楓子が魘夢の血鬼術を受けたら、別バージョンです。
前回はシリアス目だったのでこっちはギャグマシマシです!
あと先にご注意しておきますが、後半に少しR17.5くらいの描写がありますのでご了承ください!
それではどうぞ!
――ねんねんころりこんころり
――息も忘れてこんころり
――鬼が来ようとこんころり
――腹の中でもこんころり
「…zzZ…zzZ…zzZ――んあッ」
深い微睡みから浮かぶ感覚とともに私はパチリと目を開ける。
視線を巡らせれば四年以上寝起きし見慣れた天井で、横に向ければ障子の向こうからは明るい陽光が差し込んでいて……
「ん?」
そこでハタと気付く。
いつも起きてる時より……なんか明るくない?
「ッ!」
慌てて跳び起き壁に掛けた時計を見れば――
「ね、寝過ごした!!!」
いつも起きる時間よりも実に二時間も遅く起きてしまった。明るくなっているはずだ。
私は慌てて来ていた寝間着の浴衣を脱ぎ捨て隊服を着て居間に向かって駆ける。
「すみません!!寝過ごしました!!」
襖を開けて飛び込むと
「まったく、師より遅く起きる弟子があるか」
「いいのよ、ふーちゃんは普段からよくしてくれてるから、たまにはゆっくりしてもいいのよ」
「甘い!
「でも
「それはわかっているが……」
蜜璃さんの言葉に小芭内様がため息をつき
「と言うかだな、そもそも蜜璃に負担を掛けないように俺達で家事を分担すると言ったのはお前だよな、大好!?」
「うッ……」
小芭内様のジト目での言葉に私はそっと目を背ける。
「蜜璃に大人しくしてもらうためにと、俺にまで料理を筆頭に家事全般を教え込んだのに」
「そ、それは……」
「身重の妻を労わるのは夫の役目、とかなんとか言ったくせに、言った本人のお前が寝坊とは、いいご身分だなぁ?」
「くぅッ!不甲斐なし!!」
私は膝から崩れ落ちて床を拳で叩く。
「ふーちゃん!それに小芭内さんも気にしすぎ!私別に大丈夫だから!ほら!」
と言いながら手をついて立ち上がろうとした蜜璃さんだったが――
「あッ!」
バランスを崩したらしくついた手を滑らせて倒れそうになり
「おっと!」
それを寸でで小芭内様が受け止める。
「あ、ありがとう、小芭内さん!」
「まったく……気を付けろ?君が手伝ってくれようとする気持ちは嬉しいが、もう君一人の身体じゃないんだから」
そう言いながら小芭内様はそっと蜜璃さんのお腹に手を置き優しく撫でる。
その
「大好の話では安定期に入っているらしいが、それでも君やこの子に何かあってはと思うと俺は……」
「小芭内さん……」
「蜜璃……」
「小芭内さん♡」
「蜜璃♡」
「小芭内さん♡」
「蜜璃♡」
「仲いいなぁ、二人共……」
手を取り合い見つめ合って二人の世界に入っている蜜璃さんと小芭内様を見ながらわたしは苦笑いを浮かべる。
心なしか二人を取り巻く景色がピンク色に染まり♡が飛び交っているようにもみえる。
「まったく……ちょっと前までは手を握るだけでも赤面してモジモジしてたのに――ん?」
呟きながら私は座ろうとして、自分の言葉に違和感を覚える。
――あれ?ちょっと前まで……?それっていつだっけ……?蜜璃さんは安定期入ってそろそろ妊娠6か月くらいだよね……?半年前ってことは……私炭治郎君達と一緒にいた頃?いやもっと前?そんな頃にお二人はそんな関係まで進展してなかったよ…ね?……あれ?そもそも二人はいつ祝言あげた……?
私は覚えた違和感を探って思考するが
「どうしたの、ふーちゃん?」
「ッ!い、いえ…なんでもありません……」
「ふん、まだ寝惚けてるんじゃないか?」
「いえ、ちゃんと目は覚めてますよ……それと、人に嫌味言う時くらいはイチャつくのやめたらどうですか?」
「おっと/////」
「あッ/////」
私の指摘に二人は今更ながらに手を握り合ったままだったことに気付き、慌てて手を離す。
「まあ、仲が良いのはよろしいですが、節度を持って、蜜璃さんの身体に障らない程度に収めてくださいね。あと、恥ずかしくなるくらいなら私がいないところで二人っきりでゆっくりとお楽しみください」
「「ふ、二人っきり……/////」」
「……一応もう一度釘刺しておきますけど、蜜璃さんの身体に障らない程度に、ですからね?」
「わ、わかっている!そ、それよりもお前もさっさと朝飯を食ってしまえ!今日は予定があるんだろうッ?」
「予定?」
「まったく、やはりまだ寝惚けているらしいな」
「……なんでしたっけ?」
「昨日自分で言っていたではないか。
「ッ!?そうだった!」
私は小芭内様の言葉にハッと思い出す。
いやいやなんでそんな大事なことを忘れていたのだろうか!これは本当にまだ寝惚けているのかもしれない!
