さあ楓子ちゃんはどんな戦いを見せるのか!?
先に言っておきます。
零余子と病葉の能力は原作で一切登場しないので勝手な創作です。
それでは本編です!
どうぞ!!
「貴様を殺して私たちはさらに強くなる」
「俺たちの為に死んでくれ、大好楓子」
そう言って二体の鬼――下弦の肆「零余子」と同じく下弦の参「病葉」は獰猛に笑う。
そんな二体の下弦の鬼たちに楓子は
「……はぁ、なんだってまぁ私みたいな柱でもない奴殺すために十二鬼月を動かすとは、あんたらの上司はずいぶんと臆病者だね」
「何ッ!?」
「あのお方を愚弄するか!?人間の分際で!!」
「事実でしょう?」
怒りを表情に浮かべる鬼たちに肩をすくめながら言った楓子は、「でも」とニヤリと不敵な笑みを浮かべる。
「まあ、私のした功績を考えれば、鬼舞辻無惨にとっては無視できない存在かもしれないね、私は……」
「何ッ!?」
「どう意味だッ!?」
「鬼舞辻無惨は何故私を殺すように命令したかわかる?」
問いかける鬼たちに楓子は逆に問う。しかし、鬼たちも詳細は訊いていないようで楓子の問いには答えない。
「私はね、四年前に上弦の弐、『童磨』を殺したんだよ」
「「ッ!?」」
楓子の言葉に二体の鬼たちは息を呑む。
「そんな馬鹿な!?」
「上弦の弐の首を斬ったのは柱だって聞いている!お前じゃないはずだ!!」
「そうだね、確かに童磨の首を斬ったのは水柱・冨岡義勇様だよ。でもね、そうなるように作戦を立案し、童磨を追い詰め誘導したのは、何を隠そう……私なんだよ」
「そんな……!?」
「馬鹿なッ!?」
楓子の言葉に鬼たちは驚愕の顔で固まる。
「フフ、嘘だと思うなら、今ここで見せてあげる。上弦の弐を殺すに至った私の最大最強の奥義を」
「上弦の弐を殺すに至った……」
「最大最強の奥義…だと!?」
「フフフ……」
警戒した様子で身構える鬼たち。
「見せてあげる、これが私の奥義――」
言いながら楓子は右手を背中側に回し、左手を前に突き出して構え
「そぉぉぉぉいッ!!!」
バッと右手に持ったものを鬼たちに投げつける。
「「なッ!!?」」
楓子の行動が予想外すぎて一瞬呆気にとられる下弦の鬼たち。と、そんな二体に向けて楓子の投げたものが宙を舞って目前まで迫り
ボフンッ!!
爆発した。
「しまった!」
「目眩ましかッ!?」
「フハハハッ!!見たか!!これぞ大好楓子の最大最強奥義!逃げるんだよぉぉぉぉぉんッ!!!」
辺り一面を真っ白な煙が覆い隠す中、楓子の叫び声が響く。
「チィッ!!」
「逃がすか!!」
煙から飛び出し、楓子の声の聞こえた方向を下弦の鬼たちは駆けだしたのだった。
○
月明かりの下、冨岡と真菰は地面に倒れ伏す数名の隊員たちの遺体を見つめる。
「…………」
「酷い……」
義勇は無言で、真菰は悲痛に顔を歪めて顔の前で手を合わせ亡くなった隊士達の冥福を祈る。
「どなたか、お知り合いがいましたか?」
と、そんな二人の背後から声がかかる。
そこでは真菰と同じように手を合わせていたしのぶが手を降ろしながら二人に顔を向けていた。しのぶの隣にはカナヲが立っている。
「いえ……」
「そう……この辺りに生存者はいないようですね」
首を振る真菰に頷いたしのぶは改めて周囲を見渡し
「それと今私の鴉がお館様から驚きの新情報を届けてくれました」
「……?」
「新情報、ですか?」
しのぶの言葉に義勇と真菰が首を傾げる。
「お二人も聞いたかと思いますが、新人の『癸』の隊士も数名新たに山に入ったそうですが、どうやらその新人隊士というのが楓子が同行している隊士達だったようです」
「ッ!?」
「ふうちゃんがッ!?」
しのぶの言葉に二人は驚愕で目を見開く。
「ということは今もこの山でふうちゃんはッ!?」
「彼女の実力であっさりやられるとは考えられませんが……」
「行こう、急ぎ大好と合流する」
冨岡の言葉に二人は頷く。
「では、ここでわかれて手分けしましょう。私は西から行きます。カナヲは南から」
「では、私は北、冨岡さんはこのままこの東側から行きましょう」
「ああ」
「………」
しのぶと真菰の言葉に義勇とカナヲが頷く。
「冨岡さん、真菰」
と、しのぶは二人に顔を向け
「気を付けて」
「ああ」
「しのぶさんとカナヲちゃんも!」
しのぶの言葉に義勇と真菰は頷き、四人はそれぞれ走り出した。
○
突然だが、戦いの上で重要なこととは何だろうか?
