恋柱の継子、人の恋路に世話を焼く   作:大同爽

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更新が空いてしまい申し訳ありません。
少し立て込んでしまいましたが時間を見つけて書きましたので更新です!
さてさて玄弥との関係に悩んでいた真菰でしたが果たしてどんな結論を出したのか!?
そんなこんなで最新話です!





恋72 恋柱の継子と親友の恋路

 

 ――そういう時はさ、その相手と何をしたいかを考えるのがいいと思うよ

 

 ――マコちゃんは、玄弥君とどんな関係になりたい?

 

 そう言った親友の言葉がいまもずっと頭の中でグルグル回っている。

 お昼のことだったのでかれこれ三時間はこうして縁側でぼんやり考えてしまっていることになる。

 だが、それでもこれだけ長い間悩んだおかげもあってだいぶ頭の中を整理することができた気がする。

 ふうちゃんの言った通り関係について段階を踏んで考えてみた。

 考えてみた結果……私は……

 

『――鱗滝さん』

 

「ッ!?」

 

 背後から聞こえた声に私はドキリと心臓が大きく高鳴る。この声は今まさに頭を悩ませている彼の声だ。

 

「お、おかえり玄弥君!お、お兄さんとはどうなった――」

 

 私は動揺を悟らせないように努めて笑顔で振り返り

 

「あ、あれ?」

 

 ニヤニヤと笑うふうちゃんの姿に一瞬呆ける。

 

「あれ、ふうちゃんだけ?げ、玄弥君の声がしたけど……」

 

 私がキョロキョロとあたりを見渡すのをふうちゃんはニンマリと笑みを浮かべながら座っている私に視線を合わせるようにしゃがみ

 

『玄弥君の声って…こんな声?』

 

「……へ?」

 

 ふうちゃんが口を開くが、その声は玄弥君の声だった。

つまり先ほどの呼びかけも彼女の声真似だったのだろう。声真似が得意だとは知っていたが、まさか玄弥君の声まで出せるとは知らなかった。というか――

 

「ちょっとふうちゃん?なんで今わざわざ玄弥君の声真似したの?」

 

「いや~、考えがまとまってないのかなぁって思ってお手伝いを、と思ったんだけどねぇ~」

 

「嘘だ!絶対面白がってたでしょ!?」

 

「ソンナコトナイヨ~」

 

「本当に…?」

 

「ウン、ホントホント」

 

「………」

 

私は疑わしく思いながらも頷く。

 

「まあいいよ。信じる」

 

『ありがとうございます。そんな優しい鱗滝さんが大好きですよ』

 

「もぉぉぉぉッ!!!」

 

 またもや玄弥君の声で囁くふうちゃんに私は思わず叫ぶ。

 

「あはは、ごめんごめん」

 

 ふうちゃんが今度こそちゃんと謝り

 

「もうちょっと話聞こうかと思ったけど、大丈夫そうだね」

 

 そういって今度は優しくニッコリと微笑む。

 

「え……?」

 

「いや、お昼の時よりシャキッとしてるから、気持ちに折り合いがついたのかなぁって」

 

 小首をかしげるふうちゃんに私は唖然とし

 

「すごい…よくわかったね……」

 

「ま、伊達に親友やってないからね」

 

「ふうちゃん……」

 

 私の視線に少し照れた様子でふうちゃんは頬を掻き

 

「親友の恋路だからね。これでも真剣に力になりたいと思ってるんだよ」

 

 照れた様子のふうちゃんに何とも言えない嬉しさや気恥ずかしさを感じる。きっと彼女が私に今話しかけてきた時に玄弥君の声で話しかけてきたのも彼女なりの照れ隠しだったのかもしれない。

 私の視線から逃れるように立ち上がったふうちゃんは微笑み

 

「じゃ、私ちょっくら『梁』関連の用事で出かけてくるから留守番よろしくね。今うちにはマコちゃんとタマちゃんたちしかいないから、日が出てるうちは実質一人だけど、今タマちゃんたちも研究してるから日が暮れてもそうそう出てこないかも」

 

