恋柱の継子、人の恋路に世話を焼く   作:大同爽

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ついに「鬼滅の刃」の劇場版が興行収入300億円を突破しましたね!
これで歴代興行収入ランキングで第一位!
長らく一位の席を守り続けていた「千と千尋の神隠し」が敗れましたね。
これで煉獄さんが300億の男となったわけですが、これでまだ終わらなそうですね。
このままいくと500億とかいってしまうかもしれませんね!


さてさて、本日もまたハーメルンでのランキングに上がっていたようで
お陰様でお気に入り件数が1800件を突破しました!
あまりに嬉しくて書きかけだった最新話を急ぎ仕上げました!
原作の大記録には遠く及びませんがこれからも頑張りますので、応援よろしくお願いします!
私も皆さんに楽しんでいただけるように頑張ります!
そんなわけで最新話です!





恋18 恋柱の継子と神の指

 藤襲山での最終選別から早いもので三週間が経った。

 この間に任務やら医療関係の研究で起きた問題の解決などに時間を取られ何かと慌ただしかった。そのせいで二週間に一回の輝利哉くん達とのお勉強会も残念ながら延期を余儀なくされた。

 そんな中あらかた落ち着きを取り戻した頃、そろそろ延期していたお勉強会を振り替えでやらないとなぁ~、と考えていたら、お館様の方からの呼び出しを受けた。てっきり私の考えていた振り替えの件かと思いきや、どうやら別件で特別な任務を頼みたい、と言うことだった。

 これは何か長期の任務の予感だ。また輝利哉くん達へのお勉強会は先延ばしになりそうだ。

 そう思った私はお館様に会う約束の日、その時間の前に買い物に出かけていた。

 

 

 

 

 

 

「ふぃ~、よかった~。すんなり買えたぁ~」

 

 私は抱える紙袋を眺めて大きく息をつく。

 それは有名洋菓子店の紙袋で、鬼殺隊に所属する私にとってもそこそこお高いお値段をする。なので、これは甘いものが好きな私でもたまにしか買えない自分へのご褒美のような扱いの店だ。ここはどのお菓子も人気だが、その中でもチョコレートは人気が高い目玉商品。お昼前には売り切れるのは当たり前だったので、早起きして開店前に買いに行ったおかげで何とか確保することができた。

 

「ま、これなら舌の肥えてるであろう産屋敷のご子息ご息女様のお眼鏡にもかなうはず……これで少しはお詫びになればいいけど……」

 

 なんて思いながら紙袋を開け

 

「そして、特別任務前の景気づけ!私も買っちゃったぁ~!」

 

 言いながら手土産とは別に買った小さめの箱を取り出す。

 

「お館様のところに行く前に~、食べていこ~ッと!」

 

 言いながら私は足を産屋敷のお館とは別の方向、近くの河原へ向けた。どうせなら景色のいいところで楽しもう、と言うわけだ。

 そんなわけでルンルン気分で鼻歌交じりに歩いた私は河原の土手に腰を下ろす。

 ポカポカと温かい陽光が気持ちよく、そよそよと風がそよいで心地よい。

 

「さて!オープンセサミ!」

 

 言いながら手の平ほどの小さな箱をパカッと開く、と、そこには全部で九つの親指ほどの大きさの丸いチョコレートが並んでいる。

 

「フッフッフッフ~、これこれ~!」

 

 私はその並ぶチョコレートたちに笑みを浮かべ

 

「それでは早速…いただきま~す!」

 

 言いながらチョコレートの一つを手に取り口に放り込む。

 

「ん~!!これこれこれ~!!」

 

 口の中に広がる甘味に私は目を瞑りながら興奮で思わず右手を握り締めて上下に振る。

 

「この大正の世ではチョコレートなんて一般で加工するようのものなんか出回ってないから買うしかないんだよねぇ~!まあそれ差し引いてもここのは格別に美味しいんだけどねぇ~!」

 

 私は指についたココアパウダーまでペロリと舐め

 