私は、『情報』だと思う。
戦略を立てるにしてもまずは相手のことを知っていなければ対策を立てることはできない。そう言う意味では私の原作知識はこの世界においてかなりのアドバンテージだ。
初見殺しの多い鬼たちの血鬼術を出会う前から知っているのだからいくらでも使える道具を用意しておける。
――だから、私にとってこの下弦の肆・参コンビは私にとって非常に戦いにくい相手と言える。
原作でも登場して瞬く間に彼らの上司である鬼舞辻無惨の手によってそれはもう非情なパワハラ論法のもと殺されてしまっている。正確な数字は知らないがアニメでも出演時間は10分もなかったんじゃないだろうか。
つまり、この鬼たちは血鬼術の「け」の字も出さないうちに殺されたのである。だから、私はこの鬼たちの能力を知らない。他の鬼たちならまだしもそれが十二鬼月、しかも二体もいるとなると、真っ向からやり合うのは少し分が悪い。
かと言って逃げるのは難しいしもとよりそのつもりもない。
なので、私のとれる戦法は「情報収集」である。
「このぉ!!ちょこまかと逃げるなッ!!」
「すばしっこいやつだな!!」
「お~にさんこちら!手の鳴る方へッ!!」
私は全力で走りながら背後からの叫び声に応えながら、再び煙幕を投げつける。
「チィッ!!」
「またか!!」
イラついた様子の声を聞きながら私は全力で駆けながら木の幹を蹴って九十度方向転換。その蹴った勢いのまま駆ける。
「お前のその逃げ方もいい加減飽きたんだ――よッ!!」
私の背後で病葉は言いながら地面を拳で叩く。と、その叩いた地面を通じて地面が隆起し私の目の前で大きく膨れ上がる。が――
「ほい、ほい、ほいっと!」
その隆起した地面のちょっとした足場を時に蹴って時に掴んで体を引き上げ難なく上っていく。
前世でハマったアニメやアクション映画の影響でパルクールとボルダリングをやっててよかった。
「チッ!まるで猿みたいなやつだな!!」
「何をぉッ!?私よりお前の方が猿顔じゃんかッ!!」
「誰が猿顔だ!!」
私の言葉に病葉が叫ぶ。と、そんな病葉の隣で零余子が右手をピストルのように構え
「このぉ!!」
その指先に赤い宝石のような結晶体が現れ、私に向かって撃ち出される。
私はと言えばちょうど隆起した地面を上り終えて飛び降りたところで――
「なんのッ!」
私は空中で身を捻って飛来するそれを躱す。私の身体に当たらなかったそれは私の隣の木の幹に当たり爆ぜる。その爆発でで木の幹はへし折れ倒れてくる。
かれこれこんな感じで数十分ほどリアル鬼ごっこを続けていた。
おかげで奴らの血鬼術の内容は分かった。
恐らく零余子の能力は爆発する結晶体を生み出し撃ち出すこと。連射も可能なようだが威力の強いものを作りだすには溜めがいるようだ。それでも一番威力が小さいものでも当たればひとたまりもない。お腹にでも当たれば上半身と下半身がお別れすることになるだろう。
病葉の能力は地形を操ること。恐らく土限定。その証拠に植物は操っていない。出来たら木の根とかで拘束されてただろう。
「さぁてと、これだけ分かれば十分、かな?」
私はニッと笑い
「それ!」
私はリュックから取り出した球体を鬼たちに投げる。
「また煙幕!!」
「いい加減飽きたって言っただろうが!!」
叫びながら鬼たちは私の投げたそれを無視して加速しようとする。が、その瞬間――
ドカァァン!!