「炭治郎達は……あ、そういえば三人で任務に出たんだっけ?」

 

「そうそう。アオイちゃんも蝶屋敷の方に用事があって戻ってるからね。私も今日中には帰るけど遅くなるから晩御飯外で済ませてくるから私の分の用意はいいから」

 

「わかった」

 

 頷いた私に「よろしく」と言い残しふうちゃんは手を振って去って行った。

 親友の背中を見送った私は再びため息をつく。また一人になった。

 

「まあ一人の方が考え事には向いてるか……」

 

 誰に向けて言うでもなく――強いて言うなら自分に向けて呟いた私は再び考え事に戻る。

 私の気持ちは一応は決着がついた…と思う。なら、私はどうすべきなのだろうか?

 玄弥君が言っていたのは「弟じゃ嫌」ということだけでそれ以上のことは言っていない。なら、彼が改めて言うのを待つ?それとも――

 

「鱗滝さん」

 

 と、背後で再び玄弥君の声が聞こえる。

 まったく、ふうちゃんも何度も同じ手で私が驚かせようとしてるんだろう。さっきは照れ隠しかと思ったけど、やっぱり面白がっていたんだ。

 

「はぁ……」

 

 大きくため息をついた私は

 

「あのねふうちゃん、いくら私でもそう何度も同じ手に――」

 

 言いながら振り返り

 

「って玄弥君ッ!?」

 

「え、あ、はい。ただいま戻りました」

 

 思わず大声を上げてしまった私に本物の玄弥君は怪訝そうに首を傾げながら言う。

 

「あ、あはは…ごめん、さっきふうちゃんが悪ふざけして……」

 

「は、はぁ…?」

 

「うん、気にしないで。何でもないから」

 

 怪訝そうな玄弥君に私は苦笑いを浮かべる。

 

「………」

 

「………」

 

 そのままお互いにはなんとなく黙ってしまう。

 

「と、とりあえずさ」

 

 私は意を決して口を開く。

 

「その、よかったら座って」

 

 

 

 〇

 

 

 真菰に促され彼女の右隣に座った玄弥は真菰の方に視線を向ける。

 玄弥の視線に真菰は優しく微笑み

 

「ごめんね、疲れてるかもしれないけど結果が知りたくて」

 

「結果?」

 

「お兄さん…不死川様と話してきたんでしょ?」

 

「あぁ……」

 

 真菰の言葉に玄弥は頷き

 

「先に胡蝶様が兄貴と話してくれてたお陰で、前ほど喧嘩腰じゃなかったというか、ちゃんと話できました」

 

 ポツポツと語り始める。

 

「とりあえず、前回のあの喧嘩腰とかは兄貴なりの思いやりだったらしいっす」

 

「思いやり?」

 

「兄貴としては俺に鬼と戦うことをしてほしくなかったらしいんです。自分の幸せはいいから、残った唯一の家族の俺には鬼なんか関係なく幸せになってほしかったって。俺が謝ろうとしてたことも、気にしなくていいからって……強く当たってたのは怒ってるからじゃなく、鬼関係のことから俺を遠ざけたかったらしいっす」

 

「……そっか」

 

 玄弥の言葉に真菰は頷き

 

「あの、ね?これ、聞いちゃいけないと思って今まで聞けなかったんだけどね」

 

 意を決したように訊く。

 

「玄弥君は何を謝りたかったの?」

 

「………」

 

 真菰の問いに玄弥のは一瞬目を伏せる。そんな彼の反応に真菰が慌てる。

 

「ご、ごめんね!言いたくなかったら無理して言わなくていいから!」

 

「い、いえ!だ、大丈夫っす!」

 

 真菰の反応に玄弥も慌てて首を振り

 

「鱗滝さんには…知っててもらいたいです……」

 

 頬を掻き頷きながら口を開く。

 

「うち、兄弟多くて兄貴が長男、俺が次男、下にもう四人いたんですが、俺のお袋は身体小さくて、結構早くお袋より俺の方が大きくなったんです。そんなお袋はめちゃくちゃ働き者でとにかく朝から晩まで働いてて、お袋が寝てるところを俺は見たことなかったんです」

