恋柱の継子、人の恋路に世話を焼く   作:大同爽

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最新話です!
今回はここのところ出番の少なかった楓子の最推しCPの登場です!





恋53 恋柱の継子と地獄の特訓

「ふ~ちゃぁぁぁん!」

 

「蜜璃さぁぁぁぁん!」

 

「「ヒシッ!!」」

 

 楓子は駆け、対する蜜璃も駆け、二人は互いに熱い抱擁を交わす。

 ここは萌柱邸の前、満面の笑みで抱き合う二人を少し後ろから小芭内が苦笑い気味に見つめ

 

「久しぶりね、ふーちゃん!元気にしてた?ちゃんとご飯食べてる?ちょっと痩せたんじゃない?」

 

「ふふ、健康には十分注意してますよ。なんたって私医者ですから」

 

「そう?でも、なんだか身体が温かい気がするわよ?熱でもあるんじゃ……」

 

「さっきまで温かいお茶を飲んでたんでそのせいですね」

 

「そう?」

 

 自分の額に手を当てながら楓子の額に手を伸ばす蜜璃。そんな蜜璃の手を取ってニッコリ微笑む楓子に蜜璃は少しジッと楓子の瞳を見つめ、すぐに微笑みを浮かべる。

 そんな二人の様子を見ながら苦笑いを浮かべる小芭内は

 

「久しぶりと言ってもそんなに期間が空いたわけでもないがな」

 

「それはそうですけどね、気持ちの問題ですよ」

 

「前に珠世さんをみんなに紹介してくれた時以来だからね。それ以来炭治郎君達の特訓や研究の為にふーちゃんバタバタしてたし」

 

 呆れ混じりの苦笑いを浮かべる小芭内に楓子と蜜璃は答える。

 

「お二人こそ今日は来ていただいてありがとうございます」

 

「そんなの気にしなくてもいいのよ!ふーちゃんの頼みだもの!」

 

「まあ甘露寺がどうしてもと言うからな」

 

「フフ、とか言って伊黒さんもちょっと嬉しそうだったわよ」

 

「なッ!?そ、そんなことは――ッ!?」

 

「なんですかもぉ~!伊黒様は相変わらずツンデレさんですねぇ~!」

 

「チッ」

 

「ちょっと蜜璃さん聞きました?舌打ちしましたよ、この人。ちょっと乱暴なんじゃございません?」

 

「フフ、伊黒さんなりの照れ隠しなのよ」

 

 コソコソと言う楓子に対して蜜璃はニッコリと微笑みながら返す。

 そんな二人の様子にコホンと咳払いをする小芭内。

 

「で?例のお前の継子達は?」

 

「奥の道場で待ってますよ。準備運動がてら軽い運動で体温めてます」

 

 小芭内の言葉に頷いた楓子は、こちらです、と二人を玄関の方に招き

 

「あ、一応断っておきますが、彼らは私の継子じゃないですよ?面倒は見てますが」

 

「そうなのか?」

 

「ふーちゃんが気に掛けてるみたいだしてっきり継子にしたのかと……」

 

 楓子の言葉に驚いた様子の小芭内と蜜璃に頷く。

 

「まあいろいろ思うところありまして。今後考えていることを試しているんですよ」

 

「考えていること?」

 

「ええ」

 

 首を傾げる蜜璃に頷いた楓子は言う。

 

「柱が行う集団修業の有用性についてです」

 

 

 

 〇

 

 

 

「はい、と言うわけで三人は前に義勇さんとしのぶさんの披露宴で会ったよね?私の師匠の甘露寺蜜璃さんとその婚約者の伊黒小芭内様!」

 

「よろしくね!」

 

 楓子の紹介に蜜璃はにこやかに言い、小芭内は無言で品定めするように目の前の三人を見る。

 対する三人は

 

「よろしくお願いします!」

 

 炭治郎は新たな強くなるチャンスに期待に胸を膨らませ

 

「お、おぅ……ッ!」

 

 善逸は目の前の美しく整った蜜璃の顔とその日本人離れしたプロポーションに興奮しながらもその隣に立つ小芭内の鋭い視線に身をすくませ

 

「…………」

 

 伊之助はしげしげと蜜璃を見つめる。

 

「お二人は私なんかよりも技量も経験も上だからきっと勉強になることも……伊之助君?」

 

 言いかけた楓子は伊之助の視線に首を傾げ

 

「どうしたの?蜜璃さんが何か気になる?」

 

