お館様も現れ、本格的に裁判の始まりです!
楓子ちゃんは炭治郎くん達の無罪を勝ち取れるのか!?
「「お館様のお成りです」」
にちかちゃんとひなきちゃんの声に私を含めその場に集まった面々の視線が屋敷の方に向く。
縁側の中、畳の部屋のさらに奥の襖が開き
「よく来たね、私の可愛い剣士たち」
その先からゆっくりとお館様が歩み出てくる。もう視界もほとんど見えていないらしく、ひなきちゃんとにちかちゃんに寄り添って補助してもらっている。
「お早う皆、今日はとてもいい天気だね。空は青いのかな?」
お館様が言う中、私はそっと炭治郎くんのそばに歩み寄る。炭治郎くんは突然現れたお館様の姿に茫然と見つめている。
「炭治郎くん、こっち来て。私の真似して座って」
「え?」
「いいから」
困惑する炭治郎くんを半ば引きずって不死川様に無理矢理押さえつけられる前に私はもうすでに並んでいる柱たちの横に並ぶ。
ちなみに並びはお館様から見て右からまこちゃん、冨岡様、宇髄様、蜜璃さん、杏寿郎さん、時透様、しのぶさん、悲鳴嶼様、不死川様、伊黒様、そして、私、炭治郎くんの順だ。
そんな中から不死川様が口を開く。
「お館様におかれましても御壮健で何よりです。益々の御多幸を切にお祈り申し上げます」
「ありがとう、実弥」
不死川様の言葉にお館様が微笑みながら頷く。
そんなお館様に顔を上げた不死川様がさらに続ける。
「畏れながら、柱合会議の前にこの竈門炭治郎なる鬼を連れた隊士について、ご説明いただきたく存じますが、よろしいでしょうか?」
「そうだね、驚かせてしまってすまなかった」
不死川様の言葉にお館様は頷き
「炭治郎と禰豆子のことは私が容認していた。そして皆にも認めてほしいと思っている」
『ッ!!』
お館様の言葉に柱の面々が息を呑む。
それぞれ少しの間を開けお館様の言葉を受け
「嗚呼…たとえお館様の願いであっても、私は承知しかねる……」
悲鳴嶼様が涙を流しながら数珠を鳴らして答え
「俺も派手に反対する。鬼を連れた鬼殺隊員など認められない」
宇髄様も悲鳴嶼様の言葉に頷き
「私は全てお館様の望むまま従います」
蜜璃さんは微笑みながら頷き
「僕はどちらでも…すぐに忘れるので……」
時透様はぼんやりとした瞳で言い、
「「…………」」
しのぶさんと、義勇さんは黙り
「信用しない信用しない。そもそも鬼は大嫌いだ」
伊黒様は炭治郎くんと禰豆子ちゃんの入った箱を指さしながら言い
「心より尊敬するお館様であるが、理解できないお考えだ!!全力で反対する!!」
杏寿郎さんはハキハキと答え
「鬼を殺してこその鬼殺隊。竈門・冨岡・鱗滝の三名の処罰を願います」
不死川様は鋭い視線で憎々しげに言う。
最後の不死川様の言葉にまこちゃんは悲し気に唇を噛み、しかし、黙って俯く。
「…………」
それぞれの反応を受けお館様は頷き、自身の右側にいるにちかちゃんに視線を向け
「では、手紙を」
「はい」
言われたにちかちゃんは着物の懐から手紙の包みを取り出す。
それは私が炭治郎くん達の調査の任務を言われた時に見た鱗滝さんの手紙だった。
「こちらの手紙は元柱である鱗滝左近次様から頂いたものです。一部抜粋して読み上げます」
そうにちかちゃんは断ってから読み始める。
「〝――炭治郎が鬼の妹と共にあることをどうか御許しください。禰豆子は強靭な精神力で人としての理性を保っています。飢餓状態であっても人を喰わず、そのまま二年以上の歳月が経過いたしました。俄には信じ難い状況ですが紛れもない事実です。もしも、禰豆子が人に襲い掛かった場合、竈門炭治郎及び、鱗滝左近次、冨岡義勇、鱗滝真菰が腹を切ってお詫びいたします〟」
その言葉に手紙の存在を知らなかった炭治郎くんがボロボロと涙を流し、しのぶさんもチラリと義勇さんの顔を見て、しかし、何も言わず視線を戻す。