 

 玄弥は昔を思い出すように遠くを見つめながら言う。

 

「親父は逆に大柄で、俺のこのガタイの良さも親父似かもしれないっすけど、親父はとにかくろくでもないやつで、人に恨まれることも多くて、結局その恨まれた相手に刺されて死んじまって……」

 

「それは…その……」

 

「いいんす、自業自得っすから。本当にろくでもないやつで家族にも手を上げるような人でしたから。でも、そんな大柄で暴力振るう親父から俺や兄弟たちを庇ってくれたお袋は本当にすごいと思います」

 

 言いながら玄弥は頷き

 

「だからこそ、俺は兄貴と約束したんです。親父がいない分、俺たちがこれからもお袋やほかの兄弟たちを守ろうって。約束、したのに……」

 

 玄弥は言いながら言葉を詰まらせるが、頭を振って再び話始める。

 

「ある晩、お袋が用事で出かけたんですが、なかなか帰ってこなくて兄貴が迎えに行ったんです。でも、どっちもなかなか帰ってこなくて、もう夜も明けようって頃になってみんなで心配してたんです。そしたら、ドンドンッて扉をたたく音がして、弟たちはお袋たちが返ってきたと思って扉に駆け寄っていったんですが、開ける前に何かが扉を突き破って入ってきたんです」

 

「それって……?」

 

「あの時は何か山犬か狼とか獣だと思ったんです。そいつは入って来ると同時に扉の前にいた弟たちや俺を爪で切り裂いて、俺は一番遠くにいたからか顔を引っ掻かれただけだったんですが……そいつはすぐにまた俺に向って飛び掛かってきて、でも、暗くてよく見えないうえに速くて、俺避けられなくて……そんなところに兄貴が鉈を持って飛び込んできて、俺に飛び掛かってきてた〝それ〟を抱えて窓から外に飛び降りたんです」

 

 言いながら玄弥は自身の右目の下から鼻の上を通る傷跡を手でなぞりながら言う。

 

「俺より怪我の深かった弟たちのために医者を呼ぼうと俺も家を飛び出したんですが、道に出てすぐ、兄貴を見つけたんです。見つけたんですが、血まみれで、同じように顔を切り裂かれてた兄貴の前には血まみれで倒れたお袋がいたんです」

 

「ッ!?」

 

 玄弥の話に真菰は息をのむ。

 

「俺、混乱して、わけわかんなくなって兄貴に酷いこと言っちまったんです。『なんで母ちゃんを殺したんだ!この人殺し!』って……今ならわかります。俺が獣だと思ったのは、鬼になった母ちゃんだったんだって。俺や弟たちを守って母ちゃんを手にかけて、兄貴は打ちのめされてたはずなんです。それなのに守られた俺は兄貴に酷いこと言って……一緒に守ろうって約束してたのに、守られたのは俺で…嫌なこと全部兄貴に押し付けちまったのに……だから、俺、兄貴にもう一度会ってちゃんと謝りたかったんです……」

 

「そっか……」

 

 玄弥の話を聞き終えた真菰は呟くように頷き

 

「ッ!?う、鱗滝さんッ!?」

 

 玄弥の肩に手を伸ばし、そのまま自身の胸に玄弥の頭を抱きしめる。

 

「ごめん、辛いこと聞いちゃったね。話してくれてありがとう」

 

「い、いえ……」

 

 照れて顔を真っ赤にしながらも振りほどくことなく受け入れている玄弥は小さく頷く。

 

「そのことを今回ちゃんと謝れたんだね」

 

「は、はい。『そんなこと気にしなくていいからお前は鬼や俺のこと忘れて幸せになればよかった。そうすりゃ、もう二度とお前のところには俺が鬼を近づけさせなかった』って。兄貴はやっぱり昔と変わらない優しい兄貴でした」

 

「そっか……よかったね」

 

「はい……」

 

 玄弥の言葉に真菰は微笑みながら優しく頭を撫でる。

 