「こうしちゃいられない!早く朝ごはん食べて準備しないと!」
「いや、いくら何でも早すぎるだろ?出掛けるのは昼前だろ?」
「女にはいろいろと用意があるんですよ」
「たかが買い物に何の用意がいるんだか……」
「お風呂入って体を綺麗にしたり、勝負下着用意したり?」
「……買い物に行くんだな?」
「そうですよ。でも、もしかしたらそのままお持ち帰りされるかもしれないじゃないですか」
「ハッハッハ~、面白い冗談だ。あの堅物の錆兎が婚姻前に契りを交わすとは思えんがな」
「あッ!私には無理だと思ってますね!今度こそは錆兎さんを篭絡して見せますから!」
「ハンッ!耳にタコだな」
「ぐぬぬぬ~……」
鼻で笑う小芭内様に私は顔を顰めるが
「大丈夫よふーちゃん!
「蜜璃さん……!」
「小芭内さんだって正式に祝言を上げたらしてくれたし!大丈夫よ!」
「蜜璃、そういうことはあまり……」
「小芭内様は堅物なんじゃなくてただのヘタレですけどね」
「喧しい!!」
私の言葉に小芭内様は叫んだ後にため息をつき
「まったく、準備するんならなおのことさっさと食ってしまえ。俺ももう食い終わってるし、蜜璃もこれで終いだ。お前が食わんといつまでも片付かん」
「は~い」
私は机に向き直し
「料理番、朝食をここに」
「貴様何様だ?まったく……」
パンパンッと手を叩きながら言った私の言葉に小芭内様はギヌロッと睨みながらもちゃんと私の分の朝食を準備してくれる。
「料理番よ、今日の献立は?」
「はぁ…白米に味噌汁、焼き鮭、それにホウレンソウの煮びたしだ」
「うむ、結構」
「はっ倒すぞ!いいからさっさと食え!!」
「は~い」
私は肩を竦めて気を取り直して両手を合わせ
「いただきま~す」
挨拶とともに箸を手に取り味噌汁のお椀に口を付け
「ちょっと小芭内さん?この味噌汁味が濃いんでなくて?私に塩分過多で死ねとおっしゃりたいのかしら?」
「お前は嫁をいびる小姑か!いいから黙って食え!」
「ほんの軽い冗談なのに……」
睨む小芭内様に肩を竦めながら私は食事を再開するのだった。
それから私は朝食を食べ、お風呂に入って入念に身体を綺麗にし、勝負下着を履いて、その他もろもろの準備を整えた私は余裕を持って待ち合わせ場所に向かった、が――
「ん?あぁ来たか」
そこにはもうすでに待ち合わせ相手の錆兎さんが来ていて
「さ~びとさぁ~ん!」
私は走って駆け寄った勢いのまま抱き着こうと飛びかかり
「ふッ」
しかし、錆兎さんは寸前でひらりと躱し
「ぐえッ!?」
私は錆兎さんが背中を預けていた壁に顔面から突っ込む。
「……ヒドい……なんで避けるんですか?」
「出会い頭に突進して来られれば誰だって避けるだろ」
「突進じゃありません!恋人との愛の抱擁です!」
「そうか」
「では改めまして」
私はコホンと咳払いし
「さぁ~びとさぁ~んッ!ジュ・テェェェンム!」
再び飛びかかり
「むがッ?」
頭をアイアンクローで掴まれる。
「何故止めるんですか?」
「何故口を尖らせている?」
「……欧米ではですね」
「はぁ?…ああ」
「欧米では、抱擁も接吻も挨拶なんですよ」
「……そうか」
「と言うわけで手、放してもらっていいですか?」
「断る」
「なしてッ!?」
「ここは日本だ。往来で男女が妄りに抱擁や接吻をするのははしたないのではないのか?」
