恋柱の継子、人の恋路に世話を焼く   作:大同爽

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投稿の間が空いてしまってすみません!
ちょっとあれこれ予定が立て込んで投稿の時間がなかなかまとまって取れなかったので少し間が空いてしまいました!
そんなこんなで最新話です!
今回はついに炭治郎君が煉獄さん宅へお邪魔しちゃいますよ!
そんなわけでどうぞ!





恋47 恋柱の継子と煉獄家

「さあ、竈門少年!もうすぐ我が家だぞ!」

 

「はい!」

 

 私の隣でニコニコと朗らかに言う杏寿郎さんの言葉に炭治郎君が頷く。

 無限列車での戦いから早いものでひと月が経とうとしていた。

 杏寿郎さんは猗窩座との一戦で私を庇って片腕を失う負傷をしたものの目を見張る生命力で回復、日常生活を送れるまでになって、最近ではこっそり木刀を持ち出して片腕で戦う訓練を独自に始めている。

 本当に柱になるような人の生命力には目を見張る。

毎回勝手に病室を抜け出す杏寿郎さんを引き摺って病室に連れ帰っては私と胡蝶姉妹にしこたま説教されているのに改めることのない杏寿郎さんに、いい加減病室で安静にさせることを諦めた私は、いい機会なので以前より考えていた杏寿郎さんの生家に炭治郎君を連れて行くことにした。

 杏寿郎さんの性格上病室で安静にしていろ、と言う方がそもそも間違いなのだ。適度に外に出ている方が気もまぎれるというものだろう。

 そのことを提案すると案の定快く了承した杏寿郎さんとともに、こうして煉獄邸に向けて歩いていた。

 

「あれは……」

 

「うむ、千寿郎だな!」

 

「千寿郎……?」

 

 向かう先に見覚えのある人物が家の前で箒掛けしている姿を見つけ私と杏寿郎さんは揃って声を上げる。

 

「ああ、俺の弟だ!」

 

「煉獄さんの弟さんですか!」

 

「……多分初見だとびっくりすると思うよ」

 

「どういう意味ですか?」

 

「それはまあ…見てのお楽しみかな」

 

「???」

 

 首を傾げる炭治郎君を連れて私達は歩む足を速め

 

「千寿郎ッ!」

 

「ッ!?」

 

 杏寿郎さんが大声で呼びかける。と、その声に俯いていた千寿郎君が顔を上げ

 

「あ、兄上……?」

 

「うむ、久しぶりだな!」

 

驚きに眼を見開く千寿郎君に杏寿郎さんが優しく微笑み左腕を上げて振る。

 

「兄上……兄上ぇッ!!」

 

 そんな杏寿郎さんの姿に千寿郎君は目に涙を浮かべ慌てて駆け寄ってきて飛びつく。

 

「おっと!?……ハハ、息災そうで何よりだ!」

 

「兄上こそ!よくぞお戻りなられて!!」

 

 片腕で優しく抱き留めた杏寿郎さんは千寿郎君の背中を優しく擦る。

 

「上弦の弐と遭遇して片腕を負傷されたと聞いていましたが……」

 

「ああ、この通りな!だが、楓子君のお陰でこうして生きている!」

 

「楓子さん……」

 

 杏寿郎さんの言葉に杏寿郎さんの固定された右腕に視線を向け、そのまま傍らに立つ私へ視線を向ける千寿郎君。

 

「楓子さん……」

 

「やぁ、千寿郎君」

 

 私はそんな彼の視線に微笑みながら、すぐに真剣な表情に変え

 

「その、私が着いていながら杏寿郎さんには柱を引退するような結果になってしまって…その……」

 

「いえ!謝らないでください!」

 

 頭を下げようとする私に千寿郎君は慌てて首を振る。

 

「兄がこうして生きて戻れたのは楓子さんのお陰です!あなたがいなかったら兄は…兄は……」

 

「そう言ってもらえるだけで幸いです……」

 

