恋柱の継子、人の恋路に世話を焼く   作:大同爽

104 / 109
というわけで予告通り三連休に更新です!
と言ってもギリギリでしたが……
それはともかく、いろいろ新事実が見え隠れした前回でしたね。
そして今回、楓子の新たな試みのお話です。
というわけで最新話です!





恋74 恋柱の継子と刀

 

「お~い、大好いるか~?」

 

 萌柱邸にて、『隠』の一人であり『梁』のメンバーでもある後藤は楓子を訪ねてやってきた。

 

「おや、後藤さん、何かありましたか?」

 

「お前に届け物があったんだが……なんかすごい面子が揃ってんな!」

 

 今までやってきた後藤は迎え入れた楓子とその背後でちゃぶ台を囲む顔ぶれに驚きの声を上げる。

 楓子の他には胡蝶しのぶとカナエ、甘露寺蜜璃と伊黒小芭内がいた。

 

「す、すみません、柱が揃ってるってことは何かの会議中でしたか?」

 

「いいえ、大丈夫よ。もともとは私としのぶと楓子ちゃんで医療部門の打ち合わせをしてて、一区切りついたところで非番だった蜜璃さん達が訪ねて来たの。だから、今は特に何もなく世間話をしてたところよ」

 

 後藤の恐縮した様子にカナエが微笑んで答える。

 

「なので、気にしなくてもいいですよ。あ、後藤さんもお茶飲みます?蜜璃さん達のお土産の洋菓子もありますよ。後藤さんカステラとか好きですから気に入りますよきっと」

 

「多めに買ってきたからまだあるわよ」

 

「お、じゃあお言葉に甘えて……ってこの面子で落ち着いて茶の味楽しめるか!」

 

 楓子と蜜璃のすすめに座ろうとした後藤だったが即座にツッコむ。

 

「なんですかもう。そんな気にするものでもないでしょうに」

 

「気にするわ!」

 

 やれやれと肩を竦める楓子に後藤はため息をつき

 

「というかそもそも、俺は茶を飲みに来たんじゃないんだって……」

 

「あぁ、そういえば何か私に届け物でしたっけ?でも後藤さん手ぶらじゃないですか?」

 

 言われて楓子はポンと手を打って訊く。

 

「荷物は玄関に置いてるよ」

 

「どこの誰からの荷物なんですか?」

 

「刀鍛冶の里からだ」

 

「刀鍛冶の里から大好に?」

 

 楓子の問いに後藤が答える。その答えに伊黒が怪訝そうに眉を顰める。

 

「楓子は日輪刀をちゃんと所持してるわよね?てことは整備から帰ってきた、とかでもなさそうだけど」

 

 しのぶの言葉に楓子は頷き

 

「たぶん私と里長の鉄珍様の合作ができたようですね」

 

「……はい?」

 

「あなたそんなことまでしていたの?」

 

 楓子の思わぬ答えに面々が驚きの声を上げる。

 

「日輪刀は基本的には刀ですが、中には蜜璃さんの様に変わったものもありますから、どうせならものすごいの作りたいじゃないですか。なので、私も計10本の刀の草案を考え、鉄珍様に提出したんです。恐らくその一部ができたので届けてくれたんでしょう」

 

 言いながら楓子は立ち上がり

 

「ちょうどいいので皆さんも見ますか?モノによっては私用ではなく他の方に使ってもらうことを考えているものもありますから」

 

「まあ興味はあるわね」

 

「フウちゃんの考えた刀、是非見てみたいわ!」

 

「興味はあるがそれ以上にお前が考えたって時点で嫌な予感がするから確認はしておきたいな」

 

「いったいどんな刀なのかしらね?」

 

 楓子の言葉に頷いた四人も立ち上がったのを確認し揃って移動する。

 

「今回は全部で何本ありますか?」

 

「三本だ。さすがにここまで運ぶのは苦労したぞ。特に一本、取扱注意ってのがあったからな」

 

