虹色に輝く世界で ~あなたは残された時間を何に使いますか?~ 作:トミザワ
もう何もいいません…。
いやお待たせしすぎました…
十人十色、みんな違ってみんないい、努力は必ず報われる。
小さい頃、テレビで聞いた言葉だ。
まだ幼い僕は100%その言葉の意味を理解していたかどうかは怪しいが、いい言葉だと思った。
だが現実はこれと真反対だった。
そして成長するにつれてなんて世の中は残酷なんだとも思った。
どんなに努力をしても生まれつき才能がある奴に追い抜かされる事は日常茶飯事。
少しでもコミュニティーから外れた事をすると「自己中」「常識がない奴」と除け者にされる。
毎日何かに向けて努力する人間より周りの人間に媚を売る人間の方が上に立ちやすい。
正直者が馬鹿を見る世界。
皆、周りの顔を伺って偽りの自分を演じ続けている。
人生とは演技の連続なんだ
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「みんな!凄くいいよ!」
今日も高咲さんは目をキラキラさせている。人生楽しそうで羨ましいよ…。
高咲さんが興奮しているその後ろでは桜坂さんが取材を受けていた。
そう、今日は新聞部の取材が来ているのだ…。しかもその記事は電子タブレットや校内の電光掲示板に貼り出されると言う。今回はスクールアイドルがメインなのでマネージャーである高咲さんや僕の顔が校内に載る事はない。
マジでよかったよ…載らなくて…。
「では桜坂さんはどのようなスクールアイドルを目指しているのか教えてください」
「はい。私は愛されるスクールアイドルを演じたいと思っています」
「と言いますと?」
「みなさんにとって理想のアイドルを想像してその子に成り切るんです」
そんな事を考えていると、桜坂さんの取材に答える様子が目に入る。流石、演劇部に入るだけあってアイドルすらも成り切るとは…。
「では今この瞬間も桜坂さんは理想のスクールアイドルを演じているということですか?」
「はい」
迷いもなく、桜坂さんは質問に即答する。つまり彼女は今も理想のスクールアイドルを演じる演者であって、僕は本物の桜坂しずくを見た事がないと言う事だ。
もしかしたら裏ではめっちゃ人の悪口とか陰口言ってるかもしれん…特に僕の悪口とか…。
『アイツ陰キャで本当に使えねえな』とか『なんで同好会に入部してきたんだよ…』とか思ってそう…。
あれ?妄想なはずなのに目から汁が…。
「そういえば今度 藤黄学園との合同演劇祭が開催されるそうですが」
「えぇ。藤黄学園と虹ヶ咲がそれぞれ別の演目で公演を行うんです」
どうやらスクールアイドルだけではなく、しっかりと演劇部の方にも力を入れているそうだ。
「虹ヶ咲の主役に抜擢されたのは桜坂さんだそうですね。是非とも校内新聞を読む生徒たちに一言お願いします」
そして主役に抜擢されているあたり桜坂さんの演技力の高さは周りからも評価されている。
陰キャでコミュ障な僕とは違い、いかなる場面でもその場の空気や周りが求めている人物像になりきれる桜坂さんは将来、どこに行っても成功するだろう…。
だがそれと同時に精神的負担も大きく、心を病んでしまう人間も大勢いる。それくらい相手に合わせると言う事は大変で苦痛な物なのだ。
はたして桜坂さんはどう思っているのだろうか…。
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「じゃーん!みんなの初めてのインタビューが校内新聞に載りました!」
高咲さんは笑顔でタブレットを見せる。今や校内新聞もタブレットで見る時代ですか…。
てかこれインタビュー企画第二弾とかあったりしないよね?それでもって今度はマネージャーである僕らにインタビューとかするんじゃないだろうな…。
とか思ったけど、影薄すぎてインタビューすらされませんね。自分が陰キャだって事を一瞬忘れておりました…。
「ねぇ!演劇部の公演のことも載ってるよ!」
「どれどれ?」
記事にはしっかりと桜坂さんの写真と公演について書かれていた。
「それにしても主役なんてすごいよねー」
「彼方ちゃん絶対見に行くよ」
周りが褒める中、僕はふと桜坂さんの顔を見る。
「……」
彼女の顔は青ざめており、誰が見てもわかりやすいほど動揺していた。
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放課後、僕は家に直帰せずにビーナスフォートへ向かっていた。理由は欲しいゲームソフトを購入するためだ。
桜坂さんの事は気がかりではあるが、あくまで僕との関係は部員とマネージャーレベルの関係。特別仲が良いわけでもないのに彼女の諸事情に首を突っ込む訳にはいかない…。それに中須さんも桜坂さんの様子がおかしい事に気づいてそうだったし、彼女がなんとかしてくれるでしょ。
とか思ってた時期が僕にもありました…。
「あれぇ〜?裕介先輩じゃないですか〜?」
なんでよりによってこの広いお台場の街で出会っちゃうんですかね…。
「よかったらかすみんたちと一緒にお茶します?」
え?何これ?逆ナン?
