虹色に輝く世界で ~あなたは残された時間を何に使いますか?~   作:トミザワ

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どうも作者のトミザワです!

はい。約7ヶ月もお待たせして大変申し訳ありませんでした。





5話 変わろうとする彼女、変わらない僕

外に出るのは嫌いだ。

 

 

 

騒がしいし、クラスメイトと偶然会った日には外出した事を後悔する

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして僕は今、とても後悔しています

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「.....」

 

「.....」

 

 

 

お台場にあるゲームストアには気まずい空気が漂っていた。

 

 

なんでこうもこの広い世界で偶然顔見知りに出会うんだろうか....。

 

 

それに....

 

 

「......」

 

何か喋ってくれ......。

 

 

偶然出会ってしまった顔見知りとは天王寺......リナ?ルナ?下の名前は忘れた。

 

 

「「......」」

 

すでに出会ってから約2分が経過しようとしていたが、未だに無言のままだ。天王寺さんはこちらをジッと見たまま無言で佇んでいる。大方、何か言いたい事があるのだろう......。

 

普通なら「どうしたの?」とか「何か用?」とか言うんだろうが、こっちもコミュ障なため誰も喋らない地獄のような時間になってるのだ。

 

「じ、じゃあ......ぼ、僕はこれで....」

 

僕はそう言って、現場から離脱しようとする。

 

「待って」

 

しかし、彼女の呼び止める声がする。

 

「....」

 

振り返るも彼女はまた黙りこんでしまう。そして彼女は小さく深呼吸する

 

「その本....」

 

彼女が話したかった事はついさっきゲームストアで買った攻略本についての事だった。

 

「そのゲーム持ってるんだ」

 

僕は彼女の問いに「うん」とだけ答える。

 

「......」

 

そして会話が止まってしまい、沈黙が訪れる。

 

僕に「もしかして天王寺さんも持ってるの?」とか「今度、一緒にやろうよ」なんて言える勇気があればどれだけ良かったか......。

 

 

だが理想は理想

 

 

 

現実は現実なのだ

 

 

あの後天王寺さんは「やっぱり何でもないです。」と言って去ってしまった。

 

彼女と僕は似ている。

 

だから彼女の気持ちはよくわかる。

 

なのに手を差し伸べる事が出来なかった。

 

 

 

そんな不甲斐ない自分が何よりも悲しかった。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

一週間後

 

 

「えぇー!?ライブ!?」

 

驚きを隠せなかった。なぜならあの天王寺さんがライブをやりたいと言い出したからだ。

 

「それでいつやるの?」

 

「たまたま空き出来たから来週の土曜日」

 

「本当に急じゃん!」

 

期間は約一週間。ギリギリ間に合うかどうか......。

 

 

「璃奈さんがやりたいなら私は応援しますよ!」

 

中川さんのこの発言に次々と「私も!」と皆が賛成していく、そして同好会の全員が僕の方を見る。

 

 

「ぼ、僕も......」

 

なぜか圧を感じた僕は賛成自体はしたもののノリ気ではなかった。

 

それは朝香先輩に強制入部させられた事やめんどくさいという理由ではなく、僕個人が天王寺さんのライブを反対してたからだった。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

それからすぐに特訓が始まった。

 

 

 

ダンス、体感はエマ先輩と朝香先輩が

 

 

発声は桜坂さんが

 

 

 

あと謎のMC講座を中須さんが担当する事になった。

 

 

高咲さんや他のメンバーはそのフォローなどを行った

 

 

 

そして肝心の僕は学校の許可とジョイポリスにステージ使用許可を取るという一番めんどくさい仕事をまかされてしまった。

 

職員室に行くとか電話で予約取るの苦手なんだよなぁ......。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

3日後

 

 

 

「は、はい。お願いします......。で、では失礼します」

 

どうにかステージ使用の許可を貰う事ができた。

 

ジョイポリスのステージは先に天王寺さん個人が予約していたらしいが、ライブと言っても結局は部活動になるため手続きなどを学校を通して申請しなければならなかった。

 

「ふぅ.....」

 

とにかくこれで僕の仕事は片付いた。あとは天王寺さん次第となる。

 

 

「......」

 

だが頭に思い浮かぶのは『本当にこのままライブをやるのか』というネガティブな考えだった。

 

 

「お・つ・か・れ!」

 

声と共に首筋に冷たい感触が当たる。

 

「ピイィィィィィィ!?」

 

僕は驚き、椅子から転げ落ちる。そういえば、転校初日にも似たような事があったような......。

 

 

そんな事を思いながら声の主の方向を見ると......