 問いかける。問いかけながら頭の中では、伊之助君って今までそういう素振り無かったけどついに性の目覚めか?と少し興味深げに返答を待ち

 

「………なぁ、前から気になってたんだがよぉ」

 

 そんな楓子と他の面々の視線を受けながら伊之助は対面の蜜璃に問いかける。

 

「うん?なあに?」

 

 伊之助の問いに蜜璃は笑顔で首を傾げ

 

「お前、なんで胸にスイカ入れてんだ?」

 

「……ッ!?」

 

 伊之助の言葉にピシッと凍り付く。

 

「なぁッ!?おまッ!?」

 

「コラ、伊之助ッ!?失礼だろッ!!」

 

「あぁ?何がだ?」

 

 善逸と炭治郎が慌てて注意するが当の本人はきょとんと首を傾げる。と――

 

貴様いい度胸だな……

 

 地の底から響いてきたかと錯覚するような底冷えするような怒気を孕んだ声に炭治郎と善逸の背筋にゾクリと悪寒が走る。

 恐る恐る二人が振り返ると、そこには腰の日輪刀に手を掛けた小芭内がいて

 

三枚におろしてやるからそこになおれ

 

「「ヒィィィィッ!?」」

 

「ッ!?」

 

 底冷えする絶対零度の声音とは裏腹にその瞳に燃え盛る炎のような怒りを燃やす小芭内の姿に炭治郎と善逸が悲鳴を上げ、伊之助もその気迫に気圧される。

 が――

 

「はい、そこまで」

 

 そんな三人と小芭内の間に楓子が割って入る。

 

「伊黒様も心中お察ししますが、彼は元野生児で実年齢と中身と言うか知識と言うかが乖離しているというか、とにかくいろいろと変わった子なので許してあげてください」

 

「…………」

 

「お願いします」

 

「……ふんッ」

 

 楓子の言葉に小芭内は渋々刀を収める。そんな小芭内に頷いた楓子は

 

「そして伊之助君」

 

「あぁ?んだよ?」

 

 伊之助に向き直る。

 

「蜜璃さんのこれはスイカじゃなくて胸、おっぱい」

 

「あぁ?胸だぁ?でもこんなでけぇの――」

 

「うん、言わんとすることはわかるよ。私だって平均より大きい自負はあるし、私よりもカナエさんとかの方が大きいけど、蜜璃さんはそこからさらに超えられない壁を挟んで輪をかけて大きい。でも、事実なんだ」

 

 首を傾げる伊之助に楓子はうんうん頷きながら言う。

 

「日本人でこの大きさは確かに珍しいかも知れない。でもないわけじゃぁない。この胸は誇るべきところであり女性的な魅力であると私は思うね。伊黒様も蜜璃さんのおっぱいは大好きみたいだし」

 

「んなッ!?」

 

 楓子の言葉に憮然としながらも聞いていた小芭内が素っ頓狂な声を上げる。

 

「おい待て!お、俺が甘露寺のッ…その、む、胸が好きだなんて何を根拠にッ!?」

 

「え?だってよくこっそりチラ見してるじゃないですか」

 

「なッ!?そ、そんなこと――」

 

「しらばっくれてもダメっすよ。女は自分の身体に向けられる視線には結構敏感なんですよ。面と向かって話してて視線を下に一瞬向けただけでもわかるもんですよ。ね?蜜璃さん?」

 

「えッ!?」

 

「ッ!?」

 

 楓子に話を振られた蜜璃はビクッと身体を震わせ、そんな蜜璃に小芭内は恐る恐る蜜璃の方に視線を向ける。

 小芭内の視線を受けた蜜璃は

 

「え…えっと……その……/////」

 

 耳まで顔を真っ赤にしながら視線を泳がせ口籠る。

 そんな如実に真実を物語る蜜璃の様子に小芭内は絶望した顔で膝をつく。

 

「そんな……ただでさえ甘露寺に邪な視線を送ってしまったことに毎度毎度罪悪感で死にたくなっているのに……本人にその視線に気付かれていただなんて……」

 

 震える声で俯いたままブツブツ呟いた小芭内は

 

「……よし…死のう」

 

 決心したように顔を上げる。

 

「ま、待って待って伊黒さん!」

 

 そんな小芭内に蜜璃は慌てて止める。

 

「わ、私気にしてないから!そんなに思い詰めないで!」

 

「だ、だが甘露寺…俺は君に……」

 