「それで?今後のことは?鬼殺隊に残ることは許してもらえたの?」

 

「それは…まあなんとか。ただ――」

 

 真菰の問いに玄弥は頷き

 

「鬼を喰ってたことについてはめちゃくちゃ怒られました。ついでに胡蝶様にも一緒にこれまでの分怒られました」

 

「それは…まあしょうがないね」

 

 真菰は苦笑いで頷く。

 

「だから、極力今後は鬼喰いの力は使わないって約束させられました」

 

「それは……」

 

「まあしょうがないです。その代わり、もっとちゃんと戦えるように兄貴がこれから定期的に稽古つけてくれることになりました」

 

「そうなんだ!よかったじゃない!」

 

「はい。今はまだぎこちないっすけど、時間をかけて元通りの兄弟に戻れたらって思ってます」

 

「はやく元通りに話せるようになるといいね」

 

「はい」

 

 真菰の言葉に玄弥も力強く頷く。

 

「そ、それで…その……そろそろ一回放してもらっていいっすか」

 

「ッ!?ご、ごめんつい!い、嫌だったよね!?」

 

 玄弥のモゴモゴと言われた言葉に真菰は慌てて抱きしめていた玄弥を開放する。

 

「い、いえ…その、嫌ではなかったっすけど……」

 

「そ、それなら…よかった……」

 

「う、うっす…その、なんていうか、母ちゃんを思い出したっす。親父に殴られてる時とか、俺が泣いてる時も鱗滝さんみたいに抱きしめて庇ってくれてたんで……」

 

「そっか……ん?」

 

 真菰は照れながら頷き、そこでふと今の玄弥の言葉に引っかかりを覚え、同時に昼間炭治郎の言っていた一言を思い出す。

 

「ん~っと……?」

 

 真菰の中でムクムクと不安が膨らんでいく。

 

「う、鱗滝さん……?ど、どうかしたんすか?」

 

 神妙な顔で黙りこんでしまった真菰に玄弥が心配げに訊く。

 

「え~っと、うん、なんと言いますか……」

 

 玄弥の問いに真菰は言い淀み、しかし、すぐに意を決した様子で頷き口を開く。

 

「あ、あのね、玄弥君!ちょ、ちょっと聞きたいんだけどね!?」

 

「は、はいッ!?」

 

 真菰の真剣な様子に玄弥も思わず背筋を伸ばす。

 

「そ、その…前に私が玄弥君のことを弟みたいに思ってるって言ったとき、玄弥君『弟じゃ嫌だ』って言ってたよね?」

 

「ッ!?そ、そうっすね……」

 

 真菰の言葉に玄弥はボッと顔を赤らめながらも頷く。

 

「そ、それってさ…ど、どういう意味だったのかな?」

 

「ど、どういうって……」

 

「も、もしかして……もしかしてなんだけどね……?」

 

 言い淀む玄弥に真菰は意を決した様子で真剣に見つめ

 

「もしかして、私にお母さんになってほしいの?」

 

「……はいぃッ!?」

 

 真菰の言葉に玄弥が素っ頓狂な声を上げる。

 

「な、何でそうなるんすか!?」

 

「だ、だって今、私に抱きしめられてお母さんを思い出したって……」

 

「そ、それは……」

 

「玄弥君のお母さんも小さかったって、わ、私小柄な方だし、だからお母さんを私に重ねてるのかなぁって……」

 

「ち、違いますよ!!」

 

 玄弥は思わず大声で否定する。

 

「じゃ、じゃあ……」

 

 真菰はそんな玄弥に恐る恐る、しかし、どこか確信を持ったような真剣な表情で見つめ

 

「じゃあ、どういう意味だったの?」

 

「そ、それは……」

 

 真菰の問いに玄弥はモゴモゴと口籠りながらチラリと真菰の顔を見て

 

「そ、その……俺が言いたかったのは……」

 

 真菰の真剣な顔に玄弥も

 

「お、俺の言いたかったのは、俺は弟でも息子でもなくて、その……」

 

 たどたどしく言い淀みながらも、しかし、覚悟を決めた様子で正面から見つめ返し

 