 

「ヒッ!」

 

僕にとって最大の天敵(ギャル)がいた。

 

「ご、ごめん!まさかそんなに驚くと思わなくて...」

 

意外にも天敵(ギャル)は僕に対して謝罪する。予想では「ギャハハハハ!ウケるんだけどwww」みたいな感じでバカにされると思ってた....。

 

僕は宮下さんの謝罪に対して『だ、大丈夫です』とだけ答えた。

 

「あっ!これ愛さんからの差し入れだぞ~!」

 

そう言って一本の缶ジュースをテーブルにおく、どうやら首筋に当たった冷たい物とはこれのようだ。

 

「あ、ありがとうございます....」

 

もしかしてこの人めちゃくちゃ優しかったりする?天王寺さんとも仲が良さそうだし、悪い人ではなさそうだ。

 

 

 

って事は国の天然記念物とも言われているオタクに優しいギャルなのか!?

 

 

 

実在したんだ....そんなギャル。

 

 

 

 

 

 

まぁオタク優しいギャルは数多くの男子を勘違いさせ、死地へ送るから天敵には変わりないんだけどね....。

 

 

「ステージ、使用できるって?」

 

宮下さんは僕の向かいに座る。

 

「は、はい....なんとか。モニターも使っていいそうなんで映像も流せそうです....」

 

「そっかぁ....じゃあ後はりなりーの頑張り次第だね」

 

「は、はい」

 

「「......」」

 

そして沈黙

 

 

 

部室には陰キャの僕と陽キャの宮下さんしかいないためとても気まずい状態となっていた。

 

 

「ねぇ.......」

 

そんな気まずい状況の中、口を開いたのは宮下さんだった。

 

 

「は、はい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もしかしてさ、りなりーのライブあんまノリ気じゃない?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その質問に背筋が凍った。

 

 

 

宮下さんの方を見ると、彼女は苦笑いをしていた。

 

 

 

 

中学の頃の体育祭を思いだし、嫌な汗が背中を流れるのが嫌でもわかる。

 

 

もしここで返答を間違えば確実に終わる。

 

 

僕は思考を巡らせ、こう答えた。

 

 

 

 

「す、少し不安ではあります......」

 

 

回答としてはパーフェクトである

 

 

 

こういうイベント事に関しては悪い意味で陰キャが目立ちやすい。こうなった場合、嘘をついても『嘘だ!じゃあなんで協力しないの!』と問い詰められ、バカ正直に答えれば『ヒドい!みんな頑張ってるのに!』と非難される。

 

学校でのイベント事はどんなに正論を言っても関係ない。『みんなで協力しよう!』『頑張ろう!』という感情論しかない。だから対立を生む。

 

 

こういう場合はこのようにオブラートに言うのが一番良いのだ

 

 

 

 

「まぁりなりー、想いを伝えたり表情を出すのが苦手だからね~。気持ちはわかるよ?」

 

「でもね?すけすけが思うほど、りなりーは弱い子じゃないよ?」

 

すけすけと言うのは僕の事なんだろうが、今はそれにツッコミを入れる余裕はなかった。

 

「りなりーは今、すっごく頑張っていてダンスや歌も上達してる。そして何より、りなりー自身が変わろうとしてると言うこと」

 

 

「だから......」

 

ピロン♪

 

宮下さんの携帯から通知音が鳴る。

 

 

「ご、ごめん!愛さん呼び出されちゃったから行くね!」

 

どうやら友達から呼び出されたらしく、宮下さんは部室から出ていく。

 

 

 

最後まで話せなかったが、宮下さんが言いたい事はなんとなくわかった気がする。

 

 

 

きっと『りなりーを信じてほしい』だろう。

 

 

 

彼女の言う通り、天王寺さんのダンスや歌は確実に上達してるし、何より天王寺さん自身が変わろうとしてる事は僕から見てもわかる。

 

 

そして宮下さんは天王寺さんを信頼していて天王寺さんも宮下さんの事を信用している。

 

 

 

だけどね宮下さん......。

 

 

 

 

明るくて、誰とでも仲良くできるあなただからこそ理解できない物もあるんですよ。

 

 

 

 

恐らく天王寺さんは自信に溢れている。

 

 

 

 

そして彼女はこう思ってるんだろう

 

 

『この前までの私とは違う』『変われるんだ』と

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、知ってしまうんだよ......。

 

 

 

 

 

 

自分の程度

 

 

 

 

 

 

 

 

結局、人は変われない。

 

 

 

コミュ障は陽キャになることなんて出来ない。

 

 

 

 

 

コミュ障はコミュ障のままなのだ。

 

 

 

 

そしてそれを知ったら最後

 

 

 

 

 

 

彼女が立ち直る事はもうないだろう

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

「連絡しても繋がらない!?」

 

 

そして僕が予見していた通り、それはライブ本番の前日に起きた。

 

「練習する?」

 

「でも瑠奈ちゃんが......」

 