 涙を浮かべる千寿郎君に私は微笑む。

 

「楓子さん、本当にありがとうございました。兄上も本当によくぞ生きて戻られて……」

 

「フフ、もう泣くな」

 

 再び杏寿郎さんに視線を向けて涙ぐむ千寿郎君に優しく微笑みながら頭を撫でた杏寿郎さんは

 

「それで千寿郎、今日の件は先日手紙でも知らせた通り」

 

「は、はい。歴代の炎柱の手記の件ですよね……」

 

 杏寿郎さんの言葉に頷いた千寿郎君は涙を拭い頷いた。そこで改めて私達の顔を見渡し、そこで炭治郎君を見つけ

 

「あ…す、すみません、お客様がいらっしゃったのに……あなたが竈門炭治郎さんですね」

 

「は、はい!初めまして!」

 

「はい、自己紹介が遅くなりましたが、僕は兄上――煉獄杏寿郎の弟の千寿郎と言います。お話は窺っています。炭治郎さんも、どうぞこちらへ」

 

 千寿郎君に促され、私達三人は煉獄家の玄関へと向かい

 

「……ね?驚いたでしょ?」

 

 唖然としている炭治郎君に私は言う。

 

「は、はい。驚きました……」

 

 茫然としたまま頷いた炭治郎君は私に視線を向け

 

「弟さん、煉獄さんにそっくり過ぎませんか?」

 

 唖然としたまま呟く。

 

「私も初めて見た時びっくりした。なんか煉獄さんの家系はみんなこうなんだって」

 

「は、はぁ……」

 

 私の言葉に感心した様子で目の前を歩く煉獄兄妹の背中を見つめる。

 

「ちなみにもっと驚きのこと言っていい?」

 

「な、何ですか?」

 

「この家には、もう一人同じ顔の人がいるの」

 

「え……?」

 

 私の言葉に炭治郎君があんぐりと口を開ける。

 

「この家にはあともう一人、杏寿郎さんの先代炎柱である二人の御父上――煉獄愼寿郎さんがいらっしゃるんだけど……もう、三人並ぶとスゴいよ」

 

「す、スゴい……?」

 

「うん、まあ見てのお楽しみにってことで……」

 

 ゴクリと唾を飲む炭治郎君に私は曖昧に頷くのだった。

 

 

 〇

 

 

 

「どうぞ、粗茶ですが」

 

「ありがとうございます」

 

「ありがとう、千寿郎君」

 

 目の前に置かれたお茶に、炭治郎君とともに千寿郎君に頭を下げる。

 

「それと、こちらは楓子さんからいただいたスイートポテトです」

 

「おお!美味しそうだ!」

 

 私の持ってきた手土産のスイートポテトに杏寿郎さんが目を輝かせる。

 

「それでは、すみません。いま手記を持ってきますので」

 

 そう言ってペコリとお辞儀した千寿郎君はお盆を持って退室する。

 

「千寿朗もすぐに戻るだろう!竈門少年、遠慮はいらない!お茶でも飲んでゆっくり待っていてくれ!」

 

「は、はい!」

 

「スイートポテトも食べてねぇ~」

 

「はい!」

 

 杏寿郎さんと私に促され炭治郎君は湯飲みに口を付け、スイートポテトを頬張る。

 炭治郎君が手を付けたのを確認して杏寿郎さんもスイートポテトを頬張り

 

「わっしょい!!」

 

「ッ!?」

 

 杏寿郎さんの突然の大声に炭治郎君がビクッと驚きに体を震わせる。

 

「あぁ、そっか。炭治郎君は初めて見るのか…」

 

「うむ、すまない!癖なんだ!気にしないでくれ!」

 

「は、はぁ……」

 

 私は慣れたもので気にせずお茶をすすり、炭治郎君は頷く。

 そして、数分後――

 

「お待たせしました」

 

 千寿郎君が数冊の本を持って戻る。

 

「事前に楓子さんから窺っていた範囲の物だけですが」

 

