不死川兄弟の喧嘩に巻き込まれた楓子と真菰でしたがカナエの登場により大事になる前に収集されましたね。
と、思ったらまさかのフラグが立ち上がりましたね。
さてさて、玄弥と真菰のフラグはどうなるのか!?
というわけで最新話です!
不死川兄弟の会合という名の兄弟喧嘩から一週間が経っていた。
兄である実弥からの拒絶を受けた玄弥は表面的にはいつも通りに見えた。楓子による炭治郎達への指導にも積極的に参加していた。――むしろ熱が入りすぎているように感じるほどだった。まるで何かを振り払おうとするかのように……。
それでも彼はまだいつも通りに見えた。問題は――
「…………」
ぼんやりと虚空を見上げたまま昼食を口に運ぶ真菰。
そんな彼女を見ながら
「……やっぱり変だよね?元気がないというか」
「……心ここにあらずって感じですね」
楓子とアオイが心配そうにこそこそと話す。
「……なんかここ一週間くらいずっとあの調子だよな」
「……あの玄弥のお兄さんと会った日から、か」
善逸と炭治郎も同調し
「はッ!もしや玄弥のお兄さんにつけられた顔の傷がやっぱり気になるんじゃ!?おのれ!やっぱりここは冨岡さんや鱗滝さんにも連絡して正式に玄弥のお兄さんに抗議をするしか――」
「いやいや待った待った」
へし折らんばかりに箸を握りしめる炭治郎に楓子はどうどうと抑え
「よく見てよ。もう傷は癒えて痕もほとんどわからなくなってるでしょ?マコちゃんが気にしてるのは傷のことじゃないと思うよ」
「でも、なら何を気にしてるんでしょう……?」
「さぁ~…それは私にはわかりかねるけど……」
と、首を傾げる楓子達の中で一人話聞き流して食事を続けていた伊之助は口いっぱいにご飯を詰め込んで咀嚼しながら真菰と真菰の前の皿を交互に見て
「ッ!」
『あッ!?』
真菰の皿から焼き魚を掠め取る。そんな伊之助に全員が揃って唖然とする。が――
「………」
真菰は気にした様子もなく
「……あれ?」
「いくら真菰さんが優しくても無反応っていうのは……」
「まさか…気付いてない?」
炭治郎達の困惑の通り、気付いていない様子で食事を続けている真菰は空になった皿から魚を取るような仕草をして
「……ないはずの魚を食べてる」
「霞を食べる仙人と化したよマコちゃん……あ、梅干し落とした」
ご飯の上にのせていた梅干しを口に運ぼうとして箸からポロリと落ちた梅干しが机の上に落ちるが、真菰は何も掴んでいない箸を口に運び咀嚼している。
「……これは、末期ですね」
アオイはそんな真菰の様子に心配そうに眺めている。
「もう、いっそ直接訊くのが一番かもね」
楓子はため息をつき
「ねえマコちゃん?」
「……ん~?」
楓子の呼びかけに真菰は緩慢な動きで視線を向ける。
「その……何かあったの?」
「……何かって?」
「いや、なんていうか様子が変だから……」
「……変?」
首を傾げる真菰に楓子はどう言ったものか頭を掻き
「……なんか悩んでる?気になることがあるとか?」
「…………」
楓子の言葉に真菰は数秒押し黙り
「……大丈夫、何にもないよ」
「……そう」
にっこりと微笑み答える真菰に楓子もそれ以上聞き返すことができなかった。
「ごめん、もうおなかいっぱいだから私先に片付けるね」
と、真菰はまだ半分ほどしか減っていない昼食の皿を片付け始める。
炭治郎達もそれをそれ以上追及できず何も言えないでいる。
そんな光景に楓子は頬を掻き
「あぁ~…そうだ、アオイちゃん、さっき荷物受け取ってたよね?何が届いてたの?」
話題を変えようとアオイに呼びかける。
「あ、はい。何か海外から届いたそうで、隠の方が……」
「海外から……あ、そうか、ギターの弦だ」
楓子はポンと手を打って納得した様子で頷く。
「ぎたあ?」
「海外の楽器でね、三味線に似たような楽器で、弦を弾いて演奏するの。以前に宇髄様に贈ったことがあってね。弦って使ってると切れたり音が悪くなるから定期的に替えが必要になるんだよ」
首を傾げる善逸に答える楓子。
「ただねぇ……」
「どうかしたんですか?」
困った様子で眉を顰める楓子に炭治郎が訊く。
「いやね?ギターを気に入ってくれたのか宇髄様も頻繁に弾いてるみたいで、よく追加を頼まれるんだけど、海外の楽器だから弦もなかなか手に入れずらいからどうしても海外から取り寄せるしかないんだ……」
楓子は困った様子で言い
「ギターの弦やっぱり多めに注文しようか――」
――カシャーン!