「さぁ~てお次はぁ~……」

 

 言いながら私は残りの八つを眺め

 

「決めた!次はこれ~!」

 

 その中から一つ手に取り

 

「あ~…」

 

 大きく口をあけながらつまんだチョコレートを運び

 

「へブッ!?」

 

 突如右側頭部に何かがぶっ刺さった衝撃を感じ思わず痛みから逃れるように首を曲げる。と、その衝撃で持っていたチョコレートが宙を舞い

 

「あぁ~!!!」

 

 膝に乗せていた箱をいったん横に置いて慌ててそのチョコレートの落下地点目掛けてスライディング

 

「とったどぉぉぉぉぉぉ!!」

 

 寸でのところで落ちてきたチョコレートをキャッチし高らかに掲げる。そして――

 

「誰じゃぁぁぁぁぁ!!私の滅多にできない至福のひと時を邪魔した奴はぁぁぁぁぁ!!?」

 

 叫びながら辺りを見渡す。と、先程まで私が座っていた横に一つの紙飛行機が落ちていた。

 

「これが私の頭に突き刺さりやがったのかぁぁぁぁぁ!!!どこの誰がこんなもん投げて――」

 

「ねえ」

 

「わひゃぁッ!?」

 

 拾った紙飛行機を睨んでわなわな震える私。と、そんな私の隣で声がかかり私は思わず飛びのく。

 そこにはぼんやりとした瞳の髪の長い少年が立っていた。しかも服装は鬼殺隊の隊服に腰には日輪刀を差している。と言うか――

 

「と、時透無一郎!?――様!」

 

 危うく呼び捨てにしかけたが、慌てて様をつける。

 そこには蜜璃さん達と同格、弱冠14歳にしてたった2か月で柱に至った超天才がいた。

 

「……俺の事知ってるの?」

 

「は、はい!階級『乙』、恋柱・甘露寺蜜璃が継子、大好楓子です!」

 

「ふ~ん……」

 

 佇まいを正していった私の言葉に時透様は

 

「どうでもいいや」

 

「……そうですか」

 

 興味なさそうに眠たげな瞳で言う。

 

「それより、〝それ〟俺のなんだけど」

 

「え?」

 

「ん……」

 

 時透様の言葉に首を傾げると時透様は私の手を指さす。そこには、先程拾った紙飛行機があり

 

「ああ!すみません!」

 

 言葉の意味に気付き改めてその飛行機を見れば

 

「あ゛ッ!!」

 

 先程拾った時怒りに震えて思わず握りつぶしていた。

 

「す、すみません!ああどうしよ広げて伸ばしても無理…だよなぁぁぁ!!」

 

 私は慌てて試行錯誤するがもうどうしようもなかった。

 拾った時にはきっちりと織り込まれていたそれは今や見るも無残なよれよれのゴミクズとなり果てていた。

 

「も、申し訳ありません!!」

 

 慌てて頭を下げる私だったが

 

「……別にいいよ」

 

 なんでもなさげな様子で時透様は答える。

 

「で、でも……」

 

「また作ればいいし」

 

「そ、そうですか……?」

 

「ん」

 

「で、では…本当に申し訳ありませんでした……」

 

 言いながらもはやゴミクズの紙飛行機だったものを時透様に渡す。

 そして、そのまま先程座っていた位置にそそくさと戻り腰を据え、先程と同じようにチョコレートの箱を膝に乗せて先程キャッチしたチョコレートを

 

「あ~……」

 

 改めて口に入れようと運ぶ。

 

「じ~……」

 

「あ~……」

 

「じ~……」

 

「あ、あ~……」

 

「じ~……」

 

「あ、あぁ……」

 

 横からめっちゃ視線感じる。

 

「あ、あのぉ……何か?」

 

 私はそっと開けていた口を戻し、隣でジッと視線を向ける時透様に訊く。

 

「いや…不思議なことしてるから気になって」

 

「不思議なこと?」

 

 時透様の言葉に私は首を傾げる。と、そんな私に時透様は頷き

 

