ここのところ仕事や用事が立て込んでしまい更新が遅くなってしまいました。
そんなわけで最新話ですが、以前にあと一話で遊郭編、と言っていましたが諸事情によりもう一話増えます(;^ω^)
最新話の今回は少しシリアス色強めでお送りします。
少し残酷な描写と胸糞描写もありますのであらかじめご了承ください。
と言うわけで最新話です!
「今回の任務内容は、鬼の討伐もだけど、同時に別の目的もあります」
今回の任務地へ向かう道すがら私は同行している面子に任務の内容を伝える。
「今回の鬼の討伐には先に任務にあたっていた隊士がいたんだけど、五日前その隊士の足取りが途絶えました。追えるところまでで最後は件の鬼が潜んでいると思われる村へ到着したらしいところまでは確認できたんだけど、それ以降が不明。鎹鴉も戻ってきていません」
「つまり、その鬼を討伐することと同時にその行方不明の隊士の捜索も行う、って言うことか?」
「そう言うことですね。何か質問はあります?」
私の説明を要約した同行者の一人、村田さんの言葉に頷きながら訊く。と――
「じゃあ一番気になっていることを訊いていいか?」
「いいですよ。何が訊きたいんですか?」
頷いた私に村田さんは一拍置いて
「なんでこの面子なんだ?」
言いながら村田さんはこの場の面々の顔を見渡す。
そこには私と村田さん、そして若干居心地悪そうな玄弥君と善逸君がいた。
「まあ理由はいくつかありますが、主な理由としては玄弥君の勧誘中なんですよ」
「勧誘?『梁』にか?」
「そうです。もうじき控えている大規模任務の戦力としてきてもらいたいので。そのために彼の戦い方をちゃんと知っておきたくて。村田さんが一緒なのも私以外に『梁』の人間で玄弥君と顔合わせしておいてほしかったので」
もちろん私は玄弥君の特性を知っているが、それはあくまでも知識としてだ。百聞は一見に如かず、と言うが、実際に見て体験したものはただ知っていること以上に価値があると、私は思う。
それに、今回の件は不審な点も多い。人手は欲しいところだ。
「じゃあ…なんで我妻なんだ?炭治郎ならもうちょいうまく打ち解けられるんじゃないか?」
「善逸君には成功体験が必要かなって。彼、実力はあるのに自己評価低いので」
「そう言うもんか」
村田さんは肩を竦める。と――
「あの……」
玄弥君が恐る恐る声を掛けてくる。
「あぁごめん!任務の話に戻るね!」
玄弥君と善逸君に向き直って咳払いをする。
「先に言った通り、前任者の捜索と救助が任務の内容ではあるけど、大前提として鬼の討伐も最重要任務になるわ」
「そ、それで、その鬼の情報はあるんですか…?」
善逸くんは恐々と聞いてくる。
「あるにはあるけど、あまり詳細にはわかってないわ。わかってるのは大蛇が人を襲ってるらしいこと。それが鬼の本体なのか、はたまた血鬼術による何かなのか不明。以上!」
「それって……」
「何もわかってないってことじゃ……?」
「………そうとも言うかな?」
私の言葉に三人とも大きくため息をつく。
「いや、言い訳をさせてください!その辺の調査も含めて前任者の任務で、彼女が情報収集してそれを元に追加戦力が必要なら送り込むはずだったの!」
三人の様子に私は慌てて言い
「あッ!見て目的の村が見えてきたよ!さぁ張り切って情報収集ですよッ!」
私は足早に村へと向かったのだった。
〇
「半日情報収集した結果……」
夕方、宿に集まって私達は情報収集の結果を報告し合っていた。報告し合っていたのだが――
「驚くくらい何もわからなかったな」
「ですねぇ……」
村田さんの言葉に私は苦笑いで頷く。
「ただまぁ、何も無いってわけではなさそうですけどね」
「ああ。聞く人みんな『知らない』とは言ってるが明らかに様子がおかしい」
「聞く人みんな、何かに怯えてる音がしました。これって鬼に脅されてるってことなんでしょうか?」
「ん~、何とも言えないなぁ。その可能性はあるけどなんか違う気がする、私の勘でしかないけどね」
「……あの」
