ルームシェアをしてます。ええ、パラサイトって言うんですけど……   作:凧の糸

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リーナが出てくる回。原作でも1世紀くらいファッション遡ってたけど、何故だ?ポンコツ過ぎんかね?


それではどうぞ




金髪美少女と会ったからって都合よくイベントが起きるはずも無い

 

 

「俺は……人格がいくつかあってな。入れ替われるんだよ」

 

 

 

 

「こんな風に」

 

「顔や」

 

「体格や中身まで変えれるよ」

 

 

 おお……とどよめきが漏れた。

 

「魔法ではないな」

 達也はそんな中でもキッパリと言った。

 

 

「理論や現象が余りにも今ある"魔法"という概念から飛躍し過ぎている。系統外魔法に当てはまるのかも知れないが……計器に反応しなかった以上そういう事なんだろう」

 実は達也は精霊の目(エレメンタル・サイト)でイデアやエイドスを確認していたが、変わった様子など微塵もなく、強いて言えば人格交代時に溜息ほどのサイオンが漏れていたが、それは人間の感情などに反応して発生する自然サイオンとほぼ同値であった。

 

 

「さっきの正虎って言うんだけど……ごめんね、怖がらせて」

 

「いいわよ、楽しかったわ」

 

「あのねぇ、エリカちゃん……」

 

「全く……」

 

 

「さっきの正虎って人、どれくらい強いのかしら? 手加減してたでしょ」

 

「バレたか」

 

「あ、あれでまだ手加減してたのかい?」

 離れた場所とはいえ、エリカと同じ方向にいた幹比古は半ばとばっちりで正虎の闘気にあてられていた。だからこそ、幹比古が汗をぶるぶるかいている様子に周りの面々は疑問符を浮かべていたが、唯一達也だけは気づいていた。

 

(あの構えは盤石だった。魔法抜きで戦えば勝てるかどうか……もしくは師匠なら……これは流石に言い過ぎか)

 果心居士の再来と謳われる師匠の九重八雲ならば正虎と名乗る老人に勝てそうな気がしたが、いくら考えても殆ど意味を為さない思考であり、今は深雪や友人たちとの参拝の方にリソースを割くべきであった。

 

 

「正虎強すぎて俺の身体が持たないんだよねぇ……正直結構ヘトヘト。まあ、エリカ……だっけ?」

 

「そうだけど」

 

「無理だよ、君は遅すぎる。……い、いや、正虎が早過ぎるんだ。本気でやれば一瞬で終わっちゃうぜ。その場合は俺が瀕死になるけども」

 「遅すぎる」でエリカの顔がムッとなったのを感じ取り、慌てて言い直した。しかし、範利の「瀕死になる」発言で周りからは同情の視線を買った。

 

 

 

 

 一通り参拝もして解散となった。途中、時代遅れのファッションをした金髪の女の子を目撃した時、正虎は「懐かしいなぁ、あんな服装」と言っていたことから相当の化石だということも察せられた。

 

 

 

 そんな事はともかく、お開きになった後は本題に入ると和尚は決めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「改めてよろしく。ところでパラサイトって知ってるよね?」

 

 

「勿論だ」

 

「俺よりも、彼女の方が用事があってね……少し待ってよ、拗ねてて出てこないんだ」

 まったく……と言わんばかりの表情で目を閉じた範利。彼がいう通りにしばらく待っていると彼女が出てきた。

 

 

「……キャシー。よろしく」

 不機嫌そうな女の子が頬杖をついていた。ジェンダーレスで、かつふんわりとした服装は妙に扇情的でほんのりと色香がただよった。

 

 

「私は一応アンタらがパラサイトって呼ぶモノの統率者。12体いたんだけど、みんなに離反されちゃってね。回収とかを頼めないかって話。」

 咄嗟に達也と深雪はCADを構えたが、特に気にしない彼女のスタンスに矛を下ろした。

 

 

「確実に12体を捕まえられる保証もない。誰かに盗られる可能性もあるぞ?」

 達也はそう言った。四葉本家からの干渉、四葉以外の十師族ーー特に七草と十文字。USNA軍もやって来ている。奪われる事も可能性の内に十分考えられた。

 

 