「泥団子食べる人なんて初めて見たから」

 

「泥団子じゃねぇよ!!!?」

 

 その言葉に私は思わず叫ぶ。

 

「……違うの?」

 

「違…い、ます、よ……!」

 

 叫んだ勢いのまま言いかけて慌ててしどろもどろになりながら敬語を付け足す。

 

「チョコレートですよ。時透様食べたことありません?」

 

「ない…と思う。わからない」

 

「わからないって……」

 

「昔のこととか覚えてないし」

 

「あッ……」

 

 時透様の言葉に私は息を呑む。

 そうだ、この人鬼殺隊に入る前に鬼に家族を殺されて、そのせいで記憶失ってるんだった……。

 

「…………」

 

 私は時透様の顔と自分の膝の上のチョコレートを交互に見て

 

「た、食べます……?」

 

 そっと箱を時透様に差し出す。

 

「……いいの?」

 

「ええ。紙飛行機ダメにしちゃったお詫びです。どうぞ」

 

「じゃあ……」

 

 泥団子と称しただけあって嫌がるかな?とも思ったが、興味の方が勝ったのか、時透様はチョコレートに手を伸ばす。

 

「…………」

 

 数秒手の中のチョコレートを眺めた時透様は

 

「(パクッ)」

 

 口の中にヒョイと口に放り込んだ。と――

 

「ッ!」

 

 先程まで眠たげだった時透様の瞳が大きく見開かれる。

 

「どうっすか……?」

 

「………美味しい」

 

「それはよかった」

 

 味わうように口をモゴモゴしながら言う時透様の様子に私は微笑む。

 

「食べたことありそうですか?」

 

「……わからない」

 

「そうですか……」

 

「でも――」

 

 少し残念に思った私だったが、時透様はそっと口を開き

 

「この味は嫌いじゃない……」

 

「そ、そうっすか……」

 

「うん……」

 

 言いながら指についたココアパウダーをペロリと舐め

 

「じ~……」

 

「…………」

 

 時透様の視線は私の膝の上のチョコレートに注がれている。

 

「………もう一個食べます?」

 

「食べる」

 

 私の問いに時透様のが頷く。

 結局時透様はチョコレートを合計五つ食べた。

 おい、半分以上食べんなよ、遠慮しろよ――と思ったが言えなかった。あんなに美味しそうに食べられたらダメって言えるわけない。柱とはいえ年下だし、私の方が先輩なわけだし……村田さんが私に対して思ってることってこういうことか。今度会った時もうちょっと労おう……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 時透様との遭遇の後、私は産屋敷家に来ていた。チョコレートも渡したかったので少し早めについた私は

 

「申し訳ありません、お約束の時間にはまだあるため、お館様はまだ他のお仕事の最中で……」

 

「いえ、すみません。私がわざと早めに来たんです。輝利哉くん達にお土産を買ってきましたのでお渡しできればと……」

 

 出迎えたあまね様が申し訳なさそうに言うのを首を振りながら持ってきた紙袋を見せる。

 

「そうでしたか。それではお館様の用意が整うまで輝利哉たちと一緒に待っていただいてもいいでしょうか?」

 

「ええ、もちろんです」

 

 頷いた私はあまね様に案内され、ご子息たち五人が過ごす部屋に通された。

 

「こんにちは。お久しぶりです」

 

「あ…ふ、楓子さん……!」

 

 にこやかに部屋に入った私だったが、出迎えた輝利哉くんは一瞬「ヤバい!」と言う顔した。

 そのことに一瞬首を傾げる私だったが

 

「こんにちは。お久しぶりですね、楓子さん」

 

 ニコニコと笑顔を浮かべたひなきちゃんがスッと前に出て言う。そして、それに追従するようににちかちゃん、くいなちゃんが同じようにニコニコと私の方によって来る。心なしか輝利哉くんとかなたちゃんは所在無さげに三人の後ろにいる気がする。

 

「あ、あの…何か?」

 

