ドラパルトというポケモンがこの世に生まれた理由は諸説ありますが──その中の一つをご紹介しましょう。
昔、まだ国どうしの戦争が絶えなかったころのお話です。
ある国で、ポケモンの力を借りた相手からは見えない飛行機が開発されました。
どんな勝負においても、相手に気取られず一方的に攻撃できるのはとても有利なことです。しかし、その飛行機には問題がありました。
見えなくなりつつ飛ぶことに精一杯で、機関銃やミサイルのような武器を搭載することができなかったのです。
これでは戦争の役に立たない。そう嘆いた開発者に、その国一番の軍師は言いました。
「自爆しかありますまい」
軍師には人の心がありませんでした。
確かに爆薬だけを積み込み,相手の飛行機に突っ込めば確実な戦果をあげられる。だがそんな自殺行為を行う兵士がいるわけないだろう。開発者や軍の上層部は口をそろえて言いました。
しかし、軍師には計略がありました。
パイロットには自爆させることを伝えず、飛んでいる最中にポケモンの力で夢を見せる。敵に勇敢に立ち向かい、戦果を上げる英雄になる夢を。そして現実は敵もろとも爆発四散。
「夢を見ながら死ねるなんて、幸せではありませんか」
無論、外道の戦略です。でもポケモンの一部は夢をコントロールできることは知られていました。実行は可能で、何より見えない飛行機を開発するのにかかったコストを無駄には出来ないという思いが、その戦略を実行に移させました。
兵士一人と、夢を見せるポケモン一体と、飛行機一つでどんな敵軍の兵器も拠点も潰すことが出来る。そのメリットは凄まじく、絶大な効果を上げました。
……でも一つの効果的な戦略と兵器だけで勝てるとは限らないのが、戦争というものです。その国は、結局負けてしまいました。
そして、勝った国はその戦略と軍師のことを極悪非道の戦犯として国民と兵士に知らせました。
軍師は、国民達の怒りを買い、処刑台に送られることになったのです。
処刑の日、多くの者が集まり罵声を浴びせました。
人間の屑、鬼畜外道、人道をなんだと思っている。
軍師はそれに、微笑みを浮かべて答えます。
「彼らのことは、人間としての運用はしておりませんでしたので」
作戦を実行した時点で死ぬことが決まっている。夢を見せて敵に突っ込ませるだけの道具。それは操縦さえ出来ればまっとうな兵士でなくてもよい。
殺人犯等犯罪者、すでに人権を剥奪されたもののみが作戦の駒になった─そういう意味で軍師は口にしましたが。その言葉は火に油を注ぐだけでした。
人の痛みをしれ、今すぐ火あぶりにしろ、そんな狂乱とも言える悪態のなか、軍師は処刑されることになりましたが、彼は最後まで自分の行いを後悔することはありませんでした。
「ああそうだ、何も人間に操縦させることはなかったのですね。動かせればポケモンでもいい。小さなポケモンに爆薬を持たせて突っ込ませてもいい。ああ、まだまだ試したい作戦がたくさんある──」
それが、軍師の最期の言葉になりました。そして数年後ドラパルトやドロンチというポケモンが出現するようになったのです。
ただの偶然?かもしれません。しかしドラパルトは自分の子供達を音速で敵に突っ込ませドロンチは自分たち以外のポケモンさえ頭に乗せて飛んでいきます。そしてドラメシヤはマッハの速度で巨大な敵に喜んで飛ばされていくのです。
信じるかどうかは、あなた次第──。