虹色に輝く世界で ~あなたは残された時間を何に使いますか?~ 作:トミザワ
7ヶ月ぶり?でございます....
久しぶりすぎてキャラ崩壊が心配です....。
ご指摘していただけると幸いです。
※今作では近江先輩が彼方ちゃん。近江さんが遥ちゃんになってます。
「つ、疲れたぁ......」
そう言いながらベッドに倒れ込む。天王寺さんのライブは同好会メンバーの励ましや天王寺さんが考案した『リナちゃんボード』のおかげで大成功に終わった。
かと言うと僕は励ましもせず、リナちゃんボードを作る手伝いとライブ会場の片付けくらいしかやらなかった。
「僕、いる意味あるのかな....」
朝香先輩に無理やりはめられての入部になったが、いまだに高咲さんが僕を同好会に誘った理由がわからなかった。
「どうやって退部しようかな....」
同好会にとって僕は足手まといだろう。なんとかして辞めたいが、さすがに入部して一週間で辞めるのは気が引ける。
「ふぁ~......」
ライブ会場の片付けもあってか眠気が僕を襲う。まぁ考えるのはいつでもいい。今日はもう寝よう。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ん......」
目が覚める。久しぶりにすっきりした目覚めだった。
そして十秒も経たないだろう...僕の顔が青ざめる。
アカン....寝坊や....。
「ハァ...ハァ」
皆様、今私はお台場の街を全力疾走しております。学校行きたくなさすぎて疾走じゃなくて失踪したいけど、なんとか頑張って学校に向かっております。
てかなんで嫌いな学校に走っていかなくちゃならないんだ...。
一応、病人だよ?
そんな事を考えながら、腕時計を見る。
「7時55分か...」
このペースならなんとか間に合う...。
「キャ!」
そう思って角を曲がった瞬間、今までにない衝撃と痛みを受けた。
もうわかってる。人とぶつかったのだ....。
「イタタ....」
「す、すいません!お怪我はありませんか!?」
僕はぶつかった相手に謝罪する。
ぶつかった相手は僕と同じ高校生で赤とオレンジの制服を着たツインテールの少女だった。
「大丈夫です!こちらこそすいません!」
少女はすぐさま立ち上がりカバンを持つ。どうやら彼女も急いでいるようだ。
「本当にすいませんでした!では!」
そう言って彼女は走りだす。
まぁ他校の生徒で良かった...。これがウチの生徒だったらまた変な噂をされていただろう。
「ん?」
足元に何かが落ちている事に気づく。
「ストラップ?」
それは可愛らしいフェルトできた羊のストラップだった。
間違いなく彼女の物だろう。
ここで2つの選択肢が出る。
1 何もなかったかのようにその場を立ち去る。
2 拾ってどうにかして届ける。
はっきり言って前者の方が合理的だろう。そもそもどこの学校かもわからない生徒を探すのは不可能だ。
友達とかに相談しろと思ったそこのあなた。残念ながら佐竹裕介君には友達がいないんですよ....。
つまり消去法で残った選択肢は一つ
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「それ東雲学院の生徒じゃないかな?」
そう言い出したのは近江先輩だった。
結論から申し上げると無理でした....。自分のせいで落としたのに見てみぬフリは出来ないって....。
ちなみにこの事を相談するかどうかで一時間迷いました。
「ちなみにその生徒はどんな子だったの?」
「え、えっと....髪色がオレンジで...」
近江先輩の質問に僕はオドオドしながら答える。だって何気に話すの初めてなんですもの....