 蜜璃の言葉に、しかし、小芭内は申し訳なさそうに呟く。

 

「いいのよ!私伊黒さんにそういう目で見られても気にしない!むしろ嬉しいわ!」

 

「だが――ん?」

 

「え?……あッ!/////」

 

 慌てた様子で捲し立てる蜜璃の言葉になおも言い淀む小芭内は、しかし、すぐに引っ掛かった様子で顔を上げる。

 蜜璃も同時に自分の発言がかなりきわどいことに気付き赤かった顔をさらに深紅に染める。

 

「い、いや!待って!違…う…わけじゃないけど……!その……!」

 

「か、甘露寺……////」

 

「~~~ッ/////」

 

 同じく赤面し蜜璃を見つめる小芭内。そして、小芭内の視線に恥ずかしそうにしながらもおずおずと見つめ返し――

 

「コホン!」

 

「「ッ!?」」

 

 聞こえた咳払いに揃ってビクリと体を震わせた二人は声のした方に視線を向けるとそこにはニヤニヤ笑う楓子がいて

 

「すいませんねぇ、私はお二人の仲睦まじい感じはずっと眺めていたいんですが、若干一名がものすごく憐れなのでやめてあげてもらってもいいですか?」

 

 楓子の言葉に視線を向けると

 

「うッ……うぅッ……」

 

 善逸が号泣していた。

 

「何なんすかもう……そういうことは家でやってくださいよぉ~……ッ!」

 

 それはそれはドン引きするほど泣いていた。

 

「…………」

 

「え、えっと…なんだかごめんね?」

 

 そんな善逸の姿に小芭内は心底ドン引きし、蜜璃は申し訳なさそうに言う。

 

「まあ非モテの僻みは置いておいて」

 

「酷いッ!」

 

 楓子の言葉にガーンとショックを受けた様子で言う善逸。

 

「とにかく脱線した話を戻すと、蜜璃さんのコレは本物だし、なんらおかしいものでもないの。わかってくれたかな、伊之助君?」

 

「……まあ、なんとなく」

 

「うん、よろしい」

 

 まだ少し曖昧な様子ではあるものの一応は頷いた伊之助に楓子はニッコリ微笑んで頷く。

 

「さ、伊之助君がわかってくれたところで本題!蜜璃さん達による修業を始めましょう!」

 

「「は、はい!」」

 

「おう!」

 

 気を取り直した様子で言った楓子に三人が頷き、蜜璃と小芭内も気を取り直す。

 

「はい、と言うわけで早速これに着替えてね!」

 

 と、楓子は後ろ手に持っていたものをバサリと取り出す。

 それは蛍光色の派手な薄い服のようなもので――

 

「えっと……」

 

「き、着替えてきましたけど……」

 

「なんだこれ……」

 

 楓子の言う通りに着てきた三人はその衣装に困惑した様子だった。

 楓子が取り出し、三人が着た衣装、それはこの時代でもまだまだ珍しいレオタードであった。

 

「これが恋柱の修業の正装だよ!私もよくこれ着たなぁ~!」

 

「えッ!?」

 

 楓子が懐かしそうに三人を見ながら言った言葉に善逸が反応する。

 

「ふ、楓子さんも着たんですか?このピッチピチの服を?」

 

「着てたよ」

 

「……まじっすか?」

 

「マジマジ大マジオーマジオウ」

 

 善逸が目を見開き訊くのを楓子は頷く。

 その答えに善逸の中で、え?じゃあもしかして目の前の甘露寺さんもこれ着るの?ウッソヤバッ!?と邪な想像が膨らむ中――

 

「あ、期待してるところ悪いけど蜜璃さんは着ないよ?」

 

「えッ!?」

 

 楓子の言葉に善逸が固まる。

 

「いや、自分の状態見てみなよ。そんな格好この場で蜜璃さんが着た日には死ぬよ、伊黒様が」

 

「俺かッ!?」

 

 楓子の言葉に小芭内が叫ぶ。

 

「え?じゃあ試しに想像してみてくださいよ」

 

「…………」

 

 言われて渋々想像した小芭内は

 

「~~~ッ/////」

 

「ほらぁ~……」

 

 一瞬で顔を真っ赤にした小芭内に楓子はため息混じりに言う。

 

「クッ……妄想とはいえ俺は……」

 

「いや、想像以上に衝撃受けすぎですよ。どんだけ耐性無いんですか?」

 

「だ、だが…あんな薄い衣服の甘露寺と特訓と称してくんずほずれずなど……ッ!」

 

