恋柱の継子、人の恋路に世話を焼く   作:大同爽

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恋24 恋柱の継子のパーフェクトざがく教室

「みんな~♪楓子の座学教室、は~じま~るよ~♪あたいみたいな天才目指して、頑張っていってね~♪」

 

「「「…………」」」

 

「はい、それでは始まりました大好楓子による第一回座学教室~♪わ~(パチパチパチ)」

 

「「お、お~……(パチパチパチ)」

 

「いやなんだこれはぁ!!」

 

 楓子につられて拍手する炭治郎と善逸だったが、伊之助が叫ぶ。

 ここは藤の花の家紋の家。鼓の屋敷での戦いより二日が経っていた。怪我の療養のために休んでいた炭治郎達三人は楓子に呼ばれ一つの部屋に集まっていた。

 

「何って、言ったでしょ?座学教室だよ」

 

「なんで俺がテメェのお勉強会に参加しなけりゃいけねぇんだッ!?」

 

「三人とも怪我してるからねぇ。体を動かせないなら頭を鍛えようって寸法よ」

 

「必要ねぇ!!俺は強ぇからなッ!!」

 

「……はぁ」

 

 伊之助の言葉に楓子は大きくため息をつき

 

「フッ……現状で満足するようでは、君はその程度ということか」

 

「……はぁん!?」

 

 嘲る様な笑みを浮かべる楓子に伊之助がイラっとした様子で眉を顰める。

 

「だってそうでしょ?確かに君は強いかもしれない。しかし、それはあくまでも一般人目線だよ」

 

「あぁん!!そんなわけあるかぁッ!!俺は誰にも負けねぇ!!」

 

「君はまだまだ井の中の蛙だ。君より強い奴は鬼にも鬼殺隊にもごまんといるよ」

 

「そんなわけねぇ!!いったいどこのどいつだ!!?」

 

「例えば私、それに私の師匠。鬼殺隊の柱って言う九人しかいない最高戦力さんたちとか?」

 

 伊之助の問いに楓子はさらりと答える。

 

「君たち三人は将来性も高いし、感性も優れてる。きっとこれからもっともっと強くなる。でも、少なくとも今はまだ人間の域で強いだけ。それじゃあ私の師匠たち柱には及ばない。柱の人たちは、人という領域を超えてる人たちだよ」

 

「そんな人がいるんですか!?」

 

「怖ぇぇ!!柱怖ぇぇぇ!!」

 

「ふ、フンッ!!そんな奴ら俺がすぐに――」

 

 楓子の言葉に炭治郎が驚き、善逸はまだ見ぬ柱への畏怖に震え、伊之助は驚きながらも悪態を突こうとする。が――

 

「そして鬼、その中でも十二鬼月と呼ばれる鬼舞辻無惨直轄の鬼、さらにその中でも上弦と呼ばれる上位六体の鬼は規格外だ。人間の域を超える過去の柱たちを、何人も殺している」

 

「「「ッ!!?」」」

 

 楓子の言葉に三人は息を呑む。

 

「鬼って言うのは人間よりも上位の生き物、文字通り化け物たちだ。だから、そんな奴らと戦う私たちにはあらゆる面で鍛えておかなければいけないんだよ」

 

「だ、だったら体を鍛えりゃいいじゃねぇか!!勉強なんて何の意味があるって言うんだ!?」

 

「わかってないなぁ~。体が動けても、それを動かす頭がダメなら鍛えても無駄なんだよ」

 

 やれやれ、と肩をすくめる楓子。

 

「それと、戦いを左右するのは何も肉体の強さだけじゃない。知識や経験、些細な行動の差、あらゆることが戦いに関わってくる」

 

 いい?と前置きして楓子は話し始める。

 

「世の中でかい山を一発狙おうとか、一発で形勢を逆転してやろうとか、そう言う雑な考え方をしている奴は必ず転ぶの。そりゃあ考えなしな無茶な手が一度くらいうまくいくこともあるかもしれない。でもそう言うやつは調子に乗って同じような無茶をやらかす。でも幸運は二度も続かない。私たちのいる世界で無茶してやらかした先にあるのは『死』だけ。結局堅実に地道にコツコツ努力してるやつには敵わないって話よ」