予想外の出来事に高咲さんは頭を抱える

 

「どうしよう......」

 

そう言いながら高咲さんは僕を見る。

 

 

まるで助けを求めるかのように

 

「......」

 

僕は考える。同好会、そして天王寺さんにとって何がベストか。

 

 

 

それは意外にもあっさりと出てきた。

 

 

 

 

「ラ、ライブをち、中止にするべきだとお、思います」

 

「えっ....」

 

一瞬、その場の空気が凍る。

 

「な、何言ってるんですか!りな子が一生懸命練習してるのは裕介先輩も知ってるでしょう!?」

 

「ッ.......!」

 

中須さんに詰められ、やっぱり言わなきゃよかったと後悔する。

 

「待ちなさい。理由も聞かず非難するのはかわいそうよ」

 

「でも.......」

朝香先輩が中須さんを宥める。

 

「それで理由は?」

 

「は、はい....。もうすでに学校を通してジョイポリスのステージ使用許可を取っています。それにライブの告知もしてる状態です。このまま天王寺さんがライブに出れない状態のまま本番を迎えるなら....」

 

「中止にした方がいいと?」

 

朝香先輩の言葉に僕はコクリとうなずく

 

「....彼の言ってる事は正論だし、私は賛成ね」

 

「果林先輩まで!?」

 

「だってそうでしょう。私たちは虹ヶ咲学園の名前を背負ってライブをすることになる。それも学校内ではなく、外部のステージでね。彼の言った通り許可も取ったし、告知もした。」

 

朝香先輩は続ける 

 

「それを本番当日になって『やっぱりできません』なんて言ったらどうなると思う?」

 

「うぐ....」

 

中須さんは何も言い返せなかった

 

「今すぐにとは言わないけれど、今日中に決めておくべきだと私は思うわ」

 

「「.......」」

 

気まずい空気が流れる。ライブをやるかやらないかを決めるのは天王寺さんだが、その天王寺さん本人との連絡が繋がらないため結果的に中止と言う選択肢になってしまう。

 

 

「今日中ならいいんだよね?」

 

気まずい空気の中、口を開いたのは宮下さんだった。

 

「私、行ってくる!」

 

宮下さんはそう言って走りだす

 

「私も!」

 

それに続いて高咲さんも走りだす。

 

行き先は天王寺さんのお家だろう。

 

そうして次々と走りだす。

 

「結局みんなで行くのね」

 

「行かないんですか?」 

 

中川さんの問いに朝香先輩は「行くわよ」と答え、僕の手をつかみ走りだす。

 

 

 

 

えっ?僕も行くの?

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

天王寺さんの家が高層マンションなのも驚いたが、一番驚いたのが天王寺さんが段ボールに隠れている事だった。

 

ゲーム好きの僕としては「スネーーーーク!」と叫びたかったが、迷惑なので止めておいた。

 

 

 

その段ボールに宮下さんが近づき、話かける。

 

「りなりー」

 

「ごめんね 。勝手に休んで」

 

「ほんとだよ。心配したんだぞ」

 

「......私は何も変わってなかった。昔から楽しいのに怒ってるって思われちゃったり、仲良くしたいのに誰とも仲良くなれなかった。全部私のせいなんだ。もちろんそれじゃダメだと思って高校で変わろうとしたけど最初はやっぱりダメで…どうしても気になっちゃうんだ......自分の表情が。ずっとそれで失敗し続けてきたから」

 

天王寺さんはぽつりぽつりと自分の想いを打ち明ける

 

「私はみんなと繋がることなんてできないよ…ごめんなさい…」

 

そして同好会メンバーへの謝罪。もはやライブができる状態ではなかった。

 

「ありがとう。教えてくれて」

 

高咲さんは天王寺さんに対してお礼を言う。

 

「私、璃奈ちゃんのライブ見たいな」

 

「今はまだできないことがあってもいいんじゃない?」

 

「そうですよね。璃奈さんにはできるところたくさんあるのに」

 

その言葉を皮きりに同好会メンバーは天王寺さんの良いところを言っていく。

 

 

 

だが、僕は何一つ彼女の良いところを言えなかった。それは出会ってから日が浅いからではなく、彼女を信頼してなかったからだ。

 

 

彼女は変わろうと努力した

 

 

 

それに比べて僕はどうだ? 

 

 

変わろうと努力もせず、自分と彼女を重ねて無理だと決めつけ信頼すらせずライブを中止すべきだと言う始末。

 

 

 

同好会メンバーが天王寺さんを励ましている中、僕だけが取り残されていた。

 

 

                    続く




個人的には愛さんの喋り方が合ってるのか心配......。おかしかったら指摘してくださると幸いです。

他にも誤字脱字やおかしい部分があればご指摘お願いします
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