「失礼、お館様。よろしいでしょうか?」
「どうしたのかな?」
そこで私はそっと手を上げる。
「今、禰豆子ちゃんが人を喰った場合、冨岡様たちが腹を切る、とおっしゃっていましたが、そこに私の名前も加えていただきたいんです」
『ッ!?』
私の言葉にその場の全員、柱やまこちゃんと炭治郎くんのみならずお館様とひなきちゃんとにちかちゃんも驚愕に目を見開いている。
「ふーちゃん!?本気なの!?」
「お前自分が何を言っているのかわかっているのか!?」
「はい」
蜜璃さんと伊黒様の言葉に私は頷く。
「すみません、蜜璃さん。勝手に決めて……でも、これは私の覚悟なんです」
「覚悟……?」
私の言葉に蜜璃さんが訊き返す。
「私はお館様からの任務で炭治郎くん達を調査しました。そして、確信しました。禰豆子ちゃんは人を襲ったりしません、絶対です。私はそれに命を懸けます」
「ふーちゃん……」
「ふうちゃん……」
私の言葉に蜜璃さんとまこちゃんが茫然と呟く。他の面々も押し黙り
「……切腹するからなんだと言うのか!」
と、そんな中で不死川様が口を開く。
「死にたいなら勝手に死に腐れよ!何の保証にもなりはしません!」
「……不死川の言う通りです」
そんな不死川様の言葉に杏寿郎さんが頷く。心なしか少し声にいつもの覇気がなかった気がした。一瞬チラリと私に視線を向けた杏寿郎さんがお館様に視線を向け
「楓子君や冨岡達の覚悟は認めます!ですが、人を喰い殺せば取り返しがつかない!!殺された人は戻らない!!」
先程感じたのとは違い、いつも道理の声音で言う杏寿郎さん。
杏寿郎さんの言葉に私は小さく頷く。
お二人の意見はもっともだ。私だって原作知識が無ければそう考えるだろう。
「確かにそうだね」
お館様も二人の言葉に頷く。
「人を襲わないという保証ができない、証明ができない」
そう言ったお館様は、しかし、続けて
「ただ」
と、断ってから
「人を襲うということもまた、証明できない」
「ッ!!」
お館様の言葉に不死川様が悔し気に息を呑む。
「禰豆子が二年以上もの間、人を喰わずにいるという事実があり、禰豆子のために五人の者の命が懸けられている。これを否定するためには、否定する側もそれ以上のものを差し出さなければならない」
「……ッ!」
「……むぅ!」
お館様の言葉に不死川様と杏寿郎さんが押し黙る。
「それに、私が二人の為に命を懸けるのは他にも彼らに重要な要因があるからです」
そんな二人、そして、他の面々に向けて、私は言う。
「お館様、よろしいでしょうか?」
「ああ、君の口から話すといいよ」
「ありがとうございます」
頷くお館様の言葉に私はお辞儀し横に並ぶ面々に視線を向け
「炭治郎くんと禰豆子ちゃんは、鬼舞辻無惨と接触しています」
『なッ!?』
言った言葉に柱の面々の顔が驚愕に眼を見開かれる。
「そんなまさか…柱ですら誰も接触したことがないのに!?こいつが!?」
「キャッ!?」
「ちょっと、宇髄様。図体デカいんですから周りに気を付けてください、蜜璃さんにぶつかってます」
興奮した様子で宇髄様が言いながら他の面々の視線が私の隣にいる炭治郎くんに注がれる。
その際宇髄様にぶつかられ玉砂利に顔面から転んだ蜜璃さんのことを指摘するが、みな興奮しているせいかスルーされる。
「どんな姿だった!?能力は!?場所はどこだ!?」
「戦ったの?」
「鬼舞辻は何をしていた!?根城は突き止めたのか!?おい答えろ!!」
「黙れ!俺が先に訊いているんだ!まず鬼舞辻の能力を――」
みなさん一様に興奮で語調を強くしながら、不死川様は今に炭治郎くんにつかみかかりそうな勢いだが、私が間にいて庇っているのでそれも難しいようだ。