「いいよ、ちょっとくらいはあげる。最悪一匹いればそれでいいからね」

 長く、麗しい金色の髪をかき上げながらそう言った。

 

 

「キミ……いや、君らの正体は何なんだ?」

 八雲が神妙なそう言った。達也たちも気になっていた。

 

 

 

「それ本当に説明しなきゃ、ダメ?」

 彼女はより一層面倒くさそうに眉間にシワがよった顔をした。

 

 

「そもそも、人間に理解できないわよ。発狂して死にたいんだったら教えてあげるけど?」

 右手を脳に翳す仕草は実に緩慢で、溢れた笑みは嘲りに満ちていた。

 

 

 

「……いやぁ〜遠慮するよ。忠告を無視できるほど若くもないからねぇ」

 ちょっぴり名残惜しそうな九重和尚の姿に感じるものがあったのかキャシーはこう言った。

 

 

「ま、人間風に言うとすればパラサイトは(しもべ)、統率者は主人かしら。貴方達は私達を誤解しているようだけど、それほど邪悪な存在でもないわ。ただ、純粋なだけ」

 

 

「それは……?」

 聞こうとしたが、キャシーはこれ以上話すこともないだろうと目を閉じた。

 

「まあ、仲良くしましょ。回収ならこちらでするから呼べば行くわ」

 みるみる体つきは男のものとなっていき、もとの短く黒い髪に戻った。

 

 

 

 

「まあ、そう言う事で」

 

 

 

 

 

 

__________________________________________

 

 

 

ーー夜

 

 

「う、うわぁああ!!!」

 一般的には不良と呼ばれる彼はまさか、最近仲間内で騒がれていた「吸血鬼」に出会すとは思っていなかった。

 

「!」

 

「痛っ!!」

 背中にブワッと大きな衝撃が来て吹き飛ばされた。

 

 

「クソッ、クソッ……ツイてないぜ……」

 手と足をバタつかせながら吸血鬼から少しでも距離を稼ごうと唸るように蠢いた。

 

 

 しかし、弄ぶようにどんどんと路地の奥へ奥へと追い詰められる。

 

 

「う!」

 先程振り切ったはずが、前の通路からぬるりと出現する。

 

 

 

「うっ……おっ、オエエェ……」

 空っぽの胃から胃酸を出す。普段なら腹立たしく思う苦味と痛みはむしろありがたいとさえ思えた。それ程までに彼の思考は混濁して、マトモでは無かった。

 

 

 

「臭いぞぉ……臭いぞぉ……」

 ケタケタと機械の軋むような笑い声が廃墟に反響して喧しく響いた。

 

 

 男は再び走り出したが、それも長くは続かない。体力など既に無く、精神は削られ切って、薄皮一枚しか残っていない。

 

 

「!!」

 男は恐怖した。既に目前は行き止まり、彼がいつも何も思わなかった壁は絶望的な高さで男を嘲笑っていた。

 

 

「く、くんな!!」

 その時、祈りが通じたのかピクリと動きが固まった。

 

 

「い、一か八かだぁ!!!」

 やけになった男はパラサイトの脇を韋駄天の如く走り抜けた。

 

 

 こうして、パラサイトは獲物を逃してしまった訳だが、パラサイト自身はそれどころでは無かった。獲物よりも追跡者が焦っている状況なんてたいそう珍しいものだが、それを()()()()者は誰も居なかった。

 

 

 

 

 

 

 

「……!!」

 パラサイトは驚愕した。

 

 突然に仲間とのリンクが切れてしまったのだ。パラサイト同士のリンクが切れるのは自身の消滅時くらいなものなので、一瞬消滅してしまったのかという恐怖に包まれるも自分の肉と血かある事を認識して心底安心した。

 

 

 だが、益々謎は深まる。そんな事が出来る者なんて()()に存在する筈が無い。

 

 

 

「誰だと思うかい?」

 辺り一帯に人間の女性の声が空気を震わせた。

 

 

「まさか!?」

 自分たちの造物主であり支配者でもある統率者。偶然に空いていた孔を発見した彼らは忌々しい存在を振り切って、やっとの思いで三次元世界までやって来たのだ。今更あんな奴らとは顔も合わせたく無かった。

 

 

 

「逃がさない……」

 

「なんだとッ」

 上空から落下する勢いのままにパラサイトはマウントポジションを取られる。

 