 三人の謎の圧に私は少し気圧されながら訊く。と――

 

「先日の藤襲山での監督係だったそうで、お疲れ様でした」

 

「い、いえ…それにあの時は輝利哉くんとかなたちゃんも――」

 

「ええ、進行役として参加していましたわ」

 

 私を労うくいなちゃんの言葉に答えようとしたが、それをにちかちゃんに遮られる。

 

「そう言えば――」

 

 と、そこでひなきちゃんがふと思い出したように口を開き

 

「その時楓子さんは最終選別を通過された方々にお菓子を振るまったそうですね?」

 

「……ええ、まぁ」

 

 その問いに私は嫌な予感がしながら頷く。

 

「そして……」

 

「そのお菓子……」

 

「二人にも振舞ったそうですね?」

 

「……何故そのこと……?」

 

 三人がニコニコと問いかける言葉に私は頬を冷や汗が伝うのを感じながら訊き返す。

 と、私の問いに答えず三人はニコニコと笑顔のまま振り返り、輝利哉くんの方を見る。よく見ればかなたちゃんもチラチラと輝利哉くんを見ている。

 

「ッ!?」

 

 四人の姉妹たちと私の視線を受けた輝利哉くんはビクリと体を震わせ

 

「ご、ごめんなさい……」

 

「あぁ~……」

 

 恐る恐る謝る輝利哉くんの姿に私は苦笑いを浮かべる。

 

「い、いえね?あれは進行役を頑張ったお二人にご褒美と言うか、少しでも疲れを癒すのに一役かってくれればと――」

 

「私たちの分も用意してもいいじゃないですか!」

 

 私が慌てて言う言葉を遮ってひなきちゃんが言う。

 

「い、いえ…あの時のお菓子はあまり日持ちするものではなくて――」

 

「だったら日持ちするものを用意してくれればいいじゃないですか!」

 

 さらにその言葉に答えようとした私だったが、今度はくいなちゃんが言う。

 

「い、いえ…監督役の合間の休憩時間を縫って用意したもので、あまり手の込んだものができなくて――」

 

「ならその場で渡さずに改めてうちに持って来てくれればよかったじゃありませんか!」

 

 再度言い訳をしようとしたがにちかちゃんが言う。

 

「「「ん~!!」」」

 

 そのまま不機嫌そうに三人が睨んでくる視線を受けた私は

 

「……ごめんなさい」

 

 私は素直に頭を下げる。

 

「その…大変な役目でしたし、少しでもご褒美になればと思ったのですが……」

 

「二人を労おうという楓子さんのお気持ちはわかります!」

 

「わかりますが!」

 

「それはそれとして、羨ましいものは羨ましいんです!」

 

「……はい、おっしゃる通りでございます」

 

 三人の剣幕に私は素直に頷く。

 

「あのぉ~、この件の埋め合わせは今度いたしますので、今日のところはこちらでご勘弁いただけないでしょうか……?」

 

 言いながら私は持ってきていた紙袋を差し出す。

 

「これは?」

 

 私の差し出す紙袋を不思議そうに眺める三人、代表してひなきちゃんが訊く。

 

「私のお気に入りのお店のチョコレートでございます」

 

「チョコレート……」

 

「今日のところはこれをご家族の皆さんで分けていただき、三人へのお菓子のご用意はまた改めていたしますので……何卒ここはお怒りを収めてはもらえないでしょうか……?」

 

「「「…………」」」

 

 私の言葉に三人は顔を見合わせ頷き合うと

 

「いいでしょう」

 

「今日のところはこれで手を打ちます」

 

「次回は必ずお忘れなきようお願いしますね」

 

「寛大なお心に感謝です!」

 

 頷きながら紙袋を受け取った三人に私は深々と頭を下げる。

 三人に加えてかなたちゃんが袋をのぞき込んでワイワイと笑顔で話しているのを見て私はホッと息をつく。

 

「あ、あの…楓子さん……」

 