そんな様子を静かに見つめていたお館様はそっと右手を挙げ、人差し指を立てて口元に当て「静かに」とジェスチャーで示す。
その瞬間、さっきまでの喧騒が嘘のように皆大人しくなる。
そんな光景に微笑んでお館様は私に視線を向けて続きを促す。
私はお辞儀しお礼を示してから口を開く。
「皆さんいろいろ気になるかと思いますが、少なくとも鬼舞辻の容姿については私が炭治郎くんの証言をもとに似顔絵を作成しました。それもすでにお館様に提出済みです」
「ああ」
私の言葉にお館様が頷き
「みんなにも見てほしい。これが私達の宿敵、鬼舞辻無惨の素顔だよ」
そう言ってお館様は懐から一枚の紙を取り出し広げる。
「こ、これがッ!?」
「鬼舞辻…無惨……!」
その紙に描かれた鬼舞辻無惨の似顔絵に柱の面々が息を飲み――
「お館様お館様、それ、違います。私が最初に送った方です。それ微妙に似てないらしいです」
「おっと。すまない、間違えた」
『(ガクッ!)』
私の言葉にお館様が苦笑いを浮かべてそそくさとその紙をしまう。と、私とお館様と炭治郎くんを除いた全員がガクリとずっこける。
「コホン……改めて、これが私達の宿敵、鬼舞辻無惨の素顔だよ」
咳払いと共にお館様が再び懐から紙を取り出し広げる。今度はちゃんと後から描いた正しい方だった。
私も改めて話を続ける。
「彼らが鬼舞辻に接触したのは完全なる偶然です。そんな彼らに鬼舞辻は追っ手を差し向けています。無論、それは自分の姿を見たことへの単なる口封じかもしれません。実際炭治郎くんが鬼舞辻と接触できたお陰でこうして素顔がしれましたから鬼舞辻にとっては手痛い失敗でしょう。――ですが、私はそれだけではないと思っています」
「と、言うと!?どういうことだ!?」
私の言葉に杏寿郎さんが訊く。
「炭治郎くん達に同行し禰豆子ちゃんの様子を観察していましたが、禰豆子ちゃんの様子は、これまでに出会ったどの鬼とも合致しない部分が多々見られます」
そんな杏寿郎さんの言葉に私は頷きながら答える。
「まず、一度も人を喰っていないのに飢餓状態から脱していること。炭治郎くんの話では鬼になった直後は極度の飢餓状態で炭治郎くんのこともわからず襲ったようですが、今はその兆候もありません。経緯はわかりませんが、彼女は人を喰う代わりに睡眠によって身体を回復させていると思われます。聞けば鱗滝さんのところに身を寄せている二年の間、禰豆子ちゃんは昏睡状態だったそうなので、恐らくその時に何らかの体質変化が起きたのではないかと思われます」
私の言葉に柱の面々は興味深そうに炭治郎くんの後ろの箱に視線を向ける。
「さらに、禰豆子ちゃんは鬼舞辻無惨の呪縛を何らかの方法で、恐らくは自力で脱していると思われます」
「鬼舞辻の呪縛って言うと、アレか?情報を漏らしそうになったり『鬼舞辻無惨』の名前すら口にすれば鬼を派手に死に至らしめる……」
「それです」
「何故呪縛から脱しているとわかる?」
「簡単です。こうして今も生きてるからです」
宇髄様の問いに頷いた私に伊黒様が訊くので私は頷きながら答える。
「あの鬼舞辻無惨が自分に反旗を翻して鬼殺隊と行動を共にしている鬼の存在をみすみす見逃すとは思えません。鬼舞辻は自分の配下の鬼を思い通りにできるのに、です。恐らくそれはしないのではなくできないんだと思います。すでに禰豆子ちゃんと鬼舞辻との間の繋がりが絶たれている証拠です」
「ふむ……」
「確かに!」
私の説明に伊黒様に加え杏寿郎さんが頷く。
「これは鬼舞辻にとっても想定外のことのはずです。禰豆子ちゃんの身に何が起きているのかはわかりませんが、少なくともこの変化は無視していいものではありません。経過観察の必要があります」
『…………』
私の言葉に反対派だった柱の面々も含め皆一様に押し黙る。
しかし、そんな中で――