楓子の言葉を遮るように何かが割れる音がする。
見ると真菰が片付けようとしていたお皿を落としたようだった。
「あ、あははは…ご、ごめんねぇ~、て、手が滑っちゃった~」
笑いながらワタワタと割れたお皿の破片を集めていく真菰。
「珍しいですね、真菰さんがそんな失敗をするなって」
「あははは、ごめんね~。こっちは一人で大丈夫だから」
アオイの言葉に笑って頷きながら真菰は言う。
そんな真菰の様子に楓子が首を傾げ、真菰がお皿を落とした直前に自身が口にしていた言葉を反復し
「……ギターの
――カシャーン!
楓子の呟いた言葉に真菰が拾っていた破片を再び落とす。
「………」
そんな様子に楓子はすっと眼を細め
「……減薬(
――カシャーン!
「……原野商法(
――カシャーン!
「……三十三間山(さんじゅうさん
――カシャーン!
「……三間槍(さん
――カシャーン!
楓子がつらつらと単語を言うたびに真菰は手を滑らせ皿を割る。もはや彼女の持っていたお皿はすべて粉々になっていた。
そんな異様な光景に楓子以外の人間は呆然と眺め
「……ねえ、マコちゃん?」
そんな中楓子はフッと息をつき
「玄弥君となんかあったでしょ?」
「ッ!」
楓子のジト目での指摘に真菰はビクリッと肩を震わせゆっくりと振り返り
「ナ、ナニモナカッタヨ?」
「嘘だ!!」
言った瞬間楓子は真菰に飛び掛かる。
そのまま羽交い絞めにした楓子は真菰をくすぐりまわす。
「あ、アハハハッハハハハハハハッハハハハハハッ!!!?」
「ほらほらほらぁ!!白状しないとこのままくすぐりまわしちゃうぞ~!!」
「や、やまッやめッ――アハハハハハハハハハハッハハハハハハハッハハハハハッハハハハハハッハハハハハッハハ!!!!」
「ほらほら~はやく白状した方がいいよ~!このままだとおしっこちびっちゃうほどくすぐっちゃうよ~!ええんか~?乙女としてええんか~?」
「そ、それは、こ、こまッ困るぅぅぅううアハハハハッハハハハハハハッハハハハハハッハハハッハハハハハハハハハッ!!!」
数分の攻防の末――
「はぁ…はぁ…はぁ…ほんとに漏れちゃうかと思った……」
「このゴッドフィンガー大好のテクにかかればざっとこんなもんよ……ほんとに漏らさなくてよかった……」
息も絶え絶えな真菰にドヤ顔をしながら楓子は最後にほっと安心した様子で顔をそらしながら人知れず呟く。
「で?いったい何があったの?乳揉まれた時はすぐに折り合いつけてたのにここまで動揺するなんてよっぽどのことがあったんでしょ?裸でも見られた?」
「そ、そんなわけないでしょッ!?」
楓子の言葉に真菰は顔を真っ赤にして叫ぶ。そんな真菰に
「じゃあ、何があったんですか?」
「それは……」
炭治郎の問いに真菰は言い淀み、数秒間考え混んだ後意を決したように口を開く。
「その……『弟じゃ嫌』ってどういう意味だと思う?」
「弟じゃ……?」
「嫌……?」
「玄弥さんにそう言われたんですか?」
首を傾げる善逸と炭治郎の横で訊くアオイの問いに真菰が頷く。
「どういう意味って…マコちゃんそれ本気で言ってる?」
「え……?」
楓子の問いに真菰は虚を突かれた様子で口を開けて固まる。呆れたように楓子は何かを言いかけ
「へッ!そんなこともわからねぇのか!おめぇも案外馬鹿だな!!」
伊之助が遮って笑いながら言う。
「馬鹿って…じゃあお前はちゃんとわかってんのか?」
「あたりめぇだろ!意味なんて、んなもんそのまんまの意味しかねぇだろ!」
「……伊之助さんがちゃんと理解できてる!?」
善逸の問いに自信満々に言う伊之助の言葉に、アオイが驚きに目を見張る。
「いいか?『弟じゃ嫌』だって言うなら――」
伊之助は自信満々にニヤリと笑みを浮かべ
「あのトサカ頭は、お前の兄貴になりたいんだよ!!」
『………』
言い放った瞬間その場は静寂に支配される。しかし、伊之助は自信満々に続ける。
「考えりゃわかんだろ!お前の方がチビなんだからどう考えたって姉に見えるわけねぇだろうが!」
「………はぁ」
そんな伊之助に善逸はため息をつき叫ぶ。
「この、馬鹿猪が。ちょっと見直しかけた俺の感動を返せ!」
「なんだと!?」
「お前の推理は見当違いなんだよ!」
「そうだぞ、伊之助」
と、それに賛同するようにうんうんと頷いた炭治郎は
「真菰さんにお母さんになってほしいのかもしれないじゃないか」
「いや、お前もかよ」