と、玄弥君がゆっくりと手を上げる。
「正直俺も確証があるわけじゃないんですけど……」
「いいよ。言ってみて」
私が促すと、頷いた玄弥君は口を開く。
「ここの村人…全員じゃないけど、詮索されたくないって言うのもあると思いますけど、もっと言えば〝俺達に〟詮索されたくないって気がして……」
「ほほう?と言うと?」
「いや、そう感じたって言うくらいで何もないんですが…俺達のことを知ってるみたいな…俺達に嗅ぎまわられたくないような……」
「……なるほど、だいたい分かったわ」
「「「え…?」」」
私の言葉に三人が呆ける。
「分かったって何が?」
「村人の不審な様子の意味、ですかね」
「マジで…?」
唖然とする三人に頷きながら私は推理を離す為に口を開こうとして――
「お客様、お休みのところすみません」
襖の向こうからこの宿の主人の老婆の声がする。
「はいは~い!」
私は言葉を区切って襖の向こうに呼びかける。
「夕飯の時間ですか?」
「いえ……」
私の問いに老婆は言い淀み
「皆様にお客様です」
「客……?」
老婆の言葉に私達は揃って首を傾げ――
〇
「まさか直々に足を運んでいただけるとは、初めまして村長さん」
思わぬ来客――この村の村長さんに私は挨拶する。
そんな私に強張った表情で村長のおじいさんは頷く。
「それで?あなたがここに来たってことは説明していただけるんですよね?」
「……はい」
私の問いに村長さんが頷く。
「五日前のことです。この村に女性がやってきました。あなた方と似た服を着た方でした」
「(それって……)」
「(消えた隊士のことだな)」
背後で善逸君と玄弥君が話しているのを聞きながら私は頷いて村長さんの話を促す。
「この村では二月ほど前から大蛇が人を襲われていました。その方はこの村で起こっていた異変を調査しに来られたとおっしゃっていました。我々は彼女にすべてを話し助力を求めました。彼女は了承し、その晩大蛇の化物の出る森に調査に出掛け――」
「戻って来なかった、と」
「……はい」
私の言葉に村長さんは重く頷く。
「彼女が消えた晩を境にあちこちの家々から村人が夜な夜な殺され死体で見つかるようになりました。もう十六人になります」
「そんなに……!?」
村長さんの言葉に思わず善逸君が声を上げ
「あ、す、すみません……」
話を遮ったと慌てて口を押える。
「と、とにかく、あの時のあの方と同じ服装の方が同じことを調べに来られたということでこうして足を運んだ次第でして……」
言いながら村長さんはゆっくりと頭を下げる。
「どうか、どうか我々をお救いいただけないでしょうか?我々はもうあなた方に頼るしかありません。どうか…どうか化け物を倒してくださいませ……」
畳に額を擦りつけて言う村長さんの様子に私は
「ええ、もちろんです。私達はそのために来ましたから」
微笑みながら頷いたのだった。
〇
「あの村長の話、あの話によると前任者はもう……」
「前任の人が姿を消し、被害も終わっていない。そのことを考えれば……」
「生存は絶望的、だな……」
「…………」
夜、件の森の中を歩きながら善逸・玄弥・村田が重く言い合う。
そんな中で楓子だけは何かを考える様子で黙り込んでいる。
「おい大好、どうしたんだ?」
「まだ何か気になることが?」
村田と善逸の問いに一拍開けて頷いた楓子は口を開く。
「彼女が消える前後で、被害が変わっていることが気になるんですよね」
「被害が変わってる?」
楓子の言葉に三人が首を傾げる。
「彼女がこの村に来るまでは大蛇に襲われた、喰われたって言う目撃情報まであった。でも、彼女が失踪してから被害者が襲われる瞬間を見た人はいない」
「そう言えばそうですね」
「あと何より気になるのは、死体が残ってること。話によると件の大蛇は襲った人間を残さず丸のみにしていたって言うのにその十六人だけは死体が残っている」
「ホントだ!」
「でもなんで?」
「……わかりません」
村田の問いに楓子は首を振る。