「――なるほど、話は分かったァ」
不死川様が口を開く。
「だが、やはりそれらを鑑みても鬼を見過ごすことへの危険性は無視できねェ!」
不死川様は鋭い視線で私を見る。
「どれほど理由を重ねようと、人を襲う可能性が少しでもあるのなら、それを無視することはできねェ!」
「……まあ、そうですよね」
不死川様の言葉に、しかし、私は半ばこうなるだろうなぁと思っていたので特に落胆はない。やはり反対派の人――特に不死川様に禰豆子のことを納得してもらうためには明確な確証がいるのだろう。
だから――
「では、禰豆子ちゃんが人を襲わないと確証が得られたら、認めてもらえますか?」
私は不死川様を見据えて言う。
「あぁ?」
私の問いに不死川様が怪訝そうに眉を顰める。
「てめェ、ハッタリかますつもりかァ?」
「いいから答えてください。どうなんですか?証明出来たら認めてくれるんですか?」
睨んでくる不死川様の視線を見つめ返して私は訊く。
「…………」
私の目をギロリと睨みつけながら数秒考えた不死川様は
「ハンッ!もし本当に証明できるなら認めてやってもいいぜェ!」
鼻で笑って頷く。
その顔はできるわけないと高を括っている顔だった。
「言質、とりましたからね?」
そんな不死川様に私はニヤリと笑い返しながら立ち上がり
「炭治郎くん、少し禰豆子ちゃんを借りるよ?」
「え……楓子さん何を?」
「いいから、君はそこで見てて」
心配そうに顔を曇らせる炭治郎くんに安心させるために優しく微笑みかけてから禰豆子ちゃんの入った箱を手に取る。
「お館様、失礼します」
言いながら私は履き物を脱ぎ、お館様の座る畳の上に上がりさらに奥の日の光の射さない影の中にまで入る。
「ふうちゃん、何をするつもりなの?」
そんな私にまこちゃんが訊く。
「……皆さんには言うまでもなくご存じと思いますが、鬼は人間の中でも『稀血』と呼ばれる種類の血液を持った人間を好んで狙います。『稀血』は鬼にとって一人で普通の人の何十人分もの栄養にあたり、大変美味であるようです」
言いながら私は羽織の袖の中に手を入れ、そこに入れていた小瓶を取り出す。
手のひらに収まるほど小さなその小瓶には深紅の液体がなみなみと入っている。
「これは、知り合いの『稀血』持ちの隊員の方にご協力いただき、ほんの二時間ほど前に採ったばかりの採れたて新鮮産地直送の『稀血』です。禰豆子ちゃんは先程不死川様に刺されたことで負傷しています。並の鬼ならば人間を喰って回復しようとするはずです。それが『稀血』であるならなおさらです」
小瓶をその場の全員に見えるように見せながら私は言う。
「だが、血液だけじゃ――!」
「ええ、ご納得いただけないと思いますので――こうします!」
不死川様が言いかけた言葉を先んじて言いながら自分の服に手をかけ羽織、隊服、その下に着ていたシャツを一気に脱ぎ去り足元に放る。
「ちょッ!?」
「な、何してるの楓子ッ!?」
「お、女の子がこんなところで上半身裸になっちゃダメよッ!!」
そんな私にまこちゃん、しのぶさん、蜜璃さんが慌てて叫ぶ。が――
「サラシ巻いてるから大丈夫!!乳頭が見えてなきゃ恥ずかしくない!!」
私はフフンッと鼻を鳴らして言い
「これを!!」
そのまま瓶の封を開け
「こうして!!」
その瓶の中身を自分の胸元に勢いよくぶちまけ
「こうじゃぁぁぁッ!!」
そのまま目の前の箱のフタを開ける。
すると、一拍間を開けて
「ウゥー……!」
開いた箱の中から禰豆子ちゃんがゆっくりと立ち上がり、その身を大きく本来の姿になる。
「フゥ…フゥ…フゥ…!」
禰豆子ちゃんは目の前の私、その胸元に滴る紅い血に視線を釘付けにさせ、竹を咥えた口元からダラダラと涎を垂らす。
そんな禰豆子ちゃんの前でバッと無抵抗に寝ころび
「さぁ!!