「ガァッ!?」
「うぐッ!?」
「ただの煙幕だと思ったッ!?残念!!爆弾でした!!」
これぞ音柱・宇髄天元様から助言いただいて改良した爆弾だ。
「このッ!!」
「この程度の傷ッ!!」
悔し気に言いながら、しかし、爆弾による負傷をすぐに回復しながら鬼たちはさらに速度を上げて追ってくる。
そんな鬼たちに
「ほらほらァ!!今度はもっと大きいの!!」
私は再び、今度はソフトボールサイズの球体を投げつける。
「また!」
「今度は爆発する前に!」
と、今度は弾こうと病葉がその球体を叩き――
「「ギャァァァァァァァァァッ!!!?」」
悲鳴を上げた。
病葉がその球体を叩いた瞬間その球体がはじけ、辺り一面にその中身を大量にぶちまけた。それは、黒くて親指サイズのあの虫の形をしていて
「いやぁぁぁぁぁぁッ!!?着物の中に入ったぁぁぁぁぁッ!!!取ってぇぇぇぇぇッ!!!」
「き、気色ワリィィィィイッ!!!」
「フハハハハッ!!いい声で啼くじゃないですか!!」
涙を流しながら絶叫し着物の裾に手を入れたり右往左往する零余子と病葉に私は高らかに笑いながら言う。
「鬼も元は人間!!この虫への生理的嫌悪感を拭い去ることはできないでしょうッ!!」
言いながら私はスッと腰を落とし
「炎の呼吸・壱ノ型――」
左手を鞘に添え、刀の柄を握り
「不知火!!」
「「ッ!?」」
地を蹴って鬼たちへ日輪刀を振るう。
しかし、流石は十二鬼月。ゴキブリへの恐怖の硬直から復活した二体は飛びのく。が――
「グッ!」
「チィッ!」
完全には避けられなかったようで病葉の胸元と零余子の頬を霞めて鮮血を飛ばす。
しかし、私はそこで深追いはせず大きく飛びのいて側の木の幹を蹴ってさらにその隣の木の幹へ飛び、そこをさらに蹴って飛び、を繰り返し上へと昇っていく。
「はぁぁぁぁッ!!」
そのまま五メートル近く上まで駆け上がった私は日輪刀を構えて木の幹を蹴って零余子へ斬りかかる。
「このぉッ!!」
零余子は両手を私に向けその十本の指のそれぞれの先に赤い結晶体を生み出し撃ち出す。そしてすぐに同じく作り出して撃ち出す。計二十発の弾丸が私に向かってくる。が――
「炎の呼吸・肆ノ型!盛炎のうねり!!」
私を中心に渦巻く炎のような剣技で飛来する結晶体を刀の刀身で滑らせ射線を逸らす。結晶体たちはすべて私の背後に飛んでいく。
「そんなッ!?」
驚きに固まる零余子の目の前に降り立った私は
「炎の呼吸・弐ノ型!昇り炎天!!」
そのまま刀を構え上へと斬り上げる。
「ッ!?」
零余子の首を狙った剣戟だったが、とっさに顔の前で腕を交差して後ろに飛びのいたことで避けられる。が、私の刀はそんな零余子の腕を斬り裂き右腕を飛ばす。
「ガァッ!!?」
腕を斬り飛ばされた痛みで苦悶の表情を浮かべる零余子へ追撃をかけようとし、
「ッ!!」
足元に違和感を覚えて踏み止まる。
私の直感が正しかったようで、私が次に一歩踏み出すはずだったところから地面が隆起する。ちらりと見れば病葉が地面に手をついていた。恐らく私が気付くのが遅ければそのまま隆起した地面に飲まれていたかもしれない。
私はその地面を蹴って後方に飛び、日輪刀を構えたまま二体の鬼を見る。
「やっぱり十二鬼月二体に対して一人で戦うのは厄介だね。思った以上に梃子摺るわ」
「クッ!」