「それから?」
「髪型はツインテールで.....」
「そっか〜...ってん?」
髪型の話をすると近江先輩は考え込む。
「そのストラップってどんなの?」
「こ、これです」
近江先輩の問いに僕は例のストラップを見せる。
「やっぱり遥ちゃんのだ〜!」
は、遥ちゃん?誰?まぁとにかく知り合いなら好都合だ。
「あ、あの....」
「ん?」
僕は先輩にストラップを渡す。
「も、申し訳ないんですが、渡してくれると...」
近江先輩は僕のお願いに「その必要はないよ〜」と答えた。
「だって今日、ここに来るから!」
「はい?」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「じゃーん!遥ちゃんでーす!」
いや....妹だなんて聞いてないですって.....。
しかもスクールアイドルで注目度ナンバーワンとか聞いてないですって....。
「トキメイちゃう!」
どうしよう...。もう高咲さんに託して渡してもらうか?てかあなたいつもトキメイてません?
「「あっ....」」
そんな事を模索してる間に目が合ってしまう。
他の人たちは知らない。二人だけの間だけで気まずい空気が流れる。
このストラップを渡してさっさと逃げたいところだが、コミュ症の僕にはまず話しかけて渡すという初期段階ができないのであります!
「あ、あの!」
「ひゃい!」
はい。また噛みました。
「今朝は本当にすいませんでした!」
近江さんは頭を下げる
「私...急いでいて...お怪我とか大丈夫ですか?」
「だ、大丈夫です...。あとこれ....」
僕は近江さんにストラップを渡す
「あ、ありがとうございます!探してたんです!」
近江さんは嬉しそうな顔をする。ふぅ...とにかく無事解決っと...。
「でも遥ちゃんどうして急いでたの?家を出たのは一緒だよね?」
「え...」
近江さんは明らかに焦る素振りを見せる。あの時間帯で全力失踪してる学生はほぼ遅刻ギリギリ組と言っても過言ではない。
しかし姉である近江先輩と一緒に出ているなら遅刻ギリギリになる事はないはずだ。
「え、えっと....そ、そう!忘れ物しちゃって...」
絶対、今考えたでしょ。
「そうなんだ〜」
それを信じる先輩はいい意味でも悪い意味でも純粋だな....。
そんな事を考えながら他のメンバーよりも先に部室へ戻る。先に戻る理由は気まずいからである。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「彼方さんの妹とは言え敵情視察に来たことに変わりはありません!」
部室に戻るとなぜか中須さんが対抗心を燃やしていた。
「スクールアイドルはライバルであって敵ではないのでは?」
悲報 かすみん 正論を言われる
「いえ!敵です!だってネットでちやほやされて...」
中須さんは色々と語るが、その9割は私怨であった...。
どんだけ悔しいんだよ...
その後、部室での自己紹介を終えていつものトレーニングに入る。
なんか中須さんの自己紹介だけスルーされてたけどまぁ大丈夫でしょ。
それにしても
「うぉぉぉぉぉぉ!」
やはり妹さんがいるのか、今日はいつにも増して気合いが入っていた。
そんな近江先輩を見ていると近江さんが僕の隣に来る。
ちょっと?気まずくなるじゃないですか....
「お姉ちゃん、最近どうですか?」
やはり妹として姉がどういう風に活動してるのか気になるのだろう。
だけど、入部して間もない僕に聞かれても....。
「練習とか頑張ってると思いますよ?」
答えられないのも申し訳ないので適当に当たり障りのない事を言う。
だが、近江先輩に関して一つ気になるところがあった...。
「逆に練習以外は寝てるというイメージがありますね...」
「えっ?」
僕の言葉に近江さんは驚愕する。
「えっ?」
その反応に僕も驚愕してしまう。えっ?家でも寝てるんじゃないの?
「そ、そうなんですね...」
近江さんはあまり話を飲み込めてないようだ。
「教えていただきありがとうございます....」
そう言って彼女は立ち去る。
今のは言うべきじゃなかったな.....