「鬼の中には特定の嗜好をもって人を襲う鬼もいます。この大蛇の鬼もそう言った類なのか…だけどなら何故最初からそうじゃなかったのか……正直、情報が足らないので推察もできません。いったいこの鬼は何が目的なのか――」
言いながら周囲を警戒しながら進んでいた四人は
「「ギャァァァァァァッ!!!」」
『ッ!?』
響き渡った悲鳴に素早く反応し
「善逸君!!」
「はい!こっちから聞こえました!!」
楓子の呼びかけに素早く答えた善逸の示す方向に四人は揃って駆け出す。
薄暗い森の中を駆け抜けた四人は地面に倒れ伏す二人の男を見つける
「大丈夫で――ッ!!」
楓子が駆け寄り倒れている男を起こそうと抱え、その顔が恐怖に引き攣ったままこと切れていることに気付く。そして――
「おいこれ……!」
「「ッ!?」」
村田の指さす方を見て善逸と玄弥は息を飲む。
楓子の抱えた男の遺体には、右腕が無かった。
「楓子さん見てください!」
「こっちもです……!」
慌てて確認した善逸と玄弥も顔を顰めて言う。
見れば倒れていたもう一人の方も同じように恐怖に引き攣った顔でこと切れ、その男は左腕が無かった。
「首を斬り裂かれてる。これが恐らく致命傷……でもそれ以外に大きな傷がこの無くなってる腕以外にない。喰われた形跡が少なすぎる……」
「いったいどうなってんだ?」
「わかりません…でも、もしかしてこれまでの十六人もこんな風だったのかも――」
言いかけた楓子はゾクリと背中に悪寒が走り言葉を止める。
他の三人も何かを感じたようで顔を強張らせ
「ッ!上です!!」
最初に気付いたのは善逸だった。
その聴覚で何かの聞き取りいち早く反応した善逸がまず上を見上げ
「アァァァァッ!?」
悲鳴を上げた。
三人もワンテンポ遅れて同じ組み上げ
「ヒィッ!?」
「なッ!?」
「ッ!?」
善逸ほどではないものの一様に恐怖を表情に滲ませる。
四人の見上げる先、生い茂る木々の中に、その異形はいた。
上半身は人、それも女性の身体で目を引く六本の腕。しかもその身には鬼殺隊の隊服を羽織り、四本の腕は隊服を突き破っている。身体に続く顔は元は整っていたであろうが、そこには狂気に歪み口の周りを鮮血に赤く染めていた。
そして、何よりも異形とも思えるのはその下半身が人の物ではなく、鱗に覆われた足のない蛇となっている。
そんな異形の化物は蛇の下半身で木の幹に巻き付き四人を見下ろしていた。
「こいつがこの一件の主犯の鬼ッ!」
「なんでこいつ隊服をッ!?」
「楓子さん、まさかッ!?」
「……間違いない」
驚く三人に頷きながら楓子は異形の化物を睨みつけ
「あの化物の上半身、この顔、この村の調査に行ってもらった隊士の伊藤美子だわ」
「「「ッ!!」」」
楓子の言葉に三人は息を飲む。
「美子ちゃん…あんたなんで――ッ!」
言いかけた楓子だったがそれに答えず異形の化物が動く。
気に巻き付いていた体を素早く解いて蛇の下半身を槍の様に突き刺してくる。
四人は咄嗟に大きく跳ねて避ける。
異形の化物は素早く蛇行し森の茂みにその身を隠す。と、すぐに別の方向から先程の様に蛇の尾が飛んでくる。
「くぅッ!思ったより素早い!!」
「このぉッ!!」
伸びてきた尾に日輪刀を振るう村田だったがヌルリと避け、また姿を消す。
「くぅッ!ちょろちょろ素早い上にすぐ身を隠す!」
「コイツ、この環境のことを知り尽くしてやがる!」
善逸と玄弥が悔し気に叫ぶ。
そんな中で楓子は鋭い視線で周りを見渡し
「善逸君周囲の索敵!少しでも物音がしたらその方向をすぐに指差して!」
「はい!」
「玄弥君は善逸君の指す方向に南蛮銃を撃ち込んで!当たらなくてもいい!」
「は、はい!」
「村田さんは少しでも奴が姿を見せたら躊躇わず斬りかかってください!私も行くんで危なかったら助けに入りますから!」
「わ、分かった!」
冷静に指示を飛ばす。
三人が返事をし、四人は身構え――
「ッ!!そこッ!!」
「ッ!!」
微かな枯れ枝の折れる音を聞き取った善逸が聞こえた方向を指さしながら叫び、玄弥も素早くその方向を向いて
――バァンッ!!