 言いながら後藤は玄関に並べていた木箱を三つ指さす。

 

「とりあえず広いとこ、庭ででも開けましょうか」

 

 楓子の言葉に木箱三つ運ばれた庭で改めて面々は興味を持った視線で眺める。

 

「改めて、こいつが今回の届け物だ。あと、鉄珍様からの手紙もな」

 

「ありがとうございます」

 

 言いながら楓子は受け取った手紙を開き目を通す。

 

「フムフム、私の草案の中でもやはりというべきか、比較的普通のが先に出来上がってきましたね」

 

「普通のって……」

 

「やっぱりというかなんというか、お前の案だからおかしなものも交じっているわけだな」

 

「人を変人みたいに言わないでくださいよ、失礼な。おかしい具合で言うなら蜜璃さんのもかなり珍しい部類でしょうに」

 

 しのぶと小芭内の言葉に楓子はムッとしながら言い

 

「私の考えた刀は確かに通常の刀とは性質が違います。敢えて分類として名をつけるなら――完成形変体刀十本、でしょうかね」

 

「完成形……」

 

「変体刀……」

 

 どや顔で言う楓子の言葉に四人は息をのむ。

 

「とりあえず一本ずつ見ていきましょうか」

 

 言いながら楓子は一つ目の木箱を開ける。

 そこには一本の刀が収まっていた。しかし、その刀は形は普通の直刃だったが少し変わっていた。鞘も鍔もない直刃で抜き身のまま入っていた。

 

「この刀は頑丈さに主眼を置き、折れることも曲がることも、ましてや刃こぼれもせず永遠に切れ味を保ち続ける。世界の何よりも固き、折れず曲がらぬ絶対の刀、銘を――『絶刀・(カンナ)』です」

 

「曲がらない……」

 

「折れない……」

 

「刃こぼれしない……」

 

「そんな刀が本当に出来たっていうのか!?」

 

 楓子の説明に四人は驚きの声を上げる。そんな四人に楓子はフッと笑い

 

「いや、無理だったみたいですね」

 

「「「「「は!?」」」」」

 

 さらりと言われた言葉に後藤も含め五人は揃って呆ける。

 

「当たり前でしょう。折れず曲がらず、くらいはできても刃こぼれ一つしないのも切れ味を保ち続けるのも無理ですよ。刀って言うのは切れば切るほど付着した相手の血肉で切れ味が落ちるものですから」

 

「それは…まあ……」

 

「当然ね……」

 

「でしょう?鉄珍様の手紙にも、これまで作った中で最高硬度にできた自負あれど刃こぼれ一つしない切れ味を保ち続けるほどのものは終ぞできなかった、とありますね。なのでこの刀はあくまで他の刀より頑丈というだけみたいですね」

 

 失敗か~と呟きながら頭を掻く楓子の横で小芭内は『絶刀・鉋』を手に取って振ってみる。

 

「お前の想定ほどではないにしろ、それほどの刀は十分に成功と言えるんじゃないのか?」

 

「まあそうなんですけどねぇ~……まあその話は置いておきましょう」

 

 小芭内の言葉に楓子は曖昧に頷き、咳ばらいを一つして次の箱を開ける。小芭内は肩を竦め『絶刀・鉋』を箱に戻す。

 今度の箱の中身は『絶刀・鉋』以上に普通の見た目であった。

 

「今度のこれ、この刀は切れ味に主眼を置いた刀。文字通りあらゆる物質を一刀両断することができる。ありとあらゆる存在を一刀両断にできる、鋭利な刀。銘を――『斬刀・(ナマクラ)』です」

 

「斬刀……」

 

「鈍……」

 

「……なんでも斬れる刀なのに、名前は『鈍』なの?」

 

「そこはまあ、私なりの皮肉ですね」

 

 蜜璃の問いに楓子は笑いながら答え

 

「この刀は極限まで刀身を磨き上げることで切れ味を上げ、さらには切った相手の血で摩擦係数をさらに下げることによって鞘の滑りをよくし、神速の抜刀術を発揮させる刀なのです!」