「誰がそこまで妄想しろって言ったんだよむっつり柱この野郎」

 

 小芭内の返事に楓子は呆れた様子で言う。

 

「まあそんなわけで蜜璃さんはこのままで修業します。おわかり?」

 

「は、はい……」

 

 楓子の言葉に善逸は一応頷く。

 

「そ、それじゃあ早速始めましょうか!」

 

 と、蜜璃も少し頬を赤らめて言う。小芭内の先程の妄想の一端が気恥ずかしいもののまんざらではなかったようだ。

 

「ふーちゃんの話ではもう軽く準備運動してあるんだよね?」

 

「はい!楓子さんに言われて筋伸ばしたりは終わってます!」

 

「そっか!じゃあ大丈夫ね!」

 

 炭治郎の返事に蜜璃が頷く。

 

「甘露寺さんの修業ってどんなことをするんですか?」

 

 蜜璃と楓子に炭治郎が訊く。

 

「蜜璃さんの『恋の呼吸』では体の柔軟性とかを利用した技が多いし舞うような動きも多い関係でそういう方面を鍛えるね」

 

 炭治郎の問いに楓子が答える。

 

「音楽に乗せて踊りを踊ったりするけど今回はそっちはしないかな!とりあえず柔軟から始めよっか!」

 

 楓子の言葉に頷きながら蜜璃が言う。

 

「あぁ柔軟ですか」

 

 蜜璃の言葉にこれまでの楓子の修業内容を思い出しながら、そんな楓子の師匠なのだからいったいどんなおかしな修業が登場するのか、と戦々恐々としていた善逸はほっと安堵し

 

「んだよ、そんなもんかよ」

 

 伊之助は拍子抜けした様子で言う。

 そんな二人を見ながら

 

「フッ……甘いなぁ…」

 

「え?」

 

「あ?」

 

 そんな二人に楓子がニヤリと笑う。

 

「伊之助君はもともと体が柔らかいから心配ないだろけど、炭治郎君と善逸君は多分今から――地獄を見るよ」

 

「「えッ!?」」

 

 楓子の意味深な言葉に炭治郎と善逸がゴクリと唾を飲み込む。

 そんな雰囲気とは裏腹にニコニコと笑みを浮かべる蜜璃。

 

 

 

 

 

 ――そして、楓子の意味深な台詞の意味を数分後に二人は知ることになった。

 

 

 

 

 

 

「はい頑張れ頑張れ~♪」

 

「いたたたたたたぁぁぁッ!!!?」

 

 朗らかな蜜璃の声とは裏腹に炭治郎の泣きそうな声が響く。

 現在炭治郎は大きく足を開き地面に座り、そんな炭治郎の目の前に同じように座った蜜璃は炭治郎の開いた足のくるぶしのあたりを自身の足で固定し手を掴んで後ろに倒れてしまわないようにしながらさらに無理矢理に開いて行く。

 

「裂ける!裂けます甘露寺さん!」

 

「大丈夫♪さぁ大きく息を吸ってぇ~…吐いて~…♪」

 

「~~~~~ッ!!!」

 

 なおもさらに押さえつけてくる蜜璃に炭治郎はついに悲鳴にならない声を上げて悶える。

 

「あ、あの炭治郎がこんなに……ッ!?」

 

 そんな炭治郎を見ながら善逸は恐れ慄き

 

「ほぉ~ん」

 

 もともと身体の柔らかい伊之助は特に驚いた様子もなく見ている。

 そしてそんな様子を見ながら楓子は

 

「懐かしいなぁ~最初の頃は私も今の炭治郎君みたいに泣き叫んだなぁ~」

 

 微笑ましい様子でその光景を見ている。

 

「何か見てたら私もやりたくなってきたなぁ!よし!久しぶりにレオタードも着て私も参加しようかな!」

 

 と、頷き自室にレオタードを取りに行こうと歩き出そうとし

 

「待て」

 

 そんな楓子を小芭内が引き留めた。

 

「どうしました?何かありましたか?」

 

「ある。お前はこっちで俺と修業だ」

 

「……はい?」

 

 小芭内の台詞にポカンと呆けた楓子に小芭内は木刀を放ってよこす。

 

「え?え?え?」

 

 呆けながら受け取った木刀と小芭内の顔を何度も見比べる楓子。

 対する小芭内も木刀を構える。

 

「さあお前も構えろ」

 