「ご、ごm…」
そう僕が断ろうとすると、中須さんは僕の手を掴む。
「え?」
「しず子たちはちょっとだけ待ってて!ほら!行きますよ裕介先輩!」
そう言って僕の手を引き、桜坂さんたちから見えない位置まで行く。
「お願いします!今日だけついて来てくれませんか?」
とパニックなっている僕に頭を下げる。
「な、なぜ…」
「実はしず子、降板になっちゃったんです」
理由を聞くと、真っ先にその事が語られた。今日、桜坂さんの様子がおかしかったのは主役を降板になったからだった。
それもあれだけ校内新聞に告知されてからの降板…。
どこまで降板の情報が出回ってるかはわからないが、ほぼ公開処刑に等しい状態だった。
それで今は中須さんや天王寺さんが桜坂さんを連れ出してリフレッシュさせようとしている訳か…
「で、でも何故僕が…」
そう最大の理由はこれだ。
正直に言うと、気まずい…。
特に天王寺さんとはゲームストアでの一件がある…。
「実は男手が必要なんです…」
中須さんは深刻そうな顔でそう言った。
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「おぉー!」
「これが伝説の…」
「ほんとに食べるの?」
僕たちの目の前には6段に積み重ねられた虹色のパンケーキの姿があった。
ちなみに頑張って断ろうとしましたが、上手い事言いくるめられました。しまいには『裕介先輩に拒否権はないんですからね!』と言われ、いつも通り人権が無い事が再確認されました。
「マウンテンパンケーキ0勝5敗のかすみんが2人に完食の極意を教えてあげる!」
自信満々に言ってるが、0勝5敗ってつまり全敗じゃねーか。
というか…
「まさか男手が必要って…」
僕は中須さんを見る。
「と、とにかくひたすら食べ続けるべし!」
と顔を反らし慌ててパンケーキを切る。
なるほど…僕は食べれなかった時の残飯処理係って訳ですね…。
「ほらしず子も!」
と呆れている僕を横目に中須さんは桜坂さんにあーんの構図でパンケーキを食べさせる。
一体、僕は何を見させられてるんだ…。
「ほら!裕介先輩も食べてください!」
中須さんはパンケーキが刺さったフォークをこちらに向ける。
ちょっと待って?まさかあーんさせる気?
そしてそのフォークは桜坂さんにあーんさせたフォークである。つまり中須さんと桜坂さんと間接キスしてしまう事になる。
皆様、『二人と間接キスできるなんて幸せ物だな』と思いました?
えぇ。実際嬉しいですとも。めっちゃ期待してますよ
だが、その後に待ち受けているものはなんでしょうか?
間接キスして喜ぶ女子は相手がイケメンあるいは好きな人だからです。
こんな陰キャコミュ障男と間接キスしたと知ったらどんな反応するでしょうか?