 

楓子は言いながら三人を見渡す。

 

「そう!たった一発で強くなろうって考えてる連中は所詮何年も何十年も日々地味に積み重ねているやつには敵わないんだよ。肉体だけでなく知識なんかのあらゆる面をコツコツ鍛えてこそ勝利につながるんだ。圧倒的不利な戦況だって、たった一つの行動をするかしないか、たった一つのことを知っているか知らないかで変わることもあるんだよ。自分たちが吸収する知識がいつどんな場面で活かされるかわからないんだよ」

 

「「「ッ!」」」

 

 楓子の言葉に三人は息を呑む。

 

「こんな話がある。昔、ある旅人の集団がいた。彼らはある時、ある高山地帯で野営をした。彼らは夕飯に周辺に生えていた植物で汁物を作ったんだ。しかし、いざ食べようとしたとき、その面々の中で一番新参で若かった少女が止めた。『この植物には毒がある。食べてはいけない』と。でも、誰一人取り合わなかった。彼女が毒があると言った植物は他の場所にも当たり前に見られ、その旅人たちも何度も口にしたことのあるものだったから。結局少女の言葉は聞き入れられることはなく、旅人たちはその汁物を平らげた、その少女を除いてね」

 

「それで…どうなったんですか……?」

 

 楓子の話に息を飲みながら炭治郎が訊く。

 

「翌朝、生き残ったのはその少女だけ。他はみんな死んでいた」

 

「ッ!?」

 

「そんなッ!?」

 

「なんでだよッ!?」

 

 楓子の答えに三人が驚愕の声を上げる。

 

「その少女が注意した通り、その植物には毒があったんだ」

 

「で、でもありふれたもので、その人たちも何度も口にしてたって……?」

 

「そう、私の説明に嘘はない。その旅人たちはその植物を何度も口にしていた。でも、彼らは知らなかったんだよ。植物には生息する場所によっては毒性を持つ種類があるってことを。そして、彼らが口にしたそれも高山地帯では毒性を持つ種類だったわけ」

 

「そんな……」

 

 楓子の説明に炭治郎が声を漏らす。

 

「彼らは知らなかった。だから死んだ。そして、知っていて一口も口にしなかった少女だけが生き残った。知ってるか知らないかがこうやって命運を分けることもあるって話」

 

「「「…………」」」

 

 楓子の言葉に三人は押し黙る。

 

「他にもこんな話がある」

 

 三人に楓子は新たな話を語る。

 

「あるところに大変綺麗好きな男と、不潔な男がいた。綺麗好きな男は小便をするときいつも便座に座って用を足した。小便の飛沫が床に飛ばないように。一方不潔な男はそんなこと一切気にしない。どれだけ飛沫が飛ぼうが、立って用を足した」

 

 楓子は肩をすくめる。

 

「ごく些細な違いだ、誰も気に留めないような。だが、この小さな違いが何十年も積み重なればどうなると思う?綺麗好きな男の厠は相変わらず綺麗だったが、その足は老いていくたびに細く痩せていった。逆に不潔な男の足は老いてもなお太く逞しかった」

 

 言いながら三人の顔を見渡した楓子は

 

「立って用を足す男、座って用を足す男、筋肉を使う者と筋肉を使わない者……誰が予想したと思う?たったそれだけの違いが、まさか最終的に……関ヶ原の勝敗を決めることになるなんて!!」

 

 カッと目を見開いて言う。

 

「そう!その男たちこそ徳川家康と石田三成だ!!」

 

「嘘つけぇぇぇぇぇッ!!!」

 

 楓子の言葉に善逸がツッコむ。

 

「なんで楓子さんが徳川家康と石田三成の用の足し方を知ってるんですかッ!!なんで大将同士の足の太さが勝敗に関わってきてるんですかぁぁッ!?」

 

「あれ?知らない?関ヶ原の戦いって最終的に延長戦にもつれ込んで大将同士の直接対決で家康の三成への執拗な脚への攻撃で決着ついたんだよ?」

 

「そんなわけあるかぁぁぁッ!!!」

 