引き金を引いた。
「がぁッ!?」
と、南蛮銃の弾丸が掠めたらしい脇腹を抑えて蛇の鬼が茂みから飛び出す。
「村田さん!」
「お、おう!!」
楓子の呼びかけに村田も素早く鬼へ斬りかかり
「シャァァッ!」
村田を迎え討つように鬼も鋭い爪の右手の一本を振るう。が――
「シッ!!」
楓子が村田の背後から素早く跳び出し鬼の右手を斬り上げる。
「ガァッ!?」
楓子の斬撃に斬り飛ばされた右手に鬼がその痛みに悲鳴を上げる。
その隙に懐まで飛び込んだ村田が
「ハァッ!!」
首目掛けて斬り上げる。
「ぐぅッ!!」
あと一息というところで鬼は大きく身体をのけ反らせ回避する。
が、村田の斬撃も深く、楓子に斬り飛ばされた右腕と合わせて深手を回復する為か先程までの勢いはない。
自身を傷つけた面々を憎々し気に睨む鬼の双眸を受けながら楓子は鬼へ一歩踏み出す。
「答えて。あなたは伊藤美子なの?なんでそんな姿に?」
ジッと見据えて訊く楓子。
そんな彼女の問いに一瞬鬼は呆け、
「あぁ…そうかァ…お前、この女の知り合いかァ」
すぐにニタリと嗤う。
「この顔だった鬼狩りの女なら、俺が喰っちまったぜェ!」
「ッ!」
「そんな……」
「やっぱり……」
「……なんで」
鬼の言葉に息を飲む三人だったが、楓子は鋭い視線で睨む。
「なんで美子ちゃんが……彼女には調査しか…引き際を間違えるようなことはしないはずなのに……」
「そいつら村人に助けを求められたんだってよォ!人を恐怖に陥れる俺のような奴が許せねぇってよォ!笑っちまうよなァ!」
「何がそんなに可笑しいのッ!?」
鬼の言葉に楓子が怒鳴る。
「これが笑わずにはいられるかよッ!だってこの女は――」
言いながら鬼はニヤニヤと意地悪く笑いながら倒れる村人の遺体を指さし
「その守ろうとした村人どもに殺されたんだからなァ!!」
『ッ!?』
鬼の言葉に四人は息を飲む。
「この女は俺のことをあれこれ調べて回ってやがったァ。その過程で俺に行きついたァ。こいつはそのまま俺に挑んできたが、俺の方が強かったァ。俺の攻撃で足を怪我させてやったことでこいつの勝ち目はさらに薄くなったァ。だが、それでもこの女は無謀に諦めなかったァ」
だが、と言葉を区切り
「俺達の戦いを村人どもが見てやがったんだァ。この女は諦めなかったが、村人どもの方が先に諦めちまってなァ、いつらはこの女を差し出す代わりに自分たちを助けるよう取引を持ち掛けてきたァ。その時のこの女の顔ったら…お前らにも見せてやりたかったぜェ!あんまりにいい顔をするもんだから俺は村人どもの提案に乗ってやることにし、村人どもに片棒を担がせることにしたァ!」
鬼は心底楽し気に嗤う。
「この女を村人どもに拘束させ、俺様が丸呑みにしやすいように村人どもにこの女の腕を斬り落とさせたァ!傑作だったぜェ!守ろうとした村人どもに裏切られ、生きたまま刃を突き立てられるこの女の顔がよォ!!」
「テメェ…!」
「なんてことを…!」
鬼の言葉に玄弥と善逸が叫ぶ。村田も鬼を睨みつけている。
そんな中楓子は静かに訊く。
「なら、あんたはなんでまだ村人を襲ってる?取引したんじゃなかったの?それに、なんでこんなに半端に遺体を残してるの?」
「はぁ?何言ってんだァ?そんなもん馬鹿正直に守るわけねぇだろォがよォ!」
楓子の問いに鬼は嗤いながら言う。
「それに、こうして腕だけを喰って他を残してるのは、その方が他の村人どもがいい顔で怖がってくれるからだァ!恐怖に震えながら殺すことほど楽しいことはねェ!!こいつらは腕だけが亡くなったこの死体を見りゃ、この女の怨念だって恐怖を募らせていく!!そんな時に俺がこの顔で現れればどうだ!?最高の恐怖を演出できるってわけだァ!キヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャッ!!」