 

「回収させてもらうね」

 有無を言わせず、頭を鷲掴みすると手が少しだけ発光した。頭部からうすぼんやりのモヤがぬるりと立ち昇り、するすると肉体の中に納められていく。

 

 

 

 

 

「貴方は何をしている?」

 紅い髪の仮面を被った女が乱入してきた。荒々しい髪の毛は彼女自身の心を最も表していた。一方、キャシーは彼女に対して毅然とした態度で答えた。

 

 

「私は回収だ、自分の持ち物を持って帰る事の何が悪い?」

 

 

(おーい、アイツ強そうだからボクとかわろーよ)

 

(ああ、ありがとう、天ちゃん。じゃあ替わるよ)

 思わぬ乱入者がやって来たのでキャシーの身を案じた天ちゃんがキャシーとの交代を打診した。こと逃走において天ちゃん以上に適正が高い者は存在しない。

 

 

 

「何!?」

 仮面の女ことアンジー・シリウスは一瞬の隙が生まれた。それもそのはず、目の前の自分の同じUSNA出身とみられる女性が突如として奇抜な髪色のボーイッシュな女性に早変わりしたからだ。

 

 精神系の魔法を使われた形跡も無く、自分の使用する仮装行列(パレード)とも違い、リーナは化かされたと思った。(彼女は日本の妖怪と呼ばれる存在が人を騙したり、化かしたりすることを知っている)

 

 

 

「よ!」

 目の前の女が一瞬にしてビルの屋上に移動した。少し遅れて轟々と風も荒れ狂う。

 

 

 瞬間移動か?

 

 そう考えたがリーナはすぐに否定した。移動時に起きただろう突風と地面の割れ具合を見るに、信じ難い事ではあるが自力で跳んだのだろう。更にパラサイトと何らかの関係性がある事を鑑みるとある種のPKを使用した可能性も十分にあった。

 

 

 

「……」

 相手が逃走したことを伺えたが、上から攻撃される可能性も無きにしもあらずで、狭い路地にいつまでも居る理由は無かった。特殊な位置情報を発信するマーカーを抜け殻同然の元USNA軍の人間に付着させてから、リーナは退却した。

 

 

 

 

 

 

_______________________________________

 

 

 

ーーハイド荘

 

 

 デフォルトの豪邸状態に戻っているハイド荘で、キャシーやその他大勢が広間に集っていた。

 

 

 ごぽぽぽ……

 

 

 頑丈なケースにふわふわと黒い物体が漂っていた。これがパラサイトである。こちら側に来た際に使用していた肉体が崩壊したので、現在精神体として存在する彼らは狭いケース内でも特に不便は無さそうである。

 

 

 

「ようやく一匹ね」

 

「どうするの?ふわふわくんを」

 天ちゃんは早速ふわふわくんというファンシーな渾名をつけていた。ケースにべったりと顔をつけて食い入るように見つめている。

 

 

「送り返すの。まだを彼ら扱うには人間は幼すぎるからね」

 

 

「へー、そうなのねえー」

 興味なさそうにそう言った。天ちゃんはとにかく飽きっぽい性分なので仕方ないこととは言え、その様子にふわふわくんは寂しそうにむずむずと身体を震わせた。

 

 

 

「で、あの髪の紅い女は誰か分かるか?」

 範利は全員に尋ねた。想像していた事だが、一人を除いて首を横に振る。そして、キャシーがゆっくりと口を開いた。

 

 

「恐らく、アンジー・シリウスよ。持っていた記憶から探ったけど、とんでもない強さよ、彼女。相手にするのは馬鹿らしいし、なんの得もないわ」

 キャシーのいつもよりも増して警戒する表情に「アンジー・シリウスの相手は絶対にしない」という決定が纏まり、その場は解散となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






範利と愉快な仲間たち

・天ちゃん

天真爛漫な女の子。ピカイチのスピードを誇り、誰にも彼女も捕まえることは出来ない。魔法を使える。飽きっぽい性格で、とてもミーハーである。ちなみに、天ちゃんは渾名。


・ふわふわくん

 ふわふわ。ケースに閉じ込められているが、あまり気にならないようだ。意思疎通も可能で、寂しがり屋な性格。






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