「俺は、あなたのことが好きなんです。俺はあなたの恋人か、もっと言うなら、旦那になりたい、です」

 

「ッ!?ふ、ふ~ん……」

 

 真菰は玄弥の言葉に目を見開きながら、すぐにまんざらでもなさそうに頷く。が――

 

「そ、それで?」

 

「……へ?」

 

「返事は、もらえないんすか?」

 

「ッ!?」

 

 玄弥もスッパリ本音を言いきったおかげで踏ん切りがついた様子でズズイィッと真菰に顔を寄せて訊く。

 

「お、俺は、鱗滝さんのことが好きです!鱗滝さんはどうっすか!?」

 

「~~~~~ッ!」

 

「ちゃ、ちゃんと言ってほしいです!弟にしか見れないっていうんだったら、諦めます、から……」

 

 どんどんと尻すぼみになっていく玄弥の言葉に真菰は意を決し

 

「わ、私も、玄弥君のことが好き……」

 

「え……?」

 

 呟くように言った真菰の言葉に玄弥が顔を上げる。

 

「じ、自分で言っておいてなんだけど、私もやっぱり玄弥君のことは弟として見れない。玄弥君はちゃんと素敵な男の子で、異性で、私も、恋人に…奥さんになりたいって、思う、から……」

 

「鱗滝さん……」

 

「真菰って、名前で呼んで」

 

「真菰、さん……」

 

「……今は、それでいいよ」

 

 そう言って微笑んだ真菰はそっと玄弥にしな垂れるように抱き着く。

 玄弥もそんな真菰を恐る恐る手をまわし抱きしめる。

 

「フフ……」

 

「どうかしたんすか?」

 

「いや、こうして抱きしめてもらうのもいいなぁって……」

 

「そ、そうっすか……」

 

 ふにゃっと微笑む真菰に玄弥はどぎまぎしながらも抱き寄せる手は離さない。そんな玄弥に真菰も嬉しそうに微笑む。

 

「そ、そういえば――」

 

 と、玄弥は目を泳がせながら思い出したように口を開き

 

「大好さんや炭治郎達の姿が見えませんけど、出かけてるんですか?」

 

「あぁ、うん、そうだよ」

 

 玄弥の問いに真菰は頷き

 

「ふうちゃんは『梁』の用事で出かけてて、アオイちゃんは蝶屋敷に戻ってるし、炭治郎達は任務に出てる。地下に珠世さん達はいるけど日のあるうちは出てこないし、研究で忙しいらしくて夜も上がってこないかもって」

 

「そうなんですね……ん?てことは?」

 

「フフ……」

 

 玄弥の表情が固まったのを見ながら真菰は微笑みそっと玄弥の耳元に口を寄せ

 

「今夜は二人きり、かな?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その夜

 

「ただいま~」

 

 私が用事を済ませ家に帰る。と、家の奥からドタバタと物音が聞こえ、微かに少し焦った様子の話し声も聞こえた。

 

「マコちゃんいる~?」

 

 物音のする方に歩いていき襖を開ける。と――

 

「ふ、ふうちゃん早かったね!」

 

「あぁ、思ったより用事が早く済んだからね。予定ではもっと遅くなるかと思ったんだけど」

 

 にこやかに、しかし、どこか慌てていたらしい様子のマコちゃんが迎えるので答えながら部屋の中を見て

 

「……ねえなんで玄弥君そんな部屋の隅で腕立て伏せしてるの?」

 

 部屋の隅で黙々と腕立て伏せをしている玄弥君に訊く。

 

「お、おおおおお帰りなさい大好さん!」

 

「あぁ…うん、ただいま。というか玄弥君もお帰り。お兄さんとの話はすんだの?」

 

「え、ええ、まあ!」

 

「そうなんだ、それはよかったね」

 

「大好さんにもご迷惑をおかけしてしまって」

 

「全然、気にしないで!むしろ私が関わったせいで話ややこしくなりかけたし、最終的には私の手を離れたしね。上手くまとめたのはカナエさんでしょ」

 