 と、そんな私に輝利哉くんが恐る恐る寄ってきて言う。

 

「私、秘密でって言いましたよね?」

 

「ウッ……はい、すみません……」

 

「絶対こうなるって思ってたから口止めしたのに……」

 

 謝る輝利哉くんに私は大きくため息をつく。

 

「本当にすみませんでした。話の流れでつい言ってしまって……とても美味しかったので、つい自慢したくなってしまって……」

 

「…………」

 

 シュンと萎れた様子で俯く輝利哉くん。そんな彼に私はそっと手を伸ばし

 

「まあ、自慢したいほど気に入ってくれたというのは嬉しいですよ」

 

「楓子さん……」

 

 優しく頭を撫でると輝利哉くんが上目遣いで視線を向ける。

 

「ま、これでわかりましたよね?特に女性の、食べ物の恨みは尾を引くし厄介なんです」

 

「はい…身に染みてわかりました……」

 

「まあそれがわかっていただけたら、これ以上怒ったりしませんよ」

 

「楓子さん……」

 

 優しく微笑みかけると、輝利哉くんの顔がパッと華やぐ。そんな彼を――

 

「でぇも――」

 

 そっと体を回転させ、背中を向けさせ

 

「秘密にするという約束を破ったので、お仕置きを執行します♡」

 

「へ?」

 

 呆けた声のする輝利哉くんに答えず、そっと後ろから抱き着くように密着し

 

「え?あ、あのなんで――」

 

「こ~ちょこちょこちょこちょこちょ~!!!」

 

「ッ!?あははははっははははっははははっははっははッ!!!?」

 

 困惑する輝利哉くんを羽交い絞めにしてくすぐり始める。

 輝利哉くんの口から大声で笑い声が響く。

 

「た、助け――」

 

「おぉっと!逃げようったってそうはいきませんよぉ!こちょこちょこちょ~!」

 

「あははははははッ!!!?」

 

 逃げようともがく輝利哉くんをさらにグッと抱え込みさらに追撃を加える。

 まだ八歳の彼はおうちのしきたりで他の姉妹たちと同様に女の子の格好――着物姿だ。よって露出している部分は少ない。

 しかし、それでも見えている地肌部分でもくすぐりようはある。

 

「フハハハハハハッ!どうですか!?この神の指と呼ばれた私の妙技!」

 

「あッ!あははははははッ!!?あははッ!!あはははははははッ!!!?」

 

「肌が出てさえいれば、神だって笑わせて見せる!人は私を『ゴッドフィンガー楓子』と呼ぶ!!」

 

「あははははッ!!!あははッ!!あはははははははははッ!!!!」

 

「まだまだぁ!私のこの手が真っ赤に燃える!笑いを掴めと轟き叫ぶ!ばああああああくしょおおおおおおッ!ゴォォォッドフィンガアアアアアアアアアアアッ!」

 

「あぁぁぁぁぁぁぁッ!!!」

 

「ええのんか?ここがええのんか?」

 

「あははははっははははっははははっははっははッ!!!あぁぁぁぁぁぁぁッ!!!!」

 

 その後私は数分ほどくすぐり続け

 

「楓子さん、お館様の準備ができましたよ」

 

「あ、は~い!今行きますねぇ~!」

 

 呼びに来たあまね様の言葉に頷いて輝利哉くんを開放する。

 

「ではみなさん!私はここで失礼しますね!チョコレートの方は皆さんで〝仲良く!〟分けてくださいねぇ~!ボナペティ~♪」

 

 そう言って、茫然と私と、畳の上で引き攣った笑顔のまま倒れ伏す輝利哉くんを交互に見る四人に手を振って部屋を後にするのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やあ楓子、急な呼び出し申し訳ないね。しかも呼び出したのに待たせてしまったようで」

 

「いえいえ、お気になさらず。私の方でもご子息方に用があったので」

 

「そうかい?輝利哉達とも相変わらず仲良くしてくれてるようでよかったよ」

 