「ぐッ!ド正論!!」
錆兎さんの言葉に私は膝をつき拳で地面を叩く。私が諦めたと思ったらしく手を離す。
「――と見せかけて!」
その一瞬の隙を見逃さず私は飛びかかり――
「せいッ!」
「ぎゃふんッ!?」
気付けば転がし祭りの要領で私は地面に転がされていた。
〇
「もう!錆兎さんはホントに!恋人のことをポンポン投げないでくださいよ!」
それから気を取り直した私は錆兎さんと腕を組んで隣を歩きながら文句を言う。
「私のことなんだと思ってるんですか!?もっとイチャイチャしてくれてもいいじゃないですか!?釣った魚には餌あげない主義ですか!?錆兎さんの堅物!日本男児!そう言うところが好き!!」
「文句を言うのか惚気るのかどっちかにしろ。あと近い」
私に言いながら錆兎さんはため息をつく。
「いいじゃないっすかちょっとくらい」
「だが……」
「錆兎さんは柱だし、私も情報戦略部や医療部門の仕事でお互いなかなか会えないんですから、たまに会えた時くらいこうしてくっついて『錆兎さん成分』を摂取させてくださいよ」
「なんだ『俺成分』って?」
「錆兎さんから摂取できる特殊成分です。それが切れると禁断症状が出ます」
「禁断症状?」
「眩暈やひきつけ、手の震え、過呼吸などです」
「難儀な身体だな」
「なんですか他人事みたいに!こんな身体にしたのは錆兎さんでしょう!?」
「人聞きの悪いことを言うな。お前は初対面からずっとその調子だった」
錆兎さんは面倒臭そうに言う。
「なんですか?何が不満なんですか?」
「もっと節度を持った交際をしろって言ってるんだ!」
「ちぇ~……」
私は渋々錆兎さんの腕から離れる。錆兎さんもまだ少し近さに不満はありそうだったが一応は納得した様子で黙っている。そんな錆兎さんに微笑みかけながら
「で?今日は冨岡夫妻の出産祝い買うんでしたね?」
「ああ。と言ってもお前の師匠んとこと同じでまだ予定日は当分先だがな」
「うちの蜜璃さんと違ってしのぶさんはつわり酷かったですねぇ~」
「ああ、何かとイライラしてたらしくて義勇のあの言葉足らずが癇に障るみたいでちょくちょく夫婦喧嘩起こして、その度に俺と真菰で仲裁する羽目になって……」
「あ、アハハハ……ホントお疲れ様です」
苦労を思い出した様子で疲れた顔で言う錆兎さんを労う。
「まあとにかく、出産祝いを兼ねてしのぶさんを労ってやりたくてな」
「なるほど、そう言うことならお任せください!」
「ああ」
敬礼して見せながら言う私に錆兎さんは頷き
「とりあえず先に腹ごしらえからだ」
「は~い」
歩く錆兎さんについて行き、定食屋で食事をし、その後いろいろと商店を周り――
「大好、今日はありがとう。お陰でいいものを見繕うことができた」
「いえいえ、お役に立ててよかったです!」
錆兎さんの言葉に私は笑顔で頷く。
「さて、目的も果たせたしそろそろ帰るか」
「あ、最後に一か所寄ってもいいですか?」
「構わんが…どこに行くんだ?」
「神社なんですけどね」
「神社?」
「はい、近くに安産祈願で有名な神社があるんです。しのぶさんと蜜璃さんの安産祈願とお守りを贈りたいなぁと」
「なるほどな。よし、行こう。案内してくれ」
「はい!」
錆兎さんの言葉に頷き神社へ先導する。そして――
ペコッ ペコッ パンパンッ!