私の言葉に二体の鬼は顔を顰める。
「逃げてばかりでこけおどしかと思ったが、どうやら上弦の弐を追い詰めたというのは本当のことらしいな……」
「フフ、理解してもらえたようだね」
病葉の言葉に私は頷き
「ところで――」
言いながら私はニヤリと笑い
「君ら、体調大丈夫?」
「はぁッ!?何を言って――ッ!?」
「カハッ!?」
と、私の言葉に一瞬眉をしかめた二体の鬼たちは、直後それぞれ胸を押さえて膝をつく。
息苦しそうにヒューヒューと浅い息を繰り返しながら私を睨む。
「お、お前……ッ!」
「い、いったい何をしたッ!?」
「フフ、フフフッ……」
苦し気な顔で私を睨みながら訊く鬼たちに私はニヤリと笑いながら
「私が、何発の煙幕を君らに投げつけたか覚えてる?」
「何ッ!?」
「四発だよ」
意味が分からない様子で顔を顰める二体に私は左手の指を四本立てて見せて言う。
「私が、何の意味もなく、同じような攻撃を四回もやってたと思う?」
「ッ!?ま、まさか……!」
「あの煙幕が……ッ!?」
ハッと気づいた二体の鬼に私は不敵に笑いながら頷き
「そう。あの煙幕の弾の中にはね、煙をたくさん出す素とは別に藤の花から作った毒が混ぜてあったの。匂いじゃわからないように別の花の粉末も混ぜてね」
言いながら私は左手を降ろし、日輪刀を肩にかける。
その毒というのはもちろんしのぶさんと共同製作したものだ。その都度調合を変えたりするわけじゃないし、長期保存と量産をメインに作ったので弱い鬼ならまだしも十二鬼月ほどの鬼だと死に至ることはないだろう。でも――
「君らは煙の中に気化していた藤の花の毒を知らない間に吸い込んでいたの。それは一回一回は少量でもそれを計四回吸い込み、その毒性を体内に溜め込んでいた。その毒性は少しずつ君らの体を蝕み、こうしていま君らを苦しめている」
肩を日輪刀でトントン叩きスッと腰を落とした私は
「大丈夫、これでおしまいだから」
言いながら日輪刀を構え、一気に駆ける。
「炎の呼吸・伍ノ型!!」
「ッ!?」
「なッ!?」
大きく振りかぶった私の視線の先で恐怖に引き攣った顔で病葉がとっさに隣にいた零余子を突き飛ばす。突き飛ばされた零余子は病葉と私の間にたたらを踏んで出て、驚愕の表情で目を剥き
「炎虎!!!」
そんな零余子の頸に私の日輪刀が叩きこまれる。
「あぁぁぁぁぁぁッ!!?」
零余子の口から絶叫が上がりながらその頸が飛ぶ。少し離れたところにごとりと音を立てて落ちた頸が転がりながら炭へと変わっていき、残された身体もガクリと膝をつき倒れ炭へと変わっていく。
仲間を盾にして逃げようとした病葉をさらに追撃しようと日輪刀を握りこんで病葉を睨む私。しかし――
「ヒヒッ!」
「ッ!?」
病葉の顔に獰猛な笑みが浮かぶ。その表情の意味が分からず困惑した私は
「ガッ!?」
視界の死角、斜め右後ろからバスケットボール大の岩が叩きこまれその衝撃に私は日輪刀を取り落とし吹き飛ばされた。
地面につく瞬間に受け身をとって身を起こした私。が――
「刀が無けりゃお前ら鬼狩りなんて怖くねぇぇぇッ!!」
まだ多少影響は残っているようだが、ほとんど毒を分解したらしい病葉が獰猛な笑みと共に私に襲い掛かる。
――まずい、飛ばされた私の日輪刀を拾うよりあいつが私を殺す方が圧倒的に早い!どうにかここは回避を!!