 楓子の説明に善逸が叫ぶ。

 

「要するに家康は不潔のふりをして実は密かに足を鍛えるために立って小便をしてたんだね」

 

「普通のことだろぉぉッ!」

 

「敵を欺き日々コツコツと修業を積み重ねていたんだよ。恐るべき男だろう?」

 

「修行でも何でもねぇよこんなのッ!!地味すぎるだろッ!!最初の話は納得したけどなんだよその関ヶ原の戦い!!俺の知ってるのと全然違うんですけどぉッ!?」

 

「まあ江戸幕府も自分たちの力を保持する為にそんなカッコ悪い勝ち方した、なんて歴史は隠したかったんだね」

 

「いや絶対違うと思いますからッ!!」

 

 楓子の真剣な言葉に善逸がため息をつき

 

「なあ炭治郎、伊之助、どう思う?最初は納得しかけたけど、なんか眉唾な気も……」

 

 言いながら二人に視線を向ける。善逸の問いに

 

「そうか……そんな日常に修業が潜んでいたなんて、俺も頑張らないとッ!」

 

「はんッ!俺はしょんべんするときも常に立ってしてるぜッ!!家康みてぇに鍛え続けてやるぜッ!!」

 

「なんで今の話信じんだよ!!純粋かッ!!?」

 

 真剣な面持ちで言う炭治郎と鼻息荒く胸を張る伊之助に善逸のツッコみが響く。

 

「はい、では私の勉強会の意義がわかってもらえたところでさっそく始めようか!」

 

「はい!」

 

「おうよ!」

 

「え~…なんか嫌がってた伊之助まで乗り気になってるし……」

 

 元気に返事をする二人に善逸は困惑しながらも楓子の話に耳を傾ける。

 

「敵を知り己を知れば百戦殆からず、と中国の兵法家も言っている。そこで今日のところは初日ということもあって軽めに、三人も知ってることが多いであろう鬼と鬼殺隊について話そうか」

 

 こうして楓子による勉強会は幕を開けた。

 善逸の不安とは裏腹にとても丁寧で有意義な勉強会になった。

 そして――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぃ~、お腹いっぱいだ~」

 

 夜、夕食後の幸福な満腹感にルンルンと鼻歌交じりで楓子は縁側を歩いていた。

 

「さてさて、ゆっくりお風呂入って~、炭治郎くんたちとダベるかな~」

 

 言いながら楓子は風呂場に向かって歩き――

 

 ――ニャァァァン

 

「ほへ?」

 

 どこからか猫の鳴き声が響く。視線を巡らせれば、楓子のいる縁側から正面の庭にいつの間にか一匹の三毛猫がちょこんと座っていた。

 

「君さっきいたっけ?」

 

 首を傾げる楓子。猫はゆっくりと立ち上がり、楓子の方へと歩いてくる。

 そのまま縁側のところまできた猫はヒョイと楓子の目の前の床に飛び乗る。

 

「あれ?そのお札って……」

 

 その猫の首に見覚えのあるお札が貼られていることに楓子は気付く。そのお札は二日前に鼓の屋敷で見た炭治郎が響凱の血を抜いたナイフを回収しにきた猫も付けていたもので、どうやら同じ猫だと思われる。

 その猫は無言のままそっと楓子の前に腰を下ろしそっと自身の背中を示す。

 その背にはあの日と同じく革製のカバンがある。

 

「開けろってこと?」

 

 その様子に楓子は首を傾げながらしゃがみ込み、カバンのふたを開ける。

 と、そこには一枚の便箋が入っていた。

 楓子はその便箋を取り出し広げてみる。

 そこには

 

『お前の話を聞きたい。この猫についてこい』

 

 と、短く書かれていた。

 

「…………」

 

 楓子はその便箋を数秒見つめ

 

「このままの格好じゃ行けない。着替えてくるから待ってて」

 

 そう猫に言う。と、猫はそれに返事するように頷いた。

 それを確認した楓子は急いで自身に宛がわれた部屋に戻り着ていた浴衣から隊服に着替え、羽織を羽織る。そして、少し迷った後腰に日輪刀を差して部屋を出る。

 屋敷の主人である老婆と炭治郎達には少し散歩に出ると断りを入れ、縁側に戻る。

 縁側では先程と同じ位置で三毛猫が待っていた。

 