二人で並んで社に向かって二礼二拍手をし、
「「…………」」
揃って顔の前で手を合わせて拝む。そして、ペコッとお辞儀をする。
「……よし、あとはお守りを買いに行くか」
「はい!」
そのまま社の横でお守りを買いに行く。
「すみませ~ん、安産祈願のお守り二つください」
「はい、少々お待ちを」
巫女さんに言うと、巫女さんは笑顔で用意してくれて
「はい、どうぞ」
「ありがとうございます」
巫女さんの差し出すお守りを受け取り、代わりにお代を渡す。と――
「元気なお子さんを生んでくださいね」
巫女さんが笑顔で言った。
「はい!もちろんです!ね、あなた?」
「おい、シレッと嘘を言うな嘘を。違いますから、安産祈願は友人の分です」
「もう!照れなくてもいいのに~!このこの~♪」
「ウザったい」
「でも実際私も自分の分で一個持っておきましょうかね?すみません、やっぱりもう一個――」
「いらん!余計なもの買うな!!」
「やだやだやだぁ!私の分も買うぅ!錆兎さんとの元気のいい赤ちゃん生むために今から買うのぉ~!買うのぉ~!」
「駄々っ子かお前は!!いい年してみっともない!!」
「やだやだやだやだぁ~!!」
「あぁもう!いいから来い!!」
なおも駄々をこねる私に見かねた錆兎さんが引き摺って行き
「ああもういい加減泣き止め!」
「あうッ」
神社の裏手まで引き摺られた私はペイッと投げられる。
「もう!なんで邪魔するんですか!?」
「そりゃするだろうが!俺達はまだ結婚もしてないのに安産祈願のお守りなんかいるかッ!」
「まだってことはいつか結婚してくれるんですか?」
「ッ!!あ、上げ足を取って話を逸らすな!!」
私の問いに顔を真っ赤に染めて錆兎さんが叫ぶ。
「だってぇ~……」
私はそんな錆兎さんの様子にシュンと俯く。そんな私を見て錆兎さんは大きくため息をつき
「まったく…これは帰り際に渡すつもりだったが……ほら」
言いながら錆兎さんは隊服のズボンに手を入れ、何かを取り出し私に差し出す。
「これ……」
「まあ、なんだ……今日は付き合ってもらったし、礼はしないとな」
「錆兎さん……そう言うところがらいちゅき!!」
「はいはい、わかったから」
照れて頬を掻く錆兎さんに抱き着くと優しく頬見ながら錆兎さんが私の背中に手を回してポンポンと背中を撫でる。
「さぁほら、いつまでもこうしてないで受け取れ」
「はい!」
錆兎さんの言葉に頷き私は包みを受け取る。
「開けてもいいですか!」
「ああ」
錆兎さんが頷いたのを確認して包みを開ける。と――
「これ…髪飾りですか?」
「ああ。お前に似合いそうだと思ってな」
そこにはピンクの花をあしらった髪飾りが入っていた。
「可愛い!ありがとうございます!」
「気に入ったならよかった」
「はい!……それで、あのひとつお願いが……」
「ん?なんだ?」
「よければ…これ着けていただけますか?」
「……貸してみろ」
「ッ!はい!」
錆兎さんの差し出す手に髪飾りを渡す。
受け取った錆兎さんは私の左側に立ち私の髪にそっと触れる。
「んッ♡」
「変な声を出すな」
「す、すみません。くすぐったくてつい……」
「まったく……」
ブツブツ言いながら錆兎さんは私の髪に手早く髪飾りを着け
「ほら、できたぞ」
「ありがとうございます」
頷き、私は左側につけてもらった髪飾りを手で触って確認しながら微笑む。と――
「あぁ~その、なんだ……」
錆兎さんがブツブツと言い淀みながら視線を外し
「その……似合ってるな」
「え?すみません、よく聞き取れなくて」
ボソボソッと言った言葉が聞きとれず私は訊き返す。
「だ、だから……!」
錆兎さんは怒ったように語調を強め
「に、似合ってるって言ったんだ!」
「ッ!?」
叫ぶように言ったその言葉に私は唖然と眼を見開く。
「な、なんだ……!?」
「いや…なんて言うか……」
顔を赤らめている錆兎さんに私は大きくため息をつき
「もぉ~!そういうとこずっちぃ~なぁ~!!」
叫びながら顔を覆ってしゃがみ込む。
「ズルいってなんだズルいって!!」
「だって、いっつもは冷たくムチばっかりなのに、こうやって時々アメ与えて…そう言うところが好き!!私の性癖わかってるんだから!!」
「知るか!!」
「もう!そんなこと言ってぇ~!」
「ほら、言ってないでそろそろ立て!帰るぞ!」
「は~い」
錆兎さんの言葉に頷いて立ち上がり
「あ、錆兎さん」
先に歩き始めていた錆兎さんを呼び止める。
「ん?どうし――」
言いながら振り返った錆兎さんに
「んッ♡」
「ンムッ!?」
不意打ちで錆兎さんの唇に自分の口を押し当てた。目の前でドアップの錆兎さんの瞳が驚愕に見開かれる。
そのまま唇を合わせ
「ぷはッ!」
数秒程で唇を離す。
「お、おまッ!?」
「えへへへ……」
今だ驚いている錆兎さんに私ははにかみ
「驚かされたんで私もお返しです!ビックリしました?」
「…………」
「ってぇ…あれ?」
私の言葉に、しかし、錆兎さんは俯き顔を右手で覆い
「お前は……そう言うところだぞ」
「え?いや…えっと……」
指の間からギロッと睨まれ、私はその眼光の圧に私は気圧され
「え~っと……お、怒っちゃやぁ~よ♡」
「(ブチッ)」
エヘッとお道化て笑みを向ける。と、何かが千切れる音が聞こえた気がした。そして――
「や、あの…錆兎さん?」
「…………」
「あ、あの…なんで無言でこっちに来るんですか……?」
「…………」
「あの…錆兎さん…?錆兎さ~ん…?」
「…………」
無言で歩み寄ってくる錆兎さんに私は少しずつ後ろに追いやられ
「あッ?」
背中が木の幹にまで追いやられ、直後――
バンッ!