「いやいやいや!なんですか急に!?意味わからないんですけど!?何で急にそんなことに!?伊黒様に修業つけていただく理由が無いんですけど!?」

 

「理由ならある」

 

 困惑する楓子に小芭内は冷静に言いながらスッと目を細め

 

「貴様、この間の無限列車の折に上弦の鬼の頸を落としたのは『蛇の呼吸』だったらしいな?」

 

「……な、何故そのことを……ッ?」

 

「杏寿郎に聞いた」

 

「あぁ~……」

 

 よくよく考えればそこしかないか、と楓子が納得する。

 

「俺はお前に『蛇の呼吸』を教えていない。それを使えたということはお前には適性があったということだ。しかも見稽古で習得している。それ自体は評価する」

 

 だがな、と付け足し小芭内の雰囲気が一気に鋭くなる。

 

「杏寿郎が言っていた、『炎と恋に加えて蛇までとは恐れ入るが、やはり少し荒い部分があった』とな。俺はそれが腹立たしい。どうせ使うなら十全に習得しろ!」

 

「いや、あの時はホント自分でも咄嗟だったし……」

 

「黙れ。お前の意見は聞いていない」

 

「えぇ~……」

 

 言い放つ小芭内に楓子は呆れた様子で呟く。

 

「今から俺はお前に攻撃を加える。お前はそれに応戦しろ。ただし、炎と恋の呼吸を使うことは禁止する」

 

「はいッ!?」

 

 小芭内の出した条件に楓子が素っ頓狂な声を上げる。

 

「いやいやいや!まだまだ精度の低い私に対して極めている伊黒様の相手って無茶じゃないですか!」

 

「それがどうした?見稽古で使えるまでに習得したお前なら目の前でさらに見て身をもって体験すればその精度もあげられるだろう?」

 

「それは…まあ一理あるかもしれませんけど……」

 

「そんなわけで……死ぬなよ?」

 

「ッ!?」

 

 小芭内の言葉と共に纏う殺気がさらに濃密になったのを感じ楓子は咄嗟に木刀を構え――

 

 カァァァンッ!

 

 固いもの同士がぶつかる甲高い音が響く。

 一瞬でその距離を詰め楓子の頭に振り下ろされた小芭内の木刀を咄嗟に楓子が受け止めた音だった。

 

「ほう?流石だな、やはり受けられる」

 

「い、今本気で来ましたね!?受け止められなかったら大惨事でしたよッ!?」

 

 バッと跳び退きながら言う小芭内に眼を見開いて楓子が叫ぶ。

 

「お前なら出来るという信頼だ」

 

「嘘つけ!あわよくばこれまでの仕返しに一発入れてやろうとか思ったでしょッ!?」

 

「………いいや?」

 

「間ッ!!明らかに間がありましたよッ!?」

 

「気にするな」

 

「気になりますよ!」

 

「全く、細かいことをごちゃごちゃ――とッ!」

 

「ッ!?」

 

 言葉の途中に再び、今度は横なぎに振られた木刀を楓子は謀ハリウッドアクション映画の主人公の如く咄嗟に後ろに倒れこんで交わし

 

「シッ!」

 

 倒れこんだ勢いのまま両手を床に着いて蹴り上げる。

 

「くッ!」

 

 まさかの避け方に虚を突かれ一瞬遅れた小芭内は、しかし、流石の判断力で楓子の蹴りも後ろに身体を逸らすことで寸前で交わす。

 小芭内の顔のすぐ前を楓子の足が通過し、そのままバク転の要領で後方に跳んだ楓子は自身の胸元を擦る。

 

「あ、危なかった…ッ!今…ちょっと掠った…ッ!私のおっぱいがカナエさんくらいあったら確実に躱しきれてなかった…ッ!ちきしょうなんか複雑ッ!!」

 

 楓子が悪態をつき、小芭内を睨む。

 

「もういいです!わかりましたよ!やってやろうじゃないですか!!」

 

 楓子は叫びながら木刀を構え直し

 

「はぁぁぁぁぁッ!!」

 

 小芭内に向かって今度は楓子から斬りかかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 木刀と木刀のぶつかり合う甲高い音、時々聞こえてくる「違う!もっと踏み込め!もっと呼吸を深く!」などと言う小芭内の怒声、「こなくそぉぉぉぉぉッ!」という楓子の悪態が響く中――

 

「フフ、頑張ってるなぁ~」

 

 蜜璃が微笑ましそうに二人の様子を見つめていた。

 