 

 自信満々に言し、しかし、すぐにフッと自嘲気味に苦笑いを浮かべ

 

「でも、これもまた、なんでも斬れる、という謳い文句にはまだ些か遠い切れ味のようです。勿論他の刀以上の切れ味には仕上がっているそうですが……絶刀も斬刀も作ろうと思ったらアダマンチウムくらいの金属がいりそうだなぁ――って、あるわけないかぁそんなの……」

 

 と最後の方は小声で呟く。

 

「なるほど、確かにかなり滑らかに研がれてるわね。鞘の走りも――」

 

 そんな楓子を尻目にカナエが『斬刀・鈍』を構え、抜刀術の要領で振るう。

 

「――うん、少しも引っかかる感触がないわね。鞘の中も滑りをよくするために磨き上げてあるようね。これでもまだ不十分なの?」

 

「恐らく実践で使う分には十分に及第点でしょうね。ただ、主眼の、何でも斬れる刀、にはまだ及んでいませんから」

 

 楓子は肩を竦める。

 

「この『斬刀・鈍』はねぇ、抜刀術を前提に作ってるので善逸くんにでも使ってもらえたらと思ってるんですが、まだまだ改良の余地はありそうですね」

 

「ふ~ん……」

 

 楓子の残念そうな言葉にしのぶは興味を持った様子で頷き

 

「前から思ってたけど、楓子ってなんだかんだ善逸君のこと評価してるわよね」

 

「ん?あぁ、まあ彼、本当は実力はちゃんとありますから。本人の性格のせいでその実力が発揮しきれない部分はありますが、ちゃんと本気になりさえすればその実力を発揮できるんです。だからこそ、彼がちゃんと実力を発揮できるよう環境は整えてあげたいんです。まあ先輩としてのお節介ですよ」

 

 しのぶの問いに楓子は肩を竦める。

 

「まあ、性格の方はもうちょい矯正したいところですけどね」

 

「そんなんだから怖がられるのよ」

 

 楓子がニヤリと笑って見せるとしのぶは呆れ顔で言う。

 

「まあ、それはさておき、これが最後ですね」

 

 言いながら楓子は最後の箱を開ける。

 

「この三本目は、実は使うならしのぶさんかなぁって思ってたんですよね」

 

「え、私が?」

 

 楓子の言葉に目を見開いたしのぶは箱を覗き込み刀を手に取る。

 それは『斬刀・鈍』と同じく普通の見た目をしていた。しかし、手に取ったしのぶはすぐにその性質に気付く。

 

「嘘…これ……」

 

 確かめるために鞘から刀を抜き出してみて、楓子を除く面々が息をのむ。

 それはあまりにも美しい刀身だった。

 まるで後ろが透き通るほど薄い刀身は儚く美しかった。

 

「薄さと軽さに主眼を置いた刀、羽毛のように軽く、硝子細工のように脆い、美しき刀。銘を――『薄刀・針』です」

 

 楓子の説明を聞きながら五人はその刀の美しさに見惚れる。

 

「すごい…こんな刀見たことない……」

 

「こんなに薄い刃……」

 

「極限まで薄くすることで軽い刀にすることができたんです。人より筋力の低いしのぶさんでも扱える重量でしょう?」

 

「ええ、刀身も身幅も普通の刀と変わらないのに重さは私の刀よりも断然軽い…これなら私でも扱えるわね……」

 

 楓子の問いにしのぶは嬉しそうに微笑む。

 

「ただ、これは正直扱いが難しいんですよね~」

 

 喜んでいるしのぶを尻目に楓子は苦笑いで頭を掻きながら言う。

 

「草案として出した時点で私もこれを使いこなせる人間は今の時代にはいないだろうなぁって思ってましたが、鉄珍様もそこは同意見のようですね」

 

「どうして?」

 

 『薄刀・針』を構えるしのぶを尻目にカナエが訊くと楓子は頷きながら鉄珍の手紙に視線を向けて読み上げる。

 