「お待たせ。さ、案内してくれる?」

 

 楓子の言葉に立ち上がった猫は歩き始める。楓子もそんな猫の後を追いかける。

 猫はスタスタと足早に歩くが楓子もその後を駆け足気味に追いかける。

 そのまま歩くこと数分後、猫の案内で楓子はとある山間に来ていた。そこで猫は立ち止まる。

 

「…………」

 

 楓子は無言で周りを見渡し

 

「あの~、呼ばれたから来たんですけど~?」

 

 呼びかけると、一拍の間を置いて楓子の目の前に少年が姿を現す。

 

「やあ、炭治郎くんの話から察するに君が愈史郎くんかな?」

 

「チッ、あのバカがベラベラと……」

 

 楓子の問いに愈史郎は舌打ちをする。

 そんな愈史郎の様子を尻目に楓子は周りを改めて見渡し

 

「で?件の珠世さんは?」

 

「お前のことを信用できない以上お前に珠世様を会わせるわけないだろう!」

 

「……そう」

 

 愈史郎の言葉に楓子は頷く。そんな楓子に警戒した様子で睨む。

 

「そんなに睨まないでよ。別に君や珠世さんにどうこうしようってんじゃない。ただ私自身鬼の身体に詳しいであろう医者の意見をいろいろ聞きたいってだけだよ。私の持ってる情報に関してね」

 

「ッ!」

 

「こうして私を呼び出したってことは、ぎりぎりで伝えてもらえたんだね」

 

「…………」

 

 楓子の言葉に愈史郎は数秒睨み

 

「この札を介してこの猫――茶々丸と視界と聴覚は共有していた。最初は罠かと警戒したが、珠世様がどうしてもというので仕方なく…ほんッとぉぉぉに仕方なくこうしてやってきたんだ!」

 

「へぇ~、このお札凄いんだねぇ~!」

 

 愈史郎の言葉に楓子は興奮した様子で自身のわきに立つ茶々丸と呼ばれた猫の札に興味津々な様子で見る。

 

「で?やっぱり私は信用できない?」

 

「当たり前だ!」

 

 楓子の問いに愈史郎はギンッと睨みつけて言う。

 

「お前は鬼殺隊の隊士だろ!その腰に携えてる刀を使えば鬼を屠ることができる!!そんなもの持っている奴、警戒して当然だろう!!」

 

「あぁ~、一応で持って来たんだけど、言われてみれば確かに対話しようって相手の前に武器持って現れるのは礼儀に欠けてたね。反省反省~」

 

 言いながら楓子は腰のベルトから日輪刀を鞘ごと抜き

 

「ほいほいほ~い」

 

 と、軽快に取り出した紐で刀を鍔と鞘をグルグルと紐で抜けないように固定してしまい

 

「ほい、これでいい?」

 

 それを足元にそっと置く。

 

「………お前、本気か?俺たちのことを警戒してないのか?」

 

「うん、一ミリも」

 

 愈史郎の問いに楓子は元気に頷く。

 

「俺とお前はまだ会って半刻も経っていない。珠世様に関しては会ってすらいないんだぞ。それでも信じられるって言うのか?」

 

「炭治郎くん達のこと、信じるって決めたから。そんな彼が信じてるんだからそれだけで十分に信じられるよ」

 

「…………」

 

 楓子の言葉に呆けた顔をした愈史郎は

 

「……あいつと同じでどうしようもないお人好しだな」

 

「そう?」

 

 愈史郎の言葉に首を傾げた楓子は

 

「で?これで少しは信用してくれる?」

 

「………まあ、ほんの少し…ほんッとぉぉぉッに少しだけ信用してやる」

 

「やったぜきゃっほい!」

 

 愈史郎の言葉に楓子がガッツポーズする。

 

「んじゃ、少しは信用してもらえたところで本題に入ろうか、珠世さんも交えて」

 

「信用したと言っても少しだと言っただろう!誰がお前なんかと珠世様を――」

 