「やだ、壁ドン……」
私の顔の横の幹に錆兎さんの手がつかれ
「お前……俺がこれまでどんな気でいたかわかってるのか?」
「え?そりゃわかってました――」
「いいや、わかってない!」
私の言葉を遮って錆兎さんは言いながら私の顎を手でつまむように無理矢理上を向かせる。
「うわぁ…顎クイまで……」
私の呟きなど気にせず無理矢理視線を合わせさた錆兎さんが
「そろそろ、我慢の限界だ」
「え?それどういう――」
言いかけた私の言葉を
「んッ」
「ンムッ!?」
無理矢理唇で塞いだ。そして――
「ンムッ!?レロッ!」
唇を割って生温かい錆兎さんの舌が私の口の中に侵入し、そのまま乱暴に蹂躙し、そのまま数十秒…もしかしたら数分、とにかく酸欠で頭が回らなくなるほどされるがままになった私は
「プハッ!?」
唐突に解放され
「はぁ…はぁ…はぁ…」
酸素を求めて荒い呼吸を繰り返す。
「おい、へばるのはまだ早いぞ」
「え……?」
そんな私にニヤリと口元に笑みを浮かべた。
「あ、あの…まさか……?」
「先にしたのはお前なんだから、俺ももう我慢しねぇからな?」
「え、いや…あの……初めてで青姦はハードル高いと言いますか……」
「うるさい」
「ンムッ!?」
短い言葉とともに再び口を塞がれ
「ンンッ!?」
錆兎さんの右手が私の胸に押し当てられる。
「ちょッ!――ンンッ!?」
抵抗しようとするものの、すぐに私の両手は頭の上に押しやられ錆兎さんの左手だけで押さえつけられる。そして――
「んッ♡んんッ♡あッ♡」
口を唇で塞がれたまま錆兎さんの右手が私の身体を艶めかしく撫で回し、私の口からは自分でも信じられないくらい艶のある声が漏れる。私はなおも身を捻って抵抗するが、錆兎さんはそれを無視して続け、そしてついに、錆兎さんの右手がゆっくりと私の胸からお腹をつたい、ゆっくりとさらに降りてきて――
「フンッ!」
「がッ!?」
そこで私が大きく頭を振って錆兎さんの顔に頭突きを叩き込む。その痛みに一瞬錆兎さんの拘束が緩み
「せいやッ!!」
「かはッ!?」
その隙をついて錆兎さんの股間に膝を叩き込んだ。
「あッ!あがッ!?」
痛みに顔を顰め、股間を抑えて倒れる錆兎さんを見下ろしながら
「……はぁ~…クソッ最悪!ここまで気付かないなんて!」
私は頭を掻き毟り舌打ちし
「はぁ……」
腰から日輪刀を抜き、それを首に押し当て――
――ずぶッ
無限列車の一両目、その屋根の上で炭治郎はこの元凶たる鬼、魘夢と対峙していた。
「せっかくいい夢を見せていたでしょう。お前の家族みんな斬殺する夢を見せることもできたんだよ?」
魘夢の言葉に炭治郎は茫然と眼を見開き
「今度は父親が生き返った夢を見せてやろうか」
次いで囁かれた魘夢の言葉に炭治郎がカッと怒りの表情を浮かべ
「人の心の中に、土足で踏み入るな!!俺はお前を許さない!!」
そのまま日輪刀を抜き去り
「水の呼吸・拾ノ型!『生生流転』!!」
呼吸を練り上げ魘夢へと向かって行――こうと一歩踏み出したところで
「だらっしゃぁぁぁぁッ!!!」
背後で怒声とともに何かが壊れる音がする。
その音に視線を後ろに向けると
「ふ、楓子さんッ!?」
そこには怒りの形相で跳び上がりこちらに駆けてくる楓子の姿があった。
「あれぇ?君も起きてたんだぁ。君にも死んだ好きな人といい仲になる夢を見せて――」
言いかけた魘夢の言葉を
「黙れ腐れ外道がァァァッ!!!」
楓子の怒声が遮る。
そのままわき目も降らずにかけてきた楓子は
「よかった!楓子さんも目が覚めたん――」
言いかけた炭治郎の言葉を一切無視して炭治郎の脇を駆け抜け
「強制昏倒催m――」
「喰らうかビチクソがぁぁぁぁッ!!」
叫びながら楓子は懐から取り出した野球ボールサイズの球を投げつける。その球は――
ボンッ!!