「この刀は刀身を極限まで薄くすることで軽量化に成功。また、薄い刀身のおかげで切れ味も申し分なく、むしろ十分な水準に達していると言えよう。しかし――」

 

 楓子の言葉を聞きながらしのぶは『薄刀・針』を上段に構え――

 

「極限まで薄くしたことで耐久性はほぼ無く、筆舌にしがたい。戦闘には不向きであり、その脆弱性は剣筋をずらさずに完全な軌跡を描いて斬りつけなければそれだけで砕けてしまう程であり、仮に完璧な軌跡を描いてふるうことができたとしても当たった時に相手が体の筋をずらすだけでも簡単に――」

 

 ――パリンッ

 

「――壊れてしまうだろう」

 

 説明の途中で聞こえた何かが割れるような音に楓子が顔を上げてみれば、そこには『薄刀・針』を振り下ろした姿勢のまま三分の一以下になった刀身と地面に散らばる破片を交互に見て真っ青な顔で振り返ったしのぶの姿があった。

 

「えっと……ごめんなさい」

 

 真っ青な顔のまま震える声で謝るしのぶにカナエはあちゃぁという顔で額に手を当てる。

 そんなしのぶを気の毒そうに見ながら小芭内はため息をつき

 

「はっきり言ってこれは使い物にならんぞ。振るうだけで砕け散るんじゃどうやっても戦えんだろう」

 

「悪く言いたくないけど、私も同意見だわ」

 

 小芭内の言葉に蜜璃も苦笑いで頷く。

 

「そうですね…草案だして作ってもらっておいてなんですが、これを使いこなせる人間は歴史上でも…せいぜい二人ってところですかね……」

 

 言いながら視線をしのぶに向けた楓子は

 

「最初から使い物にならないのわかってたんで壊れても大丈夫ですよ。鉄珍様も部屋の装飾にでもしてくれって書いてます。気にしないでください」

 

「そ、そう……」

 

 楓子の言葉にしのぶはホッと安心しながら砕けた刀身を拾い集め始める。

 

「この三本のほかに残り五本も、一部はまだ試作中ではあるものの実践で使えるようになっているものもあるようですね」

 

「残り五本?」

 

 楓子の言葉に小芭内が怪訝そうに眉を顰める。

 

「お前、さっき草案を出したのは十本って言っていなかったか?」

 

「ええ、言いましたよ」

 

「数が合わんじゃないか。残り二本はどうしたんだ?」

 

「没くらいました。戦闘向きじゃないからって」

 

「この『薄刀』よりも戦闘に向かない刀ってなんだそれは?」

 

 小芭内は呆れた様子で言う。

 

「没くらったんで自分で作ってみました。見ます?」

 

「……まあ一応見てみるか」

 

 楓子の言葉に小芭内は嫌そうな顔をしながら頷く。

 

「ちょっと待ってくださいね」

 

 言いながら楓子は自室に戻り木箱を一つ持ってくる。

 

「お待たせしました、まず一つ目ですが、これはさすがに使い物にならないなぁって思ったものなんですが――」

 

「そう思ったなら自分で没にすればよかったのに……」

 

「まあそうなんですけどねぇ~……」

 

 カナエの呆れ顔での言葉に楓子は苦笑いを浮かべながら木箱から〝それ〟を取り出す。

 

「誠実さに主眼を置き、人間の姿勢を天秤にかけるように、人によって受け取り方さえ違う曖昧な刀。銘は――『誠刀・(ハカリ)』です!」

 

『…………』

 

 楓子が高々と掲げたそれを五人は何とも言えない顔で見る。

 それは刀とはいいがたいものだった。何故なら――

 

「おい、それは何かの間違いか?俺の眼が確かなら鍔と鞘しかないように見えるんだが?」

 

「はい!鍔と鞘しかありません!」

 

『…………』

 

 小芭内の言葉に自信満々に頷く楓子に再び五人は沈黙し

 