誘う様に手招きをしながら叫ぶ私。
「楓子さん!!禰豆子!!」
「大丈夫!!」
目の前で鼻息荒く苦悶の表情の禰豆子ちゃんを見据えながら、炭治郎くんへ呼びかける。
「禰豆子ちゃんを!!自分の妹を信じなさい!!」
「楓子さん……」
私の言葉に息を飲んだ炭治郎くんは
「ッ!禰豆子!!」
「ッ!!」
禰豆子ちゃんの名前を力いっぱい呼ぶ。炭治郎くんの呼びかけにハッと眼を見開いた禰豆子ちゃんは
「ウゥー……!」
呻き声と共にゆっくりと箱から出て一歩一歩私に歩み寄ると、私のすぐ横で膝をつき
「ウゥッ!」
私が脱ぎ捨てた隊服の上着を手に取り、私の身体にそっと被せた。
『ッ!?』
その光景にその場の全員が息を飲み、私はニッと笑みを浮かべる。
「……どうしたのかな?」
唯一両目の光を失い見ることができないために状況がわからないお館様が問う。
「鬼の女の子は楓子さんに上着を被せました」
そんなお館様ににちかちゃんが言う。そして、それを引き継いでひなきちゃんが口を開く。
「『稀血』を素肌の胸元に被り目の前で無抵抗に寝ころんでいたのにも関わらず我慢して噛まなかったです」
「そうか……」
二人の言葉に頷いたお館様はニッコリと微笑みながら私の方に顔を向け
「楓子、いくら証明をするために必要だったとは言え、嫁入り前の女の子が肌を晒すのはあまり褒められたことではないね?」
「い、いや…大事な部分はちゃんとサラシで隠れてますから――」
「気を付けようね?」
「………はい、すみませんでした」
いつもの優しい笑みにもかかわらずどこか圧のある笑みと共に有無を言わせぬお館様の言葉に私は頷きながらそそくさと禰豆子ちゃんの掛けてくれた隊服の上着を羽織り袖を通す。
「ではこれで、禰豆子が人を――」
言いながらお館様が顔を柱の皆さんの方に向けて言いかけて
「お、お待ちください!」
それを焦った様子の不死川様がお館様の言葉を遮って言う。
「確かにその鬼はそいつを襲いませんでした!ですが、そいつの使った血が本当に『稀血』かどうかは疑わしいィ!」
「……はい?」
不死川様の言葉に私はあんぐりと口を開ける。
「い、いやいやいや!これは確かに私が知り合いの『稀血』持ちの隊員から――」
「黙れェ!」
言いかけた私の言葉に不死川様は一喝する。
「お前はその鬼を擁護する側だァ!お前の用意したものなど信用できるわけがないだろうゥ!」
「えぇ~……」
私は思わずため息をつく。
いや、確かに言わんとすることはわかるけど……
「往生際わるぅ……」
「ああァッ!?」
と、不死川様が私を睨む。
やっべ、声に出てた。
「てめェェ!!今なんて言ったァ!?『往生際悪い』だァァ!?」
「い、いや…その……」
不死川様の怒声に私は一瞬考えを巡らせ
「……いや、だって本当のことですし」
これは言い訳できないと思って開き直ることにした。
「あなたはさっき禰豆子ちゃんが人を襲わないことを証明したら認めるとおっしゃいました!それがどうですか!?いざ私が証明して見せればあれやこれやといちゃもんつけて反故にしようとしている!これが往生際が悪いと言わずしてなんだと言うんですかッ!?」