「ガハッ!?」
魘夢の目の前で紫色の煙を上げて爆発する。その衝撃に魘夢の血鬼術が途中で遮られ
「初めてで無理矢理青姦を強要するわけないだろう、錆兎さんがぁぁぁぁッ!!解釈違いも甚だしいッ!!私の推しを侮辱するなぁぁぁぁッ!!!」
そのまま爆発のダメージに怯んでいた魘夢の頸を斬り飛ばし
「どっせいッ!!」
そのまま残っていた身体を蹴飛ばし、一切足を止めないまま駆け抜け
「邪魔ぁぁぁッ!!!」
運転席の屋根を斬り裂き、驚愕に眼を見開く運転士には目もくれず
「炎の呼吸・壱ノ型!!『不知火』!!」
運転席の床を斬り付ける。
はじけたその床の向こうに巨大な首の骨が露出し
「はぁぁぁぁぁッ!!!!」
そのまま日輪刀を構え
「やめろぉぉぉッ!!」
運転士が手にキリを構えて
「1!2!3!大好キック!!!」
向かってくる運転士に回転を加えた、見る人が見れば「あれ?天の道を往き総てを司る男かな?」と思うような華麗な上段蹴りを運転士の首に叩き込む。
「かはッ!?」
そのまま昏倒した運転士に目もくれずにそのまま巨大な頸の骨に向き直り
「肆ノ型!『盛炎のうねり』!!」
素早く骨を断ち切った。
「ふぅぅぅ……」
そのまま楓子は息を吐きながら足を揃えゆっくりと右手を掲げながら人差し指で天を指し
「お祖母ちゃんが言っていた、この世にマズい飯屋と悪の栄えた試しは無い」
呟くのだった。
と言うわけで、『もしも楓子が魘夢の血鬼術を受けたら』アナザーでした!
楓子ちゃんの欲望マシマシでしたが、最後に魘夢が起こした楓子との解釈違いのお陰で難を逃れましたね!
あまりの怒りに楓子ちゃん、なんで魘夢が列車と一体化していたか、とか情報の統合性とか無視して突っ走りましたね!
地雷を踏むと怖いですね!皆さんもお気を付けて!
そんなわけで今回の質問コーナー!
今回は大筒木朱菜さんからいただきました!
――楓子さんの年齢が16歳となっていますが、それは生まれたときは0歳で、誕生日で1歳を迎える現代日本での年齢計算ですか?
それとも大正時代に一般的だった生まれたときが1歳で、新年を迎えると年齢加算がされる『数え年』ですか?
もし、前者での計算なら大正時代での年齢計算で約17歳7ヶ月、後者の場合は現代年齢計算で約14歳3ヶ月ということになります。
(楓子さんの場合は現代年齢計算と数え年計算では約1歳7ヶ月5日の誤差が発生するので)
楓子「そこは読んでる人分かりやすいし私も前世で鳴れてたから前者で計算してますよ。ちなみに他の登場人物の年齢も同じようにしてます」
ということでした!
後ついでに前々回でやった『本編で出そうかと思ったんですが、上手く絡められなかったのと、タイミングが遅くなりそうなので出るころには廃れてそうなので早めに供養もかねてここで上げちゃいます』パート2です!
【挿絵表示】
そんなわけで今回はこの辺で!
次回からはまた本編に戻りますが、もうそろそろ本編話数が50話になるので、その時にまた番外編を書こうと思います!
次の番外編はキメツ学園の続編を予定していますのでお楽しみに!
と言うわけでまた次回お会いしましょう!
~大正コソコソ噂話~
楓子ちゃんは前世で仮面ライダーも好きだったのでいろんな再現が可能そうなライダーキックを練習しています。今回のアレもその一つです。