「えっと……それでどうやって鬼を斬るの?」

 

 しのぶがジト目で訊くが、楓子はチッチッチと指を振り

 

「いいですか?この刀の本質は相手を斬るのではなく己を斬る刀。すなわちその持ち方や意思の強さによって、持ち主の価値を「測る」刀なんですよ!」

 

「鬼に対しての戦闘力は?」

 

「皆無です!強いて言うなら投げつけるくらいでしょうか?」

 

「使えねぇじゃん」

 

「はい!戦闘用ではないですね!」

 

 後藤のツッコみに楓子は頷く。

 

「『薄刀・針』よりも使い道がない刀じゃないか……」

 

「だから没になったんですよねぇ~……どなたかいります?」

 

「いらん」

 

「いらないわ」

 

「遠慮しておくわ」

 

「ご、ごめんね…」

 

「ですよね~……じゃあ間を取って後藤さんあげます」

 

「いやなんで俺!?どこの間を取ったんだよ!?」

 

 楓子に押し付けられた後藤が叫ぶが楓子は気にせず進める。

 

「で、もう一本がですね……」

 

 楓子は箱からもう一本を取り出す。

 

「この刀は毒気のなさに主眼を置いた刀。『人を殺す刀』ではなく『人を生かす刀』として造った刀。人を正し、心を正す、精神的王道を歩ます、教導的な解毒の刀。銘を――『王刀・鋸』です」

 

『…………』

 

 楓子の取り出したそれに再び五人が沈黙する。

 それは確かに先ほどの『誠刀・銓』よりは刀と言えるだろう。しかし――

 

「ねえ……それは、木刀じゃないの?」

 

「ええ、木刀ですよ」

 

 しのぶの問いに頷いた楓子は

 

「しかし、これをただの木刀と思うことなかれ。伊黒様、ちょっとこれ持ってみてください」

 

「………」

 

「うわ、すごい嫌そうな顔……ほら、いいからいいから」

 

「あ、おい!」

 

 嫌そうに顔をしかめる小芭内に楓子は無理やり『王刀・鋸』を持たせる。

 

「どうですか?」

 

「どうって……ただの木刀だろ」

 

「はぁ~……」

 

「おい、心の底から馬鹿にした顔でため息ついてくれるじゃないか」

 

 楓子のため息に小芭内がイラっとした様子で木刀を握りしめる。と――

 

「ん?待て、この木刀、やけにいい匂いがする?」

 

「お、気付きましたね」

 

 小芭内の言葉に楓子がニヤリと笑う

 

「そうその匂いこそこの『王刀・鋸』の主題なんですよ!」

 

「どれどれ…あ、ホントね」

 

「なんだか落ち着く匂いね」

 

「でもこの匂いがどんな力が?」

 

 うんうん頷く楓子に女性陣も興味を持った様子で嗅ぎ、訊く。

 

「この『王刀・鋸』は持ち主の気持ちの高ぶりを治めるのです。そのために香りのいい香木にさらに匂いをよくするために各種花の香りなど香水に漬け込み落ち着く匂いを発するようにしたんです」

 

「へ~…確かにいい匂い……」

 

「で?それでどうやって鬼と戦うの?」

 

「………さぁ?」

 

「おいッ!?」

 

 首を傾げる楓子に小芭内がツッコむ。

 

「これもまた戦闘用というより、戦闘で高ぶった気を静める為のものですから。もっと言えば伊黒様用です」

 

「俺の?」

 

 楓子の言葉に小芭内は怪訝そうに訊く。

 

「だって伊黒様怒りっぽいじゃないですか。これ持ってれば少しは私にも優しくなるかなぁって――きゃいんッ!?」

 

『王刀・鋸』が脳天に振り下ろされたことで楓子が短い悲鳴を上げる。

 

「余計なお世話だ。お前がそう言うところを改めれば俺も怒らずに済むんだ」

 

「だからってそんなもんで殴らないでくださいよ!木刀ですよこれ!」

 