「ありがとう」

 

 机の上に手記を並べる千寿郎君にお礼を言いながらその中の一冊を手に取る。

 私が頼んだのは歴代の炎柱の手記の中でも21代目のもの。原作でも確か炭治郎君達が目にしていたのはそれだったと記憶している。

私は早速手に取ったそれを開き素早く眼を通し

 

「なんだ…帰って来ていたのか、杏寿郎」

 

 のっそりと襖を開けて一人の男性が顔を覗かせる。

 

「はい!お久しぶりです父上!」

 

「ふんッ」

 

 頷いた杏寿郎さんに、しかし、その男性――元炎柱の煉獄愼寿郎さん、杏寿郎さん達の御父上は鼻を鳴らしのっそりと襖を開けてそこにもたれるように体を預け、手に持っていた酒の瓶に口を付けグビグビと煽る。

 

「……聞いたぞ、上弦の弐と交戦し、討伐の代償として利き腕を失くしたそうだな」

 

「……はい」

 

 ジロジロと睨むように杏寿郎さんを見た愼寿郎さんは口を開く。そんな愼寿郎さんの言葉にバツが悪そうに杏寿郎さんは頷く。

 

「ふんッ、たいした才能もないのに剣士になるからだ」

 

 ギロリと杏寿郎さんを睨みながら冷たい声音で言う愼寿郎さん。

 

「いつも言っているだろう。人間の能力は生まれた時から決まっている。才能のあるものは極一部、あとは有象無象、何の価値もない塵芥だ!!杏寿郎、お前も大した才能もない、今回生き残ったのはただ運がよかっただけだ!!」

 

 言いながら再び酒を煽る。

 

「まあその腕ではもう剣士としての道は断たれた。せいぜい自分の身の振り方を――」

 

「はぁぁぁぁぁ…愼寿郎さん、相変わらずですねぇ」

 

「ッ!?」

 

 私は大きくため息をつきながら言うと、今まで杏寿郎を見ていて私達の存在に気付いていなかったらしい愼寿郎さんが慌ててこちらに視線を向け

 

「お、大好楓子ッ!?お前が何故ここにいるッ!?」

 

「ちょっと用があって歴代炎柱の手記を見に来ました」

 

「おい、千寿郎!!聞いていないぞ!?」

 

「す、すみません父上……その……」

 

「私がお願いして口止めしていましたから」

 

「なッ!?」

 

 私の言葉に愼寿郎さんが眼を見開く。

 

「いつも前もって訪ねることをお知らせしてからくればシラフでしたが、本当にちゃんとお酒断ちできているのか気になっていたのですが……」

 

 言いながらギヌロと愼寿郎さんを睨みつける。

 

「愼寿郎さん……また、昼間から呑んだくれているんですか?

 

「ヒッ!?」

 

 睨みつけたままゆっくりと立ち上がる私に愼寿郎さんは小さく悲鳴を漏らす。

 

「ま、待て!待つんだ大好!!これは違うんだ!!」

 

何が違うって言うんですか?

 

 カクンと首を傾げながら一歩愼寿郎さんへ歩を踏み出すと怯えたように一歩後ろに下がる。

 

「その……きょ、今日は近所の友人に誘われて仕方なく……」

 

「……へぇ~?

 

「だ、だから今日はたまたまで!いつもこうして飲んでいるわけでは――」

 

「そうですか、そうですか」

 

 愼寿郎さんの言葉に頷いた私はニッコリと優しく微笑み

 

「確かにご友人に誘われては断りにくいですよね」

 

「あ、ああ!そうなのだ!俺も本当はそれほど飲むつもりはなかったんだが向こうがどうしてもと進めるから!」

 

「そうですよね。友人からの善意での誘いは断れませんよね」

 

「そうなのだ!よかった、わかってくれたか……」

 

 微笑みながら頷く私の言葉に愼寿郎さんはホッと息をつく。

 

「すみません、疑うようなこと言ってしまって」

 