『うわぁ…間接キスしちゃったよ…』『しかもニヤけてるし…キモ…』
これが現実です。
きっと最悪な空気になるでしょう
ここで僕が止めなければ…
「え、えっと…あ、あの…「えーい!問題無用!」ムグッ!?」
僕が断りを入れる隙もなく、中須さんはフォークを僕の口の中に突っ込む。
あー…これ終わったな…。
「……//」
桜坂さんの方を見ると、彼女は顔を真っ赤にしていた…。
ヒェ…めっちゃ怒ってますやん…。
「どうですか?美味しいですよね!」
中須さんは感想を聞いてくるが、ぶっちゃけそれどころではない。
「かすみちゃん、それ間接キスになっちゃうよ」
「へ?//」
天王寺さんの指摘に中須さんも気づいたのか顔を赤くする。
天王寺さん…あなたも言うようになったね…。でもあと30秒早く言って欲しかったな…。
「め、目指せ完食!」
とりあえずこの事はなかった事にしよう。
そうして若干気まずい空気の中、パンケーキを食べた。
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「うぅ…」
その後、なんとか完食したもののお腹が…
そして現在、ゲームストアに来ています。天王寺さんが元から来たかったそうで僕もゲームソフトを買う用事があったため一緒に立ち寄る事にした…。
だが…
「「…」」
まぁ沈黙になりますよね…。とにかく自然に離脱しないとメンタルが持たん…。
「ねぇ…」
そう考えていると天王寺さんが口を開く。
「ひゃい!なんちめしょうきか!?」
焦ってめちゃくちゃ噛んじゃったよ…。
「この前、言ったゲーム私持ってるんだ」
この前とは以前、ゲームストアで話してお互いに気まずい空気になって逃げた時の事だろう。
「う、うん…」
何をやってるんだ…僕は。天王寺さんはいつも僕に歩み寄ってきてくれるのに…。
彼女は変わろうと必死に努力している。
せめてその努力を無駄にさせたくない。
「て、天王寺さん!」
僕は彼女の名前を呼び、カバンからノートを取り出し必死に書く。
「こ、これ!」
僕は書いた紙を彼女に渡す…。
「これって…」
僕が渡したのは自分のフレンドIDだった。
僕はヘタレでコミュ障だ。『一緒にやろう!』なんて一生言えないだろう。だからせめて…
「…うん。登録しておく。」
少しだけ彼女の口角が少し上がった気がした。
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「うーん…どうしよっかなぁ?可愛いかすみん迷っちゃう!」
とミルクティー屋さんのメニューを見て悩む中須さん。
あのあと無理やり写真を取らさせるなど散々ではあったが、欲しかったゲームも手に入ったので結果オーライと言う事で…。
「…」
そんな事を考えていると、ポスターを見る桜坂さんが視界に入る。
「オードリー…」
つい口に出てしまった。
「あっ裕介先輩…」
僕の声に反応して振り向く桜坂さん。しばらくお互い沈黙が続いた後、彼女は口を開いた。
「私…こういった映画とかが好き演技を始めたって言うのもあるけど、 演じてる時が一番堂々としていられるんです…。誰の目も気にならないし何より…自分が桜坂しずくだってことを忘れられるんです…」
演じている時が一番堂々としている、自分を忘れられる。
これを聞いてわかった…。
彼女は自分自身が嫌いなのだ。だから演じている時の方が楽であり、何より忘れられる。彼女にとって演技は自分を忘れられる避難所なのだ…。
「ご、ごめんなさい!変な話して…」
僕は彼女に対して何にも言えなかった。
何故なら僕も全く同じだからだ。
僕も自分が嫌いだ。そして彼女は演技に逃げ、僕は人と関わらないで逃げてきた。
結局あの後、心配する中須さんにも演技をし続けてその場で解散となった。
誰が見てもわかるぎこちない笑顔で彼女は「大丈夫、心配しないで?」と
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翌日の昼休み ほとんどよ生徒は広場か食堂に行ったのか廊下や教室は驚くほど静かだった。
そして私は現在、迷子になっております…。
いつもなら人気のないスポットで昼食を取るのだが、そこへの行く道が改装工事で閉鎖となっており、遠回りした結果がこれです。
どんだけ広いんだ…この学校…。
「ん?」
ふと教室の方を見ると、一番後ろの席で机に突っ伏している生徒がいた。
あれかな?僕と同じコミュ障で食堂行けないから時間潰しているのかな?