「いや、いいんですか?もはや修行と言うより本気の試合になってますけど?このままじゃどちらかが怪我するまで終わらないんじゃ……」

 

「フフ、大丈夫大丈夫!伊黒さんもあれでちゃんと加減してるから」

 

「あ、あれでですか……?」

 

 蜜璃の言葉に炭治郎が驚いた様子で二人の様子を見る。

 

「うん!伊黒さんもさっきはあれこれ言ってたけど、本音ではふーちゃんが自分の呼吸で煉獄さんを助けたこと喜んでるのよ。伊黒さんにとって、煉獄さんは大事なお友達だから」

 

 炭治郎に微笑みながら蜜璃は言う。

 

「それに、なんだかんだ言いながら伊黒さんにとってもふーちゃんは大事な妹みたいに思ってるから、そんなふーちゃんが自分の呼吸を使ってくれるって言うのも結構嬉しいみたい。だからこそ完璧に習得してほしくてあそこまで熱心にやってるんだと思うわ」

 

「そうなんですか……」

 

「そうなのよ~♪」

 

 感心したように言う炭治郎に蜜璃は楽し気に微笑みながら言い――

 

「あのぉッ!!楽しそうにお話してらっしゃるところ申し訳ないんですけどぉッ!!」

 

 善逸が叫ぶ。

 現在善逸は先程の炭治郎と同じような体勢で蜜璃にグイグイと柔軟をされていた。

 

「もうこれ以上は無理ですよッ!!裂ける!!股が裂けますッ!!」

 

「大丈夫大丈夫!行けるわよ!」

 

「いやいやいや!!無理ですってばぁぁぁぁぁッ!!」

 

 蜜璃の笑顔とは裏腹に善逸は絶叫していた。

 

「このくらいで音を上げるなんてまだまだだなッ!!」

 

「お前と一緒にすんな軟体馬鹿猪!!」

 

 隣で胸を張って言う伊之助に善逸が叫ぶ。

 先程炭治郎の後に同じように柔軟をした伊之助は、その持ち前の柔軟性で難なくこなしていた。

 そんな善逸の言葉に蜜璃は

 

「ブフッ!馬鹿猪ッ!馬で鹿で猪ッ!!」

 

 以前に楓子も笑ってしまった部分で思わず吹き出し

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁッ!?」

 

「善逸ぅぅぅぅぅぅぅッ!?」

 

 思わず力加減を間違ってしまい、善逸が絶叫を上げ、そんな善逸に炭治郎が叫ぶのだった。

 




と言うわけで蜜璃と小芭内による修業でした。

勿論原作を知っている皆さんならお気づきかと思いますが、楓子ちゃんの言う「柱が行う集団修業」もちろん「柱稽古」のことです。
はやめに計画を作っておき隊士全体の能力の底上げに早い段階から取り組もうという狙いです。

そして、以前は軽い挨拶だけだった恋&蛇柱がかまぼこ隊とちゃんと絡みましたね。
今後はもう少し関わることも増えるかな?
今後をお楽しみに!



そんなわけで今回の質問コーナーです!
今回は本来なら大筒木朱菜さんからいただいていた質問だったのですが、すみません、内容がなかなか難しかったので申し訳ありませんが飛ばさせていただきます。
と言うわけで倭人さんからいただきました質問です!

――楓子が転生したとき、性別が変更、俗にいうTS転生の状態になっていたら、鬼殺隊のメンバーとはどんな関係になっていたのでしょうか?

これは私の妄想ですが、もし楓子ちゃんが楓太郎(仮)君だったら、とりあえず杏寿郎さんとは仲良しで、宇髄さんとはノリの良さで意気投合するでしょうね。
そして、伊黒さんとは憎まれ口を叩き合いながら蜜璃さんとの仲を積極的に突いて回り、でも隙あらば自分も蜜璃さんと仲良くして伊黒さんと喧嘩したりって言うのを繰り返す姿は目に浮かびますね。
あとは多分冨岡さんの性格を知っているのでなんだかんだで良好な関係を気付き、冨岡さんからの信頼を得られるかもしれませんね。
唯一つ言えるのは美少女がやってるから許されている言動が多々ある気がするので楓太郎(仮)になったらもう少し自重するようになると思います。

と言うところで今回はこの辺で!
また次回もお楽しみに!



~大正コソコソ噂話~
この修業の後にアオイにあった伊之助が「お前もいつかスイカみてぇになんのか?」と聞いて顔面に拳を叩き込まれました。


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