「い、いや!いいんだ、わかってくれれば!」

 

「いえいえ、お詫びと言っては何ですが本日の夕飯は私が腕によりをかけて作らせていただきますので、どうぞご堪能下さい」

 

「あ、ああ。お前の料理の腕はなかなかだからな。期待しているぞ」

 

「ええ。ご期待に添えるものを頑張ってご用意いたしますね――あ、そうそう」

 

 頷いた私はふと思い出してポンと手を打ち

 

「今日の夕食用に買い物をしてから来たんですがね?」

 

「お、おう?」

 

「その際――酒屋さんにも寄ったんですよ」

 

「ッ!?」

 

 私の言葉を聞いた瞬間愼寿郎さんの顔一面にブワッと脂汗が浮かぶ。

 

「そこで、面白いことを聞いたんですよ。なんでも?愼寿郎さん、毎日お酒を買いに行かれているそうですね~?」

 

「い、いや、それは……」

 

 脂汗の浮かぶ顔を歪ませながら慌てた様子でワタワタと手を振って言い訳を紡ごうとする愼寿郎さんを見つめながら私は微笑みを浮かべたまま目をスッと細め

 

またァ…嘘をつきましたねェ…愼寿郎さん?

 

 




いつもより短いですが話が長くなりそうなのでここで区切ります!
ついに煉獄さんの家にお邪魔した炭治郎君!
そして、ついに煉獄家の面々との楓子の関係性の片りんも!

そして、煉獄家の歴代炎柱の手記の内容をついに次回確認!
煉獄家との絡みもお楽しみに!



そんなわけで今回の質問コーナーです!
今回は大筒木朱菜さんからいただきました!

――楓子さんの容姿は前世と同じでしょうか?もし違い場合は、今の容姿に関して何か思う点はあるでしょうか?


楓子「私の見た目?だいぶ変わってるよ。とりあえず今の見た目には不満ないよ。自分でもさんざん言ってるけど美少女だし。なんならおっぱいは前世より大きくなったし」

――そして、楓子さんの前世の世界では『マジ恋』は存在していたでしょうか?もし存在していた場合は、生まれ変わってから『マジ恋』の技をやってみようとした黒歴史はあるでしょうか?

楓子「『マジ恋』あったよ~。私、推しが義経ちゃんなんだけど、義経ちゃんが初登場した時の壁面走行好きでやってみようと狭霧山の滝つぼで試そうとしてうっかり脚滑らせてそのまま滝つぼに頭から突っ込んで風邪ひいて三日寝込んだのは黒歴史かな」

ということでした!
ちなみに楓子ちゃんの前世の姿はどこかで出そうと思っていたのでいい機会なのでここで出しちゃいます。
と言うかここ逃すと当分ないし何なら本編で触れることないと思うので……(;^ω^)

【挿絵表示】




そしてさらに、月宮塚帖さんからのファンアートを頂きました!

【挿絵表示】

月宮塚帖さん素敵なイラストをありがとうございます!


そんなわけで今回はこの辺で!
……最後にちょっとした世間話なんですが、この度オリジナルの短編を投稿したのでよければ読んで感想等いただければ幸いです。
完全にオリジナル、鬼滅と全く関係ない話なのでご了承ください。
以上!完全に宣伝でした!
次回の『恋柱の継子、人の恋路に世話を焼く』お楽しみに!



~大正コソコソ噂話~
楓子ちゃんは杏寿郎さんから呼吸の指導を受けて鬼殺隊に入りましたが、それ以降にもお盆や正月など、さらには暇を見つけて度々顔を見せに言っていました。その度に料理を振舞うために煉獄家の近くの商店にはよく顔を出し店員との親交を深めていました。なので実はもっと以前から愼寿郎さんが毎日のようにお酒を飲んでいた情報はつかんでいましたがいままで泳がせていました。さすが楓子ちゃん、性格が悪い!

楓子「私の顔の広さを知らなかった愼寿郎さんが悪い!」


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