「ちゃんと手加減してるに決まってるだろうが!」

 

 叩かれた頭を擦りながら楓子はため息をつき

 

「まあとにかく残りの完成形変体刀の出来を見るためにも、一度刀鍛冶の里を訪ねるのもいいかもしれませんね」

 

「他のはちゃんと使えるものなの?」

 

「そこは大丈夫ですよ。むしろ残りの五本の方が私の本命ですよ!」

 

 しのぶの問いに自信満々に頷くもののほかの面々は懐疑的な様子で見ている。

 

「炭治郎君達が任務から戻ったら連れて行こうかな。彼らも任務だ修行だと休めてませんし、あそこは温泉地ですから湯治ついでに彼らの刀の整備もしてあげた方がいいでしょうし」

 

「まあなんでもいいが、くれぐれも里の人たちに迷惑をかけるんじゃないぞ」

 

「伊黒様、私をなんだと思ってるんですか!?私がそんなことするように見えますか!?」

 

「現に俺はお前に迷惑かけられっぱなしだ!」

 

「それは……私と伊黒様の仲じゃないっすか~!」

 

「どんな仲だ!?」

 

 楓子と小芭内がいつもの調子でやいのやいのと言い合うのを微笑ましく見ながら

 

「でもそうね、ふうちゃんも働きづめだし一度ゆっくりしてもいいのかもね」

 

「お二人も行きます?婚約してからゆっくり旅行なんてできてないでしょ?」

 

「えッ!?」

 

「そ、それは……」

 

 楓子の問いに蜜璃と小芭内が驚きの声を上げる。

 

「いいじゃないっすか、こっちも最近付き合いたての恋人が一組いますから、たまにはしっぽりむふふといっちゃっていいんじゃないですか?」

 

「し、しっぽり…!?」

 

「む、むふふ…!?」

 

 楓子の言葉に二人がボッと赤面するのを見ながら

 

「しのぶさんと義勇さんも…って二人は普段からしっぽりむふふでしたね」

 

「人の生活をただれてるみたいに言わないでくれるッ!?」

 

 ニヤニヤ笑う楓子にしのぶが叫ぶ。

 

「まあ冗談はさておき、いい機会なので里の警備状態とかも見たいので人手があると嬉しいんですよね~」

 

「なんだ、そういうことか……」

 

「そういうことなら先に言いなさいよ」

 

「そ、そういうことならいくらでも手伝うわよ!」

 

「しのぶも楓子ちゃんも行くなら私は残って医療部門の指揮をした方がいいわね」

 

 楓子の言葉に面々は頷く。

 

「それでは、詳細はまた改めて詰めますが、みんなで刀鍛冶の里に行くとしましょうか!」

 




というわけで楓子の変な刀のお披露目でした。
さてさて、残り五本の出来栄えとは!?

そして、次回から刀鍛冶の里編となります。
しかし、楓子によってうまく戦力を集められたようですね。
果たして原作通りの展開となるのか?それとも何らかの変化が起こるのか!?
お楽しみに!

そんなわけで今回の質問コーナーです!
今回はプリキュア・ライオットジャベリンさんから頂きました!

――不死川玄弥くんですが、彼の横隔膜の下ら辺を小指でつついたことはありますか?楓子さん、してみてください!今!さあ!さあ!多分無意識に彼は例の呼吸をしているんですよ!

楓子「もちろんやってみましたよ!でもそもそも私が波紋呼吸できないのでうまくいきませんでした!波紋呼吸ができたらもっとやりやすくなるのに!クッ!不甲斐なし!!」

とのことでした!
というわけで今回はこの辺で!
また次回お会いしましょう!



~大正コソコソ噂話~
ご存じの方もいると思いますが、今回登場した完成形変体刀、これはとある小説、アニメに登場する十二本をそのまま出しています。出していますが、そもそも再現不可能だなと楓子が思った二本が抜いてあるので楓子の草案では十本になっています。
ちなみに抜いてある二本は『悪刀』と『毒刀』です。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。