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
その後 近江さんを歓迎する軽いお茶会が始まった。
だが、近江先輩は気合いを入れすぎたのか完全にシャットダウン。そして妹の近江さんはやはり姉の活動について他のメンバーにも聞いていた。
「私 お姉ちゃんが忙しすぎて倒れちゃうんじゃないかって心配で。それで今日見学に来たんです...」
近江さんのその言葉と同時に姉である近江先輩が起き上がる。
「そうだったの?」
どうやら話は聞いていたようだ。
そこから近江さんは姉に対しての想いを語る。
姉がやりたい事を見つけてくれた事。そして楽しいそうで嬉しいかった事。そして何より姉を心配してるという事。
そして次に語ったのは
「だから私、スクールアイドル辞める!」
突然の引退宣言だった
その宣言に周りのメンバーは驚愕し、近江先輩は必死に説得しようとする。
だが、近江さんは折れなかった。それ相応の覚悟があってここに来たのだろう...。
そして近江さんから語られたのは近江先輩が母親の変わりに家事をし、アルバイトの掛け持ち、奨学金のための勉強と明らかに高校生が一日に行える事ではなかった。
「ダ、ダメ!そんな…遥ちゃんは夢を諦めちゃダメ!」
姉は妹の夢を途絶えさせたくない。
「お姉ちゃんが苦労してるの分かってて夢を追いかけるなんてできないよ!」
妹は姉の夢を途絶えさせたくない。
姉は妹を想い
妹は姉を想う
傍から見ればとても良い関係だと思うのだろう。
ただその想いは時に亀裂を生んでしまう
「心配させちゃってごめんね。彼方ちゃんもっと頑張るから」
そして彼方先輩は今、この状況でもっとも出してはいけない答えを出してしまった。
「お姉ちゃんの分からず屋!」
そう言ったと同時に近江さんは部室を飛び出す。すぐに高咲さんが追いかけて行ったが、近江さんが戻ってくる事はなかった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
翌日
「はぁ....」
傘を差しながら学校行きたくないオーラを全力で放ちながら登校する。
なんで家を出た瞬間に雨が降り出すんですかね?
「うわぁ...」
反対車線側のバス停には通勤、通学のために多くの人が並んでいた。この時期のバスの中とか地獄でしょ...。まぁ徒歩通学の僕にとって他人事なんだけどね。
そして反対行きのバス停を見ると....
「「あっ....」」
そこにはベンチに座る近江先輩の姿があった。
うわぁ...。一番会いたくない人に会っちゃったよ....。
しかも目があって「あっ」とか言ってる時点でもう無視して通り過ぎると言う選択肢は消えてしまった。
僕はどうしていいかわからずに近江先輩の隣に座る。
いったい僕は何をしてるんだ....何も話す事は無いと言うのに....。
しかし先に口を開いたのは近江先輩だった。
「あの後ね、何度か遥ちゃんと話し合おうと思ったんだけど、うまく躱されちゃって....」
近江先輩は続ける
「あのね...遥ちゃんがやめるくらいならいっそ彼方ちゃんが辞めようかなと思ってるんだ....」
近江先輩のこの言葉に僕はまったく驚かなかった。むしろ昨日の時点である程度予想はついていた。
ただ近江先輩のこの回答は不正解である。近江さんは姉の近江先輩に夢を追いかけて欲しいからこそ辞めると言ったのだ。
「止めないんだね...」
押し黙る僕に近江先輩はそう言う。
だが、僕に止める権利はない。僕だけじゃない他の同好会のメンバーもだ。
これは近江姉妹同士で解決する問題である。それに家庭の事情もある状況で何もしらない僕たち同好会メンバーが介入するのはあまりにも無責任だからだ。
だけど...
明らかに近江先輩は止めて欲しそうな顔をしている。
辞めたくないのだろう
今の場所を手放したくないのだろう
だから僕は....