「てめェ…その口の利き方と言い、さっき人のことを大笑いして腐って、目上の人間への態度がなってねぇんじゃねぇのかァ!?」
私が不死川さんを指さしながら叫ぶと、その言葉に不死川様が口を引くつかせながら怒りを露わにし睨み、私もそんな不死川様を真っ向から睨み返す。と――
「ちょっと待って不死川さん!」
そんな私と不死川様の間に蜜璃さんが飛び込んでくる。
「た、確かに楓子ちゃんが不死川さんのこと笑ったのも今の言い方も少し良くなかったかもしれない!でも、だからって不正を働いたりしないわ!そこは訂正してちょうだい!」
今にも私に飛びかかりそうな雰囲気の不死川様から私を庇う様にバッと手を広げ、しっかりと不死川様を見据えて言う。
「甘露寺ィ!これはお前の監督不行き届きだぞォ!」
そんな蜜璃さんに不死川様はギロリと睨みつけて言う。
「待ってください!これは全部私の判断です!蜜璃さんは関係ありません!」
「いいやッ!お前は甘露寺の継子だァ!ならばその行動も師である甘露寺の責任だァ!」
私の言葉に一喝した不死川様は再び蜜璃さんに視線を向け
「甘露寺ッ!継子の教育はお前の責任だァ!伊黒と乳繰り合って恋愛にかまけてる暇があったらもっと継子への指導をしろォ!一匹でも多く鬼を狩れェ!そんなことでは柱失格だァ!!」
そう、恫喝した。
その言葉を聞いた瞬間――
「……あぁんッ?」
プツンッ、と私の中で何かが切れた。
というわけで判決まであと一歩!というところで食い下がる不死川さん。
果たして楓子ちゃんの地雷を踏みぬいた不死川さんの運命やいかに!?
お願い死なないで不死川さん!
あなたがここで倒れたら鬼との戦いはどうなっちゃうの!?
無惨の素顔も暴いた!
ここで素直に認めれば楓子ちゃんも許してくれるから!
次回!「不死川 死す」
デュエルスタンバイ!
というわけで今回の質問コーナーです!
今回はデンキヒツジさんから頂きました!
――「どんな女が 好みだ?」「男でもいいぞ」(ゴリラヴォイスで)
楓子「女性なら蜜璃さんみたいな天然系のほわほわした子と原作しのぶさんみたいなクールな子が好きです。でもこっちのしのぶさんみたいなTHEツンデレな子も好きです。男性なら男らしい人が好きです。物静かで、でも熱い感じの人がいいです」
――大正時代の知識量どんなもん?本編後立ち回れそう?
楓子「一応学校の授業の中で歴史は好きだったのでよく勉強してましたし、鬼滅の二次創作(錆兎の夢小説)書くために時代背景とかは結構調べたので、大丈夫かと……たぶん…恐らく…maybe」
ということです!
質問はまだまだ募集していますので、ドシドシどうぞ!
それでは今回はこの辺で!
次回もお楽しみに!
……一応言っておきますが上記の次回予告は嘘予告ですので(笑)
~大正コソコソ噂話~
楓子の栄養学の知識に乗っ取って原作よりも各所育っている蜜璃は隊服も少し変化しています。
より具体的にどう変化しているかというと、胸が大きすぎて前を留めると苦しいので原作では留めていた一番上のボタンを留めていません。
――というか留まらないです。
留められるサイズの服に作り直すと他のところが余ったりタボついて不格好になってしまうので仕方なくその様に着ています。