真剣な顔で言う炭治郎の言葉に善逸は呆れた様子で呟く。しかし、対する伊之助は目を見開き
「……なるほど…それは一理ある」
「だろう?真菰さんは家事全般得意だし優しい人だ。お姉さん的な包容力のある人で俺にとっても頼れる本当の姉みたいな姉弟子だ。そんな真菰さんがお姉さんじゃ嫌だっていうんだから、きっとお母さんになって欲しいんだよ」
「なんでそこまで分析した上でその結論に至れるんですか……?」
二人のやり取りにアオイがため息交じりに言う。
「ごめん、ちょっと話ややこしくなるからお前らふたりはこっちでご飯の続き食っててくれるか?」
「あぁ!?何言って――」
「あ、そういえばもう一人分用意していた魚残ってるんだったなぁ~。魚って足早いし誰か食べてくれないかなぁ~」
「俺が食ってやるよ!」
「ほんとー?たすかるー。じゃあ炭治郎くん焼いてあげてくれるー?」
「え?あ、はい、わかりました!」
楓子に言われ炭治郎は伊之助と共に台所の方へと駆けていく。
「ここは俺もいない方がいいと思うんで、二人の方ついてます」
「ん。ありがとう」
気を使って二人の後を追っていく善逸を見送った楓子は
「さて、話を戻そうか」
真菰達へと向き直る。
「まあ伊之助君や炭治郎君の発想はともかく、『弟じゃ嫌』なんて言葉の意味なんて行間読む必要もなくそのままの意味でしょ?マコちゃんもわかってたからこそ悩んでたんでしょ?」
「うッ…それは…まあ……」
楓子の言葉に真菰は少し頬を染めながら言い淀む。
「ついでにもっと行間を読むなら、『弟じゃ嫌』なんて言葉は『私は君のお姉さんみたいなものだから』とか『玄弥君って弟みたい』的なセリフがなければ出てこない。つまり先に言ったのはマコちゃんだね」
「ふ、フウちゃんは心を読めるの!?」
「おやおや、この程度の行間を読むくらい作家にとっては簡単なことだよ」
「楓子さん作家じゃないじゃないですか?」
「………まあそれはともかく」
アオイの問いに楓子は数秒考えて、答えずに真菰の方に視線を向ける。
「結局マコちゃんは何に悩んでるんだい?そこがわからなければ助言のしようがないよ」
「私は……」
楓子の問いに真菰は少し考え
「玄弥君のことは大事な後輩だと思ってる。一緒にいるうちに弟みたいに勝手に思っちゃったのも、だからこそ傷ついた彼を助けたいって思った……でも、弟じゃ嫌だって言われて、もちろんその意味もきちんと理解できた……だからこそ、私のこの気持ちが恋愛感情なのかわからなくて……」
「なるほどね……」
真菰の言葉に楓子は少し考え
「まあ、その気持ちはわかるかもしれない。好きって気持ちはいろんな種類があるからね」
頷きながら口を開く。
「そういう時はさ、その相手と何をしたいかを考えるのがいいと思うよ」
「何をしたいか?」
「そう。したい事としたくない事を考えて、それに沿った関係性を選べばいい」
真菰の問いに答えた楓子は視線を向け
「マコちゃんは、玄弥君とどんな関係になりたい?」
「私…は……」
真菰は楓子の問いに考える。
「まあ、結論はすぐに出なくてもいいんじゃない?幸い今日は玄弥君出かけてるし」
「あ、そういえば今日はいらっしゃいませんね。どこに行かれたんですか?任務とか?」
「あれ?聞いてない?」
アオイの疑問に楓子は頷き
「カナエさんが全部引き継ぐってお兄さんとの話の場を設けたからって連れてったよ」
というわけで最新話でした。
玄弥との関係に悩む真菰は果たしてどんな関係性を選ぶのか?
そして、カナエの設けた新たな不死川兄弟の話し合いの結末やいかに!?
ちなみに楓子がした真菰へのアドバイスは前世で読んだとある漫画の受け売りです。
このアドバイスが刺さりそうな娘がまだこの場にいそうですが、それはまたの機会に(^ω^)
といったところで今回の質問コーナーです!
今回は鳥鍋さんからいただきました!
――剣と魔法のRPG的な世界に生まれたら自分はどうしていると思う?
楓子「ギルドの受付嬢になって異世界転生してきた主人公とかRPG主人公に手取り足取り教えたい。あわよくば実は陰の実力者だけど仮の姿で受付嬢してたいですね」
とのことでした!
というわけで今回はこの辺で!
また次回もお楽しみに!
~大正コソコソ噂話~
台所に魚を焼きに行った炭治郎達でしたが魚だけでなく焼きおにぎりまで作っていました。できた焼きおにぎりは結局楓子達もおいしくいただきました。