「でも来てるんでしょ、ここに」

 

「ッ!?」

 

 楓子の言葉に愈史郎が息を呑む。その反応に楓子はにっこりと微笑む。

 

「あら、結構素直だね愈史郎くん?」

 

「ッ!貴様カマをかけたな!?」

 

 怒りの形相で睨む愈史郎に楓子はフッと笑みを浮かべる。

 

「すごい隠密性だ。君の血鬼術かい、愈史郎くん?」

 

「…………」

 

 楓子の言葉に愈史郎は警戒した様子で睨む。

 

「貴様、何者だ?」

 

「そう言えばちゃんと名乗ってなかったね。こいつは失敬失敬」

 

 愈史郎の問いに楓子はニッと笑みを浮かべ

 

「階級『乙』、恋柱の継子、鬼殺隊情報戦略部部長兼医療部門暫定的責任者、大好楓子。よろしくね」

 

「情報戦略部部長……!?医療部門責任者……!?」

 

「暫定よ、暫定。医療部門は最近やっとこさ蝶屋敷――あ、そう言う医療を専門にしてるところがあってね、そこから正式に部署として立ち上げられてね、なんかいろいろあって暫定的に私が責任者やってるだけだから」

 

 少しその肩書に驚いた様子の愈史郎に楓子は照れた様子で言う。

 

「正直医療部門の責任者はその蝶屋敷の主人だった胡蝶さんたち姉妹のどっちかがやってくれればって言ったのに頑なに断られて、仕方なく暫定的に私が責任者やってるの。お飾りお飾り」

 

 言いながら笑って手を振る楓子。

 

「まあお飾りでも医療に携わる者としてぜひ鬼のお医者さんのご意見窺いたいことがあってね――そんなわけでそろそろ出て来てくれませんか、珠世さん?もうそこにいるのはわかってるんですよ」

 

 そう言って楓子はゆっくりと右手を上に掲げ

 

「珠世さんの居場所は……全部まるっとスリッとお見通しだぁぁぁ!!!」

 

 言いながら自身の右側の茂みをビシッと指差し――

 

「――バレていては仕方ないですね。しかし、よく愈史郎の血鬼術を見破ることができましたね」

 

 言いながら着物姿の女性――珠世が自身の額から茶々丸の首にあるお札と同じものを剥がして姿を現した、愈史郎の背後から。

 そして、言葉の途中で口を閉じ見当違いの方向を指差したまま視線を向ける楓子と、そんな楓子と珠世を交互に見ながらアワアワと困惑した様子で口を震わせている愈史郎を見て

 

「…………(ス~)」

 

 そっと額にお札を戻そうとする。

 

「いや珠世様、無理です!流石に無かったことにはできないです!!」

 

「ごめんなさい、テキトー言って!冗談のつもりだったんです!カマかけてました!来ている確信すらなかったです!」

 

 慌てて止める愈史郎と、申し訳なさそうに苦笑いを浮かべる楓子。

 そんな二人の言葉に額にお札を貼り直そうとする体勢から耳まで真っ赤になった顔をそっと両手で覆い

 

「す、すみません……ちょっと気持ちに整理を付ける時間をください……い、いますごく気恥ずかしいです。カマかけられてるって気付かずに堂々と姿を現して……ホントお恥ずかしい……」

 

 隠して蚊の鳴くような声で言って蹲る珠世。

 そんな珠世の様子に

 

(照れてる珠世様も綺麗だ!というかむしろ可愛い!!)

 

 心中で絶叫しながらも、それを顔に出さないように口を真一文字に結びカッと目を見開く愈史郎。

 そして、楓子はそんな二人を見ながらニマニマと微笑むのだった。

 




楓子ちゃん珠世様&愈史郎くんと接触です。
さあ、楓子ちゃんの持つ情報とは!?
次回をお楽しみに!!



~大正コソコソ噂話~
楓子ちゃんの鬼殺隊に関する話の中では自分が責任者をする情報戦略部や医療部門の話も少し触れましたが、自分が責任者をしていることは教えてません。理由は変に敬られるのが嫌だからです。


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