 私の返答にお館様は嬉しそうに微笑む。

 ちなみにここ最近で原作通りお館様は完全に両目の視力を失った。なので現在お館様の隣にはあまね様が控えている。

 

「それで、今日こうして呼んだ件についてだけどね……」

 

「はい」

 

「君に、どうしても頼みたい重要な任務があるんだ」

 

 頷く私にお館様は言う。

 

「君は、先日行われた最終選別に監督係として参加していたね?」

 

「はい、輝利哉くん達もとても頑張っていらっしゃいました」

 

「そうか。それはよかった」

 

 私の言葉にお館様は嬉しそうに微笑む。

 

「実はその先日の最終選別を通過した子の一人についてとても重要な案件があってね」

 

「最終選別を通過した子……」

 

 お館様の言葉に私はなんとなくその内容を察した。

 

「『竈門炭治郎』と言う名前の子を知ってるかい?」

 

「ッ!」

 

 やっぱりかぁぁぁぁぁぁッ!!

 私は心中で絶叫する。

 これはやっぱり炭治郎が鬼化した妹連れてる件に関しての話だろう。

 ……でもなんでそれを私に?

 と、思いつつも私は平静を装ってお館様の言葉に頷く。

 

「はい。最終選別後に会いました。彼は『厄除の面』を被っていましたのですぐにまこちゃん――鱗滝真菰や水柱の冨岡様と同じく鱗滝左近次さんに師事していると分かりましたので」

 

「なるほど、そう言えば義勇の継子である真菰とは親友だったね」

 

 私の答えに納得したように頷くお館様。

 

「それで…彼――炭治郎くんが何かあったのでしょうか?」

 

「……あまねさん」

 

「はい」

 

 私の問いに答えず、傍らに控えるあまね様に声をかけるお館様。あまね様はそれに返事をし、スッと立ち上がると私のところにやって来て一つの手紙を差し出した。

 

「これは……?」

 

「読んでみてくれるかい?」

 

 私の問いにお館様はそっと促すように言うので、私はあまね様からそれを受け取り、中を開いて広げる。

 それは、原作の那田蜘蛛山での一件の後に行われた柱合会議で読み上げられた鱗滝さんからの手紙だった。

 その内容は原作でも一部しか公開されていないので詳細は分からないが、少なくとも私が知っている部分は大きく変わっている様子はなく、唯一の違いと言えるのは「禰豆子が人を喰った場合~」の文言に続く名前に「鱗滝真菰」の名前が加わっているくらいだろう。

 

「…………」

 

 私はその手紙の内容にゆっくりと目を通し

 

「……これは…本当なのでしょうか?」

 

 ゆっくりと口を開いた、さも今まで全く知らなかったかのように。

 

「まこちゃんたちが鬼を匿っているということも、その鬼が一度も人を喰らったことが無いということも……」

 

「鱗滝左近次と言う男は、柱として活動していた当時もとても優秀で信頼のおける男だった。そんな彼の言う言葉だ、信頼できると私は思う」

 

「そうですか……」

 

 お館様の言葉にゆっくりと頷く。

 

「君はどう思うかな、楓子?」

 

「私…ですか?」

 

「君は、そこに名前を連ねている真菰の友人だ。彼女に関しては私よりも君の方がよく知っているだろう?」

 

「…………」

 

 お館様の言葉に私は数秒考え

 

「ここ二年ほど、まこちゃんは何かと慌ただしい様子でした」

 

 ゆっくりと口を開く。

 

「いつ訪ねても留守にしていることが多く、聞けば彼女の恩師、鱗滝さんの住む狭霧山に度々行っているとの話でした。そして、先日の最終選別で炭治郎くんに会った時、あぁ彼女が慌ただしくしていたのは彼の修業の手伝いをしていたからなんだ、と納得すると同時に疑問を抱きました。彼女はどうして二年間、私に弟弟子の事を話してくれなかったのだろう、と……」

 

「…………」

 

 私の言葉にお館様は何も言わず黙って聞いていてくれる。

 