「テメェッ!」
「ふざけん――」
高笑いを上げる鬼に善逸と玄弥が睨みつけたところで、鬼と二人の間にスッと楓子が割って入る。
「何があったかはわかった」
割って入った楓子に呼びかけようとした善逸は、しかし、すぐにその鋭敏な聴覚が捕らえる。
「だから、あんたにもう用は無い。あんたが奪い、踏みにじってきた命を数えながら……惨たらしく絶命しろ」
楓子から、これまでに聞いたことのないほどの怒りの音が聞こえていることに。
「おお、鬼狩りの皆さん……!」
夜明け前、森から戻った楓子たちを村長や他の村人たちが出迎える。
「村長!」
「宗助と康太が!」
と、玄弥と村田が運んできた遺体を見て村人たちがどよめく。
「新しい被害者達です。私達が見つけた時はもう……」
楓子の説明を聞きながら二人の遺体を村人たちが受け取り運んでいく。
「そ、それで…化物は……?」
そんな様子を見送った村長は恐る恐る訊く。
そんな村長に怒りに顔を歪ませた玄弥が歩み寄っていく。
「アンタふざけんなよッ!あんたら全部知ってたんだろッ!?」
「な、何の話で――」
「しらばっくれんじゃねぇよ!俺達は全部知ってんだよ!」
「ヒィッ!?」
今にも掴みかかりそうな玄弥の剣幕に村長が怯え――
「待って玄弥君」
そんな玄弥の肩を掴んで楓子が止める。
「でも――」
「玄弥……!」
食い下がる玄弥を村田が呼びかける。
「玄弥、今は下がっとけ」
「でも!」
「いいから……!」
「……うっす」
村田に言われ渋々と言った様子で引き下がる玄弥を尻目に楓子は改めて村長に向き直る。
「すべての経緯を我々は知っています。もう誤魔化せませんよ」
「ッ!?」
楓子の言葉に村長は息を飲む。
対する楓子はぞっとするほどの無表情のまま続ける。
「あなたは私達に話に来た時あえてすべてを話さなかった。話せば私達が化物の討伐に行かなくなるかもしれないから……まぁ、自分たちのせいで人一人死んだとなれば言えないでしょうが」
言いながらフゥと息をつき
「助かりたいと思うあなた方の気持ちを否定するつもりはありません。でも、だからと言って仲間を殺されて許せるほど、私は人間が出来ていません。すみませんが我々はここで失礼します」
「そ、そんなッ!?ま、待ってくれ!」
踵を返し三人の元に戻った楓子に村長が慌てて呼び止める。
「あ、あの化物はどうなったんですかッ!?」
「…………」
恐怖に震える村長や他の村人たちの様子を冷ややかに見た楓子は少し考え
「ただの大蛇であれば恐らく私達で対処できました。ですが、あなた方が前任者を生贄にしたおかげでその恨みを吸収して更なる化物へと進化してしまいました。ああなっては我々では倒しきることはできません」
「そんなッ!?」
楓子の言葉に村人たちの顔に絶望の色が浮かぶ。
「ど、どうにかできないのですかッ!?」
「もちろん手は打ちました」
「なんとッ!?そ、それは……?」
「化け物を一時的にですが弱体化させました。今なら封印することもできるでしょう」
「ほ、本当ですかッ!?で、では――」
「ええ、なのであとは皆さんで封印してください」
「え……?」
楓子の言葉に村長が呆ける。
「た、助けてはいただけないのですか!?」
「はい。先ほども言いましたが、仲間を殺されて許せるほど、私は人間が出来ていません。あなた方を助ける義理はありません。義理はありませんがここで見捨てては私の職務への誇りに関わります。なので封印できることだけお教えします。どうやって封印するかは他を当たってください」
「そ、そんなッ!?」
「では、我々はこれで」
へたり込む村長にお辞儀をし楓子たちは村を後にした。
〇
「大好、なんであんなウソついたんだ?」