いつもならスルーするのだが…迷子になっているため現在地ぐらいは聞き出したい所。
僕は勇気を振り絞って教室に入り、声をかけた。
「あにょ!」
はい。詰んだ。一体僕の舌の作りはどうなっているんだい?
「っ!?」
僕の声に反応し、振り向く女子生徒。
「お、桜坂さん?」
その正体は桜坂しずくだった。
そして彼女は泣いていた。
「え、えっと…あの…」
何キョドってんだよ…僕…。
「どうしたんですか?裕介先輩?」
彼女は何事もなかったかのように振る舞う。だが、目にはまだ涙が溜まっていた。
「あ、あの…」
僕は自分のハンカチを彼女に渡す。
「これって…」
彼女はそのハンカチを凝視する。これあれかな?『陰キャのハンカチなんかキモくて使えねぇよ』って事かな?
「そのハンカチ初めてお会いした時に渡してくれたやつですよね?」
「はぇ?」
彼女の言葉にあっけからんとした声が出る。
初めて会った時は確か保健室だったような気がする。彼女が鼻血を出してテッシュと柴犬の刺繍が入ったハンカチを渡した気がする…。
「ありがとうございます」
そう言って彼女は僕のハンカチを受け取る。
涙を拭き沈黙が続いた後、彼女は口を開きこう言った。
「今度の役、自分を曝け出さなきゃ行けないんです…でも私にはできないんです…」
彼女は小さい声ながらも自分の境遇を語っていく。
小さい頃から昔の映画や小説が好きだった事、それによる周りから孤立するのではないかと言う不安。
そして演技をする事で楽になれた事。
最後に彼女はこう言った。
「表現なんてできない…嫌われるのは怖いよ…」
嫌われてるのが怖い。そうだ。だから僕も極力、人と関わらないように生きてきた。
世の中は残酷で理不尽だ。個性を出しても出さなくても何かと文句を言われる。
すでに涙目になっている彼女に対して僕はこう言った。
「自分を曝け出さなくてもいいんじゃないですか?」
「え…」
彼女は僕の言う事を理解できてないようだった。
「演技をする方が楽ならそれでいいと思います…。」
無理に自分をさらけ出す必要なんてない。どうせ出した所で『そんな人だったんだね』などと批判があるのは目に見えている。そんなにつらい思いをするなら逃げる方が得策だ。むしろこれから社会で生きていく上でそっちの方が断然良い。
それに無理に自分をさらけ出す時点でそれは自分じゃないありのままの自分を演技しているだけだ。
「ただ!」
ただ大切なのはそこじゃない。
「もし桜坂さんが自分をさらけ出した時、あなたの事を嫌う人がこれから大勢出てきます」
「っ…」
「でもそれと同時に本当の桜坂さんを好きになる人も大勢います」
世の中には色んな人間がいる。その全ての人から好かれる事は到底無理だ。しかし、桜坂さんの事を心から信じて好きになってる人はすでにいるし、これから現れるかもしれない。
「そんな…好きになるなんて…」
「もういるじゃないですか?」
僕はそう言って後ろを振り返る。
「かすみさん?」
そこには扉からこっそりと覗いている中須さんの姿があった。
「では後は中須さん、お願いします」
そう言って僕は教室を出る。
いつもの中須さんなら『えー!』などと抗議するが、そんな事はなく、僕の目を見て頷いた。
きっと中須さんなら大丈夫だろう。
そう思いながら廊下を歩く。
で?どうやって戻るんだ?