私は一瞬でそこまで思考し、ギリギリまで引き付けようと病葉を見据え
「水の呼吸・肆ノ型――」
と、私の背後から声が聞こえると同時に私の視界の端を赤いものが横切って私の目の前に躍り出て
「――打ち潮!!!」
「ガッ!!?」
突如現れた人物は水色の刀身をきらめかせ、迫っていた病葉の頸へその日輪刀を叩きこんだ。
「くそぉぉぉぉぉッ!!!」
頸を飛ばされた病葉は絶叫を迸らせながらその身を炭へと変えていった。
そんな光景を見ながら私はゆっくり立ち上がり、私を救った人物に視線を向け
「ありがとう、助かったよ――まこちゃん」
「ふうちゃん!大丈夫だった!?」
私の言葉にまこちゃんが日輪刀を鞘に納めながら訊く。
「うん、なんとかね。とっさに身体捻ったから骨折もしてなさそう」
「そっか、よかった……」
私の言葉にホッと息をついたまこちゃんに頷きながら私は落とした日輪刀を拾い
「まこちゃんは救援に来てくれたんだよね?ってことは冨岡様も?」
「うん!お館様からの命で、冨岡さんと私、それにしのぶ様とカナヲちゃんも!」
「そっか……」
なるほど、そこはちゃんと原作通りみたいで一安心だ。でも――
「行こう、まこちゃん。あんまりのんびりしていられない」
「え、それってどういうこと?だって今この山の鬼は――」
「今まこちゃんが倒した鬼とその前に私が倒した鬼、どっちも十二鬼月だったけど、この山を根城にしてるやつじゃない。この山の主は別にいるんだよ。恐らく十二鬼月が」
「ッ!?」
私の言葉にまこちゃんが息を呑む。
「あと、鬼以外にもしのぶさん達が来てるなら急がなきゃいけない」
「どうしてしのぶ様たちがいると急がないといけないの?」
「この山には今――炭治郎くんがいるんだよ」
「ッ!?」
私の言葉にまこちゃんは顔を強張らせ
「それって……じゃあ、ふうちゃんもしかして禰豆子ちゃんのこと……!?」
「知ってるよ」
顔を強張らせながら訊くまこちゃんに私は頷く。
「と言うか、私は炭治郎くんと禰豆子ちゃんのことを調査するって任務をお館様に命じられたからこそ、ここにいるんだよ」
「ッ!?」
まこちゃんは私の言葉に目を見開き
「ふ、ふうちゃん!あのね、炭治郎くんも禰豆子ちゃんも――」
「待った!」
と、まこちゃんが言いかけた言葉を私は手を伸ばして制す。
「まこちゃんも私に言いたいことあるだろうし、私もまこちゃんに言いたいことは山ほどある。でも、今はそれよりも炭治郎くんと合流する方が先だよ」
「ふうちゃん……」
「いい?お館様がここに冨岡様とまこちゃんを寄越したのは炭治郎くんのことがあるからだよ。でも、ここにいる鬼の力がどれほどか計り知れなかったから万全を期してもう一人柱を付ける必要があった。だからしのぶさんもここに来てる」
呟くまこちゃんに私は続ける。
「もしも、炭治郎くんと禰豆子ちゃんに私達や冨岡様より先にしのぶさん達の方が先に合流しちゃったら?」
「ッ!?そ、それは……!」
「もしも炭治郎くんも禰豆子ちゃんも消耗してたら、しのぶさん達に抵抗できずに禰豆子ちゃんを殺されちゃうかもしれない!それだけは回避しなきゃいけないの!だから、急いで炭治郎くん達を見つけるよ!」
「ふうちゃん……わかった!行こう!」
私の言葉に頷いたまこちゃん。そして、私達は頷き合い駆けだす。
走りながら周囲の気配や音を探る。
刀の振るわれる音など聞き逃さないように耳を澄ましながら一緒に鬼がいないかも注意して探る。
ただ、私も下弦二体の相手をするのにかなり手間取った。
どのように状況が進んでいるかはわからないが、もしも原作通りに事が進んでいるなら恐らくは炭治郎くんは累と遭遇してるはず。
そして、原作通り救援に来た冨岡様と一緒に来てるまこちゃんがここに来てると言うことは、これまた原作通りに事が進んでいるなら恐らく冨岡様が炭治郎君を救っているはず。
でもこれは全部原作通りに進んでいると仮定しての話だ。原作には零余子と病葉が那田蜘蛛山に現れるなんてことはなかった。私という