「そ、それでも、いろいろと骨を折ってもらって、ありがとうございました!」

 

「いいのいいの!」

 

 頭を下げる玄弥君に私は笑って答える。

 

「……そいじゃ!私奥の自室で今日の用事のまとめしとかないとだから引っ込むね~」

 

「あ、うん。お疲れ様」

 

「あ、ありがとうございました」

 

「ではでは、おやす~」

 

 言いながらマコちゃんと玄弥君に手を振りながら去っていく私は数歩進んだところでくるりと回れ右して戻りぴょこっと襖から顔をのぞかせ

 

「ごめん、一個言い忘れてたんだけど」

 

「ッ!?ナ、ナニカナ!?」

 

「ド、ドウカシマシタカ!?」

 

 揃って声が上ずっている二人を見ながら、私は玄弥君を指さし

 

「口元についてる口紅落としとかないとバレバレだよ?」

 

「ッ!?」

 

 私の言葉に玄弥君が慌てて自身の口元を押え

 

「まあ、今日のマコちゃんは口紅してないけどね」

 

「ッ!?」

 

「あぁ……」

 

 玄弥君は自身の失敗に気付き、マコちゃんはアチャァと頭を抱える。

 そんな二人にニヤニヤと笑いながら手を振り

 

「じゃ、馬に蹴られる前に大好楓子はクールに去るぜ」

 

 顔を引っ込み

 

「あ、ごめん、もう一個だけ」

 

 すぐに顔をもう一度出す。

 

「私、あと二時間は部屋から出てこないから。後片付けだけちゃんとしてくれてたら何も口出ししないから」

 

「な、何もしないから!!」

 

「あ、そう?まああとは若いお二人で!おやす~」

 

 こうして今度こそ私は自室に引っ込んだのだった。

 

 

 




というわけでついに不死川兄弟の喧嘩、さらには真菰と玄弥がくっつきましたね!
まあ行きつくところまではいきませんでしたが秒読みかもしれませんね、これは。
さて、そうなるとどこかのヘタレ柱さんは何年越しに手を出さずにいるんでしょうね?

それはさておき、そんなわけで着々と楓子の周りにはカップルが出来上がっていきますね!
楓子もにっこにこですね!
果たして次にできるカップルはどのカップルか!?
お楽しみに!



そんなわけで今回の質問コーナーです!
今回は大筒木朱菜さんからいただきました!

――もし、楓子さんが鬼殺隊の主要メンバー(柱、元柱、かまぼこ隊、カナヲ、玄弥、真菰)と異世界に行くとして、以下の世界で最も行きたくない世界はどれですか?(というか、他の4つなら全て行ってもいいから、この世界だけはマジで勘弁!!という世界を1つ選んでください。(笑))
①学園黙示録
②がっこうぐらし
③バイオハザード
④進撃の巨人
⑤マブラヴ(BETAのいる世界線)

楓子「その中なら…④か⑤?ほかの世界はまだ呼吸の戦闘方法で何とかなりそうだけどその二つは正直通用するビジョンが見えない、特に⑤。そういう意味では⑤のマブラヴ世界が一番行きたくないですねぇ~」

とのことでした!
そんなわけで今回はこの辺で!
次回もお楽しみに!



~大正コソコソ噂話~

「そういえば玄弥君、今日は早く帰ってきたよね?お兄さんと仲直りしたんだったら積もる話もあったんじゃない?」

「あぁ…実は兄貴と一応仲直りした時に流れで真菰さんの話になりまして……その、真菰さんとの関係を聞かれて、正直に答えたら……怒られました」

「怒られた!?」

「その…曖昧な関係すんな!って、男ならびしっと言葉にして来いって発破かけられました」

「そ、そうなんだ……じゃあカナエさんは?」

「あぁ、なんか『私はお兄さんと大事なお話があるから先に帰っていいわよ~』って言って残りました。――そういえばあの時の兄貴なんか顔が強張ってたような……?」

「あぁ……」

 首を傾げる玄弥の横で真菰はいたたまれない顔をするのだった


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