段目の引き出しを開けた。
そこには司令官の手紙と…指輪が入っていた。
…こんなの……こんなのってないよ司令官!ボクの手の中で死んでしまった最愛の人からの最後のプレゼントが…指輪だなんて……
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昨日の夜の記憶がない。どうやってあの包囲網を抜けたのか、どうやって大破の状態で鎮守府に帰りついたのか、どうして入渠できるようになっていたのか、何もかも覚えてない。ただ、覚えているのは司令官が亡くなったこと。この手の中でボクの最愛の人を亡くした、その瞬間が目に焼き付いて離れない。ボクの心にぽっかりと穴が空いてしまったみたいな感覚がする。司令官は今、どこにいるのかな?
5月31日
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ボクはもう心を決めたよ。
この日記も今日で最後になる。
睦月型の皆と榊原司令官にも手紙を出した。近いうちに届いてくれるはずだ。
今まで皆ありがとうね。ボクは司令官の所へ行くよ。多分司令官は驚くだろうし、ボクは自分勝手だから司令官の所へは行けないかもしれない。
それでもボクは追いかける。司令官のいないところで生きていくつもりはもうないから─
ありがとう、皆。
6月1日未明
南方鎮守府駆逐艦寮、駆逐艦皐月の自室にて駆逐艦皐月の首吊り死体が発見。
机の上に遺書と見られる手紙と、戦死した司令官宛と見られる手紙、そして日記が置いてあった……………………