「ふ、二人はよく似ていると思います...」
「二人って遥ちゃんと彼方ちゃんが?」
近江先輩の問にコクンと僕は頷く。先輩は「まぁ姉妹だからね〜」と笑っていた。そして僕は言う。
「で、でも他人なんです!」
「え?」
そうどんなに顔が似ていても、性格が一緒でも、血が繋がっていてもその人とは他の人、つまり他人なのだ。
僕はベンチから立つ
「お互いに想い合うだけじゃだめなんです...。お互いに支え合ってください....。」
僕はそう言い放って学校へ向かった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
放課後
「はぁ〜〜〜〜.....」
僕は今世紀最大級の深いため息をついていた。
な~にが支え合ってくださいだ。入って間もない支え合う友達もいないコミュ症野郎の僕がなんて偉そうな口を....。
これ近江先輩『陰キャのお前が支え合えとか何様だよww』とか思ってるだろうなぁ...。
もう今日は同好会行かなくていいかなぁ....。でも行かなかったら殺されるんだよなぁ....。
憂鬱な気分なまま部室の扉を開ける。
「決めた!ヴィーナスフォートでライブをして遥ちゃんに気持ちを伝える!」
「はい?」
近江先輩?ご冗談ですよね?規模デカすぎません?
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
後日 ヴィーナスフォート
まぁなんということでしょう。まさか本当にやるとは....。しかも、東雲のライブに乱入するとはもはや宣戦布告では?
「どうやら東雲には許可を取ってるみたいです...。遥さんには内緒ですが...」
僕の不安そうな表情を見て中川さんが教えてくれた。
ちなみにヴィーナスフォート自体に行きたくなくてうまく断りを入れようとしたところ、どこかの朝香先輩に脅されたので今ここにいます。
別に特定の人物を指してる訳ではありません。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
結果を言うとライブは大成功。逆に東雲の出番を奪ってしまい申し訳ない気持ちになったが、東雲的にもメンバーの危機が解決した事で結果オーライとなった。
「あのね2人とも同じ思いならお互いを支え合っていけると思うの」
「支え合って?」
「お互い助け合ってスクールアイドル続けていこ。2人で夢を叶えようよ」
「うん!」
どうやらちゃんと仲直りできたみたいで良かった。
「ふぅ...」
僕は一息つき、家に帰ろうとする。本来やるはずだったゲームが家でオラを呼んでいる!
「そういえばこれってお姉ちゃんが考えたの?」
その質問が耳に入り、立ち止まる。そういえば東雲の許可もすべて近江先輩がやったのかな?
近江さんの問いに姉は「うん!」と言って頷く。
「でもね〜」
そう言って近江先輩は僕を見る。そして僕は自分の後ろを見る。そこには高咲さんがいた。
なるほど...さすが高咲さんだ...。僕には到底できない...。
このままでは勘違いされるので高咲さんが見えるように横に捌ける。
しかし、近江先輩はの目は僕を追う。
「彼....ううん。裕介君がアドバイスしてくれたおかげだよ〜」
状況が飲み込めてない中、近江さんが駆け寄ってくる。
「本当にありがとうございます!」
近江さんは深く頭を下げる
「ぼ、僕はなにも....」
そう。僕は何もしていない。仲良くできたのはこの二人がお互いに支え合っていこうと決心できたから。そして近江先輩自身が伝えようと努力したからである。
「....こ、近江さんと近江先輩。あなた自身のおかげですよ」
僕がそう言うと二人は不機嫌そうな顔をする。
「呼び方....」
「えっ?」
どうやら呼び方に不満があるようだ。
「二人とも近江ってわかりにくいですよ」
いや....先輩とさんで分けてるじゃん....。
「下の名前…」
僕が困惑してると近江さんがボソッと言う
いや下の名前は陰キャの僕には無理だって.....
「で、では彼方先輩と遥さんで....」
僕にはこれが限界だ。そして二人は不満そうな顔をする
「まぁ許してやるか〜」
えっ?僕が悪いの?
そんな事を考えてると彼方先輩が僕に近づく。ちょっとその衣装で近づかれると....。
「うりゃ!」
彼方先輩が僕の手を握る
「これからよろしくね♪裕介くん♪」
しばらくフリーズしたのはまた別のお話。
続く
誤字脱字やおかしい点があればご指摘いただけるとありがたいです。
評価、ご感想もお待ちしております