道すがら先頭を歩く楓子に村田が呼びかける。
「……私達の相手は鬼です。今回の件も鬼が原因です。でも、だからと言って彼らが美子ちゃんにしたことを流すことはできませんでした」
村田の問いに楓子はゆっくりと言う。
「でも、そこで彼らに直接手を下すのは『鬼殺隊』の名を辱めますし、何よりそれをするとあの鬼達と同じ外道に落ちる気がしたんです」
「だから、ああいう嘘を?」
「……そうだね」
善逸の問いに頷く。
「ああ言っておけば彼らは自分のしたことを忘れないし、しでかしたことの大きさを痛いほど理解してくれる。だから、これが私なりの友人を殺された復讐だ」
言いながら楓子は振り返る。
「彼らはこれからいつかあの化物に殺されるかもしれない恐怖にさらされながら生きていく。自分たちが犠牲にした命の重さを背負って生きていくんだ」
「「「………」」」
楓子の言葉に三人は押し黙る。
「大好さんは……」
と、そんな中で玄弥が口を開く。
「大好さんは、あの前任者の人と知り合い――友人だったんですか?」
「…………」
玄弥の問いに楓子は少し黙り
「美子ちゃんとは彼女が怪我したのを治療したのを機に仲良くなってね。この調査任務が終わって鬼を倒したら一緒にカフェーに行うねって約束してたんだ」
ゆっくりと話し始める。
「優しくて、困ってる人を助けるのにいつも全力で、でもちゃんと考えられる自頭の良さがあって……私の大事な友達だった」
「「「…………」」」
「……すいません、ちょっと今回は流石に私も折り合いがつかなくて」
押し黙る三人に自嘲気味に微笑む楓子。
「折り合いついでにカフェー行きません?」
「「「え……?」」」
「弔いにって訳じゃないですが、美子ちゃんと約束してたカフェーに行きたいなって……」
楓子の言葉に三人は一瞬黙り
「ああ、一緒に行くよ」
「お、俺も!」
「俺も…最後まで付き合います」
「村田さん…善逸君…玄弥君……ありがとうございます」
三人の返答に柔らかく微笑んだ楓子。
そのまま帰り道、四人は甘味処に寄ったのだった。
と言うわけで最新話でした!
今回のお話に登場する鬼は以前の八尺様同様に元ネタとなる都市伝説があります。
ご存じの方も多いかと思いますが知らない人の為に軽く解説しておくと、「
ネットで調べていただくとすぐにお話は出るかと思います。サイトによって細部が違うこともありますが、大筋はこのお話の通り、大蛇を退治するために戦った女性が守ろうとした村人に生贄とされその恨みや憎しみから更なる強力な怪異へと変貌する、というものです。
今回は話の展開上ギャグがほぼ入れ込む余地がありませんでいたので少し腑でも遅くなってい増しました。
次回はもう少しギャグ要素多めで行きたいと思いますのでおたのしみに!
そして、今回の質問コーナーです!
今回は鳥鍋さんからいただきました!
――ホームズ初版本の回で気になったので質問を
主人公の英語力はどれ位?(英検○級、日常会話可)作中世界で欧米人と話をした事はある?気が向いたら座学教室英会話編もやる予定?
楓子「英検は一応2級まで前世でとってましたよ。日常会話程度なら問題なくできます。残念ながらこっちの世界ではまだ欧米人と話した経験は無いですが、たぶん問題なく会話できると思います。座学教室英会話編、いいですね!これからの日本は史実を見ても海外とのかかわりは増えていくでしょうし、知っていて損は無いでしょうからね!」
とのことでした!
と言うわけで今回はこの辺で!
また次回もお楽しみに!
~大正コソコソ噂話~
今回の鬼の血鬼術は自身の身体を自在に変化させることです。それによって最初は大蛇となり人を襲い、井上美子の一件で彼女の姿を模した上半身に蛇の下半身と言う姿に変化しました。姿だけであれば基本なんでも変身することできます。