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3日後
あの後なんとか自力で教室に戻る事ができた。
その後桜坂さんは再度主演を勝ち取り、合同演劇祭も無事に成功したと聞く。
同好会メンバー全員で観に行ったらしいが、僕は病院で経過観察をしなければならなかったため行くことはできなかった。まぁ経過観察がなくても行っていたかどうかはわからないんですけどね…。
そして今日も僕は中庭の端っこでお昼を食べております…。
いやぁ…ここは誰も人が来ないからゆっくりできる…。まさにベストポジション…。
「あっ!先輩!」
前言撤回だ。
声のする方向を見ると、桜坂さんの姿があった。
「な、なぜここに?」
この中庭にはほとんど人は来ないはず…。何故、わざわざ彼女はここに来たのか…。
「それはこれをお返しするためです」
そう言って彼女はハンカチを渡す。
「この前はありがとうございました」
そして彼女は深く頭を下げる。
「ぼ、僕は何も…」
そう僕は何もしてない。桜坂さんが自分をさらけ出す事ができたのは中須さんのおかげだ。
「かすみさんに言われたんです。『もしかしたらしず子のこと好きじゃないって言う人もいるかもしれないけど私は桜坂しずくのこと大好きだから!』って」
なかなか中須さんも思い切った事を言うんだな…。
「それで先輩に聞きたい事があるんです」
てかそれってもう告白じゃね?と思いながら飲み物を飲む。
「先輩は私の事好きですか?」
「ブフォッ!」
唐突な質問に飲んでいた飲み物を吹いてしまった。
「だ、大丈夫ですか!?」
「ケホケホ…大丈夫…」
オレンジジュースが鼻の中に入った事以外ね…。
「それでどうなんですか?」
「え?」
今ので無効にならないんかい…。
「私の事、好きですか?それとも大好きですか?」
あと選択肢がおかしい…。
もしここで嫌いとか無回答だった場合どうなるか『ひどいです…』と泣かれ、周りの女子にボコボコにされる。
逆に好きと言った場合、『いやキッショww』と気持ち悪がられる。
ここでの正解は…
「わ、わからないです…」
これが一番無難な回答だ。
「むぅ…」
桜坂さんは納得できていないらしいが、そもそも質問が悪すぎる…。
「なら…」
そう言って桜坂さんは一気に顔を近づける。その距離は鼻と鼻があたりそうなほどの距離。
「なななな、なな、に!」
いやいや!近いって!中学生の僕だったら一瞬で恋しちゃう距離だって!
そして桜坂さんは顔を横にずらす
「…?」
ふぅー…
桜坂さんの吐息が耳元に当たる。
「これから好きになってもらいますから♪」
そう言って彼女は僕の元を去っていく…。
そしてまた夜眠れないのは別のお話
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『もしかしたらしず子のこと好きじゃないって言う人もいるかもしれないけど私は桜坂しずくのこと大好きだから!』
『でもそれと同時に本当の桜坂さんを好きになる人も大勢います…』
かすみさんや裕介先輩に言われた事を胸に私はステージの上で自分をさらけ出す。
もう怖くない…。
だって好きって言ってくれる人がいるから…。
本当の私を応援してくれる人がいるから…。
私は観客席の方をチラッと見る。
いた
かすみさん
璃奈さん
同好会のみんな
そして…
あれ?
先輩は?
裕介先輩は?
後で聞いた所、どうやら外せない用事で先輩は来られなかったそう。
「……」
控室でかすみさんから送られてきた画像を見る。スマホにはビーナスフォートで撮った写真が写し出されていた。
そこには
満面の笑顔のかすみさん
真顔になってしまっている璃奈さん
ぎこちない笑顔を浮かべている私
そしてかすみさんに手を引かれ嫌な顔をする裕介先輩
彼に至ってはレンズすら見てない
「ふふ…」
何故か彼を見るとニヤけてしまう。
「っ…」
そしてかすみさんに手を引かれている姿を見ると、モヤモヤする…。
この感覚はなんだろう…
とはならなかった。
色んな小説や映画を見て
色んな役を演じてきたからわかる
私、桜坂しずくは
裕介先輩に恋をしているんだ…。
話す時に目を合わせられない
話しかけたくても話しかけられずに噛んでしまう
時に見せる優しい姿
すべてが愛おしく思える
「………」
うかうかしていられない…。
果林さんや彼方さんに関しては確証はないが、裕介先輩にある程度好意を持っているだろう。
それに璃奈さんも最近、裕介先輩と夜通しオンラインゲームをやってると聞く…。
下手な演技をするつもりはない。
私はありのままの自分で勝負する。
だから覚悟してくださいね!先輩!
続く
深夜テンションで書いたので誤字脱字、おかしな部分があれば指摘してくださるとありがたいです!