今の状況がわからない以上、私の原作知識だって当てにならない。最悪を想定して動かなければ――と、考えていたところで
「「ッ!」」
私たちの進む先から何かが落ちるような音が聞こえた気がした。
「今のッ!」
「ふうちゃんも聞こえたッ!?」
「行こうまこちゃん!!」
「うん!」
頷き合った私たちは音の聞こえた方に走り
「「炭治郎くん!!?」」
草むらの陰から飛び出した私たちが見たものは
「お、大好ッ!?真菰ッ!?」
珍しく鉄面皮を崩して驚愕の表情を浮かべる冨岡様とそんな冨岡様に押し倒されるしのぶさんの姿だった。
「「………はへ?」」
その予想外の光景に私とまこちゃんは揃って間の抜けた声を漏らす。
あまりの予想外の光景に私は思考停止してしまった。
なんかもう予想外すぎる。予想外すぎて思考が宇宙を漂ってるような気さえする。
恐らく私の隣でまこちゃんも同じように茫然と立ち尽くしているのだろう。
そして、それは向こうも同じなようで
「…………」
「…………」
冨岡様は驚愕の表情のまま、しのぶさんは暗がりでもわかるほど顔を真っ赤に染めたまま、揃って凍り付いている。
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
数秒、もしかしたら数十秒の間揃って思考停止し見つめ合っていた私達だったが
「「ッ!」」
先になんとか動けるようになったのは私とまこちゃんだった。
私たちは特に意思疎通したわけでもなく、どちらからともなく口を開き
「「あ、お邪魔しました……」」
私達は揃ってそそくさとその場を後にしそのまま全速力で走る。
なんか背後から聞こえた気がしたか知るか!
ていうか、え!?待って!!今の何!?何がどうなってああなるの!?あの二人いつの間にそういう関係になってたの!?私聞いてない!!
「ままままままこちゃんまこちゃんッ!!冨岡様としのぶさんっていつの間にッ!!?私がいない間に付き合い始めたのッ!!?」
「いやいやいやいや!!私も知らないからッ!!そんな素振り無かったからッ!!この間だって一緒に蝶屋敷行ったけどいつも通りだったよッ!!?」
「じゃあなんでッ!!?」
「わかんないよッ!!ふうちゃんこそあの二人の仲を取り持ってたんじゃなかったのッ!!?」
「私も知らないからッ!!私の知ってるのはしのぶさんが奥手でヘタレて尻込みしてて冨岡様は自分の気持ちにすら鈍感な唐変木なとこまでだからッ!!あんなことするような関係まで進んでるなんて初耳だからッ!!」
と、言いながら走る私達。
私達はそのままさっき見た光景を振り払う様に全力で走り続け炭治郎くんを探し――
『伝令!!伝令!!カァァァ!!伝令アリ!!炭治郎・禰豆子・両名ヲ拘束、本部ヘ連レ帰ルベシ!!』
鎹鴉が声高に伝令を伝えるまで走り続けた。
と、言うわけでVS零余子&病葉戦、決着です。
下弦の鬼二体を退けた楓子ちゃんたちでしたが、その先に待っていたのは想像を絶する光景でしたね(;^ω^)
何故冨岡さんがしのぶさんを押し倒していたのかは次回です!!
お楽しみに!!
そして、今回の質問コーナーです。今回はサイガ02さんから頂きました!
――もし他の柱の継子になるならどなたがいいですか?
楓子「そうですね~。蜜璃さんは当然として、杏寿郎さんも私の呼吸の師匠ですし、今でも定期的に指導してくれるので、実質継子みたいなものなんで除外するとして、伊黒様もよく指導してくれるので除外で……と、なると宇髄様ですかねぇ~。あの方のノリの良さは多分私と相性いいと思うんですよね」
――今まで発明した中ではどれが最高傑作ですか?
楓子「今話で使った『
はい、楓子ちゃんがゲス顔してるところで今日のところはここまで!
また次回もお楽しみに~!
~大正コソコソ噂話~
真菰ちゃんが着ている羽織は鬼殺隊入隊の記念に鱗滝さんが用意し贈ったものです。
真菰ちゃんはとても気に入っており「厄除の面」同様に真菰の宝物です。
ちなみに真菰の現在の階級は楓子と同じ「乙」です。