「でも、この手紙の内容を知ってわかりました。彼女は話さなかったのではなく、話せなかったんです。鬼殺隊において、鬼を匿うことは重大な隊律違反ですから。彼女は私をそれに巻き込まないためにずっと隠し続けていたんです」

 

「……そうだね。きっと真菰はそう考えて君に相談できなかったんだろうね」

 

 私の言葉にお館様は頷く。

 

「私は親友を信じています。そして、何より、私はあの最終選別の後に話をした炭治郎くんの心根を信じたいです。親友が信じたものを信じたいんです」

 

「そうか……」

 

 私の答えに大きく頷いたお館様は

 

「楓子、君に特別な任務を頼みたい」

 

「はい」

 

「情報戦略部の責任者であり、鱗滝一門と関わりを持ち彼らの人となりをよく知る君にこの件の調査を頼みたいんだ」

 

「調査…ですか?」

 

「ああ」

 

 私の問いにお館様は頷く。

 

「私も炭治郎とその妹の禰豆子の存在を信じたい。しかし、鬼と言う存在への憎悪と嫌悪で彼らの存在を受け入れられない隊士は多いと思うんだ。それは柱の子たちの中にも多くいるのではないかと思う」

 

「そう…ですね……」

 

 私はお館様の言葉に頷きながら前世で見たあの柱合会議の内容を思い出す。

 あの時大半の柱たちは炭治郎と禰豆子を即刻罰するべきだと論じていた。

 数多くの鬼と戦い、数多くの鬼の被害者たちを見た彼らだからこそ、禰豆子と言う存在を受け入れられないのも頷ける。

 

「だから、この『禰豆子』と言う存在が本当に安全なのかどうか、君にはその調査をしてもらいたいんだ。他でもない、数多くの功績を遺す君の言葉であれば、他の隊士達も納得してくれるかもしれない。引き受けてくれるかな?」

 

「…………」

 

 お館様の言葉に私はゆっくりと頷き、そっと頭を下げる。

 

「その任務、拝命いたします」

 

「そうか……」

 

 私の返事にお館様はホッと安堵した様子で息をつく。

 

「炭治郎は現在は任務で浅草にいる。君にはまず狭霧山に行き、鱗滝左近次に話を聞いてきてほしい。その後炭治郎と合流し彼と彼の妹について調査してほしい。調査の内容については君の判断で炭治郎には伝えてもらって構わないよ」

 

「わかりました」

 

 お館様の言葉に私は頷く。

 

「君から良い報告が聞けるのを楽しみにしているよ」

 

「はッ!ご期待に沿えるよう全力で取り組む次第でございます!」

 

 お館様の言葉に私は力強く頷いたのだった。

 

 




と言うわけで楓子ちゃんに特別任務です!
頑張れ楓子ちゃん!
君の活躍に炭治郎と禰豆子の運命がかかってるぞ!

ちなみに輝利哉くんをくすぐり倒した件について楓子ちゃんから言い訳があります↓


楓子「子どもとの触れ合い――スキンシップは子どものストレスを軽減して情緒を安定させ、精神的な自立をうながす成長の土台となり、愛情ホルモンとも呼ばれる「オキシトシン」という脳内物質が分泌されます。
 子どものころにオキシトシンを分泌しやすい脳にしておくと、大人になっても他者への信頼や安心感が続き、周囲の人と温かい人間関係を築くことができるといわれています。
 さらに、記憶力がよくなり、学習効果が高まり、ストレスにも強くなることがわかっています。
 また、笑うことで情報を伝達する神経回路「シナプス」を増やし、脳の働きをよくします。
 つまり以上のことから私のしたことはすべて輝利哉くんにメリットの多いことであるため私は無罪だ!」


とのことです。
と、ここで

~大正コソコソ噂話~
楓子にくすぐられる際、抱きしめられる形で密着していた輝利哉くんは嬉しかった半面そう言うことができるのは楓子が自分のことを一切異性として意識していないからだと少しショックだったようですよ。


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